最低賃金1121円では足りない?必要時給1900円の壁
※この記事は2026年7月16日公開の動画をもとにしています
【2026年9月4日追補】本記事の1,121円は、2025年度の地域別最低賃金の全国加重平均です。全国一律の適用額や、2026年度改定後の額ではありません。実際に適用される最低賃金と発効日は、勤務先に対応する都道府県労働局等の公表で確認してください。生活費試算と法定最低賃金も区別して読んでください。
こんにちは、カネさんです。
生活が「苦しい」と答えた世帯が55.4%。数字だけを見ると重いですが、実際には物価高、税金、社会保険料、地方で暮らすための車の維持費まで、いくつもの負担が重なっています。
今回は、厚生労働省の国民生活基礎調査と、若者の一人暮らしに必要な生活費の試算を手がかりに、「賃上げだけで暮らしは良くなるのか」を考えます。
国民生活基礎調査 55.4%が「生活は苦しい」
厚生労働省が公表した2025年国民生活基礎調査では、生活が「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた世帯は55.4%でした。子どものいる世帯では61.5%、母子世帯では82.1%に上っています。
これは若者だけ、高齢者だけの問題ではありません。動画で取り上げた調査は、全国の世帯を対象にしたものです。2世帯に1世帯以上が生活の苦しさを感じているという状況は、社会全体の問題として受け止める必要があります。
平均所得575万2千円と中央値451万円の差
2025年国民生活基礎調査では、全世帯の平均所得金額が575万2千円、中央値が451万円とされています。所得の対象は2024年1〜12月です。一方、「生活が苦しい」などの生活意識は2025年7月10日時点の回答で、2026年現在の状況を直接測った数字ではありません。
平均値は高所得の世帯によって押し上げられます。そのため、私は中央値のほうが、多くの家庭が感じる生活の実感に近い数字ではないかと見ています。
物価が上がっても、給与が同じペースで増えるとは限りません。額面の給与が増えても、税金や社会保険料を引いた手取りで考えなければ、家計が本当に楽になったのかは分からないですね。
中澤秀一准教授の試算 若者の一人暮らしに月約28万円
後半で取り上げたのは、全国労働組合総連合(全労連)と静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授が2026年7月10日に公表した最低生計費試算です。
全労連の公表した宮崎県の試算では、男性で月28万4,182円、女性で月28万5,871円が必要とされています。この月額には、すでに税・社会保険料が含まれています。月額を12倍すると、それぞれ年341万184円、343万452円です。ここへ税・社会保険料をもう一度足すものではありません。
群馬県や東京都北区でも、必要な生活費は大きくは変わりません。東京は家賃が高い一方で公共交通を使いやすく、地方は家賃が比較的低くても車の維持費がかかるからです。
地方は何でも安い、というイメージだけでは見えてこない現実があります。車がなければ通勤も買い物も難しい地域では、ガソリン代、保険料、車検、タイヤ交換までが生活コストになります。
月約28万円を月173.8時間で割ると時給約1,600円。月150時間で割ると、必要な時給は約1,800円とする試算です。
最低賃金1121円と必要時給1900円 差をどう埋めるのか
比較の基準にしている1,121円は、2025年度の地域別最低賃金の全国加重平均です。一方、時給1,900円程度が必要だというのは、最低生計費の試算を根拠とする全労連側の主張です。法律で一律1,900円と定められたという意味ではありません。
もちろん、最低賃金を上げればすべて解決する、という単純な話ではありません。個人事業主や零細企業、中小企業にとっては、賃金だけでなく社会保険料などの負担も重くのしかかります。
私は、働く人の手取りを増やすことと、中小企業が賃上げを継続できる環境をつくることを切り離してはいけないと思います。価格転嫁を進められる取引環境、社会保険料を含む制度の見直し、地方で働き続けられる雇用の設計まで、一体で考える必要があります。
母子世帯82.1%という数字を、制度の問題として見る
母子世帯の82.1%が生活を苦しいと感じているという数字は、個人の努力だけで片付けられる話ではありません。
子育てをしながら働く世帯が増えるなかで、住居費、食費、教育費、社会保険料などの負担は積み重なります。副業をしなければ生活が回らない状態が当たり前になれば、家族形成や少子化にも影響していきます。
賃金を上げること、社会保障の負担をどうするか、地方でも若者が自立できる環境をどうつくるか。この3つを別々の問題として扱わないことが重要です。
▼動画で全編をチェックする
まとめ
2025年国民生活基礎調査では、生活が苦しいと答えた世帯は55.4%でした。
子どものいる世帯は61.5%、母子世帯は82.1%で、生活苦の割合が特に高くなっています。
最低生計費試算では、若者の一人暮らしに月約28万円、時給換算で約1,900円が必要とされています。
地方では家賃が低くても車の維持費がかかり、都市部との生活コスト差は小さいという見方があります。
賃上げと同時に、中小企業支援、価格転嫁、税・社会保険料を含む制度設計を考える必要があります。
数字の背景には、一人ひとりの生活があります。暮らしの苦しさを自己責任で終わらせず、制度として何を変えるべきかを、これからも一次資料を見ながら考えていきたいと思います。
【参考資料】
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この記事は、政経プラスチャンネルの動画・ライブをベースに、生成AIを利用して文章化したものです。内容については、アップロード日をベースに書き起こしていますので、その点ご理解ください。
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追補|時給換算と読み違えやすい点
本文の「月150時間なら約1,800円」は、全労連の公表文にある概算の説明を紹介したものです。宮崎県の掲載月額を本稿で再計算すると、28万4,182円÷150時間=約1,895円、28万5,871円÷150時間=約1,906円です(1円単位に四捨五入)。本記事の「約1,900円」は、この条件での換算として読むのが適切です。
最低生計費は、必要な品目やサービスを積み上げたモデル試算です。全国の人が実際に使った生活費の平均ではなく、家族構成や住まい、就労時間が違えば必要額も変わります。また、「生活が苦しい」と答えた割合は、所得から計算する貧困率とは別の指標です。
この試算だけから、特定の最低賃金額が雇用や物価に及ぼす影響まで断定することはできません。働く側の生活費と、事業者が継続して賃金を払える条件の両方を検討する必要があります。
確認資料:厚生労働省・所得等の状況(対象年、生活意識、貧困率)/厚生労働省・最低賃金の説明/全労連・2026年7月10日の公表文と資料
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