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【26-27シーズン開幕直前】期待よりも不安が勝つ? モウリーニョ・マドリーという「開けてビックリ玉手箱」

こんにちは、おせんどうです。

プレシーズンマッチ全日程が終了し、いよいよ26-27シーズンのラ・リーガ開幕が目前に迫ってきました。

最後のシャルケ戦は3-0の快勝。スコアだけを見れば「順調な仕上がり」に見えるかもしれません。しかし、画面越しにプレシーズンを見守ってきたマドリディスタの多くは、胸の奥にある種の「ざわつき」を覚えているのではないでしょうか。


「……今季のマドリー、実は不安要素多くないか?」


ジョゼ・モウリーニョ新監督の就任、大型補強、そして昨季から持ち越された様々な火種。期待がないと言えば嘘になりますが、それ以上に押し寄せてくるのは課題山積のチームに対する不安です。

今回は、開幕直前の今だからこそ吐き出しておきたい懸念点と、それでもこのチームに期待せずにはいられない正直な思いを、いちファンの目線で綴ってみたいと思います。

補強の歪み:モウリーニョが本当に欲しかったピースはどこにある?

まずは、今夏の移籍市場を振り返りましょう。

フロント主導でネームバリューのある選手が加わっており、コナテやククレジャ、カルロス・エスピなど、足りなかったピースを的確に補強してチーム力を上積みできている面は確実にあります。

しかし、後述する人員整理の進まなさと相まって、今回の移籍市場で、フロントとモウリーニョはどれだけ密に連携できていたのか?には、個人的には疑問符がついたままです。後々になってモウリーニョが「〇〇が欲しかったが来なかった」と言って内紛勃発、、という未来が少し心配です。

「本当にモウリーニョが欲しがっていたピースなのか?」という目線で移籍市場の動きを振り返ると、正直怪しい補強もちらほら。首を傾げざるを得ません。

最大の懸念は、低い位置からゲームをコントロールし、タレント豊富な前線にいい形でボールを供給できる守備的MFの不在です。獲得が噂されたロドリは来ず、その役割を担えそうな新加入選手はベルナルド・シウバのみ。もちろん彼の卓越したキープ力やゲームコントロール能力は世界屈指ですが、本職はそこではありません。よしんば攻撃面での配給をこなすことができても、中盤深くに置いた際の守備強度にはどうしても不安が残ると見ています。

また、注目の若手ディオマンデを獲得したものの、彼は右利き。W杯では右でも存在感を示したとはいえ、個人的には真価を発揮するのは左サイドなのでは?と感じています。フロントの思惑としては、移籍市場を賑わせたビニシウスがクラブを離れてしまうケースを想定し、左サイドで起用することが本命だったのではないでしょうか。

さらに右SBに加入したダンフリース。ポジションを争うことになるトレント含め、どちらもワールドクラスの攻撃性能を持つ反面、守備には明確な軽さやリスクを抱えるタイプです。実際、W杯の日本VSオランダの戦前予想では、「日本はダンフリースが上がった裏のスペースを突けばチャンスを作れる!」と散々言われていました(結果、オランダはダンフリースのポジションを上げすぎないリスク回避の戦術を取りましたが)。カルバハルが抜けたことで明らかな補強ポイントだった右SBですが、堅守速攻をベースとするモウリーニョの意向がどれくらい反映されていたのでしょうか。

ともあれ、所属選手と主力選手(主要フォーメーション)について一度考えてみましょう。

【26-27 レアル・マドリー所属選手】

▼GK
1ティボー・クルトワ
13アンドリー・ルニン

▼DF
2ラウール・アセンシオ
3エデル・ミリトン
12トレント・アレクサンダー・アーノルド
16イブラヒマ・コナテ
17マルク・ククレジャ
18アルバロ・カレーラス
24デンゼル・ダンフリース
22アントニオ・リュディガー
23フェルラン・メンディ
24ディーン・ハウセン

▼MF
5ジュード・ベリンガム
6エドゥアルド・カマビンガ
8フェデリコ・バルベルデ
14オーレリアン・チュアメニ
15アルダ・ギュレル
20ベルナルド・シウバ
27チアゴ・ピタルチ

▼FW
7ビニシウス・ジュニオール
9エンドリッキ
10キリアン・ムバッペ
11ロドリゴ・ゴエス
19カルロス・エスピ
21ブラヒム・ディアス
25ヤン・ディオマンデ

【基本フォーメーション(4-2-3-1)】

4-2-3-1に、主力と想定される選手を配置してみました。
赤丸はどっちかはっきりしないところ。序盤の選手起用は注目です。

基本は4-2-3-1と予想され、プレシーズンマッチを見てある程度スタメンが見えつつある状況です。とはいえ、コンディションは選手によって相当ばらついていると思いますし、まだまだモウリーニョの中の序列は読めないところも多そうです。

蓋を開けてみないとわからないな、と思っているのが赤丸の5箇所。まず、ベルナルドと組ませる守備的MFですが、守備強度を考えるとチュアメニを入れたいところ。しかし、W杯決勝まで戦ったコンディションやキャプテンマークを背負うことを考慮すると、開幕直後はバルベルデと予想します。

右サイドは、クラブ史上最高額で獲得したディオマンデがファーストチョイスと思いますが、プレシーズンの出来はブラヒムのほうが上。フィット状況次第では、まずはブラヒムが重用されそうな気も。

CBは、世代交代の期待も込めてハウセン&コナテでしばらく試してほしいと思っていますが、まだまだ対人守備の強さはリュディガーには及ばないはず。ここはローテーションしながら連携を深めていくことになるでしょう。

右SBは本当に読めないところです。左のククレジャがバランスを取ってくれるのでどちらも起用できそうですが、まずは連携面で上積みがあるトレントで開幕を迎えるのではないでしょうか。

そして、攻撃の中核を担うトップ下。エンバペとの相性でいうとアルダ・ギュレルが間違いなく上ですが、ワールド杯の活躍も鑑みると、まずはベリンガムを試し、攻撃が停滞するようであればギュレルが出番を得るでしょう。

改めて豪華メンバーが並んでいるし、各ポジションでハイレベルな競争があるなと思いつつ、うーん、、、誰を起用すれば攻守のバランスは保てるのでしょうか?

ビニシウス&エンバペ問題①:守備時にコースを切れない2トップ

先程の予想フォーメーションでは4-2-3-1としましたが、守備時は2ラインを形成することになるはず。これまでの監督同様、単純に考えると守備時にはベリンガムとディオマンデが下がって中盤4枚を形成し、前線にビニシウスとムバッペを並べる「4-4-2」のブロックを敷く形が予想されます。

そして、あとは前線の2人が守備をすれば(モウリーニョが喝を入れれば)、、というのが散々言われてきたことです。エンバペもビニシウスも、昨季の失態とW杯での悔しい敗退を受けてモチベーション高く開幕を迎えると思いますし、モウリーニョ新体制の最初は守備にしっかりと走ってくれるでしょう。

しかし、これまでの2シーズンを見ていて、それでも戦術的に問題があると私は考えています。

彼らの守備意識の低さもさることながら、根本には「最前線のファーストディフェンダーに求められる守備スキル(背中でパスコースを消しながら、相手のパス方向を限定して片サイドに追い込む技術)」が2人とも高くないという問題があります。

連動した追い込みができないため、無駄走りになってしまうこともしばしば。結局、相手のセンターバックやアンカー顔を上げて前を向かれ、中盤4枚が晒されるシーンが昨シーズンは散見されました。いくらモウリーニョでも、この2人を前線に残す守備のやり方を続ける限り、強豪相手には守備崩壊の引き金を引くことになりかねません。

「前線守備免除問題」というのが一般に言われるマドリーの最大の欠点ですが、それをクリアしてもなお、純粋な守備システムの未熟さが露呈してしまい、解決を見ないのではないかと危惧しています。そのため、単に守備意識を高めさせるだけでないメカニズムを構築できるのか、が最初の試金石になるでしょう。開幕から10試合くらいかけて形を探っていくことが必要なのではないか、と考えています。

ビニシウス&エンバペ問題②:左サイドの大渋滞はどうなったんだい?

エンバペとビニシウスの同時起用による弊害は、守備の問題だけではありません。過去2シーズンのマドリーの試合を見てきた人なら誰もが同意してくれるはず、「左サイドのスペース食い合い問題」です。

トップ下にベリンガムを据えれば、彼も左のハーフスペースを好むため、左サイドは完全に大渋滞を起こします。エンバペが移籍した24-25シーズンには、世界最高の攻撃ユニットBMVR(ベリンガム・ムバッペ・ヴィニシウス・ロドリゴ)なーんて言われていたのが今では懐かしい。。4人左サイドに固まるという笑える(いや、笑えない)状況に陥って絶望しながら試合を見ていたことを思い出します。

どんな監督も、本来は選手に細かく立ち位置を意識させて試合中に脳のリソースを使わせたくない、それぞれの本能的にプレーしやすい位置が噛み合うように配置をデザインしようと考えるはずです。圧倒的な個人能力を持つマドリーであればなおさらです。しかし、この強烈なエゴと才能の衝突は、名称アンチェロッティでさえ解決できませんでした。いくらモウリーニョが守備陣形を整備したところで、彼らが本能的に左を好む事実は変えられませんし、押さえつけて上手くいくようになるビジョンは正直見えません。

引いた相手をどう崩す?誰も前を向けない「ライン間の欠如」

もう一つの深刻な問題が、「相手の守備ブロックの間で受けて前を向ける選手の不足」です。仮に、エンバペ、ビニシウス、ベリンガム、そして新加入のディオマンデが前線に並ぶ場合、彼らはいずれも引いた相手のライン間で狭いスペースで持ち味を発揮するタイプではありません。

今のメンツでそれが得意なのは、ベルナルド・シウバ、ギュレル、ブラヒムくらいです。しかし、シウバはより低い位置での配球役として必要不可欠で前線起用の優先度は低いはず。一方でギュレルやブラヒムを起用するとなれば、ベリンガムかディオマンデをベンチに置くことになります。

エスピ起用のジレンマ:ゴンサロと同じ道をたどるのか

開き直って、ライン間の狭いスペース攻略をある程度諦めるとしましょう。ここがこじ開けられないとなれば、外からのクロスにエリア内で合わせる形や、ミドルシュートに頼ることになります。こうなると相手のCBをピン留めし、体を張ってエリア内で勝負できる長身のCF、例えば新加入のカルロス・エスピを起用したくなります。

しかし、彼をスタメンで使うということは、事実上エンバペかビニシウスのどちらかを外すことを意味します。先に述べた同時期用問題も解決できるアイデアなのですが、いくらモウリーニョでもそれは現実的では無いと考えています。よほどのことがない限りエスピの序列が上がるとは考えにくいですね(この起用ができるなら、ゴンサロで良かったじゃないか、という話になりますしね。。)

「20人学級」を好む知将と、ダブつく銀河系

続いての不安要素は、選手の「ダブつき」です。

モウリーニョはかつて自ら「20人前後の少数精鋭が理想」と語ったように、限られたスカッドに自らの熱量を叩き込み、戦う集団へと結束させる指揮官です。しかし現在のトップチームは25人以上を抱えるかなりの大所帯。人員整理が進んでいません。

スカッドが肥大化すれば、当然あぶれる選手が出てきます。

特に懸念されるのが前線の選手たちの出場機会です。昨季リヨンで自信を取り戻し、改めて才能の片鱗を見せているエンドリッキや、怪我からの復帰を目指すロドリゴが十分なプレータイムを得られず、序列の底に沈んでしまうのではないか。チームの未来を担う選手たちの成長鈍化だけでなく、新たなチーム内の火種にならないことを願うばかりです。

ピッチ外に眠る地雷原と、W杯イヤーという重圧の中で

そして最後に、チームの内情です。

昨季、チーム内で揉め事を起こしたメンバー(カレーラスとリュディガー、バルベルデとチュアメニなど)がそのままスカッドに残っています。開幕直後や勝てているうちは、表面上はプロとして結束して振る舞うでしょう。モウリーニョのカリスマ性も手伝って、不満を抑え込む強硬策も機能するはずです。

しかし、歯車が狂い、勝てなくなった時に何が起きるか。

前線の守備に不満を抱く中盤・守備陣、出番を失ったタレント、そして年を重ね丸くなったとはいえ、"劇薬"とも称される強烈なパーソナリティを持った指揮官。一度綻びが生じれば、一瞬にして対立と空中分解の危機が訪れるリスクを孕んでいます。

しかも今季はワールドカップイヤー。過密日程の中で主力のコンディション調整は例年以上に難しく、怪我人が出た際のマネジメントは困難を極めます。

おわりに:でも、だからこそ面白い。“びっくり箱”を開ける覚悟で

書き連ねていくと、本当に不安要素しかありません。

戦術の歪み、守備の穴、人員過剰、人間関係の火種。

ですが、綺麗に整ったサッカーだけがフットボールの面白さではないはずです。本来、モチベーターかつ戦術家であるモウリーニョが、この歪で巨大な銀河系をどう手懐けるのか。

大爆発して圧倒的な強さを見せるのか、それとも派手に破綻し想像以上に早い終焉を迎えてしまうのか。

何が飛び出すか分からない「びっくり箱」の蓋を、恐る恐る、けれどワクワクしながら開けるような気持ちで、今シーズンも見守っていきたいと思います。

さあ、いよいよ開幕。

腹を括って見届けましょう。

Hala Madrid!

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