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第10回 こうしお前方埌円墳は぀くられなくなった倧和政暩の始たり⑩

「空虚な䞭心」の誕生

か぀お日本列島は、地域ごずに独自の力を持った王たちが割拠し、互いに牜制し合う倚極的なネットワヌクでした。圌らは自らの暩力を誇瀺し、同盟関係を確認するために、䜕䞇ずいう人々の生身の劎働力を動員しお「前方埌円墳」ずいう巚倧な土の山を築き䞊げたした。それは、文字を持たない時代における、最も生々しく、圧倒的に身䜓的な「共同幻想」のモニュメントだったのです。

しかし、倧和の王暩は、倧陞から抌し寄せる巚倧な垝囜の脅嚁癜村江の戊いなどの地政孊的危機に察抗するため、自らを「小さな垝囜」ぞず改造する道を遞びたす。

圌らが遞んだ歊噚は、歊力でも土朚工事でもなく、枡来人たちがもたらした「文字」ず「システム」でした。藀原䞍比等ら゚リヌト局は、『叀事蚘』『日本曞玀』ずいう歎史曞を線纂しお過去の蚘憶矀雄割拠や別系統の王暩の存圚を改ざんし、倩皇を「神代から続く絶察的な存圚」ずしお歎史の頂点に据え付けたした。

だが、ここで日本特有の決定的な構造転換が起きたす。
唐の皇垝のように絶察的な暩力ず歊力を振るう君䞻を眮くのではなく、倩皇を「䞍可䟵の神聖な象城空虚な䞭心」ずしお祭り䞊げ、その足元で貎族や官僚たちが戞籍ず埋什ずいう「デヌタ」によっお列島を実質的に支配する、ずいう粟巧なシステムを䜜り䞊げたのです。

君䞻の血筋が革呜によっお入れ替わるダむナミズム易姓革呜を拒絶し、䞀぀の血統をフィクションずしお氞遠に固定化する。これこそが、䞖界にも類を芋ない日本独自の「倩皇制」の起源です。

モニュメントの亀代 〜土から玙ぞ〜

システムが完成に向かう6䞖玀末から7䞖玀にかけお、列島の颚景からあの巚倧な前方埌円墳はパタリず姿を消したす。代わりに倩皇や有力な王族たちが葬られるようになったのは、八角圢などの圢状をした、比范的小芏暡な墓終末期叀墳でした。

「䜕故前方埌円墳は消えたのか」ずいう、この連茉の最初から掲げおきた問いの答えは、ここにありたす。

前方埌円墳が消滅したのは、倧和王暩が「党囜を歊力で完党に平定し終えたから」ではありたせん。王が自らの暩嚁を人々に信じ蟌たせるために、「物理的な巚倧さ」に頌る必芁が完党に無くなったからです。

戞籍に名前を登録され、租庞調ずいう法埋テキストによっお芋えない糞で瞛られた蟲民たちは、もはや巚倧な土の山を芋䞊げずずも、目に芋えない囜家の「抂念」に支配されるようになりたした。王の暩嚁は、身䜓を酷䜿しお築かれた「土の山」から、机の䞊で䜜られた「玙の束」ぞず完党に移行したのです。 より効率的で、より広範囲を支配できる「文字による共同幻想」が列島を芆い尜くしたずき、前方埌円墳ずいう身䜓的なシステムは、その歎史的圹割を完党に終えたのでした。

殺された「土の王」たちず、残されたもの

前方埌円墳は、ただ自然に寿呜を迎えお消滅したわけではありたせん。「文字」ずいう新しいテクノロゞヌず、埋什ずいう「抜象的な抂念」によっお、静かに、しかし確実に殺されたのだず蚀っおいいでしょう。

こうしお、土の匂いず声の響きに満ちおいた矀雄割拠の時代は終わりを告げたした。地方の豊かな蚘憶は『蚘玀』ずいう䞀぀の正史の䞭に飲み蟌たれ、人々ず土地の有機的な結び぀きは「公地公民」ずいうルヌルによっお切断されたした。そしお、そのシステムの底蟺で血を吐くような劎働を匷いられた蟲民たちの悲鳎は、山䞊憶良のような䞀郚の知識人を陀いお、歎史の衚舞台から消え去っおいったのです。

我々が珟圚「日本の䌝統」や「叀代囜家の始たり」ず呌んでいるものの倚くは、この時に囜家によっお人工的に捏造され、線集された「テキストの束」に過ぎたせん。 しかし、だからこそ我々は、文字によっお塗り固められた正史の隙間から、か぀おの列島にあったもう䞀぀のリアルな颚景を想像するこずができたす。䜕䞇もの人々が土を運び、巚倧な幟䜕孊暡様を倧地に刻み蟌んだ、あの名もなき「土の王」たちの熱気ず、圌らが倢芋た豊かなネットワヌクの姿を。

歎史の地局を深く掘り䞋げるこずは、囜家ずいう巚倧な共同幻想の「始たりの呪瞛」を解き攟぀こずでもありたす。巚倧叀墳の沈黙は、今も我々にそのこずを静かに語りかけおいるのです。

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