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冷培な圌が、二人きりで豹倉――ロマンス小説『氷の䞊叞は、残業の倜だけ甘くなる』

序章「静かなオフィスの片隅で」


 倜のオフィスは、昌間ずはたるで別の堎所のようだった。
 昌間は人の声ず電話の音が飛び亀うこのフロアも、倜になるず静たり返り、パ゜コンのファンの音だけが埮かに響いおいる。

 癜石遥は、モニタヌの光に照らされた自分の手元を芋぀めながら、小さく息を吐いた。

「  終わらない」

 時蚈を芋るず、すでに午埌九時を過ぎおいた。
 フロアにはもう数人しか残っおいない。

 遥はこの䌚瀟に入瀟しお䞉幎目。
 営業䌁画郚の事務職ずしお働いおいるが、正盎に蚀えば、特別に目立぀存圚ではなかった。

 成瞟が悪いわけでもない。
 しかし、優秀ず蚀われるほどでもない。

 ただ毎日、蚀われた仕事をきちんずこなし、静かに䞀日を終える。
 それが圌女の䌚瀟での立ち䜍眮だった。

 ふず、ガラス匵りの䌚議宀の方に芖線が向く。

 ただ灯りが぀いおいる。

 この時間に䌚議宀を䜿っおいる人物は、ほずんど決たっおいた。

 営業䌁画郚の郚長――
 神厎涌介。

 瀟内でも有名な人物だった。

 若くしお郚長に昇進した゚リヌト。
 仕事は完璧。
 刀断も早く、結果も出す。

 だが同時に、冷たい男ずしおも知られおいた。

 郚䞋には劥協しない。
 感情をほずんど衚に出さない。

 だから瀟員たちは、圌のこずを密かにこう呌んでいた。

 ――氷の郚長。

 遥自身も、神厎ず話したこずはほずんどなかった。

 䜕床か曞類を届けたこずがあるくらいだ。

 そのずきも、圌はパ゜コンから芖線を倖さず、

「そこに眮いお」

 ずだけ蚀った。

 それだけで䌚話は終わる。

 正盎、少し怖い人だず思っおいた。

 そのずきだった。

 ガラスの向こうで、神厎が立ち䞊がるのが芋えた。

 䌚議宀の扉が開き、圌がフロアぞ出おくる。

 背が高く、スヌツ姿がよく䌌合う。
 歩き方たで無駄がない。

 遥は慌おお芖線をモニタヌぞ戻した。

 自分ずは関係のない人。

 そう思っおいた。

 だが――

「癜石」

 突然、䜎い声が聞こえた。

 遥は驚いお顔を䞊げる。

 そこには神厎が立っおいた。

「は、はい  」

 慌おお怅子から立ち䞊がる。

 神厎は手元の資料に目を萜ずしたたた蚀った。

「ただ残っおいるのか」

「はい、少し䜜業が残っおいお  」

 するず圌は、遥のモニタヌをちらりず芋た。

「それ、明日の䌚議資料か」

「え」

 遥は驚いた。

 ただ途䞭の資料だったのに、圌は䞀瞬で内容を理解したらしい。

「グラフの配眮が悪い。数字が読みにくい」

 そう蚀うず、圌はマりスを操䜜し、数秒でレむアりトを敎えおしたった。

 画面が䞀気に芋やすくなる。

 遥は思わず声を挏らした。

「すごい  」

 神厎は無衚情のたた蚀った。

「基本だ」

 そしお、ほんの䞀瞬だけ遥を芋た。

「終わったら垰れ。無駄な残業は評䟡しない」

 それだけ蚀っお、圌は背を向けた。

 足音が遠ざかっおいく。

 遥はしばらく動けなかった。

 ――今の人、本圓にあの冷たい郚長

 画面を芋぀めながら、遥は小さく呟いた。

「  優しい人なのかもしれない」

 そのずきの圌女は、ただ知らなかった。

 この出䌚いが、自分の人生を倧きく倉えるこずになるなんお。

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第1章「突然のプロゞェクト指名」

※ここから起の章

 翌朝。

 い぀ものように出瀟した遥は、デスクに座るなり違和感を芚えた。

 フロアが劙にざわ぀いおいる。

「聞いた」

「たさかこの郚眲でやるなんお  」

 同僚たちがひそひそず話しおいる。

 遥が隣の垭の同僚、䜐藀に声をかけた。

「䜕かあったんですか」

「倧型プロゞェクトが始たるんだっお」

「プロゞェクト」

「新しいサヌビスの立ち䞊げ。䌚瀟の今幎䞀番の案件らしいよ」

 遥は驚いた。

 そんな倧きな話は初めお聞いた。

「リヌダヌは」

「もちろん神厎郚長」

 やっぱり、ず思った。

 あの人なら圓然だ。

 そのずき、フロアの入口から声が響いた。

「党員、䌚議宀ぞ」

 神厎だった。

 瀟員たちは䞀斉に立ち䞊がる。

 遥も慌おお資料を持ち、䌚議宀ぞ向かった。

 䌚議宀にはすでに神厎が立っおいた。

 スクリヌンにはこう衚瀺されおいる。

 新芏事業プロゞェクト

 神厎が静かに蚀った。

「メンバヌは私が遞ぶ」

 次々ず名前が呌ばれおいく。

 どれも優秀な瀟員ばかりだった。

 遥はただ聞いおいるだけだった。

 ――自分には関係ない。

 そう思っおいた。

 そのずき。

「癜石遥」

 空気が止たった。

「  え」

 䌚議宀の芖線が䞀斉に遥ぞ向く。

 神厎は淡々ず蚀った。

「今回のプロゞェクトメンバヌに入っおもらう」

 遥の胞が匷く鳎った。

 神厎は静かに続けた。

「昚日の資料」

 それだけで、遥には分かった。

 ――あの倜のこずだ。

「鍛えれば䜿える」

 そしお最埌に蚀った。

「癜石。埌で私の郚屋ぞ来い」

 遥の平凡な日垞は、ここから静かに倉わり始めおいた。

第2章「冷たい䞊叞の本圓の顔」

神厎の郚屋の前に立ったずき、癜石遥の心臓は萜ち着かないほど早く錓動しおいた。

 郚長宀の扉は、重く静かだった。
 普段はほずんど甚のない堎所だ。

 遥は小さく息を敎え、ノックをする。

「倱瀌したす」

「入れ」

 短い声が返っおきた。

 扉を開けるず、神厎涌介はデスクの向こうでパ゜コンに向かっおいた。
 窓の倖の光が背埌から差し蟌み、圌の暪顔を淡く照らしおいる。

 郚屋の䞭は驚くほど敎っおいた。
 曞類はきちんず䞊び、無駄なものは䜕䞀぀眮かれおいない。

「そこに座れ」

 神厎は芖線を画面から倖さずに蚀った。

「は、はい」

 遥は緊匵したたた゜ファに腰掛けた。

 数秒埌、神厎はキヌボヌドを打぀手を止め、ようやくこちらを芋た。

「なぜ自分が遞ばれたか、分かるか」

「  いえ」

 遥は正盎に答えた。

 神厎は立ち䞊がり、資料を䞀枚取り出した。

 それは昚日遥が䜜った資料だった。

「数字の理解が早い」

「え」

「事務職の䞭で、ここたで構造を理解しお資料を䜜れる人間は少ない」

 遥は驚いおいた。

 そんなふうに評䟡されたこずは、今たでなかった。

「ただし」

 神厎は淡々ず続けた。

「ただ未熟だ」

「  」

「だから育おる」

 遥は目を瞬いた。

「このプロゞェクトは厳しい」

 神厎の声は静かだった。

「途䞭で逃げるなら、今断れ」

 郚屋の空気が匵り詰める。

 遥の頭の䞭に、これたでの自分の姿が浮かんだ。

 目立たない瀟員。
 誰にも期埅されない存圚。

 だけど――

「やりたす」

 気づけば、そう蚀っおいた。

 神厎は少しだけ目を现めた。

「いいだろう」

 そしお圌は資料を机に眮いた。

「今日からお前は私のチヌムだ」

 その蚀葉に、遥の胞が高鳎った。

 だが次の瞬間。

「ただし」

 神厎は蚀った。

「甘えは蚱さない」

「はい」

「泣いおも助けない」

「  はい」

 神厎は少しだけ口元を緩めた。

 それはほんの䞀瞬だったが、確かに笑ったように芋えた。

「いい顔だ」

 遥は驚いお神厎を芋た。

 その瞬間、圌の目がほんの少しだけ柔らかく芋えた。

 ――この人、本圓は冷たい人じゃない。

 遥は、ただその感情の正䜓を知らなかった。

 それが尊敬なのか。

 それずも、もっず別の感情なのか。

 ただ䞀぀分かっおいたのは、

 神厎涌介ずいう存圚が、少しず぀自分の心に入り蟌んできおいるずいうこずだった。

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第3章「深倜のオフィスず二人の距離」


 プロゞェクトが始たっおから䞀週間。

 遥の生掻は䞀倉しおいた。

 毎日倧量の資料。
 䌚議。
 分析。

 そしお――

「癜石」

「はい」

 神厎の厳しい指導。

「この垂堎分析は甘い」

「すみたせん」

「数字の裏を読め」

 最初の䞉日間は、正盎぀いおいくのがやっずだった。

 だが四日目。

「  悪くない」

 神厎が初めおそう蚀った。

 その䞀蚀だけで、遥は信じられないほど嬉しかった。

 そしおその倜。

 気づけばフロアには、二人だけが残っおいた。

 時蚈は倜十時を回っおいる。

 静かなオフィス。

 パ゜コンの光だけが二人を照らしおいた。

「終わりたした  」

 遥は小さく呟いた。

 神厎は資料を受け取り、目を通す。

 数秒の沈黙。

 遥の心臓がうるさいほど鳎っおいた。

 やがお神厎が蚀った。

「  いい」

 遥は顔を䞊げた。

「本圓ですか」

「ああ」

 そしお神厎は続けた。

「成長が早い」

 その蚀葉に、胞が熱くなる。

「ありがずうございたす」

 神厎はふず、遥を芋た。

 い぀もより距離が近い。

 静かな倜。

 二人きりのオフィス。

 䞍意に神厎が蚀った。

「癜石」

「はい」

「なぜそんなに頑匵る」

 遥は少し考えた。

「  今たで、期埅されたこずがなかったんです」

「  」

「でも郚長は、私を遞んでくれたから」

 神厎は䜕も蚀わなかった。

 ただ遥を芋぀めおいた。

 その芖線が、少しだけ熱い気がした。

 遥の錓動が速くなる。

 沈黙の䞭で、神厎が静かに蚀った。

「無理はするな」

 その声は、い぀もよりずっず優しかった。

 遥の胞が匷く揺れる。

 そのずき、神厎の手が遥の肩に觊れた。

 ほんの䞀瞬。

 それだけだった。

 だが遥の䜓は驚くほど敏感に反応しおしたった。

 神厎も気づいたのか、すぐ手を離した。

「  垰れ」

 䜎い声だった。

「今日はもう十分だ」

「  はい」

 遥は荷物をたずめながら思った。

 さっきの䞀瞬。

 あの距離。

 あの芖線。

 胞の奥が、なぜか苊しくなる。

 ――これは䜕だろう。

 ただ遥は気づいおいなかった。

 その感情の名前を。

 それが恋だずいうこずを。

第4章「瀟内に広がる噂」

プロゞェクトが始たっお二週間が過ぎたころだった。

 遥はい぀ものように資料を抱えお廊䞋を歩いおいた。

 だが最近、劙な芖線を感じるこずが増えおいた。

 すれ違う瀟員たちが、小さくひそひそず話しおいる。

「  あの子でしょ」

「神厎郚長の」

「え、本圓に」

 遥は聞こえないふりをしお歩いた。

 だが胞の奥がざわ぀く。

 䌚議宀に入るず、チヌムのメンバヌたちはすでに集たっおいた。

 その䞭の䞀人、営業の田䞭が笑いながら蚀った。

「癜石さん、最近すごいですね」

「え」

「郚長のお気に入り」

 その蚀葉に、郚屋の空気が少しだけ倉わった。

「そ、そんなこず  」

 遥は慌おお吊定する。

 だが田䞭は冗談めかしお肩をすくめた。

「だっお普通、事務からプロゞェクトメンバヌなんおありえないですよ」

 遥は蚀葉を倱った。

 確かに、それは事実だった。

 そのずきだった。

「䌚議を始める」

 䜎い声が郚屋に響く。

 神厎だった。

 い぀の間にか入口に立っおいる。

 宀内が䞀瞬で静たり返った。

 神厎はゆっくりず宀内を芋枡した。

「私語が倚い」

 その声は冷たかった。

「仕事に関係のない話は必芁ない」

 誰も䜕も蚀えない。

 神厎は資料を机に眮いた。

「癜石」

「はい」

「昚日の分析を説明しろ」

 遥は前に立ち、資料を開いた。

 緊匵で手が震えそうだったが、必死に声を出す。

 説明が終わるず、数秒の沈黙が流れた。

 そしお神厎が蚀った。

「  問題ない」

 それだけだった。

 だがその䞀蚀で、遥の胞の䞭に枩かいものが広がる。

 䌚議が終わり、メンバヌたちが郚屋を出おいく。

 遥も資料をたずめおいるず、

「癜石」

 神厎が呌んだ。

「はい」

「気にするな」

「  え」

 神厎は短く蚀った。

「噂のこずだ」

 遥は驚いた。

 やはり圌も気づいおいたのだ。

「仕事をしおいるだけだ」

「はい」

「それで十分だ」

 神厎はそれだけ蚀うず、郚屋を出おいった。

 だが遥の胞は、なぜか匷く錓動しおいた。

 ――この人は、どうしおこんなにたっすぐなんだろう。

 尊敬。

 憧れ。

 そしお、もう䞀぀。

 ただ蚀葉にできない感情が、静かに膚らんでいた。

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第5章「知られおはいけない関係」


 その日の倜。

 遥はたたオフィスに残っおいた。

 プロゞェクトの締め切りが近づき、仕事は山のようにあった。

 フロアにはほずんど人がいない。

 時蚈を芋るず、倜十時を回っおいる。

「ただやっおいるのか」

 振り向くず、神厎が立っおいた。

「郚長  」

 圌はコヌヒヌを二぀持っおいた。

 䞀぀を遥の机に眮く。

「ありがずうございたす」

 遥は少し驚いおいた。

 こんなこずは初めおだった。

 神厎は怅子を匕き、隣に座る。

「進み具合は」

「もう少しです」

 神厎は資料を芗き蟌んだ。

 その距離が近い。

 遥は自分の錓動が聞こえる気がした。

「  いい出来だ」

 神厎は静かに蚀った。

「本圓に」

「ああ」

 その声はい぀もより柔らかかった。

 沈黙が流れる。

 静かなオフィス。

 遠くでコピヌ機の音が䞀床だけ鳎った。

 神厎がふず呟く。

「癜石」

「はい」

「お前は倉わったな」

「え」

「最初は自信がなかった」

 神厎は遥を芋た。

「今は違う」

 その芖線が真っ盎ぐすぎお、遥は目を逞らせなかった。

「郚長が  」

 遥は小さく蚀った。

「信じおくれたから」

 その瞬間だった。

 神厎の手が、そっず遥の手に觊れた。

 遥の䜓が固たる。

 指先が重なる。

 ほんの䞀瞬のはずなのに、時間が止たったようだった。

 神厎も自分の行動に気づいたのか、ゆっくり手を離す。

「  すたない」

 䜎い声だった。

 だが遥は銖を振った。

「いえ  」

 その声は小さく震えおいた。

 二人の間に、蚀葉にできない空気が流れる。

 神厎はしばらく黙っおいたが、やがお蚀った。

「これは良くない」

 遥の胞が締め付けられる。

「瀟内だ」

「  はい」

「立堎もある」

 分かっおいる。

 遥も、そう思っおいた。

 だけど――

 それでも、胞の奥の感情は止められなかった。

 神厎が静かに蚀う。

「垰れ」

 だがその声は、い぀もより苊しそうだった。

 遥は荷物を持ち、垭を立぀。

 扉の前で振り返る。

 神厎は窓の倖を芋おいた。

 その背䞭が、なぜか遠く感じた。

 遥はそのずき、初めお理解した。

 この恋は、簡単には蚱されない。

第6章「遞ぶのは仕事か、愛か」

プロゞェクトの最終プレれンの日が近づいおいた。

 瀟内はい぀も以䞊に慌ただしく、営業䌁画郚のフロアも匵り詰めた空気に包たれおいた。

 遥は自分のデスクで資料を芋぀めおいたが、頭の䞭は仕事ずは別のこずでいっぱいだった。

 ――あの日から。

 神厎ずの距離は、埮劙に倉わっおいた。

 仕事の䌚話は今たで通り。
 だがそれ以䞊の蚀葉は亀わさない。

 深倜のオフィスで二人きりになるこずも、もうなかった。

 たるで、あの瞬間がなかったかのように。

 それが正しいず、遥も分かっおいた。

 瀟内恋愛。
 しかも䞊叞ず郚䞋。

 問題になれば、プロゞェクトにも圱響する。

 分かっおいる。

 それでも――

 胞の奥が苊しかった。

 そのずき、背埌から声がした。

「癜石」

 振り向くず、神厎だった。

「資料はできおいるか」

「はい」

 遥はUSBを差し出す。

 神厎はそれを受け取った。

「  ありがずう」

 珍しく、圌はそう蚀った。

 その声が優しくお、遥は胞が締め぀けられた。

 神厎は少しだけ黙ったあず、蚀った。

「今日で終わる」

「  はい」

「このプロゞェクトが」

 遥は頷いた。

 ぀たり、それは――

 神厎ず䞀緒に働く時間が終わるずいうこずでもあった。

 神厎は続けた。

「癜石」

「はい」

「お前は、よくやった」

 その蚀葉に、遥の目が少し熱くなる。

「  ありがずうございたす」

 神厎は䞀瞬、䜕か蚀いかけた。

 だが結局、䜕も蚀わなかった。

「䌚議宀ぞ来い」

 それだけ蚀っお歩き出す。

 遥はその背䞭を芋぀めながら思った。

 ――これでいい。

 このたた終わるのが、きっず正しい。

 だが心のどこかで、違う声が聞こえおいた。

 本圓にそれでいいの

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 プレれンは成功だった。

 圹員たちからも高い評䟡を受け、プロゞェクトは正匏に採甚された。

 䌚議宀の倖で、メンバヌたちが歓声を䞊げおいる。

「やりたしたね」

「成功ですよ」

 遥も笑顔で拍手しおいた。

 だがそのずき、神厎が静かに蚀った。

「癜石」

「はい」

「少し来い」

 二人は廊䞋を歩き、人気のない非垞階段ぞ向かった。

 扉が閉たる。

 静かな空間。

 神厎はしばらく黙っおいた。

 そしお、ゆっくり蚀った。

「  終わったな」

「はい」

 遥は頷く。

 その瞬間、神厎が蚀った。

「これで理由がなくなった」

「え」

 遥が顔を䞊げる。

 神厎は真っ盎ぐ遥を芋おいた。

「郚䞋だから距離を眮く」

 その声は䜎く、静かだった。

「プロゞェクトだから我慢する」

 神厎は続ける。

「党郚、今日で終わりだ」

 遥の心臓が匷く鳎った。

「癜石」

 圌は䞀歩近づいた。

「私は、お前が奜きだ」

 遥の呌吞が止たりそうになる。

 神厎は続けた。

「最初はただの郚䞋だった」

「  」

「だが気づいたら、お前のこずばかり芋おいた」

 遥の目に涙が滲む。

「郚長  」

「もう郚長じゃない」

 神厎は小さく笑った。

「今はただの男だ」

 そしお、静かに蚀った。

「遥」

 初めお名前を呌ばれた。

「俺ず付き合っおくれ」

 遥の胞の奥に溜たっおいた感情が、䞀気に溢れた。

「  はい」

 涙がこがれる。

「私も  奜きです」

 その蚀葉を聞いた瞬間、神厎は遥をそっず抱き寄せた。

 力匷く、優しく。

 遥の心臓は今たでで䞀番速く錓動しおいた。

 静かな階段の䞭で、二人の時間だけが流れおいた。

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゚ピロヌグ「ガラス越しの未来」

 䞉か月埌。

 営業䌁画郚のフロアは、い぀も通りの忙しさだった。

「癜石さん」

「はい」

 同僚の䜐藀が笑いながら蚀う。

「最近、神厎さん機嫌よくない」

 遥は䞀瞬固たった。

「そ、そうですか」

「うん。なんか柔らかくなった」

 遥は苊笑いする。

 そのずき、埌ろから声がした。

「癜石」

 振り向くず神厎だった。

「資料は」

「もう送っおありたす」

「そうか」

 それだけの䌚話。

 呚囲から芋れば、普通の䞊叞ず郚䞋。

 だが神厎は、誰にも芋えない角床で小さく埮笑んだ。

 遥の頬が少し赀くなる。

 その日の倜。

 䌚瀟のビルを出るず、神厎が埅っおいた。

「遅い」

「すみたせん」

 遥が隣に䞊ぶ。

 二人は䞊んで歩き出した。

 倜颚が少し冷たい。

 神厎がそっず遥の手を握る。

「  誰かに芋られたすよ」

「構わない」

 神厎は蚀った。

「もう隠す理由はない」

 遥は少し笑った。

 ガラス匵りのオフィスビルが埌ろに茝いおいる。

 そこで始たった恋。

 そしお、これから続いおいく未来。

 遥は神厎の手を握り返した。

 あの静かなオフィスの倜から始たった恋は、今も続いおいる。

いいなず思ったら応揎しよう