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通院日記088_地域病院_通院81日目   6時に採血があった。採血がいつも早い理由を、看護師が教えてくれる・・・

20250609(月) 地域病院 通院81日目


 付き添いの42日目。

 6時に採血があった。
 採血がいつも早い理由を、看護師が教えてくれる。
 「先生が朝早く来るんですよ。その前に結果が出ていないといけないので。」
 遠くに家のある医師は、泊まり込みで病院にいると聞いている。
 またその医師がよく働くそうで、夜も遅く、体を壊さないか心配していた。

 医療麻薬の、計量の数値が少し変わっている。
 看護師に聞くと、12時間ごとにリセットするのが本当だという。
 今の表示が正しく、いつもの表示が間違いだ、ということだった。

 回診がやってくる。
 血液検査の結果、細菌は前回と同じものだった、という報告。

 一番聞きたくなかった報告だ。
 こうなってしまうと、再び治療継続は、不可と判断されるはず。
 「同じばい菌ってことは・・・。」
 妻が確認のために聞いてくる。
 僕はまた、それを説明しなければならない。
 つまり腸と膀胱が何らかの原因で、再びつながってしまったのだということ。
 ほかに、原因はあるのかもしれないけれど。
 「そういえば、癌が進んだことで塞がったのかもしれないって、先生は言ってたね。」
 そうだったろうか。
 僕には記憶がない。
 僕が聞いていたのは、つながってしまったのは小さな穴で、そういう状態は手術では治せない、ということだった。
 どちらにしても最悪だ。
 「もう神様に、早く来いって言われてるのかな。」
 気弱な妻の声だった。
 「まだ、どう判断されるかわからないよ。とにかく次の方針を待とう。」
 そういっても、再び緩和の方向に戻るイメージしか、浮かんでこない。
 「飴を、舐めようかな。」
 声が震えているのがわかった。
 その後、妻はせんべいとかりんとうも味見した。
 心理的に不安定になると、こうなってしまう。
 「髪の毛を塗ってくれない?」
 白髪が目立ち始めた髪に、ファンデーションを塗りつける。
 物悲しい気持ちになる。
 料理番組を見て、食べたいものをリストにしていたのも、無駄になるのかもしれない。
 「アイアンシェフを見ようか。」
 2人で黙り込んでいてもしょうがない。
 妻の方からそう言い出してくれて、ありがたかった。


 再び回診が来る。
 担当医師と一番若い医師だ。
 このタイミングで来るのだから、身構えてしまう。
 内容は、貧血なので点滴を入れるということ。
 それから、今後の治療について。
 もう一度入院で治療をしてから、その後は在宅の方向で考えているとのこと。

 どういうことだろうか。
 治療は継続になっている。
 想像するに、妻の希望の食事ができるように、ということに、ベクトルを合わせてくれたのかもしれない。
 思わず、妻の頭を抱きしめてしまった。
 すぐ後にベテランの看護師が来て、同意書をお願いするという。
 輸血に関しての同意書だ。
 回診の時、貧血のための点滴と言っていたのは、輸血の事らしかった。
 「鉄剤の事かと思ってたよ。」
 「僕もだ。」


 リハビリの看護師が来て、メニューをこなす。
 看護師の推しが誰か、妻が聞く。
 それからみに行ったという、京都の公演についても。
 京都は今、外国人ばかりらしい。
 多すぎる、と言っていた。
 4年ほど前のコロナの時に、僕は東寺や二条城を散策した。
 ほとんど一人だったのが、思い出される。
 遠くの方に見えた、3人連れと1人以外は誰もいなかった。
 あの頃、もっといろいろなところを巡っておけばよかったと思う。
 妻のことも、呼んでおけばよかった。
 話だけで、2人とも億劫がっていたのだ。
 今後のリハビリは、週に3回程度になると聞く。


 今日、義姉は夕方に用事があるので、早めに病室にやってきてくれた。
 僕は早く戻ってこないといけないので、手早く交代する。

 今日の昼食
 昨日と同じもの(?昨日の昼食はファミマだったはず。ちょっとおかしいです。)。野菜炒めだけ昨日の作り置き。

 無くなりそうになっていたガソリンを入れていく。通いの道路沿いにあるスタンドは、かなり高いはずだけれど、寄り道をするのも面倒くさく、そこで入れていく。ハイオクで187円。今の相場は分からない。


 戻ってくると、いきなり妻からコマンドが発せられた。
 輸血が始まっていても、点滴をじっくりと見る暇もない。

 一つは、丸山ワクチンについて、処方の方法を確認することだ。
 これは治験書の記入日が1か月以上前になるので、担当医師に内容について、確認を取ってから提出するようにと、看護師から強く言われたそうだ。
 なので医科大へ問い合わせをする。
 以下、問い合わせの内容。
 治験書の同意日は直近とする事。
 1か月以上前では不可と言われる。
 また、処方する看護師を統括する医師に、治験書を書いてもらわないといけない、とのこと。
 なので、この病院の担当医師に書いてもらった治験書は使用できず、看護センターの看護師に責任を持つ、医師を探さなくてはならない。

 もう一つは、看護ステーションに連絡して、今後の予定を共有すること。
 これは病院の入退院室の担当が、僕が来週退院になると言っていたと聞いて、部屋にやってきたらしい。
 看護ステーションから、そう聞いたのだそうだ。
 なので看護ステーションへ連絡して状況を確認する。
 電話を入れてみると、特に看護センターから病院へは、連絡は入れていないという。
 一応、今後の動きについては知らせておいたけれど、退院の前に担当の看護師と連絡を取ってくれ、ということになった。
 またワクチンについては、心当たりのクリニックを知っているから、その時が来たら連絡をくれれば、紹介することができると聞く。

 「あなたって、この病院で嫌われてるの?」
 入退院の担当が、かなり怒った感じで話していったという。
 僕の知る由もない。
 「すごく対応の難しいケースなので、これからは私もウォッチしていきます。」
 そんなふうに言っていたらしい。
 難しいのはそちら以上なんですがね、と言ってみたい。
 とはいえ、僕らのすることは、方針を固めて医師達に伝えることしかない。
 ほとんどは伝えてしまうと、気を揉んでいるだけなのだが。

 思い返してみれば、緩和ケアの看護師に呼び出されて話をしたときに、日限を切って退院を迫ることもありえる、と脅されていた時のこと。
 どうも近くの緩和病院の話を聞いた妻が、話を合わせてそんな素敵なところなら、すぐにでも転院したいと、そんな雰囲気を醸していたようだ。
 今考えてみれば、緩和ケアの看護師との会話で、確実に早く転院したいと話していたはずだ。
 妻の性格からすると、十分あり得る。
 そういう調子を人に合わせるのは、妻の本分といっていい。
 つまり、患者本人が転院したいと望んでいるのに、夫の方が反対している。
 どうにかしなきゃならない。
 そんな勘違いがあったのかもしれない。
 きっと、今回もどこかに勘違いがあるのだろうと思う。
 いや、これは病院側からすると、勘違いではないのか?


 日勤の看護師は、今年からの見習いで、先輩看護師に教えられながら仕事をしている。
 輸血の交換では、点滴チューブに残った血液も、もったいないのでフラッシュで流す、と教育されていた。
 残りでも20cc弱あるようだ。
 確かにもったいない。


 妻が、僕の買ってきた夕食を検分する。
 思いついて提案した。
 「トイレで味見をしたら、いいんじゃないか?」
 「それいいね。」
 ということで、今後はトイレで味見が定位置になりそうだ。
 おかず2種と、カレー味のライスをパックに移して持っていく。
 その後、僕の夕食も妻はじっと見ている。
 この食への執念は、三ツ星レストランのシェフも、唸りそうな迫力がある。

 アイアンシェフの続きを1回観て、シェフのテーブルBBQ編の3話目を観る。シェフズテーブルは、ドキュメンタリー構成が内容とはまっている。調理シーンや料理を食べるシーンは少な目で、語りが多いけれど、引き込まれる魅力がある。シリーズはまだいくつか残っているので、今後も楽しみだ。


 今日の妻の担当の夜勤は、点滴の交換が忙しい。
 輸血の分は、落とす速度の管理も微妙で、何度か調整に来る。
 最終的には、痛み止めや抗生剤の時間が迫り、フラッシュ途中で、2回目の輸血を外していってしまった。
 あと10ccはありそうだった。
 なんだか、残念な気持ちに2人でなる。

 「私顔色が良くなってきた気がする。献血してくれた人に感謝しなきゃ。」
 「時間ができたら、もらった分以上を返しに行くよ。」
 「お願い。私のじゃダメだろうから。」
 あぁ、そうか。
 たしかに癌患者のでは、ダメなんだろう。
 トイレに行った妻は本格的に眠りについた。



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