高額カードが配送で消えたのは、送った側の問題でもある|補償は1個30万円まで。どこの会社でも同じだ
PSA提出予定のカードが配送中に行方不明になった、という投稿が流れてきた。
反応の大半は「ヤマトがひどい」だった。
補償は1個30万円まで。これは業界標準で、知っていれば分かる話だ。知らないまま怒っている人が多すぎる。
まず5行でまとめると
宅配便の補償は、荷物1個につき30万円が上限だ。 ヤマト運輸の宅急便も、佐川急便の飛脚宅配便も、日本郵便のゆうパックも、全部30万円。会社の問題ではなく業界標準だ。
さらに、約款には「申告価格が30万円を超える荷物は引き受けない」という条文がある。 つまり高額品は、そもそも運んでもらえない前提になっている。
地震・津波・強盗などによる紛失は、免責事由として明記されている。 「預けたものは必ず届く」という前提は、契約のどこにも書かれていない。
そして破損については、引き渡しから14日以内に通知しないと、責任が消滅する条文がある。
一方で、30万円を超えるものを送る手段はある。 ゆうパックのセキュリティサービスなら、+420円で補償上限が50万円になる。知られていないだけで、選択肢は用意されている。
何が起きたのか
PSA(カードの鑑定会社)に提出予定だったカードが、配送の過程で行方不明になった、という投稿が拡散していた。
問い合わせに対する回答が「防犯カメラの死角で詳細不明」「補償ですかね」だった、という内容だった。
投稿への反応を見ると、方向がかなり偏っている。
「運送会社がやばい」「もう使えない」「潰れる」。
そして一定数、外国人労働者を名指しした書き込みが混ざっている。
この記事では、個別の事案が実際どうだったかは判断しない。 当事者しか知らないことが多すぎる。
代わりに、そもそも配送というサービスがどういう契約で成り立っているのかを確認する。
結論から書くと、怒っている人の大半は、自分が同意した契約の中身を知らないまま怒っている。
規約に書いてあることを確認せずに、書いてあるとおりの結果が出たら会社を叩く。
これは配送の問題ではなく、使う側の問題だ。
約款には何と書いてあるか
宅配便には運送約款がある。 サービスを使う時点で、これに同意している。
条文を実際に見ていく。
まず引受けの拒絶について。
当社は、一個の荷物の申告価格が三十万円を超える当該荷物は、引受けません。
これは第6条の2項だ。
30万円を超えるものは、そもそも運ぶ契約を結べない。
次に、責任限度額。
宅急便の場合、荷物1個につき30万円(税込)まで。 これは約款の第25条にあたり、公式のFAQにも明記されている。
この2つを並べると、意味がはっきりする。
30万円を超えるものは引き受けない。そして補償も30万円まで。
つまり「50万円のカードを送って、無くなったから50万円払え」という要求は、契約上そもそも成立しない。
30万円を超えるものを通常の宅配便で送ったのなら、それは送った側が負ったリスクだ。
引き受けないと書いてあるものを、引き受けられる形にして送っている。
その状態で事故が起きたときに、会社に全額を求めるのは筋が通らない。
そして、これはヤマト運輸を庇っている話ではない。 佐川急便でも日本郵便でも、限度額は同じ30万円だ。どこに持ち込んでも結論は変わらない。
免責事由に何が並んでいるか
ここが、いちばん読まれていないところだと思う。
約款には「この事由による滅失・損傷・遅延については損害賠償の責任を負わない」という条文がある。
並んでいるものを見てほしい。
一 荷物の欠陥、自然の消耗
二 荷物の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さび
三 同盟罷業(ストライキ)、社会的騒擾その他の事変、または強盗
四 不可抗力による火災
五 予見できない異常な交通障害
六 地震、津波、高潮、大水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災
七 法令または公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え
強盗が入っている。
天災も入っている。
「預けた荷物は必ず届く」とは、どこにも書いていない。
むしろ「届かない場合がある」ことを前提に、その範囲を定義した文書だ。
契約書としては、これはごく普通の作りだと思う。
普通でないのは、それを読まずに「届くのが当たり前」と思っている側のほうだ。

14日を過ぎると、破損は言えなくなる
もうひとつ、知られていない条文がある。
荷物の損傷についての当社の責任は、荷物を引き渡した日から十四日以内に通知を発しない限り消滅します。
責任の特別消滅事由という条文だ。
箱がへこんでいた、中身が割れていた。
これを言えるのは、受け取ってから14日以内になる。
「あとで開けたら壊れていた」は、時間が経つと権利ごと消える。
さらに、責任そのものは引き渡しから1年で消滅する。 1年以内に裁判上の請求をしなければ、法的には終わる。
そして、開封済みで届いた、中身が入れ替わっていた、という報告がいくつも投稿されていた。
あれは、気づいた時点で通知しないと、権利として主張できなくなる話だ。
不信感を書き込むより先に、期限のある手続きがある。
「補償される」と思っている人は、たいてい補償の外にいる
整理する。
多くの人が持っている前提は、たぶんこうだと思う。
「送ったものが無くなったら、運送会社が弁償してくれる」
実際の契約はこうなっている。
30万円まで。それを超える申告は受け付けない。強盗と天災は対象外。破損は14日以内。
この差が、そのまま炎上の温度差になっている。
そして、もっと厳しい条文もある。
貴重品にあたる荷物については、そもそも引き受けないという条文がある。
そして引受制限に該当する荷物は、滅失・損傷・遅延について損害賠償の責任を負わない。
30万円までは出る、という話ですらない。
該当すれば、ゼロになりうる。
「補償ですかね」という回答は、冷たく聞こえるが、契約に沿った説明ではある。
ルールを確認しないまま動いて、あとで前提が違ったと気づく。 この構造は、トレカの周辺でくり返し起きている。
高額なポケカは「貴重品」なのか
ここは議論の余地があるところなので、条文を全部出す。
約款には、引き受けない荷物として「貴重品」が定義されている。
列挙されているのは、この6つだ。
ア 白金、金、銀、その他貴金属及びその製品
イ イリジューム、タングステン、その他の稀貴金属及びその製品
ウ 通貨(紙幣、硬貨)及び金券
エ 株券、債券、プリペイドカード、その他有価証券、未使用の郵便切手及び収入印紙
オ ダイヤモンド、ルビー、サファイア、コハク、真珠、その他の宝石類及びその製品
カ 美術品及び骨董品
この並びを見ると、基準がわかる。
判定しているのは「値段」ではなく「物の種類」だ。
金であること。通貨であること。宝石であること。
いくらするかは、条件に入っていない。
では、ポケモンカードはどこに入るのか。
貴金属ではない。通貨でもない。宝石でもない。
有価証券でもない。 プリペイドカードが挙がっているが、あれは券面の金額を使える権利がある。カードにはそれがない。
残るのは「美術品及び骨董品」だ。
骨董品は、一般に製造から100年程度を経たものを指す。 ポケモンカードは1996年からなので、当てはまらない。
では美術品か。
コレクターの感覚としては、美術品と言いたくなると思う。 実際、イラストの評価で価格が決まるカードもあるし、原画としての価値を語る人もいる。500万円のカードを「ただの紙」と呼ぶのも無理がある。
ただ、約款の文脈で言えば、たぶん違う。
列挙されている他の5つを見ると、どれも「それ自体が交換価値を持つ物」か「素材が高価な物」だ。
美術品と骨董品も、一点物であることが前提になっている。
トレーディングカードは、工業製品として大量に印刷されたものだ。 同じ番号のカードが何千枚も存在する。
価格を作っているのは、素材でも一点性でもなく、市場の需給と鑑定の状態になる。
この違いは大きいと思う。
だから僕の読みでは、ポケカは「貴重品」の定義には入らない。
そしてこれは、実務的には送る側にとって有利な結論になる。
貴重品に該当すれば、引受けを拒否されるか、事故時の賠償責任を負ってもらえない。
該当しないから、普通に運んでもらえて、30万円までの補償も付く。
ただし、そこに別の条文がかぶさる。
申告価格が30万円を超える荷物は引き受けない、という条文だ。
種類としては運べるが、価格としては運べない。
この2つを両方満たしているのが、30万円以下のカードということになる。
逆に言えば、30万円を超えるカードを通常便で送っている人は、価格の条文に引っかかった状態で送っていることになる。
なお、今回の件で送られたカードが30万円を超えていたかどうかは、公開されている情報からはわからない。
30万円以下なら、補償の対象内だ。 その場合は限度額の話ではなく、なぜ消えたのかという話になる。
行政の側でも、トレカは美術品ではない
補強になる材料がある。
古物営業法では、古物が13の品目に分類されている。
その中には「美術品類」という区分がある。
そしてトレーディングカードは、実務上「道具類」として整理されることが多い。
美術品類という受け皿があるのに、そちらではない。
約款の話とは別の法律だが、行政の実務でも美術品として扱われていないということになる。
運送約款の「美術品及び骨董品」に入らないという読みは、この点でも支持されると思う。
そもそも、法律が追いついていない
ここが、この話のいちばん根っこにあると思う。
トレーディングカードには、定価が存在しない。
メーカーが決めた値段はパック単位のもので、1枚のカードの値段は市場が決めている。
同じカードでも、鑑定に出したか、状態はどうか、その週の相場はどうかで金額が動く。
この性質が、いろいろな制度と噛み合っていない。
運送約款の「申告価格」は、いくらだと申告すればいいのか。
店舗が盗難に遭ったとき、保険の支払額はどう計算するのか。
仕入れ値か、そのときの相場か、鑑定後の想定価格か。
オリパやオンラインくじが賭博にあたるかを考えるとき、カードは「財物」としてどう評価されるのか。
どれも、答えが自明ではない。
制度は、値段が決まっている物を前提に作られている。
トレカは、値段が動く物だ。
しかも動く幅が大きい。
僕はこのズレが、今回のような事故が起きたときに全部表面化していると思う。
「いくらのものが消えたのか」を誰も確定できない。
確定できないから、話が感情に流れる。
法整備が追いついていないという言い方は便利すぎるが、この領域については、実際にまだ追いついていないと思う。
ただし、故意と重過失は別枠になる
ここは、運送会社を擁護する側も間違えやすいところなので、書いておく。
約款には、こういう条文がある。
前各項の規定にかかわらず、当社の故意又は重大な過失によって荷物の滅失、損傷又は遅延が生じたときは、当社は、それにより生じた一切の損害を賠償します。
限度額の規定は、故意と重過失には適用されない。
つまり、従業員が盗んだのであれば、それは故意だ。
30万円という上限は、そこには効かない。
「一切の損害を賠償します」と書いてある。
だから、「30万円までしか出ないから諦めろ」という言い方は、正確ではない。
紛失の原因が事故なのか、内部の窃盗なのかで、法的な扱いがまったく変わる。
そして原因を特定するのは、簡単ではない。
「防犯カメラの死角で不明」という回答は、そこが特定できなかったという意味になる。
投稿者が「補償じゃなくて現物を探してくれ」と言うのは、感情としても、契約の構造としても、理由がある。
責める先を間違えているという話と、諦めろという話は、まったく別だ。
「外国人労働者が増えたから」は、時系列が合わない
コメント欄で目立っていた説について、事実だけ書く。
ヤマトホールディングスは、特定技能制度を使った外国人ドライバーの採用を進めている。
FPTジャパンと基本合意を結び、ベトナム人の大型トラックドライバーを年100名規模で採用・育成する計画がある。
ここまでは事実だ。
ただし、中身を見ると話が変わる。
1期生の就労開始は2027年の予定になっている。
2026年2月に入社式を行ったのは、グループ会社の中型トラックドライバー3名で、乗務開始は2026年6月からだ。
そして、対象は企業間輸送を担う中型・大型トラックのドライバーであって、宅配便を各家庭に届ける配達員ではない。
つまり、いま現場で宅配便を配っている人の構成が外国人に置き換わった、という事実は確認できない。
「外国人が増えたから盗まれるようになった」という因果は、時系列で成立しない。
僕はこういう推論を危ないと思う。
検証されないまま、結論だけが共有されるからだ。
荷物が消えたという事実は残る。原因は不明のままだ。
そこに、確かめられない説明が埋め込まれる。
そして埋め込んだ側は、確かめる作業をしない。
これは配送の話ではなく、情報の扱い方の話になる。
じゃあ、どうすればよかったのか
批判だけで終わらせても意味がないので、実際の選択肢を並べる。
① セキュリティサービスを使う
ゆうパックには、セキュリティサービスというオプションがある。
通常の料金に420円(かつては380円)を足すと、損害賠償の上限が50万円になる。
専用のラベルで、窓口か集荷で差し出す。
30万円を超えるものを送る前提の仕組みが、ちゃんと存在している。
これを使わずに通常便で送って、無くなってから怒る、という構図が実際には起きている。

② 営業所受け取りにする
投稿の中に「営業所預かり一択」という意見があった。
これは合理的だと思う。
配達の工程が減れば、荷物が人手を経る回数も減る。
受け取りに行く手間と引き換えに、経路が短くなる。
③ 分割して送る
補償の上限が1個につき30万円なら、分ければいい。
手間と送料は増えるが、上限は個数分になる。
④ 運送保険を検討する
保険会社には、輸送する貨物にかける保険がある。
東京海上日動の「運送保険(一輸送)」のように、1回の輸送ごとにかける商品も存在する。
ただし、この領域の商品は事業者向けが中心だ。
個人が1回の発送のためにかけられる保険は、実際には選択肢が限られる。
現実的には、①のセキュリティサービスがいちばん手が届く。
⑤ 品名を工夫する
投稿の中にもあったが、送り状の品名を「カード」と書かないという自衛策がある。
ただしこれは、微妙な話でもある。
品名の虚偽記載は、約款上は問題になりうる。
そして高額品であることを申告しないまま送れば、事故が起きたときの立場も弱くなる。
リスクを下げているようで、別のリスクを増やしている可能性がある。
そもそも、翌日に届くこと自体がおかしい
角度を変える。
日本の宅配便は、翌日配達が標準になっている。
時間帯を指定できて、不在なら再配達してくれて、追跡もできる。
これを当たり前だと思っている人が多いが、世界的にはかなり異常な水準だと思う。
この密度のサービスを、この価格で、この面積の国土に対して維持している。
それを支えているのが人手で、その人手が足りていない。
外国人ドライバーの採用も、自動化の投資も、要するにそこへの対応になる。
僕は、期待の水準がサービスの水準を追い越している状態だと思う。
翌日に届くのが普通になった結果、「届かないことがある」という前提が消えた。
でも、契約書のほうには最初から書いてある。
サービスが良くなったことと、リスクがゼロになったことは、別の話だ。
事業者側の話も、少し
トレカの世界には、オンラインくじやオリパを運営する事業者がいる。
高額なカードを、日常的に個人宛に発送する立場になる。
この規模で発送していれば、事故は確率的に起きる。
そして事業者は、荷主として保険をかけることができる立場にいる。
個人よりも、はるかに条件がいい。 継続的に大量に送るなら、包括的な契約の対象になりうる。
それでも配送保険の案内を見かけないのは、率直に言って不思議だと思う。
この業界は、事業の規模に対して運営側の経験が追いついていないことがある。 その構造については前に書いた。
理由はいくつか想像できる。
保険料が価格に乗ると競争力が落ちる。事故率が低ければ、自社で負担したほうが安い。そもそも検討されていない。
どれも、あり得ると思う。
ただ、購入者側から見ると、話は単純だ。
高額なものを買う前に、配送方法と補償について書いてあるかを見ればいい。
書いていないなら、その事業者はそこを考えていないということになる。
そして、それは選ぶかどうかの判断材料になる。
何に腹が立っているのか
はっきり書く。
ヤマト運輸が完璧だとは思っていない。
荷物が消えたのは事実だし、説明が「死角で不明」で止まっているなら、そこは追及されていい。
内部の窃盗であれば、限度額ではなく全額賠償の話になる。
その上で言う。
腹が立っているのは、会社ではなく、無責任に叩いている側だ。
翌日に届く。時間を指定できる。不在なら再配達される。追跡もできる。
この密度を、この価格で、日本全国に対して維持している。
それは自動で起きていることではなく、毎日走っている人がいるから成立している。
「潰れろ」「誰も頼まん」と書いている人たちは、その人たちに向けて書いている。
しかも、原因が特定されていない段階で、特定の国籍を名指しして犯人扱いしている書き込みまである。
確かめられることを確かめず、確かめられないことを断定する。
そして、その断定が実在する人の仕事と生活に向かっている。
規約は公開されている。誰でも読める。
30万円を超えるものは引き受けない、と書いてある。
強盗と天災は免責、と書いてある。
破損は14日以内、と書いてある。
読んでいれば、送り方が変わっていた。420円のオプションで上限が変わっていた。
それをせずに、事故が起きてから会社を叩く。
もうひとつ言っておきたいことがある。
ポケカが世間で話題になるとき、出てくるのはこういうネタばかりだ。
買い占め。転売。列。トラブル。そして今回のような叩き方。
カードそのものの話で広がることは、ほとんどない。
同じ趣味を持っている人間として、これは普通に迷惑だと思う。
外から見れば、区別はされない。
「ポケカのユーザーはこういう人たち」で終わる。
規約を読んでから怒る。それだけで、この扱いはかなり変わると思う。
叩いた先に、何が待っているか
最後に、いちばん言いたいことを書く。
仮に、この手の批判が積み上がって、実際に何かが変わったとする。
変わり方は、たぶん期待されている方向ではない。
まず考えられるのは、引受けの厳格化だ。
「トレーディングカードはお預かりできません」
あるいは「高額品は所定の手続きが必要です」
約款には、もともと貴重品を引き受けないという条文がある。 そこにカードを足すのは、事業者の判断でできる。
そうなったとき、カードはどこを通って運ばれるのか。
時間指定ができない業者。追跡が粗い業者。置き配が基本の配送。
選択肢が減れば、質も落ちる。
いま文句を言っている人たちが手に入れるのは、いまより不便で、いまより危ない配送になる。
もっと極端に、大手が撤退したり体力を落としたりすれば、影響は業界どころではない。
通販が成立しているのは、翌日に届く配送網があるからだ。
その前提が下がれば、困るのは荷物を送る側と受け取る側になる。
つまり、自分たちだ。
叩いている人は、たぶんそこまで考えていない。
「ひどい会社だ」と言って気が済めば終わりだからだ。
でも、サービスは叩かれた分だけ縮む。
縮んだあとに残るのは、要求した人ではなく、その環境で暮らす全員になる。
まとめ
宅配便の補償は1個30万円まで。ヤマト運輸も佐川急便も日本郵便も同じで、会社の問題ではなく業界標準だ。
約款には「申告価格が30万円を超える荷物は引き受けない」とある。30万円超を通常便で送ったなら、それは送った側が負ったリスクになる。
免責事由には強盗と天災が並ぶ。破損は14日以内に通知しないと責任が消滅する。「預けたものは必ず届く」とは、どこにも書かれていない。
ポケカは約款上の「貴重品」には入らない。貴金属・通貨・宝石・有価証券・美術品・骨董品のどれでもないからだ。だから普通に運んでもらえて、補償も付く。ただし価格の条文は別にかかる。
故意と重過失には限度額が適用されない。従業員の窃盗なら「一切の損害を賠償する」が効く。だから諦めろという話ではない。
外国人労働者が増えたからという説は、時系列が合わない。1期生の就労開始は2027年で、対象は企業間輸送のトラックドライバーだ。
30万円を超えるものを送る手段はある。ゆうパックのセキュリティサービスなら+420円で上限50万円になる。
そしてトレカには定価が存在しない。申告価格も、盗難保険の算定も、賭博罪の財物性も、値段が動く物を前提にした制度になっていない。法整備が追いついていない領域だ。
叩いた結果として引受けが厳格化されれば、カードは時間指定も追跡も粗い経路に流れる。困るのは、いま文句を言っている本人になる。
出典
※引用した条文は、ヤマト運輸が公開している宅配便利用約款のPDFから確認しました。サービス(宅急便・宅配便など)や改定時期によって条番号や金額が異なる場合があります。実際に発送する際は、利用するサービスの最新の約款を確認してください。
※セキュリティサービスの料金は、380円から420円への改定が案内されています。利用時点の料金は日本郵便の公式情報で確認してください。
※個別の事案について、本記事は事実認定をしていません。運送会社の責任の有無は、原因が特定されて初めて判断できるものです。
※外国人ドライバーの採用計画については、ヤマトホールディングスが公表しているプレスリリースの内容に基づいています。
※「ポケカが約款上の貴重品にあたるか」は、条文の文言と古物営業法上の分類から筆者が読んだ解釈であり、法的な判断ではありません。争いになれば個別に判断されるものです。
※賭博罪における財物の評価については、確立した基準を確認できませんでした。本記事では「制度が追いついていない例」として挙げるにとどめています。
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