さよなら、ワニ先生【創作】
ワニ先生は、首から上がワニだ。
不殺の誓いとしてその長い口の中ほどに鉄製の輪っかを付けている。
若い頃は良く街角で辻食いのようなことをしたらしい。しかしある日、辻食いをしようとした相手が高校時代の友人である事に気付いた。それ以来食べられる対象にも人生があることに気付き、口に輪っかをすることにしたというもっぱらの噂だ。
今では給食の時間になると、食堂でつまらなそうに輪っかの隙間から唐揚げを食べている姿を目にする。
ワニ先生には口癖がある。
「良いかぁ〜、おめぇたち、先生の話を良く聞けよ〜」
何か大事な話をする時は、必ずこう言う。
私はこの口癖が大好きだった。そうしてその後には大抵、人生において大事な教訓めいた話をする。
その時の眼差しが、本当に優しげで、我々生徒の事を心から可愛がっているのが良く伝わった。
ワニ先生は生徒達に詩を書かせた。
クラスには多弁な者から、口数の少ないものまで色々居る。しかし詩の世界では皆平等だった。口数の少なく、どちらかと言えばクラスで存在感のない生徒が、詩の世界では恐ろしいくらい多弁だったりする。そんな生徒たちの詩を、先生は大切に大切に、それぞれの詩にコメントを付けて詩集にして、クラスに配った。
私はその詩集を読むのが大好きだった。
今回の詩には、どんなコメントが付いているのかな、とドキドキしながら詩集を開いた。先生のコメントは、言葉にならない感情をすっとすくい上げてくれるような、温かみに満ちたものだった。
最初の内は詩なんか書くのが恥ずかしくて、つっぱっていた私も、先生のコメントが嬉しくて、その内に素っ裸にされたように、気付けば自分の心を書き記していた。
国語の時間、教科書の朗読を席順で行う、ちえちゃんの順番だ、ちえちゃんは詩を書く時は多弁だが、声を出すのが苦手だった。
最初の頃は声が出せずワニ先生が「無理しねぇで良いからな、次の奴読んでやれ」と言い順番が飛ぶことが多かったが、今日は違った、今にも消え入りそうだが、小さな声で読み上げている。
私も含めクラスの皆が驚いたように声を上げると、ワニ先生が嬉しそうに指を口の前に立てて「シー」っとやった。
その時だ、校内放送が鳴った。
「校内に暴漢が押し入りました、教師は施錠して生徒を表に出さないこと」
校内放送と同時にドアが蹴破られる。ナイフを持った暴漢が立っていた。
「これから!皆さんを使って!ドネルケバブを作りたいと思います!」
ナイフを持った暴漢が叫ぶ。
すると、ワニ先生が我々と男の間に立ち塞がって言う。
「良いかぁ〜、おめぇたち、先生がこれからする事は、絶対に真似すんじゃねぇぞー」
先生が口輪を引きちぎる、ガチャリという音が聞こえた。
考えすぎクラブ初参加させて頂きましたすいません🙇
しかも初参加で初創作🙇
大丈夫かなこれ。
駄目なんじゃないかな。
