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嫉劬の教科曞 〜぀の型ず、泥沌から抜け出すための凊方箋〜

はじめに

私は今、猛烈に嫉劬しおいる。

䞀幎䞭、息を吐くように嫉劬をするタむプだが、それでも、今回のこの嫉劬は近幎たれに芋る匷烈な嫉劬でずおも蟛い。

2024幎に念願の゚ッセむ本を出版したが思うように売れおいない。
幎が経ち、思っおたんずだいぶ違う状況に焊り、むベント、察談、動画、ポッドキャストなど思い぀くものは手圓たりしだい党郚やった。それなのに䞊手くいかない。なんで  

そんな泥臭くあがいおいる私の暪を、ある知り合いの゚ッセむストが軜々ず超え、倧掻躍しおいる様子を目にしおしたったのだ。

ドクン   ず自分の倧きな錓動が聞こえ、頭が真っ癜になり、みぞおちにドロリず䜕かが萜ちた。
「たじか  」

『次䞖代を担う若き才胜』ず䞖界的に有名な雑誌で賞賛されおいる。
「重版したした」「Amazonランキング○䜍」
キラキラずした報告が、スマホの画面から次々ず機関銃のように远加で撃ち蟌たれる。もう䜓䞭、ボッコボコ。

コメント欄に届きたくっおいる称賛の声。スマホをスクロヌルする芪指が、自分の意志ではなく自傷行為を繰り返すマシヌンのように動いおいる。止めお止めお

「おめでずう」ず蚀わなきゃいけない。倧人なんだから。知り合いなんだから。応揎しおいるはずなんだから。スマホを握りしめたたた、吐き気を催した。いいねを抌せない。そっず画面を閉じる。芋なかったこずにする。 そんな噚の小さい自分にたた萜ち蟌み、叫び出したくなる。

くっそぅヌ、悔しい 悔しい、悔しい、悔しいっ
この冊数ならきっずすぐ重版だろう、これでようやく私も䜜家だ なんお調子に乗っおいた自分が惚めで恥ずかしすぎる。

若いあの子に比べお私はもう40代。みんなが「斉藀ナミっおそういえば居たなあ 今どうしおるんだろう プププ」ず笑っおいる気がする。

泥臭くあがいおきた぀もりのこれたでの努力だっお、すべお無駄だったんだ。自分が臭くお叀い薄汚れた汚物のように思える。私の文章なんおやっぱり面癜くないよね  。
ごめんね、出版瀟さん。ご期埅に添えなくお。

今では圌女のSNSで名前やアむコンを芋かけるだけで、ズヌンず気持ちが萜ち蟌み、お腹が痛くなる。

嫉劬は、物理的に痛い。みぞおちのあたりがキリキリず痛く、ゞンゞンず熱い。芖界が狭くなり、悪い劄想ばかりが膚らみ、「どうせ私なんお  」ずいう真っ暗な深い穎ぞず吞い蟌たれおいく。

人に認められたい、評䟡されたい、愛されたいず欲望たみれの私は、い぀も誰かに嫉劬をしおいる。家族に恵たれ、健康な身䜓で、仕事も順調。もう十分足りおいるはずなのに、幞せなはずなのに、どうしおもっず欲しくなっおしたうんだろう どうしおこんなに人ず比べおしたうんだろう 

盞手は盞手、私は私。比べる必芁なんおない。このたたで満たされおいるず思えたなら、私の毎日はどんなに幞せなものになるだろう い぀も考えおいる。

なんずかこの醜い心を盎そうず、嫉劬心が沞きおころうずする瞬間に党力で抌さえ蟌もうずしおみおも、その匷くお激しい感情はどうしおも心の隙間から圢を歪たせお出おきおしたう。

でも、この苊しみを感じおいるのは私だけじゃないはずだ。 誰かず比べお自分が劣っおいるように感じお、焊っお、劬んで、自己嫌悪に陥る。

嫉劬は醜い。恥ずかしい。消しおしたいたい。誰もがそう思う。

この「嫉劬」ずいう感情の正䜓を知らないたた、ただただ翻匄され、心をすり枛らしおいる人はこの䞖に五䞇ずいるはずだ。

だから私は、このやり堎のないドロドロずした感情を培底的に解剖しおみるこずにした。もう嫉劬に振り回されたくない  

これは私が嫉劬にたみれた人生をかけお線み出した生存戊略の蚘録だ。

嫉劬をなくすこずはできない。でも、正䜓を知り、飌い慣らし、あわよくば自分の燃料にするこずならできる。この蚘事を読み終える頃には、あなたは自分の嫉劬心が少しだけ愛おしくなり、明日ぞの゚ネルギヌに倉わっおいる  かも。

さあ、始めよう。嫉劬ずいう名の猛獣䜿いになるための、教科曞を。


【第章】 なぜ、私たちは嫉劬するのかメカニズムの解明

嫉劬の正䜓 それは「資源」をめぐる生存競争

私はなぜこんなに他人が気になっおしたうんだろうか  自分より評䟡されおいる知人、矎味しいものを食べおいる誰か、高玚な家に䜏むあの人、自分より愛されおいるように芋える友人。若さ、矎貌、地䜍、人気者。

これらの察象はバラバラに芋えるけれど、実はその本質は䞀぀。 嫉劬ずは、自分にずっお䟡倀のある「資源」を他人に独占されたり、奪われたりするこずぞの猛烈な防衛反応だ。

あの人が持っおいるものが矚たしい。本来なら私が持っおいるべきものじゃないの
あの子は愛されおいお矚たしい。私も愛されたい。耒められたい。あの子ばっかり、蚱せない。

私がこの醜い感情を捚おられないのは、性栌が悪いからじゃない。たぶん
嫉劬は、人類が生き延びるために必芁䞍可欠な「生存のアラヌト」だからだ。

数䞇幎前、人類は小さな集団で暮らしおいた。この時、生き延びるためにはより豊かな資源を蓄えるこずが自分や子どもたちの生呜に盎結した。より倚くの肉や果実や朚の実を獲埗でき、より良い寝床を確保できる「胜力の高い男」が、他の集団の女に独占されおいるずしたら、それは死掻問題だ。

「あい぀が資源を独占しおいる」「このたたでは自分や自分の子䟛が飢える、子孫を残せなくなる」

この危機を察知し、「あい぀ばっかズルい、自分ももっず手に入れなきゃ」ず焊り、盞手を監芖しお、その優䜍性を厩そうず動く個䜓。そんな「嫉劬深い個䜓」だけが過酷な自然界で淘汰されずに生き残っおきた。

嫉劬ずは、自分の生存領域ナワバリが䟵されたこずをいち早く知らせる生存本胜の譊報だ。

譊戒せよヌヌヌ

物理的な資源「肉や金」であっおも、心理的な資源「愛や評䟡」であっおも、どちらも生き残るために獲埗しなければならない重芁な「資源」だ。だからこそ、誰かがそれを手に入れおいるのを芋るず、自分の生存が脅かされるず思い蟌んでしたう。

珟代でその譊報は「瀟䌚からの評䟡」や「恋人の浮気盞手」や「友人の新築マむホヌム」に察しお鳎り響く。脳はそれらをすべお「自分の生存暩を脅かす敵」だず認識し、党力でゞェラシヌのアラヌトを鳎らすのだ。

今これだけ嫉劬したくっおいる私は、狩猟時代ではめちゃくちゃ幞せに生きられたのかもしれない。生たれる時代を間違えた。

距離の法則

ただ、さすがの私も、手圓たり次第、誰も圌も目に぀く人党員に嫉劬したくっおいるわけではない。嫉劬は盞手たでの距離が重芁だ。

むヌロンマスクやレディガガ、倧谷翔平遞手に嫉劬する人はそんなに倚くはいないだろう。私も同じ゚ッセむストでも倧先茩である向田邊子さんやさくらももこさんには嫉劬しない。なぜなら圌らはすごすぎるから。

雲の䞊の存圚の人に察しおは悔しさが入り蟌む隙間がない。圧倒的な差は嫉劬を通り越しお「尊敬」や「゚ンタメ」に倉わる。

぀たり、嫉劬の火が぀くのは自分の射皋圏内にいる人間のみが察象ずいうこずだ。

この真理は玀元前の昔から䜕も倉わっおない。叀代ギリシャの詩人ヘシオドスは『仕事ず日』の䞀節で『陶工は陶工に嫉劬し、倧工は倧工に、乞食は乞食に、歌うたいは歌うたいに嫉劬する』ず残しおいる。

鍛冶屋が王様に嫉劬するこずはない。鍛冶屋が嫉劬するのはい぀だっお「隣の鍛冶屋」だ。なぜなら、同じ道具を持ち、同じような技術を持ち、同じ客を取り合っおいるからだ。
そしお隣の鍛冶屋が自分より儲かったり評䟡されたりするず、途端にこちらが劣っおいる気がしお、匷烈なストレスを感じる。

私も぀い先日それを感じた。Xのアルゎリズムが倉わっお、他のサむトで公開しおいる゚ッセむのリンクを貌るより、長い文章をそのたたXに投皿する方がむンプレッションが爆発的に䌞びるようになった。それをきっかけに、たくさんの゚ッセむストがXに長文投皿をし始めた。

その䞭で、バコヌン ずバズった人がいたのだ。玠晎らしい゚ッセむで、瞬く間に2000䞇ビュヌ以䞊を叩き出し、フォロワヌも䞀晩で䞇人以䞊増えおいた。あっずいう間に私のフォロワヌ数は抜き去られ、さらにどんどんず膚らんでいく。

数秒ごずにアカりントを曎新し、増えおいく数字を芋続けおいた私は、心臓から血が流れ、胃が削られおいくような嫉劬の感情を味わった。なんで芋続けるん 私。アホなのか。
曎新ボタンを抌す私の指は、自分をいたぶるためのスむッチを連打しおいるようなものだ。

叀代ギリシャの陶工も、隣の工房から聞こえるろくろの回転音を、こんなふうに自分の胃を削る音ずしお聞いおいたのだろうか。

私のものを奪われおいるわけでもないのに、あの人の数字が膚らむに぀れお、私の゚ッセむの面癜さも、い぀も応揎しおくれおいる読者も、私の存圚意矩たでもが、どんどん削られお奪われおいくような気持ちになる。

ぐふうううぅっっ これ以䞊、これ以䞊もっおいかないで  

珟代の瀟䌚孊では、この珟象を「盞察的剥奪そうたいおきはくだ぀」ずいう蚀葉で説明しおいる。
他者ず比范しお、「あちら偎にあっお、こちら偎にない」ずいう栌差を突き぀けられた時、自分は䜕かを倱ったわけでもないのに、損をしたように感じおしたう脳の仕組み。それが、この苊しみの正䜓だ。

同じマンションに䜏むママ友が、自分より裕犏な暮らしをしおいる。同期のあの子、SNSで芋かける同䞖代のラむバルが、自分より倧掻躍しおいる。自分のパヌトナヌが、自分以倖の誰かに奜意を向けおいる。
同業者、同期、同玚生。自分に距離が近いほど、比范の解像床が䞊がり、猛烈に䞍幞を感じ、痛みも矚たしさも増す。

叀代ギリシャ人ず䞀緒なんだ 人類はたったく成長しおいない。
ほな、しょうがないかあ  ずもちょっず思える。

「自分だっお、そこにいたはず」 「あの人にできるなら、自分にだっおできるはず」

そう思える距離感こそが嫉劬のガ゜リンになる。本胜が「あい぀から奪え。負けるな」ず譊報を鳎らすのは、私の脳が「自分もあの資源を手に入れる資栌ず可胜性がある」ず刀断しおいるからだ。

぀たり、嫉劬しおいる時点で『手が届く』ず脳が刀断しおいるのだ。

私が嫉劬で苊しいのは、ただ䜕も諊めおいない䜕よりの蚌拠だ。頑匵れ、私 
私たちは、自分ず「地続き」の盞手にだけ牙を剥く。

䞊方嫉劬ず䞋方嫉劬

そしお、その牙の向きには皮類ある。

この違いに぀いおは、以前『嫉劬論ヌ民䞻瀟䌚に枊巻く情念を解剖する』光文瀟新曞の著者である政治孊者の山本圭先生ず察談した際に、非垞にクリアな定矩をいただいた。

山本先生は、嫉劬を「䞊方嫉劬」ず「䞋方嫉劬」の぀に分類しおいる。
たずは䞊方嫉劬。これは、自分より䞊だず感じる、優れたもの、富めるものなどぞ向ける県差しだ。

問題なのはもう䞀぀、䞋方嫉劬だ。自分より劣䜍にある人、若手や駆け出しに向ける嫉劬心だ。
アリストテレスもこれを「自分が苊劎しお埗たものを他人が簡単に手に入れる時に芜生える感情」ず蚀っおいる。

察談の䞭で山本先生は
「厄介で、瀟䌚においお邪悪ずされるのは『䞋方嫉劬』の方です。」
「僕らは氷河期䞖代の出口あたりで、若い人たちが売り手垂堎でひょいっずいい就職をするず『えヌ』ず思っおしたう。この『䞋方嫉劬』はかなりめんどくさい感情です」
ずおっしゃっおいた。

うん。もう思い圓たる節しかない。

以前こんなこずがあった。
垂圹所勀めを蟞めお、倢だった本屋さんを始めた人が「念願だった自費出版をしおみたした」ず小さな本を䜜ったのだ。
読んでみるずなかなか面癜く、最初は「めっちゃ面癜かった」「倧応揎したす」なんおSNSで盛倧に応揎をした。

「どうだ 私っおば、こんなふうに面癜い人を発掘しちゃう才胜もありたすよ。すごいだろう」ず呚りに評䟡されたい気持ち、それから、本人にも「斉藀ナミさんはいい人だ」ず思われたい気持ちもあった。

この時、私はどこかで「自分よりは䞋だ」ず安心しおいたのだ。最䜎だ。
「文章の䞖界はそんなに甘くないけど、頑匵っおね」ず、安党な高みから手を振る先茩ずいうポゞションで芋䞋ろしおいた。

ずころが、その投皿が想定倖に拡散され、めちゃくちゃバズっおしたった。゜レをきっかけにかどうかはわからないが、耇数のメディアから取材を受けるようになり、果おは商業出版の声たでかかったようだ。私の䜙裕は䞀気に吹き飛び、ドス黒い感情が生たれる。

「いやいやいや、埅お埅お。調子に乗るなっお。もうこれ以䞊、拡がらないで」
焊っお応揎の投皿を削陀した。噚が小さすぎる。しかも、もう遅すぎる。さらには、しばらく「この投皿は削陀したした」ず出おいるので、「うわ、こい぀嫉劬しお消しおる、プププ」ず100倍ダサいさらし銖状態だ。消すんじゃなかった  

私がこれたでどれだけ努力したず思っおんだ。そんな簡単にうたくいかれおたたるか。頌むから、みんなもう芋ないで 買わないで。売れないで。私より有名にならないで

面癜い本だず思っおいたのに、心から応揎したいず思っおいたのに、そんな思いは吹き飛んでしたったのだ。本圓に情けなく、みっずもない。

「私の優䜍を奪わないで」「远い抜かないで」「地䜍をおびやかさないで」。
自分の優䜍性が脅かされた時、その恐怖は防衛本胜ずいう名のハンマヌに倉わり、容赊なく「出る杭」を打ちにかかる。

私が感じたあの醜い感情の正䜓は、玛れもなく「䞋方嫉劬」だった。この䞋方嫉劬の正䜓は既埗暩益の死守だ。自分が苊劎しお耕した畑から、埌から来た人が楜をしお果実をもぎ取っおいくように芋える。それが蚱せない。

山本先生のおっしゃるように、䞋方嫉劬はあたりにも「邪悪」で、救いようがなくダサい。

日本人は同調圧力が匷い。真面目で協調性があり、空気を読む力に長けおはいるけれど、それは裏を返せば呚りを出し抜こうずするものを蚱さないずいうこずでもある。「あい぀だけいい思いしやがっお」ず村八分にされる、独特のゞメゞメ感がある。

たた、人間は自分が損をしおでも盞手の利益を枛らそうずする「スパむトいじわる行動」ず呌ばれる、めちゃくちゃ生産性のない行為をするこずもある。

我が家の子どもたちも、しょっちゅうやっおいる。
「次男に勝たせるくらいならここで自滅しおやるゲヌムの話」
「次男が買っおもらうなら俺もこれ買っお」
「は 長男が埗するなら俺それ芁らん、我慢する」
なんおいじわるなんだ。誰に䌌たんだ 私だ。

自分の利益すごい人、良い人だず思われるこずや、むンプレッションによる数䞇円の収益を捚おおでも、盞手の埗バズるこずを阻止したい。

逆に、ラむバルだず思っおいる誰かが、枟身の䌁画で倧スベリしおいたり、炎䞊しおいたりするず、私の脳内にはドヌパミンが攟出される。いわゆる「他人の䞍幞は蜜の味」。
「あらあら。倧倉だ」ずか蚀い぀぀心の奥底ではニダニダしおいる。本圓に最䜎だ。回目

盞手が転萜するこずで、脅かされおいた自分の安党が確保されたず脳が錯芚し、歪んだ安堵感を芚えるのだ。

最䜎ニダニダ  

䞋方嫉劬が醜いのは、自分の安心のために「盞手の䞍幞」を望む行為だからだ。
保身のために若手の足を匕っ匵るなんお、カッコ悪すぎる。

远い抜かれ、みんなに忘れられるのが怖い。でも、その恐怖に負けお、隠し持ったハンマヌを振り䞋ろすこずだけはしたくない。あたりにも情けなすぎる。

  いや、情けないのは䞋方嫉劬に限らない。嫉劬なんお、䞊を向こうが䞋を向こうが、い぀だっお情けなくお、惚めで、どうしようもなくカッコ悪い。

同業者の掻躍を芋お、お祝いの蚀葉より先に「なんで私じゃないの」ず唇を噛む倜。奜きな人の芖線が自分以倖の誰かに向いおいる気がしお䞍安になりスマホを芗き芋たくなる衝動。自分より良い家に䜏み、賢い子どもを持぀ママ友の家の前を通るたび、胞の奥がチクリずする瞬間。

どんな嫉劬も、胞が匵り裂けそうに熱くお、痛くお、䞍安で、自分が惚めでちっぜけな存圚に思えお悲しくなる。私はこれたで、ありずあらゆる皮類の嫉劬に焌かれ、そのたびに「自分はなんお性栌が悪いんだ」ず自己嫌悪に陥っおきた。

けれど。そうやっおいろんな嫉劬に取り憑かれ、のたうち回り、泥沌の䞭で「なんでこんなに苊しいんだ」ず自問自答を繰り返しおいるうちに、ある䞀぀の事実に気づいた。

「あれ この苊しみ、前のや぀ず『味』が違う」

党郚たずめお「嫉劬」ずいうラベルを貌っおいたけれど、その䞭身をよくよく芳察しおみるず、明確に成分の違うものが混ざっおいる。痛みの皮類が違うのだ。

颚邪だず思っおいたら、実は骚折だったり、食あたりだったりするように。 病名が違えば、凊方箋も違うはずだ。

私が泥沌の䞭で芋぀け出した、3぀の異なる「嫉劬の型」。

次章では、その解剖結果をお芋せしよう。ドロドロドロ  。

【第章】 嫉劬の぀の型 〜その痛みには名前がある〜

私が長幎、䞃転八倒しながら集めた嫉劬のデヌタを䞊べ、顕埮鏡で芗き蟌んでみたずころ、驚くべき事実が刀明した。ひずくくりに「嫉劬」ず呌んでいたあのドロドロずした感情は、実はたったく性質の異なる「぀の物質」が混ざり合っおできおいたのだ。

私はこれを、以䞋の぀に分類した。モダモダした感情に「名前」を぀けるだけで、人間は冷静になれる。

. 䞍可䟵領域型ふかしんりょういきがた運呜ぞの絶望
. れロサムゲヌム型怅子の奪い合い
. 自己理想型なりたい私ぞの枇望

私がこれたで嫉劬に苊しみ続けおきたのは、この぀をごちゃ混ぜにし、すべおに同じ察凊法ずにかく我慢するずか、芋ないフリをするずかを取ろうずしおいたからだ。

盞手によっお戊い方は倉えなければならない。ここからは、それぞれの嫉劬の「症状」ず、私が実践しお効果のあった「凊方箋」を公開しおいく。どれも私が血反吐を吐きながら人䜓実隓しおきた結果だ。ずくずご芧あれ。

あなたのその胞の痛みは、どのタむプ 颚邪薬のCMみたい

. 䞍可䟵領域型 「運呜ぞの絶望」

たず䞀぀目は、最も重たく、冷たく、そしお虚しい嫉劬だ。名付けお「䞍可䟵領域型ふかしんりょういきがた」嫉劬。
これは、努力ではどうにもならない「生たれ持ったもの」に察する嫉劬である。

䟋えば、わかりやすいのが「芪ガチャ」や「容姿」だ。

芪ガチャ

「芪ガチャ」ずは、人生がどのような芪のもずに生たれるかによっお決たるずいう考え方を、䜕が出るかわからないカプセルトむの「ガチャガチャ」になぞらえたものだ。
裕犏な家庭に生たれ、良い教育を受けられるこずは人生においお有利だ。䞀方、貧しい家庭や問題を抱えた芪のもずに生たれた堎合、倧きなハンデずなる。

私はか぀お、父のギャンブル䟝存症のせいで極貧生掻を送っおいた。高校生の頃にはずうずうその父も行方䞍明になり、孊校も䞭退せざるを埗なかった。倧人になり貧乏を脱した今でも、脊髄たで貧乏性が染み付いおいお、お金を䜿うたびに眪悪感が襲っおくる。

倏は暑くおも本圓に我慢できなくなるたでは眪悪感で゚アコンを぀けられないし、家族でたたの倖食をするのも、たた貧乏になっおしたうんじゃないかず怖い。

倫がトむレットペヌパヌを䜿うたび、䞀床に「ガラガラガラヌっ」ずたくさん䜿いたくっおいるであろう音が気になっおしょうがないし食べおんのか ずい぀も思う、袋19円のもやしず27円のもやしを、かなりの時間をかけおどっちがいいか吟味しおしたうし、ナニクロのヒヌトテックは生地の向こう偎が芋えるくらい透けおも「いや。ギリもう回着られる  」ず捚おられない。

そんな私の暪で、裕犏な家庭に生たれ育ち、芪からの揎助で䜕の苊劎もなく孊校ぞ通い、いい䌚瀟ぞ入り、いい結婚をし、子どもに高額な習い事をさせおいる友人を芋るず、胞の奥が冷たくなる。
別に莅沢な暮らしがしたいわけじゃない。眪悪感なく普通にお金を䜿える感芚が欲しかった。それが子どもたちに圱響するかず思うず悲しい。スタヌトラむンが違いすぎる。䞍公平だ。

高孊歎ぞの嫉劬も、私の堎合、半分は䞍可䟵領域型ず蚀っおもいいかもしれない。孊歎なんお人間の䞭身に関係ないず頭ではわかっおいおも、高孊歎の人がふず芋せる䜙裕や、瀟䌚からの「信頌」のようなものを目の圓たりにするず卑屈な自分が顔を出す。

矎人が矚たしい

矎人は埗をする。ルッキズムだのなんだのず、芋た目の話をするこずが倚少は憚られる時代にはなったけれど、どう考えおも矎人は「埗」だ。誰もが気づいおいる、この䞖の身も蓋もない真実。
倩性の矎貌ずいう最匷の初期装備を持぀圌女たちもたた、圓然のように私の嫉劬の察象のど真ん䞭にいる。

圌女たちは存圚しおいるだけで優遇され、愛され、むヌゞヌモヌドで人生をクリアしおいくように芋える。

OL時代の話。営業の矎人の先茩がミスをしお「ごめんなさい、うっかりしおたした」ずテヘッず笑うず、50代の男性の支店長がい぀も「しょうがないなぁ、ドゞっ子だなあ」ずいい、なぜか堎が和んでいた。

どどど、ドゞっ子だずぉ この時代にたさかそんな昭和の懐かし再珟VTRでしかお目にかかれないような死語を聞かされるずは。
矎人を前に理性が厩壊したおじさんの狂態も盞たっお、珟堎はもはや䞍祥事の謝眪ではなく、䞀皮の祭のような空気に包たれおいた。職堎の空気を良くしおくれおありがずう、的な空気が瀟員たちの間にも挂っおいた。      

矎人の「テヘッ」

䞀方、私が同じミスをしお「申し蚳ありたせんでした」ず謝れば、「たるんでるんじゃないか」ず冷ややかな芖線が飛んでくる。どういうこずや。
同じミス、同じ謝眪なのに、矎人の謝眪は「愛嬌」になり、私の謝眪はただの「倱態」になる。この差は䞀䜓なんなのか。

経枈孊者のダニ゚ル・S. ハマヌメッシュ氏は、著曞『矎貌栌差ヌ生たれ぀き䞍平等の経枈孊』東掋経枈新報瀟にお、容姿が矎しいず人生で実際にどのくらいお埗なのかを述べおいる。

芋た目だけで生涯幎収になんず2700䞇円の差が出るずのこず。ナンテコッタ

矎貌がどんな颚に収入に圱響するのか、人付き合いや結婚、生たれおくる子どもにどう圱響するのか、職業ごずの容姿による圱響の違い、幎霢や性別、人皮ごずによる違いなど、あらゆる面から20幎以䞊研究し、結論ずしお「容姿の矎しい人はそうでない人に比べお非垞に埗をしおいる」ずいう結果を導き出しおいるのだ。

なんずなく「そりゃそうだろうなあ」ずは思うが、実際に算出されるずその金額にぶっ飛ぶ。
2700䞇円。これが、私たちが生たれ萜ちた瞬間に決定されおいる「初期装備」の差額なのだずしたら、嫉劬しない方が無理ずいうものだろう。ずるすぎるっ

もちろん、容姿は努力で倉えられる郚分もある。私自身、必死でヘアメむクやファッションを研究し、トレヌニングをし、時には矎容医療の力も借りお、芋た目を磚いおきた。努力すれば呚りの扱いは確実に倉わる。それは実䜓隓ずしお知っおいる。
いや。むしろ、矎しさが自分に自信を䞎えるこずや、人の芋る目や態床が倉わるこずを実際に䜓隓したからこそ、なおさら呚りの矎人が矚たしく思えるのかもしれない。あず、巚乳も矚たしい

「もしも、もっず恵たれた家に生たれおいたら」 「もっず頭が良かったら」 「もっず矎人巚乳だったら」

この嫉劬の特城は、盞手ぞの攻撃性よりも運呜ぞの絶望感が匷いこずだ。スタヌトラむンが違う理䞍尜さ。
「あの子から奪っおやりたい」ずいうよりも、「どうしお私は私なんだろう」ずいう神ぞの呪いに近い。

いくら必死でレベル䞊げしお装備を揃えおも、最匷装備でニュヌゲヌムしおるあい぀らには到底叶わない。「ズルい」。その䞀蚀に尜きる。その理䞍尜さ䞍可䟵領域には、どうしたっお嫉劬しおしたう。


「母芪である」ずいう愛の重し

このタむプの嫉劬で、私が静かに抱えおいるドス黒い感情がある。 それは「自由に動ける人」ぞの嫉劬だ。

「飲んでるから来ない」 「◯月◯日、トヌクむベントを開催したす」
急な誘いや東京でのむベントに「行きたす」ず即答できる人が矚たしい。 圌らの刀断は、カレンダヌの空きを確認する数秒の䜜業だろう。

私は䞭孊生ず小孊生の息子を持぀母芪で、そう簡単に身動きが取れない。山ほど家を空ける準備をしお、どれだけ完璧に段取りを぀けおも、出かけおる間䞭、心はドロリず重たい。
「母芪なのに家を空けるの」
家族を眮いお倖の䞖界ぞ繋がろうずするこずぞの眪悪感が、柱のようにずっずぞばり぀いおいる。

数幎前のあの日を、今でも鮮明に芚えおいる。

調敎に調敎を重ね、仕事で東京の出版瀟を蚪れおいた日曜日。枋谷の高局ビルで線集者ず打ち合わせをしおいた最䞭、倫からLINEが入った。

「長男が急に発熱。むンフル゚ンザかも」

頭が真っ癜になった。長男は明日からの修孊旅行をあんなに楜しみにしおいたのに。私のせいだ。母芪のくせに自分だけ勝手なこずをしおいるから、眰が圓たったんだ。
「もう薬飲んで寝おるから、気にせず仕事を頑匵っお」ずいう倫の優しさが、かえっお私の内臓をぎゅううっず朰した。

その埌の予定をキャンセルしお新幹線に飛び乗ったが、愛知に着いたのは時間埌。高熱で寝おいる長男を芋お、ただ自分の無力さに打ちひしがれるしかなかった。

私が出かけなくおも感染しおいたはず、ず頭では理解しおいるけれど、それでもなお、母芪なのに家を空けお東京ぞ出かけたこずぞの眰のように思えお仕方なく、ずっず倧きな重石になっおいる。

「子どもがいなければ、もっず遠くたでいけるのに」
口が裂けおも蚀っおはいけないタブヌが脳裏をよぎる。

母芪になったこずを埌悔しおいるわけではない。圌らは、自分以倖の誰かを愛するずいう䜓隓をさせおくれお、やっず私を少しはたずもな人間にしおくれた。子どもたちず䌚えなかった人生なんお考えられない。
だが、子どもたちを愛しおいるからこそ、その物理的な重みが呪わしい。

同じ才胜、同じ努力なら、身軜で自分の時間をすべお自由に䜿えるあんたの方が絶察に勝぀じゃん そうやっお自由に動ける人を劬み、そんなふうに思っおしたう自分を自己嫌悪する倜を䜕床も繰り返しおきた。

「お母さん」であるこずを脱ぎ捚おお生きるこずは、もはや私にはできない。この事実は倉えられない。

これこそが、努力や気合いではどうにもならない「䞍可䟵領域」の正䜓だ。 私がどんなに睡眠時間を削っおも、最匷のラむフハックを駆䜿しおも、身軜な圌らず同じ条件にはなれない。

それは私の胜力䞍足のせいではない。私が背負うこず遞んだ「環境」ずいう、絶察的な前提条件ぞの絶望なのだ。スタヌトラむンが違う。ルヌルが違う。その構造的な䞍平等に察しお、私は地団駄を螏んでいる。

出かけおいる間䞭、子どもらを心配し、䜕かあればうろたえる。そのどうしようもなさも含めお、今の私なのだ。

私は、なんお匷欲なんだろう。子どもたちの柔らかい頬を撫でる幞せも、䜜家ずしお評䟡される高揚感も、その䞡方が欲しい。

【凊方箋】 降参する

では、この「どうにもならないこず」ぞの嫉劬に、どう察凊すればいいのか。私がたどり着いた答えは䞀぀。降参だ。しょうもないけど、たあ聞いおほしい。

戊いようがない。なぜなら、これは「事実」だからだ。芪も、過去も、容姿も、子䟛がいる事実も、倉えられない。倉えられないものず戊い続けるのは、重力に逆らっお空を飛がうずするようなもの。疲匊し、萜ちお、怪我をするだけだ。

だからこの嫉劬には癜旗を䞊げるしかない。
「はい、降参降参。私は矎人じゃないし、生たれが裕犏じゃないし、䞭卒だし、子䟛がいお行動力には制限がある。でも矚たしい」
声に出しお蚀っおみる。䞍思議なこずに、「負け」を認めるず楜になる。

配られたカヌドは倉えられない。ポヌカヌで蚀えば、私の手札に「ロむダルストレヌトフラッシュ」は入っおいなかった。でも、手札が悪いからずいっおゲヌムに参加できないわけじゃない。

ブタ圹なしならブタなりの、ツヌペアならツヌペアなりの戊い方がある。「あの子のカヌド、いいなあ」ず暪目で芋おいおも、私の手札は倉わらない。
嫉劬における「降参」ずは、諊めるこずではない。

「私の手札はこれだ」ず盎芖し、そのカヌドでどう戊うかを考え始めるための儀匏なのだ。

「私はこの手持ちのカヌドで、あい぀らに勝぀」
愛する重り家族、過去、倉えられないもの、を匕きずったたた、それすらも掚進力に倉えお、ずっず高く、遠くぞ行っおやる。

そう腹を括った瞬間、運呜ぞの呪いは、執念ずいう名の゚ネルギヌに倉わる。
シャヌ猫の嚁嚇

. れロサムゲヌム型 「怅子の奪い合い」

二぀目は最も原始的で、最も攻撃性が高い嫉劬だ。名付けお「れロサムゲヌム型」嫉劬。
これは「誰かが勝おば、私は負ける」ずいう、有限なパむの奪い合いから生たれる嫉劬の感情だ。

数䞇幎前の狩猟時代。食料も、安党な寝床も、匷いパヌトナヌも、限られた資源だ。隣の男がマンモスの肉を独占すれば、自分は逓死するかもしれない。隣の女が矀れのリヌダヌの愛を埗れば、自分の子䟛は守っおもらえなくなるかもしれない。

限りある資源を他人に獲埗されるこずが、盎結しお自分の死を意味するからこそ、この嫉劬の感情は凄たじいのだ。


芪の愛の奪い合い

人生最初のラむバルは「匟」だった。

私が人生で初めお嫉劬を芚えたのは、い぀だっただろう ず蚘憶をたどるず、それは物心぀いた頃、匟が生たれた瞬間に遡る。

それたで私は、家庭ずいう王囜のプリンセスだった。母の愛も、父の関心も、お菓子も、おもちゃも、すべおは私だけのものだった。しかし、匟が珟れた瞬間、その平和は厩れ去った。

地黒で掻発で男の子みたいだった私ずは反察に、癜くお柔らかくお薔薇色のほっぺを持぀かわいい容姿の匟。

母は匟にかかりきりになった。「お姉ちゃんでしょ」ずいう呪いの蚀葉ずずもに、私の取り分だったはずの「母の愛」が目の前で匟に奪われおいく。子䟛にずっお芪の庇護は生存そのものだ。愛を倱うこずは死を意味する。だから私は必死で抵抗した。

ある日、ギャヌギャヌず泣く匟の顔を芋お無性に腹が立ち、気づけば私は匟の泣き顔を枕でぎゅうううっず塞いでいた。
「こい぀さえいなければお母さんを独り占めできるのに」
無意識の本胜がそう叫んでいたのだ。

あるいは、赀ちゃん返り。
「ギャヌ」ず泣けば母が飛んでくる匟を芋お、私は孊習する。「なるほど、無力さをアピヌルすればリ゜ヌス愛を獲埗できるのか」ず。
私も䞀緒になっお「ギャヌ」ず泣いお叫んで幌児退行しおみせる。鬌のように攟眮されおすぐ蟞めたが、あれもたた限られたパむを奪い返すための、必死の生存戊略だった。

私は倧人になっおも、職堎、家庭、孊校、コミュニティ、恋人ずの関係、いろんな堎所で、この「匟」の幻圱を远いかけおいるのかもしれない。
䌚瀟の埌茩、恋人の知人、有胜なクリ゚むタヌ、目立぀友人。
圌らが珟れるたびに、あの頃のように「私の堎所が奪われる」ずいう緊急アラヌトが鳎り響き、嫉劬の感情に狂うのだ。


浮気盞手を本気で「消そう」ずした倜

あれは、長男が歳、次男がお腹にいるずきだった。倫に浮気疑惑が持ち䞊がった。盞手は倫の䌚瀟の埌茩だった。

その時、最初に私の脳裏をよぎったのは悲しみではない。玔床100の「殺意」。
冗談ではなく、盞手の女をこの䞖から瀟䌚的に抹殺する方法を本気で考えた。

なぜそこたで狂ったのか。それは「愛」なんお蚀葉では説明が぀かない。もっず動物的な「生存本胜」だ。倫ずいう「資源生掻の糧、安心、子䟛の父」を、どこの銬の骚ずも知らん女にかっさらわれるわけにはいかない。 あれは、私の生存領域を䟵犯されたこずぞの緊急譊報アラヌトだったのだ。

「私の座っおいる怅子に、誰かが座ろうずしおいる」
そう感じた瞬間、人は鬌になる。もしあの時、息子たちがいなければ、私は今頃ここにはいなかったかもしれない。息子たちの存圚が、ギリギリのずころで私を人間界に匕き止めおくれた。


男の嫉劬は「ポスト」をめぐる戊争

この「怅子の奪い合い」は、男女関係だけではない。むしろ、瀟䌚的な堎所、特に男瀟䌚でこそ激化する。私は䌚瀟員時代、ある男性の先茩から執拗な嫌がらせを受けたこずがある。

私が成果を出し䞊叞に耒められ、もしや次期䞻任候補か ず噂がた぀ず、圌は露骚に䞍機嫌になり、陰で「郚長ずデキおる」ず蚀いふらした。デキおるわけないだろ。
おいうかこんなドラマみたいなベタな流れあるのか、ず思った。

結局、私が䞻任になるこずはなかったため、いざこざも有耶無耶になったが、圌にずっお䌚瀟は「限られた圹職ポスト」を奪い合う怅子取りゲヌムの䌚堎なのだろう。埌茩の女ごずきに自分の怅子を脅かされる恐怖。それが、あの粘着質な嫉劬の正䜓だったのかもしれない。

歎史を振り返っおも、戊争や政倉の裏にはい぀だっお男たちの暩力を巡る嫉劬が枊巻いおいる。䞖界の歎史は、男たちの嫉劬で動いおきたず蚀っおも過蚀ではないのではないだろうか


恋も仕事も物欲も。人が欲しがるから、欲しくなる。「欲望の䞉角圢」

れロサムゲヌム型嫉劬に限った理論ではないが、ここでフランスの哲孊者ルネ・ゞラヌルが提唱した「欲望の䞉角圢」ずいう理論を玹介したい。先述した山本先生の『嫉劬論』でも觊れられおいる

人間は、自発的に䜕かを欲するのではない。他者が欲しおいるものを暡倣しお、欲するようになるずいう理論だ。

私はか぀お、この䞉角圢理論にたんたずハマり、芋事に自爆したこずがある。
ある時私は、SNSで巚乳の女子倧生「リョりコ」ずいう架空の女性を䜜り䞊げ、自分の恋人にDMを送ったのだ。

りょうこむメヌゞ

圓時、私の圌氏「Eくん」の呚りには「マキ」ずいう女性の圱がちら぀いおいた。
「元カノで、今はただのツレ」らしいマキ。

倜に電話するずマキの働いおいる居酒屋にい぀もいるし、人で撮ったプリクラも出おきた。モダモダしながら過ごしおいるず、なんだか他にも女性の圱が芋え隠れしおいるような気がしおきた。
そういえばあの時も、あの時も、芋知らぬ女の子が居た気がする。怪しい。
  たさか、マキ以倖にもいる

「生たれ倉わっおも䞀緒にいたい。ナミさえいれば他に䜕もいらない」
っお蚀っおたくせにぃヌ ギリギリギリ  

他の女性に取られるかもしれないず思うず、俄然、圌が魅力的に芋えおきおすっかり倢䞭になっおしたった。

䞍安になった私は、圌が「私以倖からの誘い」を断るかどうか、どうしおも確かめたくお仕方がなくなった。
そこで生たれたのが、私ず正反察のスペックを持぀仮想女子倧生「リョりコ」だ。

「はじめたしお。リョりコずいいたす。Eくん、めっちゃタむプで  」
泣きながら自䜜自挔のお誘いメッセヌゞを送った。
リョりコを無芖しおほしい、圌の愛を信じたいずいう願いず、たんたず匕っかかったずころを芋お「ほらね」ず本性を暎きたい、もう楜になりたいずいう䞡方の想いを抱え、ぐちゃぐちゃな気持ちで画面を芋぀めた。
するず  

「メッセヌゞ嬉しい いいよ。ずりあえず飲みに行く 今倜ずかどう 急すぎるかテヘ、みたいな顔文字」

すぐキタヌヌヌヌヌヌヌ

私には䜕時間も返事をしないくせに、巚乳のリョりコには即レスだった。テヘ、みたいな顔文字が死ぬほどムカ぀いた。その絵文字ず、錻の䞋を䌞ばしお浮かれおいる圌の顔が重なっおカッずなり、握りしめおいたスマホをベッドに力いっぱい叩き぀けた。ボフンッ

ほらね。やっぱり
壮絶な怒りの埌、頭から血がサヌっず匕いおいく感芚がしお、悲しさず虚しさが胞いっぱいに広がった。ああ、もう最悪じゃん  。
リョりコもナミ私もすぐに圌をブロック。その恋は終わった。

自分が生み出した架空のキャラクタヌに圌氏を寝取られる未遂。この、誰にも救いのない自䜜自挔の悲劇を、私は深倜の垃団の䞭でたった䞀人で完結させたのだ。

゚ッセむストずしおの文章力をよりによっお自分の粟神をズタズタにするために掻甚しおしたった自分を今すぐ埀埩ビンタしおやりたい。これほど「誰が埗するんだ」ずいうわけのわからん執念もそうそうないだろう。

もしかしたらあの日、元カノずのプリクラを芋぀けなければ、私は圌を取られたくないなんお思わなかったかもしれない。先に嫉劬が生たれたからこそ、圌を奜きだず感じたのかもしれない。

この「恋しい、欲しい、離したくない」ずいう想いは、嫉劬なのか、執着なのか、独占欲なのか、愛なのか 

マキが圌を狙っおいる。マキずいう第䞉者が欲しがる圌には、䟡倀がある。絶察に枡したくない。その焊りが、私を狂わせた。

ルネ・ゞラヌルの「欲望の䞉角圢」論は、なるほど人々の欲望の仕組みをよく衚しおいるず思う。

ブランド品が欲しくなるのも、SNSでバズっおいる店に行きたくなるのにも、この䜜甚が働いおいるこずがあるだろう。
「みんなが欲しがっおいるから、欲しい」。
私たちは自分の欲望さえも、誰かの真䌌暡倣をしおいるに過ぎないのかもしれない。


嫉劬・独占欲・䟝存・愛の「成分分析衚」

結局、自分が恋人を嫉劬や執着を陀いた玔粋な愛情で想っおいるのかどうかは、い぀もよくわからない。
ルネ・ゞラヌルの蚀う通り、「欲望は第䞉者の県差しなしには完結しない」、玔粋な愛や欲望なんお存圚しないんじゃないだろうか

私の脳内では垞にいろんな感情がごちゃ混ぜになっおいる。嫉劬、独占欲、所有欲、䟝存、執着。そしお、愛。
これらは切っおも切り離せない関係にあり、ドロドロに溶け合っお巚倧な䞀぀の塊になっおいる。

「どこたでが愛で、どこからが執着なのか」 「どれが最初に生たれるのか」  

執着  

私の恋愛のすべおの土台にあるのは「䟝存」なのかもしれない。
「誰かに必芁ずされなければ、私には䟡倀がない」「誰かが評䟡しおくれなければ、自信が持おない」
この匷烈な自己欠損感が、すべおの始たりなんじゃないだろうか。

自分に自信がないから、土台がグラグラだから、自分の䟡倀を確認するために盞手を自分のそばに瞛り付けお固定したくなる。これが私の「独占欲所有欲」だ。
人間を「モノ」のように扱い、「私の所有物だから、勝手にどこかに行くな」ず檻に閉じ蟌める。

その檻に誰かが近づいたり、所有物がどこかぞ逃げ出したりしそうな時に、けたたたしく鳎り響く譊報アラヌト。それが「嫉劬」だ。

぀たり、順番ずしおはこうだ。

䟝存私の䟡倀を保蚌しお
独占欲私だけのものでいお
嫉劬誰にも枡さない、奪う奎は敵だ

私はこのドス黒い䞉局構造のケヌキに綺麗なホむップクリヌムを塗りたくり、むチゎを乗せお、こう呌んでいるんじゃないだろうか 「愛」ず。

「嫉劬するのは、愛しおいるから」「束瞛するのは、奜きだから」
その正䜓のほずんどは盞手を愛しおいるからではなく、盞手を倱うず空っぜになっおしたいそうな自分を必死で守ろうずする「生存本胜」なのではないだろうか。

私は圌を愛しおいるのではなく「圌に愛されおいる自分䟡倀のある自分」を守るこずに必死なだけなのかもしれない。
ずなるず、これは盞手ずの戊いではない。自分の「孀独」や「無䟡倀感」ずの戊いなのだ。

話が逞れお申し蚳ない。
い぀かは私も、誰にも必芁ずされなくおも存圚䟡倀があるず、自分で認められるようになるんだろうか。

その時が来たら、本圓の意味で、誰かを愛するこずができるようになるんだろうか。

【凊方箋】  ã€Œãã®ãƒ‘むは本圓に有限か」ず疑う

この「れロサムゲヌム型」の嫉劬に焌かれおいる時、私たちは芖野が極端に狭くなっおいる。
「愛も、圹職も、評䟡も、人気も、すべお数に限りがある」ず思い蟌んでいるのだ。

誰かが幞せになるず、自分の分の幞せが枛ったような気がしお焊る。あの子が愛されたら、耒められたら、私は愛されない気がする。あの人が仕事で評䟡されたら、私の居堎所がなくなる気がする。

でも、冷静になっお考えおみおほしい。そのパむは、本圓に有限なのだろうか

あの子が幞せになったからずいっお、私の幞せが枛るわけではない。友人の子どもが優秀だからずいっお、私の子どもの䟡倀が䞋がるわけではない。同業者の本が売れたからっお、私の本の䟡倀や面癜さが損なわれお売れなくなるわけではない。

凊方箋は「認知の修正」だ。嫉劬の炎が燃え䞊がった瞬間、呪文のように唱えるのだ。
「他人の成功は、私の倱敗ではない」「あの子が光っおいおも、私の光が消えるわけではない」

䞖界は広い。怅子は䞀぀じゃない。もしここの怅子が埋たっおいおも、自分で新しい怅子を䜜ればいいし、別のテヌブルに行っおもいい。
「奪い合い」ずいう狭いリングから降りた時、初めお私たちは、他人の幞せを少しだけ蚱せるようになる。  ず、いいな。

ただ、そんなこずは頭ではわかっおいるけれど、理性が远い぀かないこずも事実だ。
䞀番凄たじい嫉劬心が湧き起こるのがこの皮類の嫉劬だ。

感情はい぀も理性を簡単に超えお突っ走る。ああ、苊しい。

. 自己理想型 「なりたい私ぞの枇望」

最埌の䞉぀目は、少し毛色が違う。
盞手を憎いず思う心の奥底に「自分ぞの期埅」が隠れおいる嫉劬だ。名付けお「自己理想型」嫉劬。

これは「本来なら、私がそこにいるはずだったのに」ずいう、理想の自分IFの自分を䜓珟しおいる盞手ぞの苛立ちである。

正盎に癜状しよう。私の嫉劬のほずんどは、このタむプに分類される。曞き出しおみるず、キリがない。

なりたい姿

いくらでも出るぞ、ホむ

面癜い文章が曞ける人が矚たしい。本がたくさん売れおいる人が矚たしい。友達が倚くおい぀も予定が埋たっおいる人が矚たしい。楜しそうにみんなでお茶しおいるママ友が矚たしい。人気者が矚たしい。フォロワヌが倚い人が矚たしい。東京のど真ん䞭で掗緎された生掻を送る郜䌚人が矚たしい。悩みなんおなさそうに楜しそうに笑う陜キャが矚たしい。行列に平気で割り蟌めるほど神経が図倪い、図々しいおばちゃんが矚たしい。高孊歎ずいう「信頌のラベル」を持っおいる人が矚たしい。矎人が矚たしい。巚乳が矚たしい。若い子が矚たしい。お金持ちが矚たしい。自由に動ける人が矚たしい。老若男女にずにかくモテたい。モテる人が矚たしい。もっず評䟡されたい、耒められたい、評䟡されおいる人が矚たしい。

どうだ。きっずドン匕きしおいるこずだろう。

この嫉劬の察象は「生たれ぀き䞍可䟵領域」の芁玠がある皋床含たれおいるこずもあるけれど、基本的には自分次第で手に入れられる可胜性があるものだ。

もっず頑匵れば成功しおいたかもしれない。理想の私が目に浮かぶ。これが、めちゃくちゃ心がざわ぀く。いおもたっおもいられなくなっおくる。

私は、私が遞ばなかった、あるいは遞べなかったすべおの可胜性に未緎たらしく嫉劬し続けおいる。

「東京」ずいう名の呪い

その象城の぀に「東京」がある。私は珟圚、愛知県に䜏んでいる。䜏みやすく食べ物も矎味しく、愛すべき故郷だ。

しかし、東京で掻躍する同業者や、キラキラした東京の街䞊みがSNSで流れおくるず胞がざわ぀く。「東京コンプレックス」だ。    

郜䌚うらやたしい

か぀お私は「東京にさえ行けば䜕者かになれる」ず信じお䞊京したこずがある。
だが珟実は厳しかった。䜕者にもなれず、東京のスピヌドの速さや孀独に打ちのめされ、たった1幎で逃げるように愛知に垰っおきた。

東京で掻躍しおいる人を芋るず、傷が疌く。
「もしあの時、歯を食いしばっお東京に残っおいたら  」

東京のあちこちの出版瀟で芋晎らしのいい高局ビルの窓から県䞋を芋䞋ろしながら打ち合わせをし、週末は䞋北沢のおしゃれな本屋さんでトヌクむベントをしおキャヌキャヌ蚀われおいる売れっ子゚ッセむストの私の姿が目に浮かぶ。

東京は私にずっおただの郜垂ではない。自分が手に入れ損ねた「究極の承認装眮」なのだ。


苊手なあの人は、「なりたかった私」

この嫉劬は、性栌や生き方に察しおも向く。私は根暗で、陰キャで、人の顔色ばかり䌺っおしたう性栌だ。だからこそ、行列に平気で割り蟌む図々しいおばちゃんや、こちらの郜合もお構いなしにグむグむ距離を詰めおくる図倪い人を芋るず、むラっずするのず同時に猛烈に矚たしくなる。

「あんなふうに他人の目なんお気にせず、欲望のたたに生きられたらどんなに楜だろう」「あんなふうに『私はこうしたい』ず倧声で蚀いたい」

苊手なはずのその図倪さが、実は喉から手が出るほど欲しい「自由」に芋える。

たた、そのドス黒い感情は、圧倒的な存圚感を持぀陜キャな友人ぞも向かう。

い぀もみんなの茪の䞭心にいお、倩性のスタヌのようで、息をするように皆から愛される友人。その明るく倧雑把な振る舞いは、神経質で気難しい私からするず、時に無神経で図々しく映る。

そんな圌女を芋お、私は心の安党を守るためにこう毒づく。
「生たれ぀き陜キャで、胜倩気でいいね」「あなたず私は䜏む䞖界が違う」

けれど本圓は違う。䜏む䞖界を分けたいのは私の方だ。同じ土俵に乗っおしたえば自分の惚めさが際立぀から。本圓は私もその匕力が欲しい。暗くおゞメゞメした自意識の檻から抜け出しお、誰からも愛される倪陜ずしお、䞖界の真ん䞭で笑いたいのだ。

正矩ずいう名の「合法的な嫉劬」

「あんなふうに愛されたかった」「倪陜になりたかった」
そんな切実な「なりたい私」ぞの枇望が、最も醜い圢で噎出する瞬間がある。それは、憧れおいた他者の転萜を目撃した時だ。

ドむツ語で「シャヌデンフロむデ他人の䞍幞は蜜の味」ず呌ばれるこの感情は、珟代のSNS瀟䌚で「正矩の鉄槌」ずしお可芖化されおいる。

たずえば、枅玔掟女優の䞍倫スキャンダルが報じられたずき。キラキラしおいた起業家が犯眪を犯しお逮捕されたずき。

ワむドショヌやネットニュヌスで、䞍倫をした女優が袋叩きに遭っおいるのを芋るず私も石を投げたくお゜ワ゜ワしおくる。
「裏切られた」「枅玔掟だず思っおいたのに」「子䟛がかわいそう」
もっずもらしい正矩の蚀葉を䞊べおいるけれど、その本音は違う。

私たちは道埳的だから怒っおいるのではない。こんな若くおかわいい子に自分のパヌトナヌを盗られたら  ずいう恐怖や、自由に生きられる圌女のこずが矚たしくお叩くのだ。

圌女たちは、矎貌も、富も、名声も持っおいる。それなのに、さらに「犁断の愛」ずいう快楜たで手に入れようずした。
「こっちは日々、安売りスヌパヌで節玄しお、倫ぞの䞍満も飲み蟌んで、垞識ずいう檻の䞭で我慢しお生きおいるのに」「お前だけ党郚手に入れるなんおズルい」
その「ズルい」ずいう嫉劬心が、盞手がミスをした瞬間に「正矩」ずいう名の鉄槌に倉わり培底的な制裁ぞず倉わる。

これは「䞊方嫉劬」の反転でもある。私たちは無意識に、有名人に「私のなれない理想の人間」ずいう倢を蚗しおいる自己理想の委蚗。

だからこそ、その偶像が泥臭い欲望䞍倫を芋せた瞬間、「私の理想を汚した」「お前も結局、欲たみれの人間だったのか」ずいう勝手な倱望も混ざり、「今たで散々いい思いしやがっお」「もっず萜ちぶれろ」ず爆発し、癟倍の憎悪ぞず反転するのだ。

正矩の鉄槌の正䜓。それは「私が矚たしいず思っおいたこずを、やっおのけた人間」ぞの合法的な埩讐に他ならない。

才胜ずいう名の「絶望」

私にずっお最も苊しく、最も逃げ堎のない地獄。それが、才胜ぞの嫉劬だ。

冒頭で曞いた、知人の䜜家に察する嫉劬。それがなぜあんなに苊しいのか。それは「掻躍しおいる䜜家」こそが、私が䞀番なりたい「私の理想像」だからだ。

曞店でふず手に取った゚ッセむ。䜕気なく開いた1ペヌゞ目。そこに曞かれおいた䞀行が、あたりにも鮮やかで、本質を突いおいお、そしお面癜かった時。私は感嘆するよりも先に、絶望する。

党身の血が逆流するような敗北感。玠晎らしい䜜品に出䌚った喜びなど埮塵もない。あるのは、その才胜に察するドス黒い殺意ず、自分の無力さぞの嘆きだけだ。

映画『アマデりス』で、宮廷音楜家サリ゚リは倩才モヌツァルトに狂おしいほどの嫉劬を燃やした。サリ゚リの䞍幞は、自分もたた䞀流であるがゆえに、モヌツァルトずいう異次元の才胜ず同じ時代に生きおしたったこず。そしお、その圧倒的な差を残酷なほど正確に理解できおしたう耳を持っおいたこずだ。

違いがわからなければ幞せだったのに。私も同じだ。「この衚珟の䜕がどう玠晎らしいのか」が痛いほどわかっおしたうからこそ、自分ずの埋めようのない距離を突き぀けられお、のたうち回る。

なぜこうも苊しいのか。それは、私が曞くこずに自分の党人生を賭けおいるからだ。

矎貌やお金ぞの嫉劬はただいい。「あったらいいな」ずいうアクセサリヌのようなものだから。でも、才胜ぞの嫉劬は違う。これは私の存圚の問題だ。「曞くこず」は私が私であるための唯䞀の蚌明だ。

それなのに、私よりも深く、矎しく、倚くの人に届く蚀葉で䞖界を切り取っおいる人がいる。それはたるで「お前は芁らない」ず宣告されおいるようなものだ。

私が曞きたいテヌマ、私が魅せたい䞖界、私が笑わせたかった誰か。それら党おを私より才胜のある誰かが軜々ずさらっおいく。私がその堎に立っおいたかったのに  

この「自己理想こうありたい私」ぞの枇望こそが、クリ゚むタヌを突き動かす原動力であり、同時に私たちを焌き尜くす業火なのだず思う。

たったくゞャンルの違う人が売れおいおもそこたで嫉劬しない。
「私ず同じ土俵で、私が欲しかった称号を、知人が手に入れおいる」
その事実が私の心をズタズタに匕き裂く。

「なんで私じゃないの」「私の方が面癜いはずなのに」「こんなに頑匵っおるのに」
その叫びは、裏を返せば「私はそこに行けるはずの人間だ」ずいう、肥倧化した自尊心の裏返しでもある。

SNSは嫉劬の増幅装眮 〜数字で可芖化される「人間の䟡倀」〜

Amazonのランキングを芋るのが怖い。曞店の棚で、自分の本よりも倧きく平積みされおいる同業者の本を芋るのが怖い。
「売れおいるものが良いものずは限らない」そんな負け惜しみを蚀っおみおも、数字ずいう珟実は残酷に私の䟡倀をゞャッゞしおくる。

この「なりたい自分」ぞの枇望が最も暎走しやすいのが「数字」だ。私たちは資本䞻矩ず承認欲求の荒野に生きおいる。

「フォロワヌ数」「PV数」「Amazonランキング」「重版出来」。
これらはただの数字ではない。「あなたには䟡倀がある」ずいう瀟䌚からの評䟡だず脳が錯芚しおいる。

その理想ぞの枇望が匷すぎお、私は過去に䞀床、犁断の果実に手を出したこずがある。SNSのフォロワヌを買ったのだ。

ただXがTwitterだったころ。フォロワヌが900人くらいだった私は、どうしおも早く1000人の倧台に乗せたいず思っおいた。フォロワヌずいう「数」が欲しかった。䞭身なんお䌎っおいなくおいい。ただ「フォロワヌ数が倚いアカりント圱響力のある私」ずいう理想のガワだけが欲しかった。

「倖囜人フォロワヌ100人」ずいう商品をカゎに入れポチッず賌入するず「ご泚文ありがずうございたす。24時間以内に埐々に増加したす」ず衚瀺された。

フォロワヌ賌入がバレるずアカりントが凍結されるらしいず聞いおいた私はドキドキしながら増えるのを埅った。するず、埐々にず曞かれおいたのに数分で䞀気に増えた。

「うわ、たじで増えおる やばいやばいやばい」
増えたフォロワヌを芋るず、ほが党員がどう発音しおいいかわからないようなアルファベットの名前にアニメキャラのアむコンだった。

数十分のうちにあっずいう間に、倢にたで芋たフォロワヌ1000人に到達した。しかし、こんなに短期間で倧量に増え、どう芋おも日本人じゃないむンチキくさいアカりントがずらりず䞊んでいる。これでは䞀発で買ったこずがバレる
「こい぀フォロワヌ買ったな。クスクス」ず蔑たれおSNS人生は終わりだ。あヌ、最悪だ。もうこのアカりントを削陀するしかない

そう思っおいたずころ、䞀瞬到達した1000ずいうフォロワヌ数がポロリポロリず枛っおいった。あれ、どんどん枛っおる

日もするず怪しいアカりントは党員消え、元の900人に戻っおしたった。
「なんだこれ、詐欺じゃないか」

理想の自分を金で買っおも䞭身の私は䜕ひず぀倉わらなかった。むしろ、ハリボテの鎧を着蟌んだこずで、䜙蚈に自分が惚めでちっぜけな存圚に思えた。あれは焊りすぎた私の「自己理想」が起こした悲しい暎走事故だった。

ただ、今でもSNSの数字に䞀喜䞀憂しおいるこずに倉わりはない。

私は、なぜこんなに評䟡に飢えおいるのだろう 「承認欲求」ずいう蚀葉で片付けるのは簡単だ。
けれど、これは「自分が䜕者であるか」を、他人のモノサシで枬ろうずしおいるからではないかず思う。

「たくさんの人が『いいね』ず蚀っおくれたから、私の文章は面癜い」
「本が売れたから、私には䟡倀がある」
逆に蚀えば、数字がなければ自分を信じられないのだ。

自分の䟡倀を他人に委ねおいる限り、この「評䟡ぞの嫉劬」は終わらない。 もっず䞊の人が珟れるたび、ランキングが䞋がるたび、私は䜕床でも「自分は無䟡倀だ」ず絶望するこずになる。

もはや私の指は、無意識にラむバルの名前を怜玢窓に打ち蟌むマシヌンず化しおいる。この執念を別の䜕かに掻かせれば、今頃もっず䜕らかの実瞟を残せおいたんじゃないだろうか。本圓に無駄すぎる。

SNSなんお芋なきゃいいのに

この「自己理想型嫉劬」の最終的なゎヌルは、数字を远いかけるこずではない。
他人の評䟡数字を介さずに、「私はこれでいい」ず自分で自分にハンコを抌せるようになるこず。それがこの枇望地獄から抜け出す方法なのだろう。

たあ、それができれば苊劎はしない。私が䞀番SNSなんお芋るのをやめたい。

今この瞬間だっお本の売れ行きは気になるし、バズっおる゚ッセむの投皿を芋るず嫉劬で胃がムカムカする。人間だもの。ふん

【凊方箋】 それは「なれる」ずいう蚌明曞

この「自己理想型」の嫉劬は、苊しいけれど、実は䞀番「垌望」に近い堎所にいる。なぜなら、脳は「自分にも手が届く可胜性がある」ず刀断した盞手にしかこのタむプの嫉劬信号を送らないからだ。
私は空を飛ぶ鳥に嫉劬しない。道端の石ころにも嫉劬しない。

「自分もそうなれる可胜性がある」「そうなりたい」ず深い郚分で信じおいるからこそ、「なんでそこにいるのが自分じゃないんだ」ず腹が立぀のだ。

この嫉劬を感じたら凊方箋は䞀぀。「燃料にする」こずだ。
嫉劬は「理想」の裏返しであり、ガ゜リンになるこずの蚌明。

「悔しい」ず感じるのは、ただ諊めおいない蚌拠だ。東京コンプレックスを感じるなら、地方に䜏んだたたでも東京の人たちを驚かせるような仕事をすればいい。
フォロワヌがたくさん欲しいなら、増やす努力を少しでもしおみればいい。

この嫉劬は、コンパスだ。「あなたの行きたい堎所はあっちですよ」ず、痛みを䌎っお教えおくれおいるのだ。

苊しくお、蟛くお、虚しくお、時に溺れお死にそうにもなるけれど、そこは䞡足でグッず螏ん匵っお堪え、このドロドロずした感情をガ゜リンに倉えお゚ンゞンをふかしおいる。
「もうこれでいいや」ず諊めるこずができないのならば、前に進むための掚進力にするしかない。本圓にしんどいけれども。


こうしお「぀の嫉劬」を解剖しおみるず、察凊法がたったく違うこずがわかるだろう。

. 䞍可䟵領域型運呜・過去 → 「降参」しお、手持ちのカヌドで戊う。

. れロサムゲヌム型奪い合い → 「認知修正」しお、別の怅子を探すか、パむは無限だず知る。

. 自己理想型未来・可胜性 → 「燃料」にしお、進む力に倉える。

埗䜓の知れないバケモノに振り回されるより、構造やメカニズムを知り、解像床を䞊げお名前を぀けおやるず、恐怖心はずいぶんず和らぐのではないだろうか。

ずはいえ、嫉劬は嫉劬。どんなに理屈で歊装しおも、倜䞭にSNSを芋お胞が匵り裂けそうになる瞬間はれロにはならない。
「あヌあ、できれば人ず比范なんおしない、もっず穏やかな自分になりたいなあ」
本音を蚀えば、それが䞀番だ。こんなドロドロした感情、持たずに枈むならその方がいいに決たっおいる。

そんな「嫉劬を捚おお楜になりたい」ず願う私の前に、ある日、䞀人の女性が珟れた。
「私、嫉劬したこずないんです」

そう語る、信じられない人皮ずの察話に぀いお、次章では蚘そうず思う。

【第章】 転換 「燃料化」〜嫉劬は人生の掚進力〜

ここたで、嫉劬がいかに苊しく、醜く、厄介なものであるかを散々曞いおきた。
読者のあなたは、こう思っおいるかもしれない。
「わかったから、早くこの苊しみから解攟しおくれ」 「どうすれば嫉劬しない穏やかな心になれるんだ」ず。

なんなら途䞭を党然読たずに、䞀気にここたで飛ばしおいる人もいるかもしれない。できればもうちょっず読んでほしい。

䞖の䞭には「嫉劬しないための本」や「足るを知る」ための教えが溢れおいる。私もか぀おはそれを目指しおいた。
もっずもっず頑匵っお、自分に自信を持おるようになれたなら。
誰かず比范する必芁がなくなれば、今のたたで十分幞せ、自分はありのたたで玠晎らしいず思うこずができる、ず思っおいた。

けれど、ある女性ずの察話が、私の考えを根底から芆した。

「嫉劬を捚おるこず」は、本圓に正解なのだろうか

「嫉劬しない人」に䌚っおみた

嫉劬に぀いお曞き続けおいる私の元に、こんなメッセヌゞが届いた。
「私は人に嫉劬したせん。斉藀さんはどうしおそんなに嫉劬できるんですか」

これは  ディスられおるのか 

゚ッセむを公開するたび無数の「傲慢な女だな」「足るを知れ」系のコメントが届く。これもその類かもしれない。

あるいは、本圓に嫉劬しない人はこの䞖に存圚しお、本圓に私がい぀でもどこでも嫉劬しおいる様子を、心底、䞍思議に思っおいるずいうこずもあるのかもしれない。

気になっおしかたがない私は、送り䞻のSさん30代前半・郜内圚䜏の母芪に話を聞いおみるこずにした。若くお東京に䜏んでいるずいう時点で、すでに嫉劬

Sさんはこう蚀った。
「他人に興味がないんです。人に勝ちたいずか矚たしいずか思えないんです。他人が自分よりすごいのは圓たり前で、自分には敵うはずがないので、負けお圓然、みたいな感じです」

私は食い䞋がった。
「奜きな人を独り占めしたいずか、これだけは勝ちたいずか、少しはありたせんか」

「ないかも。䜕かに倱敗するず萜ち蟌むだけだし、頑匵るのは疲れるので。やれるこずだけやっお、必芁ずされれば応えたす。どうしおも手に入れたいものずかもなくお、今日はあったかいなずか、このケヌキ矎味しいなずか、そういうので満足しおしたいたす」

「今日はあったかいな」で満足   え、それだけでいいの  他者の評䟡は 札束は

たるで䞭囜の思想家・老子が説いた「足るを知る者は富む」を地で行くような、穏やかで矎しい生き方だ。
「もっずもっず」ず欲しがり続け、のたうち回っおいる私より、圌女の人生は明らかに豊かで幞せそうに芋える。

けれど、話を聞いおいるうちに私の心に疑問が広がっおいった。Sさんはこう続けた。
「いいこずだずは思えないんです。疲れるこずはなるべく避けたいけれど、このたたでいいのか䞍安になるし、逃げおいるような気もしお焊りたす。焊ったずころで、秒くらいで、私にはやっぱ無理だ、仕方ない、ず思っお終わっおしたいたす。だから私はナミさんはすごいなず思うんです」

嫉劬喪倱゚ンゞンの停止

嫉劬をするのはずにかく疲れるずいうこずか。確かにそれはそうかもしれない。そしお圌女の蚀葉を聞いお、こう思った。

圌女は、傷぀くのを恐れお土俵に䞊がるこずを回避しおいるだけなのではないか

「自分には敵うはずがない」
その蚀葉は朔いようでいお実は自分の可胜性ぞの「諊め」だ。 嫉劬がない䞖界は、確かに静かで穏やかだろう。
そこには「悔しいから頑匵る」ずいう熱量も「あい぀より遠くぞ行きたい」ずいう向䞊心もない。

我が家の次男が小孊校幎生の時、運動䌚の埒競争で負けおものすごく悔しがったこずがあった。圌はその日を境に走る緎習をはじめ、嫌いなピヌマンを「匷くなるためだ」ず蚀っお食べるようになった。
もし圌がSさんのように「あの子には勝おないから、負けおもいっか」ず思っおいたら、圌は緎習をしなかっただろうしピヌマンも食べなかっただろう。

人に勝ちたい。認められたい。あの堎所に行きたい。そのドロドロずした枇望は、私たちを突き動かす「人生の掚進力゚ンゞン」なのだ。嫉劬を捚おるずいうこずは、この゚ンゞンを自ら降ろし、海の䞊でプカプカず挂流するこずを遞ぶのず同矩なのかもしれない。

Sさんの蚀う「秒で諊める」人生を私は生きたいだろうか
答えはNOだ。
私はたずえ苊しくおも、ピヌマンを食べおでも、䞀等賞を目指しお走りたい。

レヌダヌではなく「矅針盀」を持お

ここで、私が本来目指すべき姿に぀いお䞀぀の答えを提瀺したい。
アメリカの瀟䌚孊者、デノィッド・リヌスマンの理論だ。こちらも山本先生の『嫉劬論』で觊れられおいる

リヌスマンは珟代人の倚くを「他人指向型」ず呌んだ。これは頭に高性胜なレヌダヌを぀けおいる状態だ。
「あの人はどうしおいるか」「䞖間では䜕が流行っおいるか」「誰が賞賛されおいるか」。
党方䜍にレヌダヌを匵り巡らせ、他人の動きに合わせお自分の進路を決めおいる。
それ、めちゃめちゃ私だ  

SNSなんお、たさにこのレヌダヌの増幅装眮だ。「いいね」の数や「重版」の文字に䞀喜䞀憂し、他人の信号が自分より匷いず嫉劬に狂う。
私の頭䞊にはきっず超りルトラハむパヌギガマックスデラックス高性胜レヌダヌが぀いおいるに違いない。

察しお、先ほどのSさんはこのレヌダヌの電源をオフにしおいる状態だ。他人の信号を受信しないから、嫉劬もしない。その代わり、どこぞ向かえばいいかもわからない。

だがリヌスマンが提唱した理想の生き方は、そのどちらでもない。「ゞャむロスコヌプ矅針盀」を持぀生き方だ。

他人の信号レヌダヌではなく、自分自身の内偎にある信念や目暙矅針盀を頌りに進むこず。
圌はこれを「自埋」ず呌び、人間ずしおの「真正さ」だず説いた。

明らかに栞心っぜい。

真正さぞの諊め

リヌスマンの蚀う「矅針盀」は、他人の目なんお気にしない、鋌の意志を持った人の生き方だ。本圓にかっこいい。

できるこずなら私もすぐにでも頭䞊のレヌダヌの電源を匕きちぎっおオフにしお、他人のこずなんおミリも気にせず、矅針盀の方向だけを信じお歩きたい。

だがスマホを芋お䞀喜䞀憂しおいる私は、珟状、救いようのないレヌダヌ人間だ。これたで、私の進路はい぀だっおこの醜い嫉劬が決めおきた。

「重版」に嫉劬するのは、私が「倚くの人に本を届けたい」ず願っおいるから。「自由な人」に嫉劬するのは、私が「もっず広い䞖界を芋たい」ず枇望しおいるからだ。

やはり嫉劬は「私がどう生きたいか」を教えおくれる、欲望に正盎なナビゲヌションシステムだず思えお仕方がない。

私の頭䞊の超りルトラハむパヌギガマックスデラックス高性胜レヌダヌは、今日も今日ずお「あの人のポッドキャストがバズっおる」ずいう電波を最高感床でキャッチしおしたっおいる。
匷欲でせっかちで、矅針盀がどこを指しおいるかを芋極めるたで穏やかに静かに埅っおいられない。

だったらもう私は芚悟を決めお、この「嫉劬」ずいう名の猛獣にたたがっお、行けるずころたで行くしかないのでは  

こっちだオラヌヌヌ

もちろんSさんのように他人ずの競争を避け、諊めるこずで嫉劬を消し、穏やかな海を挂う生き方もあるだろう。それはそれで䞀぀の完成された幞せの圢だ。

しかし私は避けたくも諊めたくもない。いや、正盎に蚀うず䜕床も諊めようずした。なんずか気にしないようにした。

それでも、無理だった。どうしたっお考えおしたう。悔しくお眠れなくなっおしたう。諊めたくおも諊めきれない。

この嫉劬たみれの瀟䌚の䞭で、他人の成功ずいうノむズに惑わされたくないずは思い぀぀も、耳を塞ぐこずができず「うらやたしい くっそヌ 私もそっちに行くんだ」 ず叫びながら、自分の足で進むこずしかできなかった。

そしお、その嫉劬が、私をここたで連れおきおくれた。

私は、もう諊めるこずを諊めた。

ありのたたの自分に自信を持぀ずは「ありのたたの自分で十分玠晎らしい。頑匵らなくおいい。」ず無理に思い蟌むこずではなく、「私は嫉劬深く、匷欲で、負けず嫌いな人間だ。それが私だ」ず認め、その業を背負っお生きおいく芚悟を決めるこずなんじゃないだろうか。

おわりに


痛くお、苊しく、そしお少しだけ愛おしい「嫉劬」ずいう感情。私は曞きながら嫉劬にずこずん向き合っおきた぀もりだ。

「生存本胜」だず知り、「距離の法則」を知り、「぀の型」に分類し、それぞれの凊方箋を手に入れた。そしお、嫉劬しない人ず話しおみお、この感情こそが私を突き動かしおきたガ゜リンであったこずにも気づいた。

けれど、あえお最埌にもう䞀床蚀おう。やっぱり、嫉劬は苊しい。

明日もきっず、私は誰かに嫉劬する。スマホの画面を芋お、自分より売れおいる誰かの掻躍に唇を噛み、みぞおちが熱くなり、「なんで私じゃないの」ず叫びたくなるのだろう。

この教科曞を曞いたからずいっお、嫉劬心を容易く飌い慣らせるようになるわけではない。私はきっず死ぬたで、匷欲で、負けず嫌いで、カッコ悪いたただろう。

でも、今の私は、この苊しみを少しだけ誇らしく思うこずができおいる。

なぜ、私はこれほどたでに嫉劬するのか なぜ、他人が矚たしくおたたらないのか それは、私がただ「自分」ずいう人間に絶望しおいないからだ。
「私ならもっずできるはず」「私はもっず幞せになれるはずだ」ず、自分の可胜性を誰よりも信じおいるからだ。

本圓にダメだず思っおいるものに期埅なんおしない。私がこれほど苊しいのは、私が自分自身を愛しお愛しお愛しすぎおいるからだ。

私は、嫉劬するほど「生きたい」のだ。より良く、より高く、より遠くぞ。呜を燃やしおこの䞀床きりの人生をしゃぶり尜くしたいず願っおいるからこそ、心は熱く焌け付く。その熱さを恥じる必芁なんおない。

この痛みは私が党力で生きようずしおいる蚌拠だ。

だから、私は誓う。これからも堂々ず嫉劬し続けおやる。みっずもなく足をバタ぀かせ、泥氎でドロドロになりながらも、この「嫉劬」ずいう名の猛獣にたたがっお行けるずころたで行っおやる。

「あい぀が矚たしい」ず叫びながら、その゚ネルギヌで新しい䜕かを曞き、䜕かを䜜り、昚日より少しだけ進んだ堎所ぞ自分を連れお行く。

もし、あなたが今、誰かぞの嫉劬で倜も眠れずにいるなら。自分はなんお性栌が悪いんだず、暗いトむレの䞭でうずくたっおいるなら。どうか、この蚀葉を思い出しおほしい。

倧䞈倫。その嫉劬は、あなたが諊めおいない蚌拠だ。

さあ、その煮えたぎるようなドロドロの感情をガ゜リンに倉えお、私たちの人生を走ろう。嫉劬深い私たちにしか芋られない景色が、きっずこの先には埅っおいるはずだから。

おしたい。


  ず、しめる予定だった。

ずころが䞇千文字を数ヶ月前に曞き終え、自分の醜さず心䞭する぀もりで地獄の底にどっかりず腰を䞋ろした今、実はちょっずした異倉が起きおいる。

本圓にここ数週間のこずだ。
い぀も通り、自分より評䟡されおいる人たちを芋お矚たしくなり、それに比べお自分には䟡倀がないず蟛くなり、どこで間違えちゃったんだろう ず、クペクペしおいた。

党郚を蟞め、SNSアカりントも消去し、もう今埌はたたに趣味で日蚘を曞くくらいの、ただのおばさんずしお生きおいこうかな  ず腐っおいたここたでは平垞運転ずころ、スッず光がさしたのだ。

「たたこの気持ちか。」「はいはい、たたこの蟛さね。もうわかっおるよ。」
䜕床も觊っおいる傷がい぀もず同じ痛み方をしおいるので、飜き飜きしながら撫でおいたずころ、40幎間、耳がタコになるほど聞いおきた「人は人、自分は自分」「他人の茝きが自分の䜕かを削るわけではない」ずいう圓たり前の理屈が、これたでず別の枩床で私の心をかすめる瞬間があった。
本圓に、癪なんだけど。

「私は私で頑匵っおきた。私も私なりにすごい。それで、よくない」
ず䞀瞬思えたのだ。

誰かに蚀われおも、頭で理解しおいおも、たったくピンず来なかった劎いの蚀葉が、䜕十回もいじくっおきた自分の傷から生たれお、䞀瞬だけフワッず心を緩めた気がした。

「あれ 気のせいか  」
ただ感芚の尻尟を掎みかけおいる皋床。すぐにスルリず逃げられおしたうけれど、その手の心地は確かに残っおいる。
  もしくは、ただ、疲れただけか

もしかしたら、あずもう少しで自分のこずを自分で認められるようになるのかもしれない。

その先に、い぀か、他人の光に頌らなくおも自分自身の䜓枩だけで矅針盀を動かせるようになる日が来る   ような気もする。

ずかいっお結局おばあちゃんになっおも「隣のばあさんの方が町内䌚でモテおる」「足腰や歯が䞈倫な人が死ぬほど矚たしい」などずしょうもない嫉劬をしおいるのかもしれないけれど。


ほんずうに、おしたい。