第四章Galileo──Anthony Notoが最初に手に入れた“伝説の武器”
銀行免許を取得した後、Anthony Notoは次に何をしたでしょうか。
店舗を増やした?
ATMを増やした?
ローンを増やした?
違いました。
彼が選んだのは、Galileo(ガリレオ)の買収です。
当時、このニュースを見た私は正直こう思いました。
「Galileoって何?」
名前はかっこいいけれど、何をしている会社なのか分かりませんでした。
しかし調べ始めると、この買収こそがSoFiの未来を大きく変える一手だったことに気づきます。
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Galileoって何をしている会社?
できるだけ簡単に言うと、
Galileoは「金融サービスを作るための土台」を提供する会社です。
例えば、皆さんが新しく銀行アプリを作りたいとします。
でも、そのためには、
・口座を管理する仕組み
・デビットカードを発行する仕組み
・送金する仕組み
・残高を管理する仕組み
・決済ネットワークにつなぐ仕組み
など、膨大なシステムが必要になります。
これをゼロから作ろうとすると、何年もかかり、莫大な費用も必要になります。
そこで活躍するのがGalileoです。
Galileoは、こうした金融サービスに必要な機能をAPIという仕組みを通じて提供しています。
そのため企業は、すべてを一から作らなくても、比較的短期間で金融サービスを作ることができます。
つまりGalileoは、
「金融サービスの裏側を支えるインフラ」
なのです。
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iPhoneで例えると…
少しイメージしてみてください。
皆さんが毎日使っているスマートフォン。
私たちはiPhoneを使っていますが、本当にすごいのは本体だけでしょうか?
実は違います。
iPhoneが便利なのは、その中で動いているiOSという仕組みがあるからです。
アプリも。
電話も。
カメラも。
地図も。
決済も。
さまざまな機能が、その土台の上で動いています。
Galileoも少し似ています。
表からは見えません。
でも、その上でさまざまな金融サービスを動かすための機能を提供しています。
もちろん、Galileoそのものが金融業界のOSというわけではありません。
ただ私は、
「金融サービスを作るための共通インフラ」という意味で、Galileoは金融業界のOSに近い存在なのではないか
と考えています。
これが、Galileoの面白いところです。
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Anthony Notoは何を見ていたのか
ここからは私の考察です。
Anthony Notoは、Galileoを単なる「金融システム会社」として見ていたわけではないのではないでしょうか。
彼が見ていたのは、その先にある未来だったのだと思います。
もし世界中の企業がGalileoを使えば、どうなるでしょうか。
銀行。
フィンテック企業。
証券会社。
決済サービス。
さまざまな企業が金融サービスを作るとき、その土台としてGalileoを使う可能性があります。
そうなればSoFiは、
自社だけが成長する会社ではなく、他社の金融サービスの成長も支える会社
になれます。
これは、普通の銀行とはかなり違う発想です。
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SoFiだけが使うためじゃない
ここがAnthony Notoらしいところです。
GalileoはSoFi専用のシステムではありません。
他社にも提供されています。
つまり、Galileoを利用する企業が増えれば、その利用がSoFiグループの収益につながる可能性があります。
ここが非常に重要です。
普通の銀行なら、
「自分たちが金融サービスを提供して、お客さんから収益を得る」
という構造が基本です。
しかしGalileoの場合は、
「他社が金融サービスを提供するための土台を、自分たちが提供する」
という構造を作ることができます。
私は、この発想に驚きました。
「自社だけが勝ちたい。」
ではなく、
「金融サービスを作る企業が増えるなら、その土台を自分たちが提供しよう。」
そんな発想に見えるのです。
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そして、時代は変わり始めた
近年、金融業界では大きな変化が起きています。
銀行だけが金融サービスを提供する時代ではなくなってきました。
ショッピングアプリ。
配車アプリ。
ECサイト。
さまざまな企業が金融サービスを提供する時代になっています。
この流れを、
「組み込み金融(Embedded Finance)」
と呼びます。
ユーザーはわざわざ銀行へ行くのではなく、
普段使っているアプリの中で、
「支払う」
「お金を借りる」
「送金する」
「貯める」
といった金融サービスを自然に利用するようになってきました。
つまり金融が、銀行という「場所」から切り離されて、さまざまなサービスの中に入り込んでいくわけです。
そして私は、
Anthony Notoは、この変化をかなり早い段階から見据えていたのではないか
と考えています。
だからこそ、銀行の店舗やATMを増やすのではなく、
Galileoという“裏側の土台”を手に入れた。
そう考えると、この買収の意味が少し違って見えてきます。
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そしてSoFiUSDへつながる
ここからは、もう一段先の話です。
SoFiは現在、SoFiUSDというステーブルコインの展開も進めています。
このニュースだけを見ると、
「SoFiがステーブルコインを始めた。」
それだけに見えるかもしれません。
しかし私は、ここでもGalileoの存在が重要になってくる可能性があると考えています。
なぜなら、企業が将来的に、
「自社ブランドのデジタル決済を始めたい。」
「デジタル通貨を金融サービスに組み込みたい。」
と考えたとしても、通貨だけあればサービスが完成するわけではないからです。
必要になるのは、
口座。
本人確認。
カード。
送金。
決済。
そして、それらをつなぐシステム。
つまり、金融サービスを実際に動かすための土台です。
ここでGalileoの存在が意味を持ってきます。
もちろん、
「SoFiUSD=Galileoで動く」
と単純に断定できる話ではありません。
私が注目しているのは、
SoFiが「銀行」「金融サービス」「金融インフラ」「デジタル通貨」を一つのグループの中に持ち始めていること
です。
そう考えると、SoFiUSDは単独で見るよりも、
Galileoを含めたSoFiの金融インフラ戦略の中の一つのピース
として見るほうが面白いのではないでしょうか。
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伝説の武器は、まだ完成していない
ゲームでは、伝説の武器を手に入れても、それだけではラスボスには勝てません。
装備をそろえ、
仲間を集め、
経験を積み重ねて、
初めて本当の力を発揮します。
Anthony NotoがGalileoを買収したときも、まだ武器を一本手に入れただけでした。
そして、この後さらに、
Technisys。
AI。
SoFiUSD。
そして、まだ私たちが知らない新しいピースが加わっていきます。
一つひとつを見ると、単なる企業買収や新サービスに見えるかもしれません。
しかし、それらを時系列で並べていくと、
少しずつ一つの大きな構想が見えてきます。
私はGalileoの買収を、
「過去に起きた一つの企業買収」
として見るのではなく、
SoFiが“銀行”から“金融サービスを支える企業”へ変わっていく物語の始まり
だったのではないかと考えています。
そして、Galileoだけではまだ足りませんでした。
金融サービスを作るための「土台」を手に入れた。
では、その次に必要だったものは何だったのか。
ここで、次のピースが登場します。
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次回予告
第五章「Technisys──最後のピースが埋まった日」
Galileoを手に入れたSoFiは、
なぜさらにTechnisysを買収したのでしょうか?
一見すると、GalileoとTechnisysは似たような会社に見えるかもしれません。
しかし、実際には担っている役割が違います。
そして、この二つが組み合わさったことで、
Anthony Notoが描いていた
「金融OS」
の輪郭が、いよいよはっきりと見え始めます。
Galileoは、最初の武器だった。
では、Technisysは何だったのか。
第五章で、その答えを見ていきます。

