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黄泉の国との境界とされる場所へ|わたしが毎年手紙を届ける理由

こんばんは。
おさゆです。

この世と黄泉の国。

その境界とされる場所があります。

わたしの住む島根には、
日本神話において、

生者の住む現世と死者の住む他界との
境目にあると言われる

”黄泉平坂(よもつひらさか)”

と呼ばれる場所があります。

女優の北川景子さん主演、
映画「瞬またたき」のロケ地にもなった場所で、

今年でニ年目になりますが、
昨日ようやく訪ねることができました。

次男が亡くなったあとも、消えずに残っていた彼のライン。

既読はつかないけど、
その日の出来事や季節の移ろいを
伝えたり、ふと浮かんだ思いを送ったり。

話しかけるように
メッセージを残していました。

そんなアカウントが昨年の年明け、
突然トークルームから消えました。

”Unknownが退出しました”

そして、
トークルームの名前は

”メンバーなし”

そう記されていました。

亡くなったあとに通信契約を
解約したので、

いつかはそんな日が来ることは
わかっていました。

それでも、

そこにあった息子の名前が
突然消えたとき、

胸の奥に静かにしまっていた
寂しさがまた、

ゆっくりと溶けだしてくるようでした。

人は、
悲しみを乗り越えるんじゃなく、
抱えながら生きていくものなのかも
しれません。

時間が経てば平気になるわけでも、
忘れるわけでもない。

ただ、
その悲しみとの付き合い方が
少しずつ変わっていく。

そんなことを思いながら、
ラインの代わりに手紙を書こうと
思ったんです。

道路が整備されて行きやすくなった
とはいえ、

自宅から車で二時間ほどかかる場所。

それでも手紙を届けたいと思い立ち、
昨年はじめて訪ねました。

この黄泉平坂(よもつひらさか)には、

「天国(黄泉の国)への手紙」ポスト

と呼ばれるポストがあります。

年に一度、
全国から寄せられた手紙が
毎年六月に焚き上げられます。

今年は六月二十一日と知り、
その日までには訪ねたいと思いながら
予定を調整してきました。

わたしの他に、
並ぶ車のナンバーを見ると、

名古屋、姫路、愛媛、倉敷と、

お焚き上げが近いこともあってか、
他県の方が多く来られていました。

このポストは、
2011年の東日本大震災で大切な人を
失った方々が、

故人に会いたい気持ちや、
伝えたかった思いを抱えて訪れるように
なったことをきっかけに、

2017年に設置されたそうです。

島根に住みながら、
以前のわたしはこんな場所が
あることを知りませんでした。

でも今は、この場所があったことに
救われています。

大切な人を亡くしたとき、
苦しいのは別れだけではありません。

もう伝えられないと思ってしまうこと。

もう届けられないと思ってしまうこと。

そこに、
大きな寂しさがあるように感じます。

だからこそ、
手紙を書くという行為には、

なんだか不思議な力があるように
想えるんです。

届くかどうかではなく、
自分の中に残っていた思いに触れる。

言葉にしてみて、
はじめて気づく気持ちもあります。

涙になる思いもあれば、
感謝として残っている思いもあります。

喪失のあと、
わたしは自分の心と向き合う時間を
たくさん重ねてきました。

その中で知ったのは、
悲しみをなくすことが癒しでは
ないということ。

悲しみがあっても、
その人とのつながりを感じながら
生きていけること。

それもまた、
ひとつの癒しなのだと思うようになりました。

ラインは、
そんなつながりを感じられる場所でした。

日常の他愛ないことを話しかけたり、
ふと思い出したことを送ったり。

既読がつかなくても、
そこには息子を思う時間がありました。

そして、
それはわたしにとって大切な支えだった。

だからこそ、
小さなことではあるけど、

ラインの代わりに綴ってきた
一年分の思いを、今年も手紙に
託してきました。

直接届けに行くことで、

また一年、
前を向いて歩いていく力を
もらえたような気がしています。

悲しみは消えません。

これからも消えることはないんだと
思うんです。

それでも、
こうして思いを届けられる場所があること。

会えなくなった人との時間を、
自分の中で大切に抱きしめなおせる
場所があること。

そのことに、

今夜も静かに、感謝しています。


今日も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。

こころから感謝を込めて。

おさゆ



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