第15話:「やさしさ」と「甘やかし」は違うのだろうか
私は、自分をこれ以上壊さないために、ただやさしくあろうとしてきました。
自分を責め立てない。
決して、無理を強いない。
「今は、このままでいいんだよ」と、ありのままを包み込む。
そうやって、傷ついた自分を大切に守ろうとしてきました。
そこで浮かんだ一つの疑問は、
「私が自分に必要だと思って与えているものは、本当に『やさしさ』なのだろうか。
それとも、ただの『甘やかし』なのだろうか」
身体を休める。
その場に立ち止まる。
何もできない自分を、許してあげる。
それらはすべて、疲弊した私に必要な癒やしのようにみえます。
でも、そうやって自分をゆるませればゆるませる程、生きるための気力が抜けていくような、
喪失感を覚えていました。
やるべきことは、頭では十分に分かっていました。
暮らしを整え、明るくポジティブな自分を取り戻したいという願いもある。
でも、思うように動けない。
「無理なんてしなくていいよ」
自分にそう語りかけるたびに、
次の一歩を踏み出すための勇気が、足元から消えていくのを感じていました。
もしこれが、単なる「甘やかし」だとしたら——?
私はやさしさの仮面を被って、自分自身をより脆く、弱い存在へと追い込んでいるのではないだろうか。
かといって、かつてのように自分を厳しく律すればいい、というわけでもなさそう…
どこまでもストイックにやろうと思えばできてしまう。
そんな私だからこそ、自分を責め立てることが、どれほど心を焼き尽くし、
再起不能にするほど苦しくさせるかは、
一人目の出産後にもう身をもって知っていました。
やさしくありたい。
けれど、自分を甘やかし、停滞させたくはない。
そのあまりにも繊細で、見極めがたい境界線が、当時の私にはどうにも難しかったのです。
