No More Like This / PVA
TITLE: #NoMoreLikeThis
ARTIST: #PVA
RELEASE: 2026/01/23
REVIEW
アーティストの紹介
サウスロンドン発のトリオPVAは、2017年にエラ・ハリスとジョシュ・バクスターの出会いから結成、18年にドラマーのルイス・サッチェルが加入。ダンス・パンク〜シンセ・ポップ/ポストパンクを横断する硬質なビートと語り口のボーカルで頭角を現し、2019年に〈Speedy Wunderground〉からデビュー。20年に〈Ninja Tune〉と契約しEP『Toner』を発表、「Talks」のMura Masaリミックスがグラミー候補に。22年の初作『Blush』に続き、26年に2作目『No More Like This』をリリース。
アルバムの評論
キャリアの節目となる本作は、ダンスフロアの昂揚よりも、欲望/服従/反復といった主題を「刻印」として追う内省へ舵を切ったセカンド。全10曲は沈むサブベースとざらついたシンセ、ミニマルなドラムに生身の推進力を重ね、冷ややかなエラの声が語りと歌の狭間で感情の温度を制御する。The KnifeやMassive Attack、エレクトロニカの影を吸い込みつつ、質感の編集で物語る作りだ。流れは夜から夜明けへ緩やかにグラデーションし、「Send」の暗黒テクノが唯一の直球キラーである一方、その前後をトリップホップ的陰影が包む。
推し曲「Enough」は、乾いたキックとハイハットの隙間に“もう十分”という呟きが擦れ、境界=限度と合意の線引きをめぐる緊張が持続する。音数が絞られるほど、シンセの滲みやベースの呼吸がドラマになる。「Peel」は皮を剥ぐ身振りをブレイクに刻み、「Boyface」は欲望の役柄遊びを軽やかに撫でる。幕開けの「Rain」と終章「Moon」は水と天を対にし、記憶の誤謬と解放の気配を円環状に閉じる。
総じて、ポストパンクの同時代性を引き受けつつ、歌とクラブ・サウンドの接合を一段と個我化した到達点。深夜のヘッドフォンで、細部の“跡”が浮かぶ瞬間を拾ってほしい。
RECOMMEND
Enough
TRACKLISTS
Rain
Enough
Mate
Send
Anger Song
Peel
Boyface
Flood
Okay
Moon
