「一杯ひっかけてきたよ」という英語表現
5月の初夏の空気に触れると、毎年、ある光景を思い出します。
3時間以上にわたる弁理士試験(注)の短答式(一次試験)を終え、心も体も張り詰めていたものが一気にほどけた日のことです。
(注)弁理士試験とは、特許、商標、著作権などの知財を扱う国家資格の試験です。短答→論文→口述があり、短答は最初の関門です。現在の合格率は6%。
受験ゼミでの答え合わせ大会の後、そのまま打ち上げに行く予定でしたが、数人のメンバーがどこかに消えてしまいました。予定の時間になっても数人がなかなか現れません。
しばらくして、彼らは真っ赤な顔で、いかにも出来上がった様子で遅れて、居酒屋にやってきました。
「いやぁ、一杯ひっかけてきたよ!」
私はこのとき、初めてこの言葉を知りました。
待ちきれなかったのでしょう。解放された勢いのまま、つい一杯やってしまう——そんな気持ちが伝わってきました。
さて、この「一杯ひっかけてきたよ」を英語で表現するなら、こんな言い方がぴったりです。
I grabbed a drink.
grab は本来「ぐいっと掴む」という意味ですが、日常会話では「(食事や飲み物を)手早く済ませる」というニュアンスで使われます。
grab a bite(軽く食べる)
grab a coffee(さっとコーヒーを飲む)
これらと同じで、grab a drink は「サクッと一杯やる」、まさに「ひっかける」感覚に近い表現です。
直訳すると不自然ですが、あの場面を思い浮かべると、しっくりくるはずです。
ほかにも、こんな言い方があります。
I had a quick one.(軽く一杯やってきたよ)
I stopped by a bar for a drink.(ちょっとバーに寄って一杯飲んできたよ)
I stopped by a bar for a pint.(バーに寄って一杯飲んできたよ)
※ pint は英米で使われる単位で、「ビール一杯」というニュアンスでもよく使われます。
皆さんは、何かから解放された瞬間に、どうしても我慢できずにやってしまったことはありますか?
そのときの一言を、英語でどう表現しますか?
