WEBTOONに漫画を載せたら、作品を世界基準で見直すことになった
漫画Traverseを、海外の漫画投稿サイト「WEBTOON」に掲載しました。
今回掲載したのは、
日本語と英語を併記したオール・インクルーシブ版です。
教材からアプリへ。
アプリから小説へ。
小説から漫画へ。
そして今度は、日本から世界へ。
Project Traverseという名前のとおり、
また一つ横断してみることにしました。
掲載自体は、意外と簡単だった
漫画本編の掲載は、驚くほど簡単でした。
日本のLINEマンガに掲載したJPEG画像を、
そのままWEBTOONへ貼り付けるだけでした。
漫画本編の投稿は簡単でした。
少し戸惑ったのは、作品の設定部分でした
LINEマンガには漫画投稿に関するガイドラインがあり、
投稿者は事前に読むことになります。
知的財産権の侵害、誹謗中傷、性的表現、過度な暴力表現、
薬物、差別、政治的・宗教的な勧誘などについて。
ただし、作品を登録するときに、
暴力表現はどの程度あるのか
メンタルヘルスを扱っているのか
いじめや自傷、児童虐待、組織犯罪が含まれるのか
といった項目を、作者自身が一つずつ選ぶ画面はありませんでした。
日本では、ガイドラインを読み、
自分の作品が違反していないかを判断します。
ところが、海外の漫画投稿サイトWEBTOONでは、
それに加えて、作品の内容を細かく「自己申告」します。
海外では、ここまで聞かれる
WEBTOONでは、公開前に、
Content Rating Self Assessment
コンテンツレーティング自己評価
を行います。
読者が年齢や好みに合った作品を選べるように、
作者自身が作品内容を申告する仕組みです。
まず確認されるのは、次の項目です。
Violence/暴力・流血・残酷描写
Sexual Content/性的な内容やテーマ
Nudity/裸体表現
Profanity/汚い言葉・強い罵り
Alcohol, Drugs, or Tobacco/飲酒・薬物・喫煙
内容があるかどうかだけではなく、表現の程度も選びます。
(0~3でレーティングし、0は何もなし、3は多い)
さらに、
Regional and Cultural Sensitivities
地域・文化による配慮事項
という項目が続きます。
国や地域によって法律や文化的な基準が違うため、
作品に含まれる内容を、さらに細かく確認します。
虐待や搾取
Animal Abuse/動物虐待
Child Abuse/児童虐待
Domestic Abuse/家庭内暴力
Sexual Abuse/性的虐待
心や命に関する内容
Eating Disorder/摂食障害
Mental Health/メンタルヘルス
Self-harm/自傷行為
Suicide/自殺
政治や犯罪
Extremism/過激思想
Organized Crime/組織犯罪
Political Content/政治的内容
Terrorism/テロリズム
社会的な問題
Bullying/いじめ
Gambling/ギャンブル
Substance Abuse/薬物・アルコールなどの乱用
Drug Trafficking/薬物取引
ここまで細かく、自分の作品について確認したことはありませんでした。
『Traverse』は本当に何もない作品なのか
『Traverse』には、性的な描写はありません。
飲酒や喫煙、薬物もありません。
強い罵り言葉や、残酷な流血表現もありません。
そのため、基本的な項目はすべて「0」。
最終的なContent Ratingは、
All Ages/全年齢向け
になりました。
ただ、細かい項目を一つずつ見ていると、少し考えさせられました。
主人公ハルトは、学校から逃げます。
野球の試合で失敗し、仲間を裏切ったと思い込みます。
自分の名前すら言えないほど心を閉ざし、
異世界へ逃げても、すぐには立ち直れません。
これは、
Mental Health/メンタルヘルス
に関係するのだろうか。
学校での人間関係は、
Bullying/いじめ
に当たるのだろうか。
日本では「中学生の悩み」や「青春の苦しさ」として描いていたものが、
海外では別の項目として整理される可能性があります。
作者がどういうつもりで描いたか。
それだけではなく、
世界の読者が、どう受け取る可能性があるか。
WEBTOONの質問を一つずつ読んでいると、
作品をその視点から見直すことになりました。
海外へ出すとは、英語にすることだけではなかった
私は最初、海外へ作品を出すというのは、
日本語に英語を付けること
英語の紹介文を書くこと
海外サイトへ画像を投稿すること
だけ、だと思っていました。
でも、実際にはそれだけではありませんでした。
国が変われば、作品の分類方法も変わります。
何を暴力と考えるのか。
何をいじめと考えるのか。
何を精神的な危機と考えるのか。
何を子どもに見せるべきではないと考えるのか。
作品の見られ方そのものが変わります。
海外へ作品を出すというのは、単に翻訳することではない。
自分の作品を、世界の基準でもう一度読み直すことでした。
