夏の夜の花見/サガリバナ
夜に咲いて朝には散る。
一夜限りの花。
サガリバナ。
夜の空気が、濃密な甘い香りで充満する。
人生で3度目、夏の夜の花見。

一夜限りの花として有名な花に月下美人がある。夜に咲き朝には萎む。
サガリバナは少し違う。
夜に咲き、夜明けとともに枝を離れる。
一晩で静かに落下するのだ。

花の付け根に、「離層(りそう)」と呼ばれる細胞の層があり、植物の体内時計に合わせて一定の時間になると働き、花は落下する。
落ちるのか。
落とされるのか。
儚いけれど、生命を次へ繋いでゆく。


美しい姿も
優美な香りも
時が来れば、静かに散りゆく
この世界に
留まり続けられるものなど
何も無い。

全ては移ろう。
季節は、また巡る。
