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【26-27CL:インテル戦雑感】狙い通りだったはずのインテル、勝者はマドリー。敗戦のあとに見せたかったもの

両チームスタメン。トレントの中盤起用を選択し、攻撃時はアンカーとして振る舞うことに。

【試合結果】

レアル・マドリー 2 - 1 インテル

【レアル・マドリー】
キリアン・エンバペ 14'
フェデリコ・バルベルデ 23'

【インテル】
カルロス・アウグスト 77'

【選手交代(マドリー)】
79' OUT:トレント、ブラヒム / IN:チュアメニ、ディオマンデ
87' OUT:ビニシウス / IN:カレーラス
93' OUT:エンバペ / IN:エスピ

こんにちは。おせんどうです。

中3日で迎えた、チャンピオンズリーグのリーグフェーズ初戦。

相手はインテル。CL初戦というだけでも難しい試合ですが、直前のリーグ戦ではベティス相手に今季初黒星を喫しています。しかも今回はベルナベウでのホームゲーム。内容はともかく、ここはきっちり勝って雑音を鎮めたい試合でした。

そして終わってみれば2-1。まずは、勝ててよかったです。

ただ、90分を通して「マドリーの方がいいサッカーをしていたか?」と聞かれれば、個人的にはそうでもないと思います。ボールを握り、狙っていた試合運びができているように見えたのはインテルでした。実際、マドリーはサイドから何度も侵入を許し、クルトワに助けられた場面も少なくありません。

それでも、勝ったのはマドリー。今回は、そんな試合について振り返りたいと思います。

苦肉の策? トレントのアンカー起用

この試合、まず気になったのは中盤の構成でした。

ここ数試合を見て、やはりカマビンガがもう少し良くなってこないとボランチの枚数が足りないなあ、と思っていたところで、ここに来てモウリーニョが選んだのはトレントの中盤起用でした。

リバプール時代にも試されていた形ですし、あの長短のパス精度を見れば、中盤で使ってみたくなる気持ちは分かります。今回は中盤の台所事情による側面もかなり強いでしょうが、今後の選択肢になり得るのかを見定めるには、インテルという相手も含めて申し分ありません。

相方はバルベルデ。試合前に想像していたのは、トレントがかなり低い位置まで降りてボールを引き出し、そこから長短のパスを散らしていくような形でした。あるいは中央で前を向いたトレントを、アメフトでいうクオーターバックのように使う。前にはビニシウス、エンバペとスピード自慢がいます。彼らが裏へ走り、そこへトレントがピタッと合わせる。

そんな攻撃ができたら面白いな、と。

……ただ、実際は思ったほどハマりませんでした。

攻撃時にはトレントがアンカーとなり、中央にポジションを取りましたが、最終ラインまで降りてゲームメイクを担うシーンは少なく、アンカーポジション周辺を動きながらボールを受けようとすることが多かったです。

それ自体が悪いわけではありませんが、肝心の「トレントを中央に置いたからこそ」というプレーがなかなか出てきません。

そして守備では、もともと不安視していた部分がそのまま出ました。中盤でフィルター役として相手の攻撃を予測して防いだり、ボールが入ったところにガツッと寄せたりするタイプではありません。守備時にはポジションを動きすぎてしまうようにも見えました。

やっぱり、ボールと相手を同時に視界へ収めやすいサイドと、360度首を振り続けなければならない中央とでは、求められるものが違うのだと思います。

トレントの中盤起用。ロマンはあるんですが、この試合を見た限りでは、「やっぱりサイドの選手だよなあ」というのが正直な感想でした。

気が付くと2-0。これぞマドリー

そんなわけで試合開始直後は、そこまで良くありませんでした。

インテルのウイングバックにボールが入った際、誰が捕まえるのかが曖昧。サイドバックが前に出るのか。サイドハーフが見るのか。そこへ周囲がどうスライドするのか。この辺りが整理しきれておらず、インテルはそこを起点にボールを保持して攻撃を作っていました。

マドリーも前線から圧力を掛けてはいましたが、ハマるかは五分五分と言ったところ。一発目をかわされると一気にサイドが空き、そのまま最終ラインとの勝負まで持っていかれます。「微妙な入りだなあ」と思っていました。

ところが14分。インテルがサイドへボールを逃がさず中央から崩そうとしたところへ、マドリーが一気に圧力を掛けます。高い位置でボールを奪い、ブラヒムからエンバペ。そして先制。

試合のペースはインテルかな?と思い始めた中、これぞマドリーという、ワンチャンスをものにする点の取り方でした。ただ、これは単純に「エンバペの決定力すごかった」ではないと思います。もちろん最後のクオリティはエンバペのものですが、その前にはチームとして前から圧力を掛ける意識がありました。

昨シーズン終盤にはなかなか見られなかった形ですし、今シーズンは相手最終ラインへ守備で前へ出ていく意識が明らかに高まっています。それが得点という形で報われたのは良かったです。

さらに23分。今度はバルベルデ。インテルのボール回しに対してチームで圧力を掛け、GKの近くまで降りたバレッラを追ったバルベルデが、そのままGKまで突撃。

相手GKの反転を引っ掛け、そのままゴールまで奪ってしまいました。マークを捨てて突撃したようにも見えますが、バレッラへ詰めた流れのまま「行ける」と判断したのでしょう。最後は完全にバルベルデの判断とアスリート能力の賜物でした。もしかすると、「このGKはプレッシャーを掛けられた際の判断が得意ではない」というスカウティングがあったのかもしれません。

いずれにせよ、これで2-0。インテルからすれば、少し腑に落ちない展開だったと思います。どちらかというと、想定していた試合の入り方ができていたように見えたのはインテルの方だと思います。しかし、ゴール前の局面で、エンバペのクオリティ・バルベルデの判断力と身体能力によって2点差をつけられた格好です。

ベティス戦のあとに見たかったもの

ただ、繰り返しになりますがこの2得点は「個の力で何とかしました」では無く、チームとして前から相手へ圧力を掛ける姿勢があったから生まれたものです。

ずっとハイプレスを続けることは難しい。中3日で、これからも過密日程が続きます。そんなことを90分やっていたら持ちません。ただ、「ここは行く」という瞬間には前線が一気に出る、ということができていました。得点シーン以外にも、19分頃に高い位置で引っ掛けてビニシウスが抜け出しかけた場面も象徴的だったと思います。

そしてマドリーの前線には、そもそもスピードとアスリート能力があります。インテル側も、いつ圧力が来るかを完全には読めていないように見えました。剥がされる場面も多くチャンスも作られましたが、このプレッシングを試合の中でコンスタントにできるなら、十分に相手への牽制になると思います。

何より、前から行ってボールを奪い、それがゴールにつながる。そういう成功体験を積めれば、選手たちにも「もう一度行こう」というモチベーションが生まれます。

しかもそれをCLの舞台で、インテル相手にできました。リーガの下位相手に成功するのとは、やっぱり意味が違います。ベティス戦からのリアクションという意味では、ここがこの試合で一番良かったところだと感じています。

ただ、「プラン通り持たせていた」と言うには危なっかしい

前半を2-0で終えたところで、自分の興味は二つに移っていました。

このままリスクを冒さず、ゲームをコントロールできるのか。

そして、トレントのアンカーはこの先機能するのか。

結論から言うと、どちらもあまり上手くいきませんでした。後半もインテルにボールを握られる展開は変わりません。

特に気になったのが、やはり相手ウイングバックへの対応です。ククレジャが相手のウイングバックに付いて外へ出る。特に対面したディウフは脅威になっていたので、左サイドを離れるディウフにククレジャがついていくシーンも見られました。

すると、そのスペースを誰が埋めるのか。ビニシウスはそこまで下がって最終ラインへ入るわけではありません。ここは「ビニシウスが守備をサボっている」という単純な話ではないと思います。

サイドバックが釣り出された際に、その背後のスペースを埋め、最終ラインを形成する。そういう守備時の機微は、やる気というより一つの守備技能です。これを徹底してやり切るのは簡単ではないですし、例にビニシウスを挙げましたが、右サイドのブラヒムなら完ぺきにできているのか?と言われると必ずしもそうでもありません。ここは、攻撃がウリの選手を起用している以上、ある程度は仕方がないところでしょう。

とはいえ、インテルからすれば狙いどころになります。53〜54分頃にラウタロに抜け出された場面などは顕著で、ウイングバックを経由されるとマークがふわっとします。そして「人は揃っているのに、出し手も受け手も抑えられていない」という瞬間をしばしば作られていました。

「こりゃ決められるのも時間の問題かもしれんな」

そう思いながら見ていました。最終的にはクルトワが止めてくれた場面も多かったですね。クルトワのパラドンがなかったら、かなり厳しかったでしょう。

とはいえマドリーにも、前半終了間際のベリンガムや、57分頃のブラヒムの突破からベリンガムへ合わせた場面など、ほぼ1点もののチャンスはありました。一方的にマドリーだけがGKに助けられた試合ではありません。

それでも、「ボールを持たせてカウンターを狙うプランだったから、この試合内容で問題なし」と言えるほど、安心して見られる試合ではありませんでした。

ブラヒムがいる右サイドは、やっぱり面白い

そんな苦しい時間の中で、改めて良いなと思ったのがブラヒムでした。

いや、上手いです。

ビルドアップで苦戦し、相手に捕まりそうになっても、ボールを引き取り身体を張ってファウルを引き出す。低い位置でトレントやバルベルデが受けられない時には、多少強引にグラウンダーの速いパスをブラヒムに差し込んでも何とか収めたり、フリックで味方に預けてつなげてくれます。

そして57分頃には前述の通り、単独突破から絶妙な浮き球でベリンガムへ。あれも最高でした。モロッコ代表での輝きも考えると、マドリー以外のクラブなら、どこでも中心選手になれるプレーヤーです。

そして今のマドリーには、右サイドにはアルダ・ギュレルもいます。さらにディオマンデもいます。左は基本的にビニシウスのサイドアタックが中心になりますが、右では選手によってかなり違う変化をつけられます。

これまでの記事でも語っていますが、これは今シーズンの大きな武器になりそうです。昨シーズンからずっと感じていた、攻撃時の「手詰まり感」はかなり解消できるのでは、と期待感があります。

ディオマンデが今後もっと長い時間を任されるようになり、ギュレルとブラヒムの争いに本格的に割って入ってくるようになったら、さらに面白くなりそうです。エンドリッキも含めて今は出場時間の短い選手もいますが、長いシーズンを考えれば、この層の厚さに助けられる時は必ず来ると思います。

「モウ、一体何を考えているんだい?」

さて後半ですが、68分のカウンターも良かったです。相手の攻撃を跳ね返したところへバルベルデが圧力を掛け、ベリンガムが一度奪われながらも粘り、そこからビニシウス→エンバペとつなぎ、最後はブラヒム。

ビニシウスは言わずもがな、エンバペも昨シーズンに比べて周囲と絡もうとする意識が高くなっています。負けている時には焦って「自分が、自分が」となる傾向はベティス線を見る限りまだありそうですが、それでもまず味方と絡みながら攻撃を作ろうというプレー選択は間違っていないはず。

一方で、この試合では時間が進むにつれて別の問題が気になりました。

疲労です。基本的にボールを持たれ、前半から走らされていたこともあり、55分頃から、早くも少しずつ足が止まり始めます。

さらに後の74分には、カウンターの場面でボールを失ったベリンガムが、悔しがりながらもすぐ戻る場面がありました。こういうシーンは熱くなります。ただ、その戻り方を見ても相当疲れていました。そうこうしているうちに試合は75分。外から見ていても「そろそろ替えた方がいいんじゃない?」と心配になる状態です。

そして77分。ついに捕まりました。

この場面ではビニシウスの守備が中途半端になり、ククレジャが内/外の2枚を見なければならない場面を作られます。結局、外へ引っ張り出されたところから侵入され、最後は飛び込んできたカルロス・アウグストに決められ1点差に詰め寄られます。

この場面だけを切り取ってどうこうというより、試合を通して何度も作られていた形で、いよいよ決められたか、という失点でした。そして、マドリーがようやく最初の交代カードを切ったのはその後の79分。トレントとブラヒムを下げ、チュアメニとディオマンデ。

うむむ。この試合もトリデンテ(エンバペ、ビニシウス、ベリンガム)は変えないのか。。

モウ、一体何を考えているんだい?

中3日。2-0でリード。相手に押し込まれ、明らかに疲労も見えている。これだけ条件が揃っているなら、もっと早く動いて良かったと思います。

特に今後は、エンバペ、ベリンガム、ビニシウスのトリデンテを、勝っている試合では60〜70分台で思い切って替える判断も必要になるはずです。負けている試合なら、なおさら替えづらい。

だったら勝っている時くらい、もうすこし強気に休ませてほしいです。過密日程を戦う以上、ここは今後かなり気になるところです。

チュアメニ復帰と、存在感を増すハウセン

一方で、チュアメニがようやく試合で使えるところまで復活してきたのは朗報でした。モウリーニョ政権ではかなり重用される選手のはずです。

ベルナルド、バルベルデ、チュアメニ。ここを中心に、カマビンガやピタルチがもう少し存在感を出してくれれば、中盤2枚のところもかなり安心できるようになります。個人的にはチュアメニ&ベルナルドの組み合わせを早く見てみたいです。

そしてもう一人、良かったのがハウセン。昨シーズンと比べて守備の安定感が増しています。身体を張れるようになってきましたし、もともと持っていた左足からのフィードも好調。小回りの利くスピードタイプを苦手にする傾向は相変わらずありますが、同サイドのククレジャとの連携も悪くありません。派手ではありませんが、今シーズンここまで見ていてコンディションが良さそうです。W杯メンバから落選してしまったこともあり、彼も今シーズンに掛ける思いは強いはず。期待しています。

まずは、勝ててよかった

最終的には2-1。内容を振り返れば、改善点はまだまだあります。

トレントの中盤起用は、この試合を見る限り成功とは言い難い。

サイドの守備も危なっかしい。

ボールを握られる展開でもゲームをコントロールする術はまだない。

そして選手交代は、もっと早くていい。

それでも、中3日。直前のリーグ戦で今季初黒星。そこから迎えたCL初戦、相手はインテル。そんな難しい状況で、勝ち点3を取れました。

そして何より、ベティス戦のあとに見たかったリアクションがありました。前から圧力をかけ、エンバペとバルベルデという、このチームを引っ張るべき選手が仕留めてくれました。

いいサッカーをした方が勝つとは限らないのがサッカーですし、こういう試合を勝ってしまうのがマドリーというクラブです。CLという舞台で、インテルという強豪相手に得られたこの成功体験が、これからのチーム作りにつながってくれることを願います。まずは勝ててよかった。連敗しなくてよかった。

長いシーズンの序盤も序盤。まだまだ気長に見守ります。

Hala Madrid!

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