「2026年は実装の元年」~政治・規制から読み解くオンチェーン金融のいま~【イベントレポート・前編】
2026年8月21日、JR川崎タワー26階「Uvance Innovation Studio」にて、「Uvance Innovation Studio Presents: The Gateway to オンチェーン金融」が開催されました。
富士通とPOCKET RDの共催となったこのカンファレンスには、政治・金融・テクノロジーの第一線で活躍するキーマンが集結。
テーマは「ステーブルコイン・トークン化預金が拓く次世代金融」です。
「AIによる産業革命」がすでに始まっているいま、金融インフラを24時間365日動く"プログラマブルな基盤"へどう作り変えていくのか。
国家戦略としての大義と、現場が抱える実装のリアルの両方が語られた、熱量の高い半日となりました。
本レポートは前編・中編・後編の3週にわけてお届けします。
前編となる今回は、開会挨拶と基調講演の内容から、このイベントが置かれた「時代認識」と「政治・規制の現在地」をお伝えします。
\ ▼ 開催概要 ▼ /
イベント名:Uvance Innovation Studio Presents: The Gateway to オンチェーン金融
開催日時:2026年8月21日(金)14:00〜18:00
会場:Uvance Innovation Studio(JR川崎タワー26階)
形式:現地開催のみ
AI産業革命のいま、金融はどう変わるべきか──開会挨拶
会を開いたのは、富士通 Financial Service & Insurance事業本部長の西田浩朗氏。西田氏はまず、いまが「AI産業革命」の黎明期であるという時代認識を示しました。AIによって選別される金融機関だけが生き残る時代が来る中で、決済と清算が分離した既存の金融構造には限界がある、と指摘。AIエージェントが安全に価値交換を行えるインフラへの移行はもはや避けられない、という強いメッセージで幕を開けました。
オンチェーン金融がもたらす自動化、プログラマブルな結合、そして24時間365日の稼働は、既存金融のボトルネックを解消する数少ない手段だといいます。富士通自身もエコシステムの一員として先行投資を行い、実効性のある社会実装モデルを自ら生み出すと語りました。

「2026年は実装の元年」──政治・規制の側から見たオンチェーン金融
基調講演には、デジタル大臣政務官を務める川崎ひでと衆議院議員が登壇。政府・自民党が進めるWeb3戦略の進捗を、具体的なタイムラインとともに語りました。
川崎ひでと衆議院議員が示した2026年の法整備の流れは次の通りです。
6月1日:改正資金決済法の施行
6月12日:自民党 金融調査会「提言2026」
7月15日:金商法および資金決済法の改正法成立(暗号資産を”支払い手段”から、”金融商品”へ
7月21日:成長戦略を促進するための金融戦略(骨太の方針に基づきオンチェーン金融フォーラムを夏に立ち上げ、2027年初に中間整理)
既存システムの改修には約2年のリードタイムが必要になることを踏まえ、制度導入までの空白期間を埋める時限的措置が必要になるという、システム構造に根ざした課題も解説されました。また、暗号資産を「支払い手段」から「金融商品」へ再定義することで、株式等と同様の申告分離課税(20%)につなげる税制改正のロジックが、自民党税制調査会で議論されていることも紹介されています。異なる基盤同士のインターオペラビリティを確保し、日本が培ってきた金融システムの信頼性を武器にグローバルなルールメイキングを主導していく重要性を強調しました。
さらに川崎氏は、災害義援金や新型コロナウイルス対応の10万円給付金が、支給後に「単なる貯蓄に回ってしまった」という行政側の手痛い失敗にも言及。こうした反省を踏まえ、「お金に色をつける」スマートコントラクトの必然性を、パチンコには使えずお米しか買えない「お米券ステーブルコイン」や、子育て支援としてランドセル購入専用に使える給付といった具体的な行政ユースケースを挙げながら、熱を込めて語りました。

次回予告
中編では、銀行預金をそのままトークン化する「DCJPY」の社会実装(セッション1)と、リテールから機関投資家まで幅広いステーブルコイン実装事例(セッション2)をお届けします。三井住友フィナンシャルグループ、SBI新生銀行、au Coincheck Digital Assetsなど、現場のキーマンが語った「実装のリアル」をお楽しみに。
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