「円安」を止められない日本も大概だが「ドル」の方はどうなのか?
"T市首相が5月に植田和男日銀総裁と会談した際、長期金利の上昇を抑えるため、必要に応じて国債を買い入れるよう求めていた"
これも一種の "すっぱ抜き" なのだろうが、正直驚いた。日銀に利上げ阻止どころか国債買入まで要求していたとは。メディアの記者さんに聞くと驚くべきことを知っているケースが多く、今回も高支持率の時は表に出せなかった記事を情勢の変化に応じて出してきたという所だろう
この辺が政府高官、日銀、あるいは財務省幹部、ひいては米財務省で共有されていたとしたらまさに 続・「円、どんどん売ります!」の免罪符 ー 今度は「新首相」?から|損切丸 "ホクホク発言" は本音であり、こんな情報を耳にしたヘッジファンド(HF)が見逃すはずがない。どうりでこんな「スーパー円安」が続くはずである
日銀がJGBを買えば金利が下がると信じているなら申し訳ないが金利に関して驚くほど無知と言わざるをえない。当の本人は「XXXミクス」の継承者を自負しているのかもしれないが今は「デフレ」から「インフレ」に大転換(筆者は2016年から転換が自説)。そんな状況で「お金」をばら撒けば「円安」「インフレ」が悪化するのは火を見るより明らか。 "病巣" は深い
こういうトップを説得するのはさぞ骨が折れただろう。ある意味 "通貨安" の専門家であるBッセント米財務長官を巻き込んでようやく今回の「協調介入」にたどり着いた。利下げしか頭にないあちらのトップも同様の思考回路だから余計に大変だったはず
これで日銀が9月以降やっと正常な利上げに動けば日本の "病巣" は少し取り除かれる。「円キャリートレード」が諸悪の根源なのだから長期金利が上がっても問題は解決しない。やはり政策金利 ≓ 短期O/N( Over Night、今日~明日の1営業日の金利)を上げてFXのキャリーコストを上げるしか手は無い。まあそんな説教を垂れても両国のトップは聞く耳を持たないだろうから、今回「協調介入」を「利上げ」のバーター材料にしたのだろう



一方「ドル」の方はどうなのか。今週は米雇用統計等材料が目白押し
7月ISM製造業PMI 55.6 予想 53.0 前月 53.3
*雇用 52.8 予想 48.6 前月 49.7
*仕入価格 71.1 予想 65.7 前月 73.0
*新規受注 56.7 予想 56.3 前月 56.0
8/5 7月ISM非製造業PMI 予想 54.3 前月 54.0
*雇用 予想 51.9 前月 51.2
*仕入価格 予想 62.0 前月 67.7
*新規受注 予想 56.2 前月 55.1
7月ADP非農業部門雇用者数(NFP、Non-Farm Payrolls)
予想 +6.5万人 前月 +9.8万人
8/7 7月米雇用統計 予想 4.2% 前月 4.2%
NFP 予想 +4.1万人 前月 +5.7万人
時間当たり賃金(前年比) 予想 +3.5% 前月 +3.5%
現状年内の利上げを織込んでいる米国債市場だが、どうもそうならない気がしている。確かに景気も雇用も強い。だが国が抱える40兆ドル=6,200兆円もの膨大な「借金」を考えると日本同様「ドル安」が必要なはず。FRBが利下げに動けないから先行して「ドル売協調介入」に踏み切ったとも考えられ、利上げで国債の利払いコストが増大してしまう苦しい台所事情も同じ


ウォーシュ新議長の動きも変だ。フォーワードガイダンスを止めてFOMCの回数を減らすなど、これまでFRBが進めてきた「マーケットとの対話」路線を大転換。金融政策への依存度を減らすといえば聞こえはいいが、要は金融政策のブラックボックス化を進めるという事。そうなれば "サプライズ" が増えて市場が混乱、予定調和が成り立たなくなる。米国債のトレーダーもこれまでのやり方を変えなければならず、四苦八苦。だから 「金利観」の消失 - 米国債のイールドカーブがガタガタに...|損切丸 に陥っている
現状のスティープニング(長期>短期金利の傾斜化)した米国債のイールドカーブだと織込んだ利上げを見送るだけで市場には "サプライズ" になり得る。それによる金利低下を目論んでるのかもしれないが、逆にもっとスティープニングが進む結果も起こりうる。もっとも残り任期2年の現大統領にとって3年後以降の事なんて "知ったこっちゃない" 。まあそんな所だろう
とかくポピュリズム政権は「株高」を好むが、その "ツケ" は「金利上昇」「通貨安」と言う形で還ってくる。最終コストを負わされるのはいつも消費者、それも株なんかに投資する余裕がない家計が犠牲になる。そういう "トルコ的現象" が世界1位と4位の経済大国で現在進行形なのだから怖ろしい

もっとも "暴落" の専門家でもあるB長官のことだから、相場が行き過ぎれば "ツケ" が「株」にも廻ってくることは十分承知。手始めとして「通貨」≓「協調介入」と「金利」≓日銀利上げに着手した。 "Bッセント・プット" が今回も上手くいくのか。少なくとも "ホクホク首相" よりは頼りになる

