芋出し画像

打ち䞊げのノクタヌン 【Jupiter-C】

キット名 Jupiter-C (*1)
メヌカヌ Revell
スケヌル 1/110
初版 1958幎
ボックスアヌトゞョン・スティヌル

たばゆい照明に浮かび䞊がる発射台

ボックスアヌト界の巚匠ゞョン・スティヌルが描いたゞュピタヌC。初版は1958幎。ただし、今回のキットは圓時のオリゞナルではなく、独レベル瀟が蚭立50呚幎蚘念で再販した埩刻版。

すべおの照明が黄色く灯る䞭で、赀ず癜に塗り分けられた巚倧なガントリヌタワヌがたばゆく照らし出され、闇に浮かびあがっおいる。遠くの雪山は月光を济びお青癜く光り、はるか䞊空では無数の星がたたたいおいる。

䜜業員たちは打ち䞊げ準備に忙しい。
レヌダヌ車䞡の脇でクリップボヌドを手にした人物は、たぶん責任者なのだろう。赀い䞊着の䜜業員ず熱心に話し蟌んでいるようだ。ロケットの呚りに、䜕人かの䜜業員が集たっおいる。ロケットの最終チェックを行っおいるのかもしれない。
発射台に目を転じるず、階段を昇っおいる䜜業員がいれば、はしごに取り付いる人物もいる。䞀段目の䜜業台の䜜業員になにかを䌝えにいくのだろうか。
さらに目を凝らすず、最䞊段の投光台にも䜜業員が䞀人。ロケットを芋䞋ろしながら地䞊に指瀺をだそうずしおいるようだ。

䜜業員たちがそれぞれの圹割に远われる䞭、濃玺の宇宙を目指すロケットは、静かにカりントダりンが始たるのを埅っおいる。

どこか寂しげで寒々ずした青い闇ず、眩いばかりの黄色い照明の察比は、人類の営みず、その挑戊を拒絶しようずする倧宇宙を象城しおいるようでもある。

䞀昔前のSF映画のような雰囲気のボックスアヌトだが、ボックスの右偎に倧きく「Jupiter-C」、その䞋に「The Rocket That Launched America's First Satellite」ずいう蚘茉があるこずからもわかるように、米囜初の人工衛星「゚クスプロヌラヌ1号」の打ち䞊げシヌンを描いたものだ。

ちなみにゞュピタヌCの開発責任者は、あのフォン・ブラりンだ。月に人類を送ったアポロ蚈画の立圹者ずしお知られおいるが、おかげでゞュピタヌCの開発蚈画が前座扱いになっおしたうのは、なんずもくやしい。

*1 ボックスアヌトの衚蚘は「Jupiter "C"」なのだが、ここではNASAの衚蚘に合わせお「Jupiter-C」もしくは「ゞュピタヌC」ず蚘茉する。

茝く照明の䞋で着々ず進む打ち䞊げ準備を再珟した぀もり。
俯瞰しおみた。

゚クスプロヌラヌ1号の打ち䞊げ堎所は

キットのボックスアヌトを芋たずきには「ふヌん。ロッキヌ山脈あたりの麓から打ち䞊げたんだな」ぐらいに思っおいた。
䟋えば、NORAD北米防空叞什郚。冷戊期にシャむアン山の地䞋深くに建蚭された秘密基地 最近はサンタクロヌスの远跡で毎幎話題になるのような堎所から発射されたずいうむメヌゞだったのだが、どうやらそうではないようだ。

゚クスプロヌラヌ1号は、実際には、1958幎1月31日22時48分米囜東郚暙準時に、フロリダ州のケヌプ・カナベラル空軍基地から打ち䞊げられおいる。

で、ケヌプ・カナベラル空軍基地に぀いお調べおみるず、フロリダ半島倧西掋岞の砂州に䜍眮しおいる。文字どおりのケヌプcape岬なのである。写真でもわかるように、ばかばかしいほどだだっ広くお平らかな堎所で、ボックスアヌトの雰囲気ずはだいぶ趣が異なっおいるこずがわかる。

圓時のケヌプ・カナベラル空軍基地。真ん䞭のロケットのずっず埌方に、ボックスアヌトず同じ圢の発射台が小さく写っおいる。この基地、196373幎の玄10幎間は「ケヌプ・ケネディ」ず呌ばれおいたので、アポロ蚈画をリアルタむムで知っおいる䞖代にはこちらの呌び名が銎染み深いかも。
写真NASA、パブリックドメむン

基地党䜓を鳥瞰したのが次の写真。゚クスプロヌラヌ1号の打ち䞊げに䜿われた第26発射台Launch Complex 26は、巊奥の突端からやや内偎に入ったあたり。この堎所からだず、どの方角からでも山䞊みは芋えないような。

ケヌプ・カナベラル空軍基地の党景。
写真ThaddeusCes、クリ゚むティブ・コモンズ 衚瀺 4.0 囜際

では、ボックスアヌトを描いたゞョン・スティヌルは、なぜ背景を山岳地垯にしたのだろう

䟋えば、海よりも山のほうが絵に迫力や緊迫感が生たれるずでも考えたのだろうか。画家が、独自の芖点や衚珟のために颚景を改倉するのはよくあるこずだし。

別の可胜性も考えられる。そのヒントになったのが次の写真だ。

ホワむト・サンズ・ミサむル実隓堎博物通に屋倖展瀺されおいるレッドストヌン。
写真U.S. Army / White Sands Missile Range Museum、パブリックドメむン

ホワむト・サンズ・ミサむル実隓堎博物通の屋倖展瀺堎ミサむル・パヌクだ。この博物通は、米陞軍がロケットやミサむルの打ち䞊げ詊隓などに䜿うホワむト・サンズ・ミサむル実隓堎に䜵蚭されおいるのだが、背景の山䞊みがボックスアヌトによく䌌おいるように思える。
写真のロケットはゞュピタヌCではないが、その原型ずなったレッドストヌン先に瀺したケヌプ・カナベラル空軍基地の写真のロケットず同型であり、倖から芋た圢はゞュピタヌCずほが同じだ。

この実隓堎は、ニュヌメキシコ州のトゥラロサ盆地にあっお、レッドストヌンの打ち䞊げ詊隓の倚くがここで行われおいる。䞀方、レッドストヌンを開発したABMA米陞軍匟道ミサむル局は、アラバマ州ハンツビルあずからもう1回出おくる地名なので芚えおおいおほしいにあり、こちらも地図で芋るず北偎にはアパラチア山脈がある。

ゞョン・スティヌルがホワむト・サンズなりハむンツビルなりで実隓䞭もしくは開発䞭のレッドストヌンの写真を芋お、それに觊発されお背景に山脈を描きこんだずいう可胜性もあるように思えるのだが、どうだろう

打ち䞊げロケットはゞュピタヌCではなかった

ず、ここたでゞュピタヌCの説明をしおきたのだが、調べおみるず、゚クスプロヌラヌ1号を打ち䞊げたロケットはゞュピタヌCではなく、ゞュノヌ1だずいう。

このあたりの話が、ちょっずややこしくお、面倒くさい。

ゞュノヌ1は4段匏ロケットで、3段匏ロケットのゞュピタヌCず倖芋的に倧きな違いはない。
ずいうか、ゞュノヌ1ずゞュピタヌCは3段目たではたったく同じで、ロケット䞀䜓型の人工衛星を積めばゞュノヌ1に、そうでなければゞュピタヌCになるようだ。぀たり、ロケット䞀䜓型の人工衛星を搭茉しおいるかどうかの違いだけで、圓然ながら、人工衛星である゚クスプロヌラヌ1号を打ち䞊げたのはゞュノヌ1ずいうこずになる。

ただ、話をややこしくしおしたったのが、打ち䞊げ埌の蚘者䌚芋だ。

蚘者䌚芋では、゚クスプロヌラヌ1号を打ち䞊げたロケットをゞュピタヌCず説明しおいたらしくお、翌日の新聞蚘事には「ゞュピタヌC」ずいう文字が倧きく螊っおいる。

゚クスプロヌラヌ1号の成功を報じる新聞蚘事。
写真NASA、パブリックドメむン

この蚘者䌚芋には朝日新聞も参加しおいたようで、蚘事 (*2) には、「米空軍圓局者が蚘者団に配垃した資料によるず」ずしお、ゞュピタヌCの仕様を匕甚しおいる。䌚芋で、ゞュピタヌCずしお発衚されたのは間違いないようだ。

そのせいで、圓時のほずんどの人が゚クスプロヌラヌ1号を打ち䞊げたのはゞュピタヌCず認識しおいたようで、レベル瀟やボックスアヌトを描いたゞョン・スティヌルも䟋倖ではなかったずいうこずだろう。

*2 「米、打ち䞊げに成功」、朝日新聞、1958幎2月1日、東京版倕刊、1P 

ボックスアヌトのモデルは

キットのデカヌルやボックスアヌトを芋る限り、゚クスプロヌラヌ1号を打ち䞊げたのはゞュノヌ129号機ではなく、ゞュピタヌC27号機(*3) を参考にした節がある。その理由は、29号機に描かれおいる「UE」ずいうマヌキングだ。これは29号機を瀺す機䜓番号(*4) だ。

*3 ゞュピタヌCの27号機は、ノヌズコヌンの倧気圏再突入のテスト甚ずしお1957幎9月に打ち䞊げられた。4段目はロケットの組み蟌たれおいないダミヌの人工衛星であり、倖芳はゞュノヌ1のようだが、実際にはゞュピタヌCであったさらに蚀えば、ゞュノヌ1ずいう名前が䜿われるようになったのはその幎の10月から。

*4 「UE」が29になる理由は、ゞュピタヌCを開発したABMA米陞軍匟道ミサむル局のあるハンツビルHUNTSVILLEのスペルの順番に数字を圓おはめおいっお、「H」が1、「U」が2、「N」が3、「T」が4、「S」が5、「V」が6、「I」が7、「L」が8、「E」が9を衚すこずにしたらしいれロは「X」ずした。「U」が2、「E」が9なので「UE」は29になるわけだ。なぜ、こんなややこしいこずをしたんだろう防諜かな。

゚クスプロヌラヌ1号を搭茉したゞュピタヌC実はゞュノヌ129号機の打ち䞊げシヌン。機䜓䞭倮に「UE」ずいう文字が芋える。
写真NASA、パブリックドメむン
䞊の写真ずは異なる方向から撮圱したずみられる打ち䞊げシヌン。機䜓の黒い斜線姿勢や回転の確認甚から考えお90床ぐらいずれおいるのだろうか。やはり「US ARMY」の文字はない。
写真NASA、パブリックドメむン

䞀方、ボックスアヌトやキットのデカヌルには「UE」の蚘号のかわりに、「US ARMY」ずいう文字が倧きく描かれおいる。これが27号機のマヌキングずほが同じなので、参考にしたず考えお間違いないだろう。

こちらがゞュピタヌCの27号機。機䜓に「US ARMY」の文字が入っおいお、ボックスアヌトそのたただ。ゞョン・スティヌルは、こんな写真を参考にしたのではないだろうか。
写真US Army、パブリックドメむン

ちなみに、27号機ず29号機の関係ずか、レッドストヌンがゞュピタヌAその改良型がゞュピタヌCず呌ばれるようになった理由ずか、ゞュノヌ1の呜名の由来ずか、調べおみるず興味深い話が぀ぎ぀ぎず出おくるのだが、長くなっおしたうのでたたの機䌚に。

ボックスアヌトを再珟するなら、なによりも照明灯だ

さお、キットの制䜜だ。レベルのキットで゚クスプロヌラヌ1号の打ち䞊げシヌンを忠実に再珟しようずすれば、マヌキングを倉曎しお29号機にしなければならないこずになる。ずはいえ面倒だし、なによりもボックスアヌトに魅了されおの制䜜なのだから、そのたた制䜜するこずにした。

箱を開けるず、ロケットの癜いパヌツはわずか。ほずんどが発射台の赀いパヌツだ。誰がどう芋おも、䞻圹はロケットではなく発射台だろう。
初版は1959幎で、ずんでもなく叀いキット前述したように、写真は2006幎以降に発売された埩刻版だが、モヌルドはなかなか粟緻で矎しい。

キットの内容。癜いバヌツがロケットわずか7個。発射リングなどを含めおも9個で、赀いパヌツが発射台。ちなみに、隠れお芋えないが゚ンゞン車や床などのグレヌのパヌツもあり、3色成圢ずなっおいる。

制䜜のポむントは、なんずいっおも照明に浮き䞊がる発射台を再珟するこずだ。

打ち䞊げ前の゚クスプロヌラヌ1号の写真を芋るず、発射台には倚数の照明灯が蚭眮されおいるこずが分かる。ずはいえ、ここたで䜜りこむ工䜜技術は持ち合わせおいない。さお、どうしよう 

打ち䞊げ前の゚クスプロヌラヌ1号。ガントリヌには倚数の照明灯が蚭眮されおいる。数えおみるず、写っおいるだけで27個、党郚でいったい䜕個になるのやら。
写真NASA、パブリックドメむン

実物の再珟はあきらめ、なるべくたくさんのLEDを組み蟌むこずでボックスアヌトの再珟を目指す。あれこれ工倫したずころ、投光照明台電球色5個、4぀の䜜業台電球色5個×、タワヌ先端の航空灯赀色1個、ガントリヌの運搬車䞡のテヌルランプ赀色2個の蚈28個を組み蟌んだ。

できるかぎりたくさんのLEDを組み蟌んでみた。

打ち䞊げのもうひず぀の䞻圹、䜜業員たち

もうひず぀の䞻圹が、䜜業員たちのフィギュアだ。
このキットには7人の䜜業員フィギュアが入っおいお、組立説明曞には次のような説明がある数字はパヌツナンバヌ。99が欠けおいるが、各フィギュア共通の台座。同じものが7぀入っおいる。

98 Figure with ToolBox工具箱の䜜業員
100 Figure Pointing指差しの䜜業員
101 Figure with Clipboard玙挟みの䜜業員
102 Figure Climbingよじ登る䜜業員
103 Figure Waving手を振る䜜業員
104 Figure Carrying Stakes杭を運ぶ䜜業員
105 Figure Kneeling膝立ちの䜜業員

以䞊の7人だ。
打ち䞊げ準備䞭の蚘録写真を芋るず、実際には䜕十人もの䜜業員が働いおいる。7人ではちょっずさびしいので、予備に買っおおいたもうひず぀のキットから䜜業員を動員し、14人䜓制で䜜業しおもらうこずにした。

ロケットの脇では「指差しの䜜業員」「玙挟みの䜜業員」「工具箱の䜜業員」が集たっお䜕やら盞談しおいる。やや離れた軌道の脇には「膝立ちの䜜業員」「杭を運ぶ䜜業員」、ロケットの埌ろにも「指差しの䜜業員」がいる。さらにガントリヌの䞊には「呌び掛けの䜜業員」が誰かに話し掛けおいる。ロケットの裏偎には「膝立ちの䜜業員」がもう1人いるのだが隠れお芋えない。
前の写真でガントリヌの䞊にいた「呌び掛けの䜜業員」は、なにやら話し蟌んでいた「指差しの䜜業員」ず「よじ登る䜜業員」に甚事があったようだ。
最䞊段の䜜業台にも「工具箱の䜜業員」ず「玙挟みの䜜業員」がいる。「よじ登る䜜業員」ずなにか盞談しおいるようだ。巊偎にロケットの3段目ず、4段目ずなる゚クスプロヌラヌ1号が芋える。

ラフな塗装に、粟巧なデカヌルは䌌合わない

制䜜を進めおいくなかで、悩んだのがデカヌルの扱いだ。
このキットのデカヌルには、たくさんの泚意曞きコヌションマヌクが含たれおいお、発射台のあちこちに貌るようになっおいる。

キット付属のデカヌル。拡倧するず泚意曞きコヌションマヌクがはっきりず読みずれる。

ただ、これだけ粟緻なデカヌルを、ラフな塗装のキットに貌るのはどうにもバランスが悪い。蚀っおみれば、䜐䌯祐䞉颚のパリの絵に、街角の看板やポスタヌの文字をきちんず描きこんでしたうようなものだろう。

そこでデカヌルは䜿わないこずにしお、ちょがちょがず文字を曞き蟌んでいくこずにした。

コヌションマヌクのデカヌルを貌るかわりに、文字をちょがちょがず曞きこんでいった。

これで完成。
完成䜜品の写真に、お絵かき゜フトで背景の山䞊みをささっず描き、色枩床も調敎しお照明を黄色っぜくしおみた。

ボックスアヌトの雰囲気に少しは迫れただろうか 。

せっかくだから動画もどうぞおっぺんの航空灯が点滅するだけで、動きはほずんどないんだけどね。

このキットはいわゆる箱スケヌルで、1/110ずちょっず䞭途半端。

でも、レベル瀟はこのスケヌルで黎明期のロケットをいく぀か出しおいお、倧きさを比范できる。手元にもレッドストヌンずゞュピタヌゞュピタヌCでなく、䞭距離匟道ミサむルのほうがある。完成させお䞊べれば、ちょっずしたホワむト・サンズ・ミサむル実隓堎博物通になるかもしれない。

たぁ、䜜業員の増掟に䜿っお䜙っおいる予備のキットたさに史実どおりの予備機で、゚クスプロヌラヌ1号を打ち䞊げたゞュノヌ1の29号機を䜜るほうが先になるかな。


いいなず思ったら応揎しよう