映画「岡本万太」とは何なのか?/talpa上映会vol.5
2026年4月から月イチペースで上映会を実施している札幌の映画上映会集団「シアターtalpa(タルパ)」。
その第5回上映会に参加しました。
今回の作品は「岡本万太」!

まがりなりにも映像にまつわる仕事を続けて30年以上という私。
報道のときにはニュース映像、ドキュメンタリー映像。
編成では番組編成。
営業ではスポンサーサービスとしての映像。
それらをディレクターやプロデューサーとして制作・管理・監修し続けてきました。
テレビの映像はたとえニュースであっても分類としては「商業映像」。
その意味では私の中には「商業OS」が搭載されています。
このOSを搭載していると評価の基準が無意識のうちに商業ベースになってしまうわけで……「岡本万太」は私にとってなかなか「難儀な作品」というところ。

主人公の岡本万太(おかもとまんた)は、26 歳フリーターの男性。 彼は日々の些細な事に対しての苛立ちを募らせており、自らの 衝動を抑えられるかと毎日不安に苛まれている。そう彼は癇癪持ちなのである。彼には月に一度、日々のストレスが最高潮に達する“限界の日”がある。彼はその度に拘束器具の付いたベッドで、自らを自宅に監禁することで対処するのであった。 限界の日は突然やって来るので、当日欠勤を繰り返してしまう。そしてシフト制のアルバイトをクビになり続け、職を転々としている。 ある日、クビになった出版社の先輩である中村(なかむら)が万太に新たな仕事の話を持ってくる。 それは、 段ボールを数日間預かるだけで大金がもらえるという仕事だったのだが__。
公式HPでのあらすじはそれっぽくまとめられていますが、実際に見てみると想定以上の「奇天烈」ぶり。
ストーリーの辻褄が合わない。
画角が狭い。あるいは1ショット、2ショットがルーズすぎる。
背景のヌケが雑。
色味が赤すぎたり黄色すぎたり。
ライティングが不明瞭。
商業OSで見てみると、どうしてもこうした「粗(あら)」が目に入ってしまいます。
……ですが次第に気づきます。
「この作品は違うOSでないと、受け止めることができない」と。
そのOSとは「エモさ」。
「エモーションOS」。
いや、その言葉すら適当ではないかもしれません。
「なんか、昂る!」
わたしの語彙から近いものを探すと、そんな言葉が近いかもしれません。
容易に言語表現することのできない何か。
概念的な何か、です。
そして商業OSからより遠いモチベーションで動いている人の方が、ダイレクトにそれを感じることができる作品なのかもしれません。

私に言わせれば「岡本万太」で表現されているものは、
ポエムであり、
演説であり、
ファンタジーであり、
SFであり、
ホラーであり……
……なにが誰の心にどう刺さるのかわからないビックリ箱。
上映後に「シアターtalpa」スタッフAさん(お名前出していいのか迷うので仮名です)が「今回は私の一番好きな作品を選ばせていただきました」とおっしゃっていました。
うん。
「エモーションOS」で動いているイベンターがビビッドにこの作品に反応するのは、さすが!と言うべきですね。
私にとって「シアターtalpa」がチョイスする映画は、今を生きる若い世代が送ってくれる挑戦状のようなもの。
「あなたの感性は時代遅れになってませんか!?」
残りの人生、自分が生きてきた古い世代を懐古するだけではツマラない。
例えOSが古くてもアップデートを怠らなければ、最新のプログラムでも動かすことはできるはず。
私のココロの弾力性が残っている限りは、その挑戦状に立ち向かっていきたいと考えています(^_-)-☆
さて、次回の上映は……?楽しみですw
シアターtalpa、第6回上映作品は『Man』
— シアター talpa (@theater_talpa) August 23, 2026
善意か?悪意か?
謎の男『Man』に振り回される94分。
数々の受賞歴を持つ前田弘二監督が、
宇野祥平・萩原護を主演に迎えて描く本作。
正体不明、目的不明。
果たして『Man』は何者なのか。
そして、その行動の目的とは。
お見逃しなく。 pic.twitter.com/2vH0v2uaeX
