芋出し画像

700䞇円かけお、客の来ない店を䜜った。時蚈が進たない半幎間

キッチンカヌを始める前に、店をひず぀朰しおいる。

半幎で畳んだ。冷凍庫には行き堎のない食材が残っお、仲間ず出し合った金は消えた。

今日はその半幎の話を曞く。

なぜ、フランチャむズだったのか

自分で䞀から店を䜜る、ずいう遞択肢もあった。それでもフランチャむズを遞んだのは、飲食の経隓がなかったからだ。

商品の䜜り方も、原䟡の組み方も、店の回し方も、䜕も持っおいない。れロから䜜れば、党郚を自分で詊行錯誀するこずになる。圓時の自分には、そこに䜿う時間がなかった。ほかにやるこずを抱えおいお、この店だけに匵り぀けるわけでもなかった。

フランチャむズなら、すでに答えが出おいる。他の店で実際に成立しおいお、やり方も教えおもらえる。自分が甚意するのは堎所ず金ず人だけでいい。そう思っおいた。

そのうえで、この商材を遞んだ理由がある。

もずもず、䜜り手の腕で味が倉わらないものだった。フランチャむズだから揃うんじゃなくお、玠材ず扱い方でほが決たる。誰がやっおも同じものが出るし、緎習しお腕を䞊げる必芁もない。飲食の䞖界でこれは珍しいず思う。

玠人が始めるなら、そこが䞀番倧事だず思った。腕が䞊がるたで埅぀時間はないし、自分が毎日厚房に立ち続けられるわけでもない。人が倉わっおも同じものが出せるなら、雇っお回せる。

実際、味では最埌たで苊劎しなかった。いたキッチンカヌで出しおいるのも、あのずきず同じ味だ。倉えおいない。

いた思えば、その「答え」の範囲を読み違えおいた。手順の答えは確かにもらえる。ただ、堎所の答えはもらえない。圓時はそこが分かれおいるずも思っおいなかった。


立地が悪いのに、客が絶えなかった店

加盟する前に、旗艊店を芋せおもらった。

地方にある店で、正盎、立地は良くなかった。それなのに客が途切れない。朝から倕方たで、ずっず誰かが座っおいる。

䞀週間、店に入らせおもらった。芋孊ずいうより手䌝いに近くお、ピヌクの動きも暇な時間も、平日も䌑日も党郚芋た。

驚いたのは、あれをワンオペで回しおいたこずだ。ピヌクの時間でも䞀人だ。䜜業自䜓が難しくないから成立しおいる。手順が決たっおいお、誰がやっおも同じものが出る。

これなら自分にもできる、ず思った。

いい商売だず思った。実際、いい商売だったんだず思う。

念のため他の店も自分の足で回った。䞉぀あっお、党郚圓たっおいた。本郚にノりハりがないわけでもなく、数字も芋せおもらったし、想定来店数も出しおもらった。

これなら圓たる。そう思った。

確認できるこずは、党郚確認した

出す堎所は本郚ず盞談しお決めた。調査もしおもらった。ただ、店舗そのものを決めたのは自分だ。ここは誰のせいにもできない。

だから自分でも調べた。

前の道の通行量を、時間垯ごずに数えた。

昌ず倜、平日ず䌑日、それぞれ足を運んだ。

呚りの飲食店を䞀通り回った。

人口ず、近くにどんな斜蚭があるかを調べた。

倖芳ず店内の写真も撮った。珟地に立っおいるず、いい物件だず思いたい気持ちが混ざる。その堎の印象を信じきれなかったから、写真にしお持ち垰っお、家で冷静に芋盎したかった。昌に撮っお、倜にも撮った。

いた芋返しおも、どこよりも綺麗な店だったず思う。いたでもあの店の雰囲気は奜きだし、自分が客なら行きたい店構えだ。

条件は良かった。

内装工事がほずんど芁らず、そのたた䜿える状態だったから初期投資が抑えられる。賃料は圧倒的に安い。前面に駐車堎が耇数あっお、幹線道路に面しおいお、倧きな駅からもそう遠くない。バス停は目の前だ。

物件ずしおは文句の぀けようがなかったし、店そのものも良かった。35垭ある広さで、他のFC店舗ず比べおも高玚感があった。自分で蚀うのもあれだけど、品のある店だった。

加盟料が100䞇円。その他を合わせお、700䞇円ほど入れた。

広告宣䌝もきっちり打っお、開店に合わせお人を雇った。旗艊店はワンオペで回っおいたけれど、うちは35垭ある。ずおも䞀人では芋きれないから、自分ずスタッフで入るこずにした。初日は本郚の人にも立ち䌚っおもらっおいる。

やれるこずは、たぶん党郚やった。少なくずも、自分で調べられる範囲は調べた぀もりだった。

開けおみたら、地獄の始たりだった

初日の客数が、想定の半分に届かなかった。

じわじわ萜ちおいったんじゃない。開けた日から、もう届いおいない。

分からなかったのは、倖に人はいたこずだ。

店の前を人が歩いおいるし、車も走っおいる。目の前のバス停で降りた人が、そのたた通り過ぎおいく。

通行量がなかったわけじゃない。うちに来ないだけだった。

本郚の人も珟堎にいた。ノりハりを持っおいる人間が目の前で䞀日を芋お、それでも答えが出ない。二人で考えおも、䜕が悪いのか分からなかった。


時蚈が進たない。

䞀時間くらい経っただろうず思っお壁を芋るず、ただ十五分だ。それからたた立っお、そろそろかず思っお芋るず、二十分になっおいる。

店にはBGMが流れおいる。それしか鳎っおいない。同じ曲が䞀呚しお、たた同じずころに戻っおくるのが分かるようになる。

倖の車の音が近い。誰かが店の前で足を止める気配がするず、䜓が反応する。入っおくるかもしれない。そのたた通り過ぎる音がする。

やるこずがないから、なんずなく厚房を芗く。䜕も起きおいない。ホヌルに戻る。誰もいない。

䞀日の残り時間を数えるようになる。あず五時間。あず四時間半。閉店たでの時間を数えおいる自分に気づいお、それが䞀番たずいこずだず分かっおはいた。

最初のうち、スタッフは来店を楜しみにしおいた。

「時間が早いからですかね」

「そのうち来たすよ」

今日はどのくらい来るだろう、ずいう話を普通にしおいた。

「食べたらおいしいのに」

「䞀床食べおもらえたら、分かっおもらえたすよ」

「なんで来ないんですかね。倀段だっお盞堎より安いのに」

慰めじゃなく、本気でそう思っおくれおいたず思う。だからよけいにこたえた。

日が経぀に぀れお、その䌚話がなくなっおいく。誰も来店の話をしなくなる。

汚れおいないテヌブルを拭いお、もう䞀床拭いお、そのうち掃陀するずころがなくなる。するこずがなくなるず、時間は完党に止たる。

35垭あっお、そこにぜ぀ぜ぀ずしか人がいない。広さが仇になる。あれは、広すぎたのかもしれない。

電話は鳎る。取るず営業の電話だ。早い時間に扉が開いお、来た、ず思うず飛び蟌みの営業だった。

そのうち、スタッフのほうが気を䜿うようになった。今日はもう䞊がりたしょうか、ず蚀っおくる。店の人件費を気にしおくれおいるわけで、雇った偎なのに気を䜿わせおいる。


朝、店に行くのが少しず぀重くなる。

前の日が駄目でも、今日は違うかもしれない。そう思っお開ける。開店の時間になっお、誰も来ない。昌を過ぎお、誰も来ない。倕方になっお、ようやく䞀組か二組。それで䞀日が終わる。

その繰り返しに、だんだん慣れおいく自分がいた。今日も駄目だったな、ず思う速床が早くなる。慣れおいいこずじゃないのに、慣れないず立っおいられない。

倖に出れば人は歩いおいる。うちの前を通り過ぎお、どこかぞ行く。あの人たちはどこかで飯を食っおいるはずだ。うちじゃないどこかで。

倜、店を閉めお電気を萜ずす。誰も座らなかった座垃団が、そのたたの圢で䞊んでいる。朝、自分で敎えた圢のたただ。

その日の売䞊を数える。数えるほどの枚数がない。

打おる手は、順番に党郚打った

本郚ずは毎日話した。

他の系列店にもたた足を運んだ。

近くの同業他瀟も芋に行った。

広告を増やした。

ランチをやっおみた。

倜に振っおみた。

どれも倉わらない。電話は鳎らないし、予玄も入らない。

新メニュヌも考えた。䜕床も考えた。いた思えば、そこじゃなかった。

SNSも曎新した。いいねはたくさんもらえる。反応もある。

でも来ない。

店の入口を開けお、調理の匂いを倖ぞ流したこずもある。歩いおいる人が匂いに぀られお足を止めるんじゃないか、ず思ったからだ。曞いおいお情けないけど、本圓にやった。

止たらなかった。

客のいない店で、自分の商品を䞀人で食べたこずもある。スタッフず䞀緒に食べたりもした。うたかった。今でもうたいず思っおいる。

友人は䜕人も来おくれたし、それは本圓にありがたかった。ただ、それは商売ずは別の話で、友人が来おくれる回数で店は続かない。

うたい。それなのに来ない。䜕が悪いのか分からない。

分からないたた毎日店に立っおいるず、思い぀くこずを片っ端から詊すしかなくなる。ランチも、倜も、匂いも、党郚そうやっお出おきた手だった。

いた振り返るず、あれは党郚、店の䞭をいじる手だった。営業時間も、出し方も、匂いも、自分の裁量で明日から倉えられるものばかりだ。手の届く範囲に原因があっおほしかったんだず思う。

刀断力が䞀番萜ちおいる日に、䞀番重い刀断をしようずしおいた。

別の蚘事で、売れない日にその堎で考え始めるず、疑わなくおいいずころたで疑い出す、ず曞いた。だから悩みは調子のいい日に枈たせおおく、ずも曞いた。あれもここから来おいる。半幎、毎日その堎で悩んで、たずもな答えが䞀぀も出なかった。

本郚が悪かったわけじゃない

ここたで読んで、フランチャむズに隙された話だず思った人がいるかもしれない。本郚が悪い、加盟金を取られただけだ、ず。

そうじゃない。

あの本郚は、いたも店を増やしおいる。他の加盟店も、健党に経営を続けおいる。朰れたのはうちだけだ。仕組みに欠陥があったのなら、他の店も同じように死んでいるはずで、実際はそうなっおいない。自分には別に本業がある。それもフランチャむズだ。そっちは䜕幎も続いおいお、いたは人を40人ほど雇っおいる。

フランチャむズだけでもない。業皮のばらばらな事業をいく぀か動かしおいお、どれも今のずころ続いおいる。

その人間が、半幎で店を朰した。

同じ人間が、片方のフランチャむズでは䜕幎も続けおいお、片方は半幎で死んだ。畑の違う商売はいく぀も回っおいるのに、この店だけが立たなかった。だから、本郚が悪かった、腕がなかった、その䞀蚀だけでは片づけられない。

少なくずも、決定的に違っおいたのは堎所だった。

ただ、堎所のせいだけにするのは違う。人を40人雇っおいる人間が、远い詰められたずきに䜕をやったか。そこも曞いおおかないずフェアじゃない。

決定打は、自分で打った

先に曞いおおきたいこずがある。

客は少なくお、想定の半分もいかない日が続いおいた。ただ、来おくれた人たちはよかった。ありがずう、おいしかったよ、たた来るね。そう蚀っお垰る人ばかりだった。

数は足りおいない。それでも、あの蚀葉があったから次の日も開けられた。

そのうえで、最埌に䞀぀詊したこずがある。

期間限定で、倀段を半額にした。倀匕きの぀もりじゃなく、そもそもこの堎所に客はいるのか、それを確かめたかった。半額でも来ないなら人がいないし、半額なら来るなら人はいる。そういう実隓の぀もりだった。

いた曞いおいお思うけど、あのずき正垞な刀断ができおいたずは思えない。実隓ずいう蚀い方も、埌から振り返っお圢を敎えおいるだけかもしれない。半幎間ずっず客が来なくお、打぀手が党郚倖れたあずに出した手だから、冷静なわけがない。

答えは出た。客は来た。

鳎らなかった電話が鳎る。入らなかった予玄が入る。オヌプンからラストたで、35垭がほが埋たった。半幎間、䞀床も芋たこずのない光景だった。

ただ、来たのは今たで来おいた人たちずは違う局だった。店の䜿われ方が倉わった、ず蚀えば䌝わるだろうか。ゎミを投げおいく。勝手に机をいく぀も぀なげお陣取る。皿を灰皿かゎミ箱みたいに䜿う。個宀でタバコを吞う。

䌚話も成立しなかった。いらっしゃいたせ、ず蚀っおも返っおこない。泚文を確認しおも通じない。䜕になさいたすか、みたいなやりずりにはならない。接客ず呌べるものが、最埌たで䞀床も起きなかった。

単䟡が半分だから、数が増えおも利益は残らない。売䞊はたいしお倉わらないのに、店だけが荒れおいく。

そしお、ありがずう、おいしかったよ、たた来るね。あの蚀葉が䞀぀も聞こえなくなった。枛ったんじゃない。本圓に、䞀぀もなくなった。


涙が出たのは、その片付けをしおいるずきだった。

閉店埌、個宀の足元に皿ずコップが投げ散らかされおいる。なぜそこに眮くのか分からない。コップの䞭には玙ナプキンが詰め蟌たれおいる。

それを䞀人で拟っおいたら、自然ず涙がこがれた。

泣こうず思ったわけじゃない。ただ勝手に出おきた。

怒りだったず思う。ぶ぀ける盞手がいない怒りだ。あの客たちを呌んだのは自分の倀付けだから、怒る先が自分にしかない。そこに悲しさずやるせなさが混ざっお、党郚いっぺんに来た。

半幎で心が折れた瞬間を遞ぶなら、そこだ。そしおたぶん、やめるず決めたのもそこだった。

来た人を責めたいわけではない。倀段に反応しお、安いから来た。それだけのこずだし、呌んだのは自分の倀付けだ。

倀䞋げずいうのは、同じ客に安く売る行為だず思っおいた。違った。客を入れ替える行為だった。

そしお元の倀段に戻しおも、前の客は戻っおこなかった。少なくずも自分には、そこから戻すこずができなかった。

怜蚌ずしおは、成功だったず思う。知りたかったこずに答えが出た。

あの堎所に人はいた。半額なら来る人もいた。ただ、通垞の倀段を払っおたで、この店を遞ぶ人はいなかった。

いたキッチンカヌで、䌚堎ごずに倀段を倉えないし、売れない日にも䞋げないず決めおいる。理由はこれだ。倀段は数字じゃなくお、誰に来おほしいかの衚明なんだず思う。

蚀い蚳が尜きるたで

やめるず決めるたで、ずいぶん時間がかかった。

ただ初日だから、ず思っおいた。次は、ただ初週だから。その次は、ただ初月だから。だんだん蚀い蚳の期間が長くなっおいく。

そのうち、蚀うこずがなくなる。初日でも初週でも初月でもなくなっお、ただ䜕々だから、の埌ろに入れる蚀葉が出おこなくなる。

その間も赀字は膚らんでいく。売䞊が立たなくおも、家賃ず人件費は同じ額で毎月出おいくからだ。

ちなみに、出資しおくれた仲間が止めおくれたわけでもない。あれは共同投資で、経営は撀退の刀断たで含めお自分に任せおもらっおいた。口を出されたこずは䞀床もない。

信頌されおいたし、いたでもありがたいず思っおいる。ただ、誰も止めない状態だったのも確かだ。ブレヌキを螏むかどうかは、最初から最埌たで自分ひずりの手にあった。

それでも、ただ決めきれなかった。

決めたのは、あの片付けをしおいる途䞭だった。床に散らかった皿を拟いながら、ここたでだ、ず思った。数字を芋お決めたわけじゃない。蚈算はずっくに終わっおいお、あずは自分が認めるかどうかだけだったんだず思う。

人は、心が折れた瞬間が自分で分かるんだな、ず思った。

これ以䞊ここで頑匵るのは厳しい、ず䜓が蚀っおいる。ここで心をすり枛らしお最埌たでやりきるより、別の堎所で詊しおみたかった。うちの商材がどこたで行けるのか、ただ芋おいない。その気持ちだけは残っおいた。

ただ、手段がなかった。店はもうないし、冷凍庫には圚庫の山が残っおいる。あれを凊理しないずいけなかった。

匕き返す線を、先に匕いおおく

この蚘事を読んでくれおいる人の䞭に、少しでも響く郚分があるなら、蚘憶の片隅に眮いおおいおほしい。

どこで芋切るか。どこをデッドラむンにするか。始める前に決めおおいたほうがいい。

蚀われなくおも分かっおる、圓然だろう、ず思う人が倚いず思う。自分もそう思っおいた。

でも、いざ最悪の、そのたた最悪の状況になったずき、冷静な刀断が䞋せるだろうか。

珟堎にいるず決められなくなる。ただどうにかなるんじゃないか。あず数か月したら繁忙期に入る。ここを倉えればいけるかもしれない。そういう考えが、次から次に出おくる。しかも、どれにも根拠がない。

根拠がないのに、そのずきは根拠に芋える。それが厄介なずころだ。

もっずも、デッドラむンくらい決めおいる人がほずんどだず思う。自分もその぀もりだった。

問題はその埌だ。その線は、本圓に動かないものですか。

圓日になるず、線のほうが動く。ここたでず決めおいたはずなのに、あず䞀か月だけ、あず少しだけ、ず埌ろにずれおいく。動かした自芚もない。もっずもらしい理由が、その぀ど甚意されるからだ。

季節が悪かった。倩気が悪かった。あの週はむベントが重なっおいた。来月には状況が倉わる。党郚、そのずきは筋が通っお聞こえる。

垌望的芳枬に頌りたくなる。ずいうより、頌らないず立っおいられない。

なぜ動かせおしたうのか。線を匕いた瞬間、入れた金が䞞ごず返っおこないず確定するからだ。続けおいるあいだは、ただ取り返せる可胜性が残っおいる気がする。その気持ちが刀断を止める。

ここたでやったんだからもったいない。いたさら匕き返せない。よく聞く蚀葉だし、自分も思っおいた。

でもあれは、自分に察する蚀い蚳でしかない。もったいないのは、すでに出おいった分じゃなくお、これから出おいく分のほうだ。匕き返せないんじゃなくお、匕き返したくないだけだった。

だから、匕き返せないずいう決断だけはしおはいけない。

正盎に曞くず、これは難しい。自分もできなかった。蚀い蚳が尜きるたで止たれなかったし、その途䞭で倀段たで䞋げた。線を匕いおいなかったから、どこたで行っおも「ただ」があった。

いた出店を決めるずきに、必ず先に数字を出しおおくのは、これがあるからだ。いくらたでなら出しおいいか、どこで撀退するか。調子のいい日に決めおおく。珟堎に立っおいる自分は、たぶん正しく刀断できない。

それでも枊䞭にいるず、自分で匕いた線すら疑いたくなる。そういうずきは、倖に聞いたほうがいい。同業でも、同業ではない人でもいい。自分の頭の䞭だけで考えおいるず、郜合のいい材料ばかり集たる。

ただ、远い詰められるほど、人には聞けなくなるものらしい。

調べたこずも、遞んだ堎所も、かけた金も、党郚吊定される気がするからだ。盞談しお撀退を勧められたら、自分が積み䞊げおきたものたで吊定されたように感じる。だから、だんだん聞かなくなる。

もっず厄介なのは、聞いたずしおも受け取れなくなるこずだ。

珟堎を芋おいないから分からない。立堎が違う。ここたでかけた偎の気持ちは分からない。盞手が䜕を蚀っおも、頭の䞭で反論は䜜れる。答えを聞く前に、プラむドが自分を守り始める。

吊定されおいるんじゃなくお、刀断材料をもらっおいるだけなのに、そう受け取れなくなる。

そしお、聞けおいおも止たれないこずがある。材料が足りないから決められないんじゃない。材料が揃っおいおもなお、線を匕くのは遅れる。

人に聞けないなら、AIでもいいず思う。AIのほうが正しいからではない。人間関係も䜓面も気にせず、耳の痛い話を䜕床でも聞けるからだ。

ただし、䞀぀だけでは足りない。AIは聞き方ひず぀で返す答えが倉わる。郜合のいい答えが出るたで聞き方を倉えたら、結局は賛成しおくれる盞手を䞀人芋぀けただけになる。

同じ状況を、できるだけ同じ条件で耇数のAIに枡す。背䞭を抌すのではなく、蚈画の匱いずころを蟛口で芋おくれず頌む。どれからも同じ懞念が返っおきたら、そこは自分が芋たくない匱点である可胜性が高い。

あのずき欲しかったのは、いけたすよずいう蚀葉ではなく、その根拠は匱いず蚀っおくれる誰かだった。

結局のずころ、远い詰められた人間に冷静な刀断はできない。これは性栌でも胜力でもなくお、そういうものだず思っおおいたほうがいい。

だから線は、远い詰められる前に匕いおおく。

そしお、迷っお迷子になりそうなずきには、䞀床だけ立ち止たっお確かめおほしい。あのずき匕いた線を、自分でずらしおいないか。

ただ、撀退線だけでは倱敗の理由たでは分からない。そもそも、自分は䜕を芋萜ずしおいたのか。

芋孊で芋えるのは、自分が䜕をするかだけ

いた振り返るず、䞀週間の芋孊で自分が確認しおいたのは、党郚、自分がやる偎の話だった。

䜜業が回るか。手順を芚えられるか。䜕人で回せるか。ピヌクをさばけるか。

どれも倧事なこずで、確認したのは正しい。ただ、これは党郚「自分に務たるか」の確認だ。

確認しおいなかったのは、客の偎だった。なぜあの店に、あれだけの人が来おいるのか。

立地が悪いのに客が絶えないずいうこずは、あの客はわざわざ来おいたこずになる。通りすがりで入っおいたんじゃなく、目的があっお来おいた。

じゃあ、その目的はどこから来おいたのか。土地の歎史なのか、その商品が地元に銎染んでいたからなのか、他に遞択肢がなかったのか、それずも店䞻の顔なのか。

䞀週間芋おも、そこは分からなかった。店にいお分かるのは、客が来おいるずいう結果だけだ。なぜ来おいるのかずいう理由ではなかった。

そしお自分が遞んだ堎所は、幹線道路、駐車堎、バス停、駅。党郚、通りすがりを拟うための条件だった。わざわざ来る商売に、通りすがりの物差しを圓おおいたこずになる。

いたなら、高玚感のある店構えも正解だったずは蚀い切れない。自分が行きたい店ず、その地域の人がふらっず入りたい店は、同じではない。通りすがりを拟う堎所を遞びながら、店はわざわざ来る人に向けお䜜っおいた。堎所ず店構えの䞡方がずれおいた可胜性がある。

賃料が安かったのも、たぶん理由がある。通行量の割に安かったんじゃなくお、あの堎所が「わざわざ行く堎所」ずしお匱かったんだず思う。

広告では、いない需芁は䜜れない

宣䌝が足りなかったんじゃないの、ず思う人もいるはずだ。自分も最初はそう考えた。

でも、きっちり打っおいた。知られたうえで、来なかった。

広告でできるのは、いる人に気づいおもらうこずたでだった。少なくずも自分の店では、広告だけで、そこにない需芁たでは䜜れなかった。

想定来店数は、他人の数字だった

䞀番痛いのはここだ。

本郚が出しおくれた想定来店数は嘘じゃない。他の店で実際に出おいる数字から䜜られおいお、誠実な数字だったず思う。

ただ、あれは他の店の堎所の数字だった。

あれはもう需芁があるず分かっおいる堎所で積み䞊がった数字であっお、ただ需芁が確かめられおいない堎所に、そのたた持っおきおいい数字じゃなかった。

そしお自分は、その数字を割らずに蚈画の土台にした。700䞇円は、その割り算をしなかった代金だず思っおいる。

いた、キッチンカヌの出店を決めるずきに、䞻催者が出す来堎者数を必ず半分にしおから䜿っおいる。理由を曞いたこずがなかったけど、ここから来おいる。

商品は悪くなかった

残った圚庫を、倖で売った。

売れた。閑散期で1日6䞇から9䞇、繁忙期で10䞇から27䞇。客単䟡は1幎通しお1,226円で、ほずんど動かない。週末だけの営業で、平日はほが出おいない。

同じ人間が、同じものを売った。少なくずも、商品だけが原因ではなかった。

先に疑うべきだったのは、商品ではなく眮き堎所のほうだった。

自分の商売に眮き換えるずき

これはフランチャむズで起きた話だけど、同じ構造はもっず広いずころにあるず思う。

他の人がうたくいっおいるやり方を自分のずころに持っおくる。代理店、暖簟分け、倚店舗展開、新芏事業、他瀟の成功事䟋。どれも同じ構造をしおいる。

そのずき芋えるのは、売る偎のやり方だけだ。どうやっおいるか、䜕を䜜っおいるか、どんな手順か。党郚芋えるし、真䌌もできる。

芋えないのは、買う偎の理由のほうだ。なぜその人のずころに客が来おいるのか。そしおそれはその人の堎所に玐づいおいるこずがあっお、玐づいおいるものは持っおこられない。

確認できるこずを党郚確認しおも、確認できないものが䞀぀残る。自分の店は、そこで死んだ。

いたでも、それを事前に確かめる方法は分からない。分かったのは、他人が出した数字は他人の堎所の数字だ、ずいうこずだけだ。だから割っおから䜿う。

汚れおいないテヌブルを、二床拭かなくお枈むように。

この店を畳んだあず、残った圚庫を売るために始めたのがキッチンカヌだった。その1幎目の数字は、ここに党郚曞いた。

https://note.com/open_bee6211/n/na4df606915c6

連茉のほかの蚘事はこちら。

https://note.com/open_bee6211/n/nda01e332283a

https://note.com/open_bee6211/n/n3cf77b2ccaca

曞いおいる人間のこずはここに曞いた。

https://note.com/open_bee6211/n/n099ecb45257b

出店した日の売䞊ず珟堎の蚘録はXに眮いおいる。売れた日だけでなく、倖した日も残す。

https://x.com/nanakorobi_kc

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