巨匠 ハインツ・ヴェルナーの描いた物語
巨匠 ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)現代マイセンの磁器芸術 展が、愛知県陶磁美術館で2026年9月27日まで開催中です。
このレポートでは主催者側の関係者という立場で、ヴェルナー作品の魅力を語ってみたいと思います。
この展覧会はすでに六本木、郡山と巡回し、とても大きな反響と高い評価を頂いております。愛知でもすでにたくさんのお客様にいらして頂き、「行ってよかった」「期待以上」「感動した」などのお言葉をもらい、うれしさでいっぱいです。今回はその中でも反響の大きかった「真夏の夜の夢」について語ってみたいと思います。
「真夏の夜の夢」は言わずと知れたシェークスピアの喜劇です。シェークスピアが「ロミオとジュリエット」を描き終えた絶頂期 1594年から1596年の作品とされています。物語はアテネで行われる結婚式にまつわるドタバタ劇です。人と妖精が森の中でおりなすファンタジーは、厳格なストーリーがあるわけではなく、様々な解釈が可能であり、これまでに多くの舞台や映画で上演されてきました。「真夏の夜の夢」には多くのバリエーションがあり、それぞれの解釈は個性そのものです。因みにメンデルスゾーンの有名な「結婚行進曲」はこの歌劇のために作られた曲です。
1967年、マイセンの芸術家であるハインツ・ヴェルナーは、新しい器形のティーセットにふさわしい装飾を探していました。このティーセットはそれまでのマイセンにはない画期的な形状で、やわらかい曲線と印象的なハンドルがヴェルナーのインスピレーションを大いに刺激したのです。色々な試行錯誤の結果、ヴェルナーは文学作品をモチーフにすることにします。文学はヴェルナーの最も得意とする分野であり、既に経験がありました。
当時、アトリエとして使われていたモーリッツブルグ城は湖の中に建てられ、周囲は深い森や湖水に囲まれた幻想的なお城でした。城の尖塔最上階がアトリエであり、ヴェルナーたちは、官僚的な磁器工場から離れ、ここで自由に創作に没頭できたのです。こうした環境のもとで、「真夏の夜の夢」のメルヘンがヴェルナーの頭に浮かび上がってきても不思議はありません。

その結果出来上がったのが「真夏の夜の夢=サマーナイト」の装飾です。器の周囲の青い雲のように見える部分は、細かく描かれた花々です。ヴェルナーさん自身の言葉によれば、これは深い森の中を意味します。その中で、妖精や人間がまるで宙に浮いているように描かれています。
プラチナ絵の具で描かれた鳥や昆虫も、単なる脇役ではありません。ヴェルナーさんは登場人物を特定してはいませんが、「羽をもつのが妖精、ないのが人間」とおっしゃっていました。
まさに、ティーセット全体が “ひとつの舞台” のように構成されているのです。

さて、次回はこのティーセットに合わせるために制作されたフィギュアについて語ってみたいと思います。妖精の王「オベロン」と、その妃「ティターニア」が登場します。
美術館での作品には、写真では伝えきれない ”オーラ” があります。 ぜひ実物を美術館でご覧ください。 夏の夜にこそふさわしい作品たちです。
そして、うれしいお知らせがあります! なんと、愛知県陶磁美術館では 「全作品が撮影可能」です! SNSにも投稿をお願いいたします。(但し、館内のルールをお守りください)
巨匠 ハインツ・ヴェルナーの描いた物語
現代マイセンの磁器芸術
愛知県陶磁美術館 にて 2026年9月27日まで開催中
公式サイト: https://www.pref.aichi.jp/touji
お問合せ TEL 0561-84ー7474(愛知県陶磁美術館 代表)
