AI活用レポート:ヒアリングシートをAIで整理して分かった、設計条件を「落とさない」ための使い方(260823)
今週は、建築設計業務の中でもかなり実務的なAI活用を行いました。
教育施設系プロジェクトで作成されたヒアリングシートや関連資料を、Gemini Notebook と ChatGPT の両方に読み込ませ、内容を整理してもらいました。
依頼内容は同じです。
入力したデータも同じです。
それでも、出てくる結果には違いがありました。
Gemini Notebookは、資料に沿って内容を拾い上げる一次整理に向いていました。
一方でChatGPTは、その内容を設計実務で使えるように、部屋別要望・設計条件・確認事項・Excel管理表へ再構成する作業に向いていました。
ここで重要なのは、AIに「要約」を依頼したわけではないということです。
設計業務で必要なのは、文章を短くすることではありません。
むしろ、
後で設計に影響する条件を、できるだけ落とさずに拾うこと
です。
ヒアリング資料には、利用者の要望、運用上の条件、家具・什器、電源、通信、空調、遮音、搬入、セキュリティなど、設計に直結する情報が散らばっています。
それを人間だけで読み込むと時間がかかります。
ただし、AIに丸投げすると、きれいに要約される代わりに、細かな条件が落ちることがあります。
今週の学びはシンプルでした。
AIには「要約」ではなく、「設計条件化」を依頼する。
今回は、その実務的な使い方を整理します。
③ 今週のAI活用テーマ
今週の中心テーマは、次の4つです。
1つ目は、ヒアリングシートをGemini NotebookとChatGPTの両方で整理することです。
同じ資料を複数のAIに読ませることで、片方が拾えていない情報をもう片方で確認できます。これは重要資料の抜け漏れ確認としてかなり有効でした。
2つ目は、ヒアリング内容を部屋別の設計条件に変換することです。
単なる要約ではなく、
室名
主用途
利用者
想定人数
家具・什器
収納
電源
通信
AV機器
空調・換気
照明
音・遮音
セキュリティ
運用上の要望
未確定事項
設計者確認事項
といった形に分解しました。
3つ目は、AIの出力をExcel管理できる形式に再構成することです。
ヒアリング内容は、読んで終わりではありません。
基本設計、実施設計、設備設計、家具計画、発注者協議の中で何度も参照することになります。
そのため、文章ではなく、後から追記・確認・ステータス管理できる表にすることが重要でした。
④ やり取りの量と進め方
今週のやり取り量は、正確な機械集計ではなく体感ですが、建築設計業務に関する相談だけでもかなり多めでした。
概算では、
相談テーマ:10件以上
修正依頼・条件追加:30回以上
画像生成・レタッチ系の修正:かなり多数
ヒアリング整理関連:資料整理、Excel化、再整理、note化まで複数回
という印象です。
特にヒアリングシート整理では、最初から完成形が見えていたわけではありません。
最初は、
「資料を要約してください」
に近い依頼でも成立しそうに見えます。
しかし、設計実務で使うにはそれでは足りません。
途中で、
文章が少ないことより、情報を落とさないことを優先する
各部屋の要望をきちんと整理する
部屋別に分ける
設計条件と確認事項を分ける
Excelで管理できる形にする
Gemini Notebookの結果も踏まえて再整理する
note記事では実名を出さない
という条件を追加しました。
つまり、AIに一発で完成品を出させたというより、
AIの出力を設計者がレビューし、実務で使える形式に近づけていった
という流れです。
これは設計業務そのものに近いです。
⑤ 設計業務でどう使ったか
1. ヒアリング資料を「読む資料」から「設計条件表」に変換した
ヒアリングシートは、そのままだと文章資料です。
もちろん読むことはできますが、設計を進めるうえでは、次のような判断に使う必要があります。
この部屋には何人入るのか
どの家具を想定しているのか
電源や通信はどの程度必要か
AV機器はどこに設置するのか
空調・換気で特別な条件があるか
搬入経路や建具寸法に注意が必要か
未確定のまま残っている項目は何か
次回ヒアリングで確認すべきことは何か
このような項目は、通常の文章要約では落ちやすいです。
そこで今回は、ヒアリング内容を部屋別の設計条件表に変換しました。
特に有効だったのは、各要望を、
用途・運用
内装・建具
設備・空調
配線・電気
配線・通信
AV機器
家具・什器
確認事項
のように分類したことです。
これにより、意匠設計だけでなく、設備設計・電気設計・家具計画との協議にもつなげやすくなります。
2. Gemini NotebookとChatGPTを役割分担した
同じ資料をGemini NotebookとChatGPTに読み込ませると、それぞれの特徴が見えました。
Gemini Notebookは、資料に基づいた一次整理に向いています。
資料内の記述をたどりながら、どこに何が書かれているかを確認しやすい。
ChatGPTは、整理した内容を実務の表や文章に再構成するのに向いています。
部屋別の一覧、詳細要望管理表、note記事、再利用できるプロンプトなどに展開しやすい。
つまり、
Gemini Notebookで資料根拠を確認し、ChatGPTで設計業務用に再構成する。
この分担がかなり使いやすいと感じました。
どちらか一方だけで完結させるのではなく、同じ資料を複数AIで確認し、最後に設計者が統合する。
この流れは、重要なヒアリング資料や議事録整理で使えます。
3. Excel化することで、設計中の管理表として使いやすくした
ヒアリング内容は、一度整理したら終わりではありません。
設計が進むと、
対応済み
検討中
要確認
条件変更
設備設計へ共有
発注者へ確認
といった状態管理が必要になります。
そのため、今回はExcelに落とし込みやすい形式にしました。
単なる文章ではなく、
室名・エリア
要望分類
詳細要望
配慮事項・課題
優先度
対応ステータス
出典資料
のような形です。
この形にすると、設計中の確認リストとして使えます。
ヒアリング資料を、設計者が「読んだかどうか」で終わらせず、進行管理できる資料に変えることができます。
⑥ 他の設計者にも役立つポイント
今回の活用で、他の設計者にも転用しやすいポイントは3つあります。
1. ヒアリング資料は「要約」させない
AIに対して「要約してください」と依頼すると、文章は読みやすくなります。
ただし、設計条件として重要な細部が削られる可能性があります。
ヒアリング資料で本当に必要なのは、
短くすることではなく、設計に影響する情報を分類して残すこと
です。
そのため、プロンプトでは「要約」ではなく、
抜けなく抽出する
部屋別に整理する
設計条件に変換する
未確定事項を分ける
次回確認事項を一覧化する
と指示する方がよいです。
2. 同じ資料を複数AIに読ませる
重要な資料ほど、1つのAIだけで整理しない方がよいと感じました。
AIによって得意な整理の仕方が違います。
片方が拾った要望を、もう片方が落とすこともあります。
逆もあります。
そのため、
Gemini Notebookで資料根拠を整理する
ChatGPTで部屋別・設計条件別に再構成する
両方の結果を比較する
片方だけにある情報を原資料へ戻って確認する
最終的に人間が統合する
という流れが有効です。
これはヒアリングシートだけでなく、議事録、要求水準書、プロポーザル要項、設計条件整理にも使えます。
3. AIの整理結果をそのまま信用せず、確認事項を残す
AIの出力は便利ですが、最終成果物ではありません。
特にヒアリング資料では、
本当にその部屋の要望か
別の部屋の条件と混ざっていないか
数値条件が落ちていないか
「要望」と「決定事項」が混在していないか
設備設計者に確認すべき内容が残っていないか
を確認する必要があります。
AIの整理結果を完成品にするのではなく、
次に人が確認すべきことを明確にする中間成果物
として扱うのが安全です。
※本記事は、建築設計の実務で試しているAI活用の記録・情報共有を目的としたものです。紹介している内容はあくまで一例であり、ご利用はご自身の判断・責任でお願いいたします。また、AIの出力をそのまま成果物として使用することはなく、最終的な確認・修正・判断は人の手で行っています。ご意見やおすすめの活用法がありましたら、ぜひコメントで教えてください。情報交換を通じて、建築設計におけるAI活用を一緒に探求していければ嬉しいです。
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