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【2026夏・戦術考察】白い巨人の電撃改革。第2次モウリーニョ体制の全貌と、W杯で見つけ出すべきレアル・マドリー「最後のピース」

こんにちは、おせんどうです。

世間が北中米ワールドカップの熱狂に沸いている2026年6月。各国の激闘を寝不足になりながら追いかける日々ですが、我らがレアル・マドリーのフロントは、世界のお祭りムードを余所に、驚異的なスピードで来季へのスクラップ&ビルドを進めています。

そう、第2次ジョゼ・モウリーニョ体制の本格始動に向けて。

今回は、モウリーニョ監督がそのキャリアで愛し続けた戦術的系譜を解剖してみます。そこから見えてくる新生マドリーの骨格と、現在進行形のメルカート事情、そしてこのW杯で我々マドリディスタが「どのポジションを注視すべきか」を机上論評してみたいと思います。

1. ベンフィカから始まる戦術的系譜:モウリーニョが愛した「4-2-3-1」の非対称メカニズム

モウリーニョのサッカーを予想する上で、彼の過去のキャリアを振り返ることは最大のヒントになります。初期のベンフィカ、世の中にその名を轟かせたポルト、チェルシー、インテル時代。世界を席巻したペップバルサに対抗した第1次マドリー政権、その後の第2次チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、ローマ、、、そして、直近のベンフィカ第2次政権。多少例外はありますが、彼が好む基本陣形は「4-2-3-1」で一貫しています。

そして、このシステムにおいて、モウリーニョには譲れない「3つの鉄則」があると言って良いでしょう。

① 中盤の底「2」の黄金比:ゲームメイカー×潰し屋

ゲームをコントロールして長短のパスを散らせる「ゲームメイカー」と、圧倒的なフィルター能力でピンチを未然に防ぐ「潰し屋」。攻守のバランスを何より重視するモウリーニョは、明確に役割の異なる対照的な2枚を並べることを好む傾向にあります。

② 前線「3」の翼の法則:爆発×献身の非対称性

サイドアタッカーの配置にも明確な傾向があります。「一方は、カウンターを完結させられる圧倒的な走力と破壊力を持ったウインガー」、そして「もう一方は、必要とあれば守備時に最終ラインまで戻って泥臭く汗をかける献身的なウインガー」。この「左右非対称の翼」が機能して初めて、哲学である堅守速攻のカウンター戦術が成立します。

③ 1トップの基準:大柄でボールが収まるCF

カウンターを完結させるため、前線で時間を生み出せるフィジカル自慢や、泥臭くタメを作れる大型FWを最前線に置くのがモウリーニョの絶対的な戦術志向です。

彼の歴代のチーム、特に、我々マドリディスタの記憶に残る第1次マドリー時代以降を、この3つの視点で確認してみましょう。


  • 第1次レアル・マドリー政権(2010-2013):
    中盤の「2」にはシャビ・アロンソ×サミ・ケディラ。ウイングには爆発のクリスティアーノ・ロナウドと、献身性を兼ね備えたディ・マリア。そしてCFには抜群のキープ力を誇るカリム・ベンゼマを据えていました。

第1次レアル・マドリー政権 基本フォーメーション
  • 第2次チェルシー政権(2013-2015): 中盤の「2」はセスク・ファブレガス×ネマニャ・マティッチ。ウイングはアザールと、守備貢献が非常に高いウィリアン。象徴的だったのはトップ下の人選で、技巧派のフアン・マタではなく、よりハードワークできるオスカルを重用したことです。CFにはフィジカルモンスターのジエゴ・コスタを据えてリーグを制圧しました。

第2次チェルシー政権 基本フォーメーション
  • マンチェスター・ユナイテッド時代(2016-2018): チェルシーから信頼するマティッチを連れてきて、オンザボールのプレーが持ち味のポール・ポグバと組ませて「2」を形成。右ウイングのリンガードには守備のタスクも与え、トップには屈強な大柄CFであるロメル・ルカクを据えています。

マンチェスター・ユナイテッド時代 基本フォーメーション
  • トッテナム時代(2019-2021): 潰し屋のホイビュアと、持ち上がりもできパスで散らすこともできるロ・チェルソの中盤。ベイルやソン・フンミンという爆発的なウイングに加え(この中だと、ソンの方が守備はしていた記憶があります)、最前線にはボールが収まり点も取れるイングランドのエース、ハリー・ケインがいました。

トッテナム時代 基本フォーメーション
  • ローマ時代(2021-2024): 例外的に3バックも志向しましたが、中盤には再び教え子のマティッチを呼び寄せ、前線にはタフに動けるエイブラハムやルカクを起用。右シャドーに配置した「宝石」パウロ・ディバラを活かしつつ、イタリアらしい守備を重視したシステムを構築しました。

ローマ時代 基本フォーメーション
  • 再びポルトガル=直近のベンフィカ(2025-2026): (正直追いきれてないフェネルバフチェをすっ飛ばし)直近のベンフィカに目を向けると、やはり4-2-3-1をベースに、パスで散らせるフレデリク・アウルスネスと、運動量で攻守に走り回れるリチャード・リオスを中盤の「2」に配置。前線にはヴァンゲリス・パヴリディスという大柄なCFを起用する傾向はブレていません。

ベンフィカ時代(2025-2026) 基本フォーメーション

現代フットボールで通用するかはさておき、モウリーニョは攻守のバランスが狂うことを極端に嫌い、先に述べた3つのこだわりを持っていることが伺えます。

① 中盤の底「2」の黄金比:ゲームメイカー×潰し屋
② 前線「3」の翼の法則:爆発×献身の非対称性
③ 1トップの基準:大柄でボールが収まるCF

2. 【2026夏・中間報告】冷徹に進むスクラップ&ビルドの現状

このモウリーニョの思想を踏まえ、今夏のフロントの動きを確認します。彼の意向が反映された補強なのか?という目線とともに現時点でのメルカート状況を整理してみましょう。

確定・内定の補強組

  • 左SB:マルク・ククレジャ(前回の記事で触れた通り、ハードワークできる実戦型)

  • MF:ベルナルド・シウバ(モウリーニョからの熱烈なラブコールが決め手になったと報道あり。中盤の底「2」のゲームメイカー枠でしょう)

  • CB:イブラヒマ・コナテ(リバプールから、ファン・ダイクの後継者となるはずだった重戦車を確保)

  • 右SB:デンゼル・ダンフリース(オランダ代表の攻撃的なベテランSB。ほぼ確実との報道)

近年のマドリーの補強戦略(才能豊かな若手の青田買い & 契約切れワールドクラスを口説いてフリー獲得)を踏襲しつつも、30歳を超えたベテランも即戦力として迎え入れています。このあたりはモウリーニョの意向が反映されているのでしょう。

放出・人員整理の現実

一方で、血の入れ替えは実に冷徹です。契約満了のダビド・アラバが退団。さらにカマビンガセバージョスは放出濃厚となっています。左SBも人員整理が必須で、メンディフラン・ガルシアのどちらかはクラブを去る運命になるのでしょう。

CB陣も、ラウール・アセンシオには構想外の噂があり、ミリトンは実力こそ申し分ないものの、かなしいかなケガが多すぎて計算が立たない状況。コナテリュディガーを基本軸としつつ、ディーン・ハイセンを含めた守備陣の再編はまだ入れ替えがありそうです。

なお、10代の超新星マスタントゥオーノはレンタルでの武者修行コースが濃厚。持っているものは本物ですが、マドリーのアタッカーには「1人で試合を壊せる破壊力」が必要不可欠。じっくり育てるリアリズムは支持したいところです。

3. 変革期のスタメン大予想:B・シウバの配置とロッカールームの地殻変動

これらを踏まえ、現段階での「新生モウリーニョ・マドリー」の予想フォーメーション(4-2-3-1)を組んでみましょう。

想定フォーメーション(のたたき台) ★は新戦力

絶対的な主力としてスタメンになるか?はさておき、新戦力を使うことを考えると、ベースは上記になると予想。ここから、さらに議論が必要なポジションについて深堀りします。

「2」のジレンマ:バルベルデか、チュアメニか

ここで最大の焦点となるのが、中盤の底「2」の組み合わせです。 戦術的に見れば、今夏獲得したベルナルド・シウバが「パサー役」にピタリとハマります。そうなると、相方の「潰し屋」の第一候補はチュアメニになるはず。

しかし、ここで無視できないのが昨シーズンの“暴力沙汰”による、チュアメニとバルベルデの冷え切った関係です。ロッカールームの調和を考えれば、クラブはどちらか一方を選ぶ(売却する)という残酷な決断を迫られる可能性が高い。

  • チュアメニを選んだ場合:バルベルデを放出し、右ウイングを補強

  • バルベルデを選んだ場合:チュアメニを放出し、中盤のフィルタ役を補強

になると考えています。 仮にバルベルデ を残してチュアメニを放出する場合、バルベルデを「潰し屋的なオールラウンダー」として一段低い位置に置く案もありますが、彼の持ち味は高い位置への侵入と推進力。ここにピン留めするのはもったいないと考えています。実に悩ましい……。

トップ下「第1次マドリー政権のエジル枠」の競争

「3」の中央、トップ下のファーストチョイスは間違いなくジュード・ベリンガムでしょう。エリア内への飛び出しと圧倒的なアスリート能力が一番活きる場所です。

そして次点に据えたいのがアルダ・ギュレル。モウリーニョとの相性は未知数ですが、かつての第1次政権におけるエジルのように、彼のような“エリート気質のテクニシャン”を、モウリーニョの手で「戦える戦士」へと変貌させてほしい。残念ながら彼のトルコはW杯グループステージ敗退が決まってしまいました。まずはしっかり休み、この悔しさをマドリーで晴らしてほしいところです。

ここに、前線ならどこでも高次元でこなし、守備でもハードワークできる貴重な生命線・ブラヒム・ディアスが絡む形になるでしょう。

ブラジル人3人衆の序列低下?

前線では、昨季冬にレンタル先のリヨンで結果を残したエンドリッキが戻ってくる可能性があります。起用する場合は彼は右サイド起用になると思われるため、モウリーニョの現実主義的な序列においてはロドリゴの立場が怪しくなります。ビニシウス、エンドリッキ、ロドリゴ。ペレス会長の「若手ブラジル人大好き説」は有名ですが、モウリーニョの冷徹なタスクを前に、誰か(ひょっとすると複数人)が弾き出される未来も現実味を帯びてきました。

なお、前線にはセスク率いるコモで名を挙げたニコ・パスを買い戻す案も上がっています。ただ、ここ最近の報道を見ると買い戻したうえで6000万ユーロでコモに売却する、という話も出ている。もともと、来季CLを戦うためコモ残留が濃厚という話もあったので、少なくとも来季マドリーのスカッドに彼が入るということは無いのでしょう。

世紀の難問:エンバペ or ビニシウス問題

さて、やはりこの問題にも触れざるを得ないでしょう。世界が注目する難問、エンバペ or ビニシウス問題です。まず、全マドリディスタが期待しているのは「or」ではなく「and」になってもらい、モウリーニョが叩き直すことで同時起用が成立するようになることです。

フロントも、起用はモウリーニョに一任するとはいえ共存を期待しているはずで、今夏でどちらかが移籍する、はありえないと思います。まずはどうなるか見てみる、ということになるでしょう。

W杯では、これまで2人共が活躍していて調子は良さそうですし、昨シーズンの雪辱を晴らすべくモチベーション高くクラブに戻って来るはず。まずは最前線エンバペ、左ウイングにビニシウスで守備タスクを課してみて、どれだけやるかを見定めましょう。

ただ、結局問題が再燃してどちらかを選ばないといけなくなると私は予想しています。この時、モウリーニョに合いそう(うまく焚き付けられそう)なのはビニシウスかなと見ています。正直イメージがついていないのですが、エンバペを起用せず、最前線には他の選手を重用することになる未来が、あるかもしれません。

4. 結び:W杯の光の中に「最後のピース」を探して

現段階で骨格は見えたものの、まだパズルのピースはいくつか足りていません。改めてまだ動きがありそうな点をおさらいしつつ、今後のW杯で注目したいポジションを考えてみます。

  1. 純粋なセンターフォワード(CF) 現在、ゴンサロ・ガルシアをモウリーニョがどう評価するかは未知数。ですが、世界を見渡してもモウリーニョが求める「ボールを収められ、守備もサボらず、点も取れる」トップレベルのCFはケインやハーランド級しかおらず、今夏の獲得は極めて困難です。大型CFはプレミア強豪も大金を払って確保しており、そう簡単に補強はできなさそう。。ゴンサロを既定路線としつつ、掘り出し物をW杯で見つけたいところ。

  2. 右サイドの「働き者」なウインガー 左のビニシウスが「爆発的な翼」である以上、モウリーニョの右サイドには守備を献身的に担い、周囲との連携でアクセントになれる選手が必要です。ロドリゴやエンドリッキは求めるタイプではないですし、バルベルデ残留で右サイド起用される世界線の場合、献身性は問題ないですが攻撃のアクセントになれるカードを、もう1枚持っておきたいところです。

  3. 守備目線のボランチのバックアップ セバージョスが抜け、チュアメニかバルベルデのどちらかも失うとなれば、中盤の「2」の枚数が圧倒的に足りません。ここにもう1枚、即戦力の補強が欲しいところです。

書き出してみると、「このW杯の残り試合で、突如としてニュースターが爆誕しない限り、前線のクオリティ担保は難しい」という気がしてきました。

地上最高のフットボールの祭典を楽しみつつ、頭の片隅で「お、今の右ウイングの守備への切り替え、モウリーニョが好きそうだな……」「このCF、マドリーに来てくれないかな」なんて邪念を抱きながらスカウティング目線で観るW杯。今夏のマドリディスタに許された最高のエンターテインメントとして、大会の残りも楽しみたいと思います。

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