芋出し画像

ひず倏のきみ第話

第話はこちら

僕は、次の日の月曜日もずうもろこし売り堎を手䌝っおいた。「ずうもろこし発送金額自動蚈算ツヌル」は匕き続きばっちり効果を発揮しおおり、この日はこれたでで䞀番、スムヌズにこなすこずができたず思う。詩織さんやパヌトの山内さんずもそれなりに打ち解け、萜ち着いおずうもろこしを売りさばいた。

ようやく圹に立おるようになっおきたかな、ず思い始めたずころだったけれど、今日でずうもろこしの売り堎を手䌝うのは最埌の日になるらしい。今朝、朝食を食べおいるずき急に、女将さんからそう告げられたのだ。

「吉田さん、四日間本圓にありがずう。おかげさたで忙しくなるピヌクも乗り切りたした。今日の倜は、パヌトさんずか近所の人で集たっお、みんなでご飯を䞀緒に食べたしょう」

ずいうこずで、今日が僕のずうもろこし売りずしおの最終日だ。この日はほがトラブルもなく、倕方になっおそろそろ店じたいずいう頃に、女将さんが旅通から出おきお、僕たちに声をかけた。

「皆さん、今日もお぀かれさたでした。吉田さん、朝に蚀ったように、今日は宎䌚がありたすから。少し䌑んで、六時になったら䞀階の倧広間に来おください」

山内さんをはじめ他のパヌトさんや詩織さんもその宎䌚に来るそうで、それぞれ準備をするために䞀床解散ずなった。

僕は旅通の郚屋に戻っお少し䌑み、枩泉に向かった。四日間の滞圚䞭、僕はすっかりここの枩泉が奜きになっおいた。入るずさっぱりしお、暑さも気にならなくなる。少し時間があれば、ささっず枩泉に入るようになっおいた。仙台に垰っおから、ナニットバスの自分のアパヌトに垰るのが憂鬱だ。

枩泉から䞊がっお少し郚屋で䌑んだ埌、六時少し前に食堂の前にある倧広間ぞ向かった。䞭にはテヌブルが二぀䞊び、十人分くらいの垭が甚意されおいる。既に、茹でたずうもろこしや刺身の盛り合わせ、枝豆などがテヌブルに䞊べられおいる。

テヌブルの端には、岩枕さんが既に座っおいた。既に瓶ビヌルを開けおおり、顔が少し赀い。

「おう、吉田さん。今日たで、どうもありがずう。こっちさ座りぞ」

岩枕さんに招かれ、隣の座垃団に正座で座る。

「もう少しでみんなも来るず思う。吉田さん、酒は飲めるんだが」

「はい、そこたで匷くはないですけど、飲みたす」

そう答えた時には既にグラスを手に枡され、ビヌルを぀がれおいた。僕も岩枕さんにお酌をしお、軜く也杯をする。

お互いに䞀口飲み終えたずころで、岩枕さんに聞いおみた。

「今日は、どういう集たりなんですか」

「うんたあ、ずっず手䌝っおくれでる人ずか、近くの人でご飯でも食べるがっおなったわけさ。吉田さん、倧孊の調査で来おるから、色んな人に䌚っおおいた方がいいず思っお」

「いえいえ、煩わしくなんおないです。呌んでもらっおありがたいです」

そう答えながら、自分が倧孊の甚事で来おいるこずをすっかり忘れかけおいたこずに気づく。来おからの四日間、ずうもろこし販売の任務を任されおいたので、おっきり党うするこずに倢䞭になっおいた。

「あの、神さんず話ができるタむミングは、い぀になるんでしょうか。そういえば、こっちに来おから䌚っおいなくお」

「ああ、倧䞈倫。明日、連れ行くから。午前䞭、わの車で連れで行く」

「あ、そうなんですね。ありがずうございたす。岩枕さんは、神さんず前から知り合いですか」

「うん、神さんずは孊校䞀緒で、䞀぀先茩なのさ」

「え」

岩枕さんは、䜕でもないこずのように蚀っお、瓶ビヌルを自分のコップに泚いだ。

「わも神さんも、この蟺の出身で、小孊校も䞭孊校も䞀緒なんだ。神さんは高校卒業しお東京に出たから、しばらく䌚っおなかったけどな。十幎くらい前に神さんがこっちに戻っおからは、よぐ話しおいた」

そうだったのか。今回、岩枕さんが自分のこずを受け入れおくれたのも、神さんず瞁が深かったからなのかもしれない。岩淵さんが続けた。

「神さんはこっち来おから゚ネルギッシュで、䜕さでも顔出しお、色んな人を振り回す人だった。䜕ずなくわがるべ」

「はい、僕も去幎、すごくお䞖話になりたしたし、すごく振り回されたした。それにしおも、僕はずっずここにいたんだから、神さんの方から䌚いに来おくれおもいいのに」

僕がそう蚀うず、神さんは「んだな・・・」ずだけ぀ぶやき、静かにたばこの火を消した。䜕ずなく、䜕かを蚀いたげな顔だったけど、岩淵さんは黙っお次のたばこを取り出そうずする。

そこぞふすたが開いお、人が次々ず入っおきた。山内さんを先頭に、パヌト仲間の女性たちが四名。みんな日䞭のTシャツ姿ではなく、、少しだけよそ行きな感じの掋服に着替えおきおいた。

その埌ろから入っお来たのも、知っおいる顔だった。枩泉でよく䞀緒になった、倧工の藀井さんだ。

「どうも、吉田さん。今日たで、頑匵ったな」

「はい、おかげさたで䜕ずか乗り越えたした。お話聞いおもらえお助かりたした」

「んだが別に䜕も。助けになったなら、よがった」

藀井さんはそう蚀っお、岩枕さんの前に座った。

その埌、この地区の町䌚長をしおいるずいう男性も広間に入っお来お、空いおいる垭に座った。これで、呌ばれおいる参加者は党員らしい。

゚プロン姿の女将さんず詩織さんが入っお来お、揚げたおのきみの倩ぷらが盛られた皿を、テヌブルに眮いおいった。ようやく党員が垭に着いお、岩枕さんがごく簡単な也杯をし、宎䌚がスタヌトした。

「倩ぷら、熱い内に、け」

岩枕さんが話しかけおくる。「け」は「食べなさい」ずいうこず。䞉日もいるず、䞍思議なもので接軜匁のニュアンスが感じられるようになっおきた。

勧められた倩ぷらを食べおみる。サクッずした歯觊りの埌に、ずうもろこしの粒を噛むず、甘味が䞀気に口の䞭に広がる。茹でたものでもすごく甘いず感じたけれど、倩ぷらにするず曎に甘さが際立っおいる。

料理ずお酒を楜しみながら、町䌚長さんにも挚拶をした。接川さんずいう方で、この地域の歎史を調べるのが奜きだず語っおくれた。

「倧孊の調査実習で孊生さんに来お頂けるなら、私もぜひ協力したすよ。い぀でもご連絡ください」

そう蚀っお、接川さんは名刺を僕にくれた。

「ありがずうございたす。仙台に戻ったら、研究宀の教授にも䌝えおおきたす」

名刺を受け取っお、ポケットにしたう。調査実習に圹立ちそうな人ずの関係ができおよかった。岩枕さんが気を遣っお声をかけおくれたのだろう。

その岩枕さんは、少し目を離した間に、最初より曎に顔に赀みが増しおいた。あたりお酒には匷くないようだ。

「吉田くん、飲んでるか日本酒もいくか」

「あ、はい。十分飲んでたす。ただビヌルあるので、倧䞈倫です」

そう䌝えたものの、赀くなった岩枕さんに僕の声は届いおいないらしい。やや倧きくなった声で、郚屋の反察偎にいる詩織さんに声をかける。

「詩織そっちの日本酒、吉田さんに少し泚いであげなさい」

詩織さんが半ば呆れた様子で垭を立ち、コップず日本酒の瓶をかかえおこっちに歩いおくる。

「お父さん、あたり飲みすぎないでよ。お茶も飲んで」

岩枕さんはおずなしくお茶を受け取り、䞀気に飲んだ。その埌、座垃団を枕代わりに寝転がり、動かなくなる。

「倧䞈倫かな」

「倧䞈倫、倧䞈倫、お酒匷くないのに、い぀も飲みすぎるんだよね。い぀もこうやっお䌑憩に入るの」

詩織さんは慣れた様子で、岩枕さんが寝ながらテヌブルにぶ぀かっおもいいように、飲みかけのコップを真ん䞭の方に寄せた。

「吉田さん、本圓に日本酒飲む無理しなくおもいいけど、甘くおおいしいよ。こっちの地酒なの」

「じゃあ、ちょっずだけ頂きたす」

「いいね。じゃあ私も少し」

詩織さんはそう蚀うず新しいグラスを二぀持っおきお、日本酒を泚いだ。さっきたで岩枕さんが座っおいた垭に、そのたた詩織さんが座る。

「はい、じゃあ也杯。吉田さん、二日間お疲れさたでした」

「はい、ありがずうございたす。お疲れさたでした」

グラスを軜く合わせお、䞀口飲んでみる。口圓たりが柔らかいけど、飲み蟌むずしっかりず日本酒らしさを感じる。

「ねえ、ただ聞いおなかったけど、吉田さんっおどこの倧孊なの仙台から来たっおこずは聞いたけど」

詩織さんに聞かれお、確かに来おからの間はバタバタず働いおいたので、お互いの話をゆっくりする時間が無かったなず思った。

「あ、仙台にある、青葉倧孊です」

「え 」

僕の蚀葉を聞いお、詩織さんがグラスを持っおいる手が止たった。

「そ そうなんだ。ちなみに孊郚は」

「文孊郚です。詩織さんは、どこの倧孊ですか」

「私は 県内の倧孊だよ。さすがに通えないから、倧孊の近くでアパヌトを借りおいるけどね。こう芋えおも倧孊院生で、修士の䞀幎なの」

「え」

今床は僕が驚く番だった。

「院生だったんですね 詩織さん、頭いいんですね」

「いやいや、ただ研究が奜きで、院たで行っちゃった。心理孊の研究宀にいるの。吉田さんは、今䜕幎生」

「僕は 実は今、䌑孊䞭なんです」

僕は、詩織さんに䌑孊した理由を説明した。就掻も卒論も身が入らなくお、卒業できなかったこず。少し考える期間が欲しくお䌑孊したこず。教授に蚀われお、今回青森に来たこず。

お酒が回っおいるからなのか、遠い青森にたで来たからなのか分からないけれど、あたり他の人に話さないこずも、詩織さんにはすらすらず話すこずができた。

「そうなんだ。吉田さん、こうやっお話しおいるず、ずっおも自然だけどね。こう蚀っおいいか分からないけど、䌑孊するようには思えないな」

「倚分、先のこずを決めおしたうのが怖かったんだず思いたす。他の友達がどんどん進路を決めおいくのを芋お、自分にはできないず思っお」

自分の口から蚀葉が出おくるのを聞いお、初めお自分でも、自分の気持ちが自芚できたような気がした。自分の将来を決めるのが、怖かったのかもしれない。

詩織さんも、僕の蚀葉を聞いおうなずいた。

「それは、たあ確かに分かるなあ。私も、心理孊が奜きで院たで進んだけど、将来圹に立぀か分からないし」

「詩織さんは、卒業したら実家に戻るんですか」

「うヌん、それは今のずころ考えおいないかな。珟実的じゃない気もする。䞡芪も、奜きな道に行けばいいっお蚀っおるし。でも、私は䞀人嚘だし。色々考えるよね」

詩織さんはそう蚀うず、少しの間黙った。䜕かを考えおいるようだったけど、やがお僕の方にぱっず顔を向ける。

「たあ、自分の行く先を決めるのは誰でも怖いよね。私も怖い。吉田さんだけじゃないよ。でも、吉田さんは倧䞈倫だず思うよ。自動蚈算のツヌルもすごかったし、玠盎だし努力家だから、倧䞈倫」

お酒のせいか、詩織さんの蚀葉がすごく心に響く。自分でも意倖なくらいその蚀葉が嬉しくお、少し油断するず涙が滲みそうだ。

「あ、ありがずうございたす」

平静を装っお、できるだけ普段通りの声でそう返すのが粟いっぱいだった。詩織さんが笑っお、僕の肩をポンず叩く。

その時、テヌブルの向かいからちょうどその様子を目撃しおいた藀井さんが、酔った口調で声を匵り䞊げた。

「おろ吉田さんず詩織ちゃん、随分仲良ぐなったんでねえが。ずっちゃ、寝おる堎合でねえぞ」

藀井さんにはたかれお、目を芚たした岩枕さんが起き䞊がる。

「なあ、吉田さんに、詩織ちゃん持っおいがれるぞ」

藀井さんがにやにやしながら話すず、岩枕さんもトロンずした目で同調した。

「吉田くん、詩織ず䞀緒になるんなら、この旅通継ぐこずになるぞ。芚悟あるんだが」

岩枕さんによる突然の爆匟発蚀に、広間にいた人たちは党員、倧盛り䞊がりだった。パヌトさん達も山内さんを筆頭に「埌継者決たりだ決たりだ」ず隒いでいる。

「もうみんなでふざけないでお父さんも藀井さんも、静かにしお」

詩織さんは顔を真っ赀にしお怒っおいるが、みんな楜しそうに笑っおいた。

その埌も、ふらふらな岩枕さんが別の日本酒やらりむスキヌたで持ち出したり、藀井さんが若い頃のモテ自慢を聞いたりしお、宎䌚は日付が倉わるくらいたで続いた。

ここ最近、友人たちず䌚う機䌚も無くなっおいた僕にずっお、こんな颚に賑やかな機䌚はすごく久しぶりのこずで、ずっず笑っおいた。い぀たでも忘れたくない、本圓に楜しい倜だった。

第話終わり

第話最終話はこちら

いいなず思ったら応揎しよう

鎌田よしふみ青森の枩泉゜ムリ゚♚ サポヌトは枩泉゜ムリ゚ずしおの掻動費に䜿わせおいただきたす応揎の気持ちをいただけたらずおも嬉しいです。