我が子に会えた話 前日譚
これは、初めての出産に挑む小説書きの出産記録である。
妊娠したとき、従妹ちゃんから言われた言葉が今でも忘れられない。
「ジェットコースターと同じじゃん。妊娠したら生まれるまで、ジェットコースター降りられないってことでしょ!?」
そのときの驚きの顔といったらない。言いえて妙だった。
そう、妊娠したら生まれるまで基本的に私にできることは、規則正しい生活をして、身体をあっためて、食事に気をつけつつ、たっぷり食べて、寝て、メンタルを安定させながらも妊婦健診に通うことぐらいで、あとは出産予定日までの間に、赤ちゃんと迎える準備と仕事を終わらせることぐらいなわけで。
妊娠したのはめちゃくちゃ嬉しかったけど、それと同時に出産がめちゃくちゃ恐怖だった。そりゃそう、経験したことがないんだから。
しかも、妊娠中の話を母やら下の叔母やら、友人から聞いたりしていたので、どれだけの痛みが待っているのだろうと戦々恐々としていた。
でも、日々大きくなるお腹や胎動を感じられるようになって、その恐怖よりも「会いたい」気持ちのほうが大きくなっていったように思う。
人間というのはよくできているものだ。
親は子に育てられる、とよく聞くが、それが妊娠期間中も適応されるとは経験しなければわからないことだった。
そういうわけで、私の心は少しずつ赤ちゃんを迎えられる準備をしていたらしい。無意識の中で。
おかげで、どうにかこうにか初稿をあげることができたのです(『陛下、初夜をはじめましょう!』のあとがきでも少し触れました)。
が、初稿提出の先日の健診で
「子宮口2センチひらいてるねー(ぐりぐりぐりぐり)」
と、言われまして。
(経産婦の方には、きっとぐりぐりの意味がおわかりでしょう。お腹が邪魔で見えませんでしたが、おそらく赤ちゃんの頭部を指でぐりぐり押していたっぽいんですが、まあこっちからは見えない)
一瞬何されたのかよくわかってなかったんですが、もうそのときは子宮口2センチしか頭に残ってなかったんですよ。だってもう生まれるわけです。でも、いつ生まれるかわからないんです。24時間以内に陣痛がくる人もいれば、もう少し時間がかかる人もいて。
そもそも私、その段階でまだ臨月も来てませんでしたからね!!!!
なので、帰ってすぐに何したかって。
小説書きましたよ。
とにかく初稿だけでも出さなければ、というか、今手元にある仕事全部片付けなければ……!!という、使命感というか、なんだろう時限爆弾を前にした人間のメンタルのような気持ちで仕事をしました。
で、翌日に無事に初稿を提出。担当さんに事情を説明して、そこから赤ちゃんを迎えるための準備を大慌ててでしました。
ちょいちょい買い物には行ってましたが、ベッドが壊れたり、棚が壊れたりもして、夫とふたりで「タイミング~~~~~~!!!」となったわけです。そこから先の記憶、実はあまり覚えてません。
とにかく、いろいろな準備を終えてもう大丈夫、となったのが初稿を提出した5日後でした。
翌日に処分する本を引き取ってもらう手筈を整え、念の為に入院準備を終え、だいたいの仕事も提出して、お腹を撫でながら「これで、いつ生まれても大丈夫だね~」なんて言いました。
はい、言いました。
私が、フラグだと思わずにフラグを立てました。
お気づきですね、そうです。
それを聞いた(らしい)子が、翌朝4時に行動を起こします。
次回、臨月初日に陣痛で起こされた私の結末はいかに……!!
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