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【ソシエダ戦雑感】緩みを許さぬ指笛と指揮官。不完全ながら見えてきたモウ・マドリーの輪郭

こんにちは、おせんどうです。

26-27シーズン ラ・リーガ第1節(延期分)。ホーム、サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・ソシエダ戦。 結果は4-1の快勝でしたが、スタメン発表の時点で少し驚いたマドリディスタも多かったのではないでしょうか。

開幕戦となった第2節のエスパニョール戦と全く同じ11人。「もっと色々と試すのか?」と予想していましたが、これが現時点でモウリーニョが信頼を置いているメンバーなのだ、というメッセージを感じることになりました。

まだまだ連携は手探り。それでも、今のマドリーが持つ「強さ」と、これからへの「期待」が詰まった、見応えのある90分間でした。この試合から見えたポジティブな要素と現在地を、いちファンとして好きに語ってみます。

両チームスタメン。開幕戦同様の11人に

【試合結果】

レアル・マドリー 4 - 1 レアル・ソシエダ

【得点者】

・レアル・マドリー
 キリアン・エンバペ 39'
 キリアン・エンバペ 60'
 ビニシウス・ジュニオール 68'
 キリアン・エンバペ 79'

・レアル・ソシエダ
 スチッチ 44'

【選手交代(マドリー)】
46' OUT:カレーラス / IN:ククレジャ
78' OUT:ベリンガム, ギュレル / IN:カマビンガ, ブラヒム
84' OUT:ビニシウス / IN:ディオマンデ
86' OUT:ベルナルド / IN:エスピ

ビルドアップの設計図:ギュレル×ダンフリース、そしてベルナルドの配置

この試合も、開幕戦と同様のビルドアップとなり、ある程度メカニズムが見えてきました。 まず、ボランチの一角に入るベルナルド・シウバは2CBの間や、左の低い位置にスッと落ちてボールを引き出し、時間を作ります。カレーラスはベルナルドが左に落ちた場合には高めの位置を取りつつ、前線のビニシウスの位置を見ながら、被らないよう適宜内側に入ります。

一方、右サイドではギュレルがダンフリースと入れ替わるように中盤へ降りてくる。位置の入れ替え相手をのプレッシングを剥がしつつ、ダンフリースが高い位置に張り、右サイドの推進力を担保しようという形です。

ビルドアップ時の可変の一例。ベルナルドが2CBの間に顔を出してボールを引き取り、時間を作っている間に左右それぞれポジションチェンジして相手マークをずらしにかかります。

なぜこの形なのか。それは「エンバペを最大限に活かすため」の選手起用から逆算した結果なのではと思います。 開幕戦では得点こそ奪えませんでしたが、動きのキレは感じさせたエンバペ。裏に抜け出してゴールを陥れるクオリティは図抜けているため、彼を活かすことをまず考えるのは自然と言えます。

そうなると、エンバペと相性が良く、右サイドからトップ下まで流動的に動いてラストパスを出せるギュレルを起用したい。しかし、ギュレルをトップ下で使うと前を向いてボールを受けられるシーンがどうしても減るので、その役割はサイズ的にもベリンガムに任せ、比較的前を向きやすい右でギュレルを使うのが最善ということになりそうです。

そして、ギュレルは降りてボールを引き出し、ビルドアップを助けることができます。一方、そうなると右サイドの幅を取る選手がいなくなります。ということで、右SBに高い位置を取ってもらいたくなるので、ここは走力を含め(また、ギュレルというプレースキッカーを活かしたセットプレーの脅威になれることからも)ダンフリースが適任ということに。

そして、ダンフリースが高い位置を取る以上、右CBには1人で広大なスペースをカバーできるアスリート能力を持つコナテが不可欠になる……。さらに、コナテだとディフェンスラインから抜け出したエンバペに1発で通すパスがあまり期待できないので、ボール出しが得意なハウセンをもう1枚のCBに起用したくなる。。。このようにパズルを紐解いていくと、モウリーニョの狙いが見えてくる気がします。後からこじつけている感もありますが笑

そう考えていくと、左SBはカレーラスよりも守備でハウセンを助けられるククレジャのほうがファーストチョイスになりそうですね。W杯を最後まで戦ったことでコンディションが上がっておらず、現状はカレーラスということだと思います。

事実、後半頭からモウリーニョはカードを貰ったことを理由にすかさずカレーラスからククレジャへスイッチ。このあたりの決断の早さからも、現在の序列が見えてきます。

モウリーニョのメッセージと、エンバペの「CFとしての進化」

ソシエダは基本4バックで引いて守りつつ、マドリーがサイドへ振るとしっかりついていき、中盤が1枚降りて5バック気味に対応。前半は相手のスライドも早く、なかなか崩しきれない展開が続きました。対するマドリーですが、前線から闇雲に追い回すような守備はせず、ミドルサードあたりで構えて迎え撃つ選択をしていました。コンディションが整いきっていない時期ですし、開幕戦ですら長続きしなかったので、0-0状態のときに無理にハメにいかないのは賢明な判断に見えます。

前から圧力をかけないためソシエダガボールを持つ時間もそこそこあり、いまいちペースが上がらないまま迎えた前半35分ごろ。ベルナベウの観客が自チームに対して不満の指笛を鳴らし始めました。 すると、なんと前半にも関わらず、ベンチの多くの選手が一斉にウォームアップを開始。「タラタラやってんじゃないぞ」。モウリーニョからの無言のメッセージがピッチに突き刺さります。かつてならラモスやモドリッチがピッチ内で締めていた役割を、監督自らがアクションで示す。今のマドリーにはこういうのが必要なのだと感じたシーンです。

空気が引き締まった?直後の39分。低い位置からドリブルで持ち上がったバルベルデからのパスに引き出したエンバペが斜めに持ち出し左足で一閃。最後のシュートまでイメージした完璧なファーストタッチ、そして相手CBの体の向きを見て、反転を強いるように逆サイドへ持ち出した判断と加速力。ストライカーとしての動きの質が、確実に凄みを増しています。結果的にハットトリックを記録した今節だけでなく、ノーゴールに終わった開幕戦も含め、ボールを引き出す動き出しが豊富でコンディションの良さを感じました。

とはいえ、直後にスチッチに同点弾を許したシーンには、まだチームの成熟度の低さが露呈しました。前線が相手最終ラインまでプレスに行ったものの後がついてこず、DFラインとの間が間延びしたところを突かれ、前を向いてフリーでスペースにロングボールを出されたところからの流れで失点。ロングボールを収められたとはいえ枚数が足りてたシーンでもあったので、このあたりの意思統一や、2CBのチャレンジ&カバーの練度は今後の課題ですね。

ベリンガムの献身と、根っこの変わらぬスターたち

後半、ソシエダの運動量が落ち始めた59分。相手の最終ラインをワンツーで切り裂き、エンバペが勝ち越しゴール。リターンをもらう際に身体を開いてニアでもファーでも狙える形でシュートモーションに入ったときの決定力は、まさに圧巻の一言です。

しかし、個人的に一番熱くなったのはチーム3点目でした。 敵陣でこぼれ球を拾ったところからボールを受け、強引にシュートを打ったベリンガム。一度はブロックされたものの、そこで足を止めずにすぐに詰めてマイボールにし、最後はビニシウスのゴールをお膳立て。攻撃時、自分で打った後でも足を止めない。チームメイトが打ったときでもサボらずにセカンドボールを拾いに行く。23歳にしてチームの心臓を担う彼の最大の魅力が詰まったプレーでした。やっぱり、白いユニフォームを泥だらけにするからこそ応援したくなるんですよね。

一方で、エンバペやビニシウスです。特に2点差がついた後は、シュートを打った後やボールを失った後に足を止めてしまうシーンが相変わらず目立ちました。「2点差でリードしているし、今日は自分は結果を出しているのだから責められるいわれはない」という意識が根幹にはあるのではないでしょうか。こればかりは、監督がモウリーニョになったからといって急に変わるものではありません。 程度問題ではありますが「そういうものだ」と受け入れ、その代わり彼らには毎試合コンスタントに攻撃面でクオリティを発揮する責任を負ってもらう。一方、ベリンガムやバルベルデのような選手が運動量を活かしてバランスを取る。こうやって、スターたちの気質と折り合いをつけてきたのがマドリーというクラブだと思います。

それでも、78分に交代で退くベリンガムへ送られたベルナベウの万雷の拍手が、彼の献身への最大の賛辞でした。ゴールを残した選手だけでなく、こういった選手を称えられるのが良いですね。

試合の仕上げは79分。ポケットへ抜け出したエンバペが、逆足のループでハットトリックを達成。加速力もさることながら、「やっぱりシンプルにシュートが上手いな」と唸らされる極上のフィニッシュでした。このシーンではビニシウスが明らかにエンバペを意識して動き出しを待っており、今後が楽しみなる1点でした。

おわりに:今日は「良いマドリー」。一喜一憂せず成熟の時を待ちたい

終わってみれば4-1。 正直、ソシエダが守備時にそこまで泥臭く体を当ててこなかったこと、エリア内に人はいるのにエンバペにタイトに寄せていないシーンが多かったことなど、相手のミスに助けられた部分もあります。マドリーの「良さが出て、悪さが見えなかった」試合だったとも言えるでしょう。

とはいえ、W杯後の難しいシーズン立ち上がり、初のベルナベウで役者が揃って活躍。結果は素晴らしかったです。代表で悔しい思いをした選手たちが多いからか、開幕からのモチベーションの高さは十分に伝わってくるのも嬉しい。

これから先、連携不足や悪い部分が露呈して苦しむ試合も必ず来るはずです。 それでも、負ける試合を引き分けに、引き分けの試合を不格好でも勝利に変えていく。そうやって勝ち点を拾いながら成熟していく「良いマドリー」の姿を、楽しみに追いかけていきたいと思います。

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