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vol.114 結局、疲労骨折だった

私がイギリスで疲労骨折(stress fracture)と診断されるまでに約6週間かかった経験の記録だ。

今はだいぶよくなって、今週は一度だけオフィスに行くこともできた。

ただ、NHSに対するもやもやが消えない。

同じように痛みを抱えながら
「これって本当に大丈夫なの?」
「でも、どこに行けばいいの?」
と不安になっている人の役に立てばと思い、書き残してみる。


痛みの始まり

きっかけはジムだった(厳密にいうときっかけはボイラーの故障)。
ランニングマシーンによる運動を始めて3週間くらいたって、内側のくるぶしに違和感を覚えた。

最初は筋肉痛だと思っていた。
でも数日経っても痛みは消えず、むしろ歩くたびに強くなっていった。

「何かおかしい」

そう思い、GPの予約をとった。

(今思えば、痛みが出て様子を見るのではなく、すぐに予約を取れば良かったと思う。よくなってきたら、予約をキャンセルすればいいのだから)。


GPにたどり着けない

そもそもGPの予約は2週間先だった(これはいつもそう)。

日々痛みは強くなるばかり。
トイレに行くのにも苦労するようになった
ネットで購入した松葉杖と痛み止めで日々を繋いだ。

待望の予約日の朝、電話がなった。

「GPの体調不良でキャンセルです」

心が折れた。

こんなに辛いのに、診てもらう入口にすら立てない。
この国で医療を受けるということが、急にとても遠く感じた。


A&EとMinor Injuries

GPにみてもらえない間、A&Eにも相談した。我慢できないほどの痛みだったからだ。しかし「緊急ではない」と判断された。

Minor Injuries Unitにもいった。看護師の方だったが、初めて誰かに足を診てもらえて安心したのを覚えている。しかし、返ってきた一言。

「安静にしていれば治ります」

私は日本の一時帰国も予定していたので、とにかく何が起きているのか正しく理解したかった。レントゲン検査だけでもしてほしいと伝えた。

「骨折していたら歩けないはず。骨折は考えにくいです」

要は、レントゲン検査をする必要性が低いと判断されたのだった。専門医への紹介ももちろんできないとのことだった。

こんなに痛いのに、何も調べなくて何がわかるんだろう。
私が痛みに敏感なだけなのか?

GPにはたどり着けず、
A&Eでは断られ、
Minor Injuriesでも何の処置も検査もされない。

そのとき私は、はっきりと思った。

もうNHSに頼れない。

私はビザ申請の際に高額のIHSを支払い、給料からはNIも引き落とされている。それでも、必要な医療にたどり着けない現実に、強い虚しさを感じた。


プライベート診療で初めて分かったこと

自費でプライベートクリニックを受診し、その場ですぐにレントゲン検査を受けることができた。

結果は「骨に異常は見られない」というものだった。その言葉を聞いて、私は一度ほっとした。

けれど、私が訴えている痛みがかなり強いこと、そして扁平足であることから、医師はこう言った。

「腱に問題がないか、MRIで詳しく調べましょう」

そして、2日後のMRI検査予約がその場で決まった。

さらに診察が終わると、すぐに医療用ブーツ(固定具)を装着された。

迷いもなく、待ち時間もなく、次のステップへ進んでいく。そのスピード感に、私は驚いた。

そしてMRI検査の結果が年明けに分かった。

なんと、中程度の疲労骨折だった。

すねの骨に約2.8cmの長さで部分的な骨折線が見つかったのだ。
あのまま走り続けていたら完全骨折の可能性があった。

MRI検査の技師の方が「本当に何もしてないの?」と最後に言った言葉の意味がやっと分かった。

医師から詳しく説明を受け、医療用ブーツをさらに4週間、装着するよう指示された。幸いにも骨のズレなどはないため、手術の必要はない。

この医療用ブーツには本当に助けられた。心の中では、足だけ宇宙飛行士みたいと小馬鹿にしていたが、履いて数日後、痛みが明らかに軽くなった。これは優れものだった。

なぜNHSはこのブーツをすぐに提供してくれなかったのだろうか。骨折していなくても、内部の炎症であっても、とにかくこのブーツが最初からあれば、もっと早く回復していたのではないか。


信じてもらえなかった痛み

一番つらかったのは、痛みそのものよりも、

信じてもらえなかったことだ。

「安静に」と言われ、
「大丈夫」と言われ、
処置も検査もされずに帰される。

でも実際には、疲労骨折だった。

あまりにも処置や検査に繋がらないので、私の感覚がおかしいのかと思うこともあった。でも、自分の感覚は間違っていなかった。


この経験から学んだこと

  1. 異変を感じたらまずすぐにGPの予約を入れておく。悪化してからでは遅い。

  2. 予約日までの間、様子を見て、もし改善すればキャンセルすればいい。

  3. ちょっと大袈裟くらいがちょうどいいかもしれない(特に日本人の感覚では)。

  4. もし余裕があればプライベート診療の保険に加入しておくといい。

NHSは多くの人を支える大切な制度。
でも、その仕組みの中で取りこぼされる人がいるのも事実だと、身をもって知った。

私はありがたいことにプライベート診療を受ける機会があったが、
経済的に受けられない人もたくさんいるはず。

痛みを耐えるしかないあの時間、私よりももっともっと長い間、
「耐えるしか選択肢がない」人がいると思うと悲しくなる。

NHSには、誰も置き去りにしない医療であってほしい。


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pato | イギリスで働く犯罪データアナリスト 読んでくださってありがとうございます。チップは今後のリサーチや記事執筆、そして日々のセルフケアに活用させていただきます!