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私が止まったら、世界が動いていることに気がついた。



8月の前半、私はずいぶん揺れていた。

心が暗く、どんよりしていた。

起きたことを何度も考えて、
人の気持ちを考えて、
自分の気持ちも考えて。

考えれば考えるほど、
自分がどこにいるのか、わからなくなっていた。

苦し紛れに、自分の心を見つめ直した。

そんな時、いろんな人から言葉をもらった。

「五分五分でいい」

「後悔しなくていい」

「他人の人生まで背負わなくていい」

そして、
「原田さんは素晴らしい」と言ってくれた人もいた。

その時は、ひとつひとつの言葉の意味を、
全部わかっていたわけではないと思う。

でも、とりあえずやってみた。

人と五分五分に立ってみる。

人の人生まで背負わない。

過ぎたことを、いつまでも自分の中でやり直そうとしない。

そんなことを繰り返しているうちに、
最近、ふと気がついた。

私が動いていない。

周りは、相変わらず動いている。

近づいてくる人もいる。
少し遠くなっていく人もいる。

人と人との関係も変わる。
仕事も動く。
思いがけない出来事も起こる。

なのに私は、ここにいる。

すると不思議なことに、
周りが動いていることが、前よりよく見えるようになった。

その感覚に、
私の中からひとつの言葉が浮かんだ。

「定点」

自分で「ここに立とう」と決めたわけではない。

「もう動かないぞ」と、
踏ん張っているわけでもない。

気がついたら、ここにいた。

そして今、
何か強いものに守られているという感じとも少し違う。

このところ出会った人たちの言葉や、
何気ない優しさや、
嬉しかった出来事。

そんなものが、いつの間にか重なって、

薄いベールのように、
ふわっと私を包んでいる。

名前をつけなくてもいい。

ただ今は、

ふわっとした幸せの中にいる。

そんな感じがしている。

これが、いい




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