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この世界の青こそが

大きく息を吸い込み、膝を抱えるようにして水面下へと潜り込む。世界から音が消えた。

さっきまで耳をつんざいていた波の音も、水しぶきの激しい音も、すべてが分厚い水の壁に阻まれ、遠い世界の出来事のように鈍く響く。海の底の冷たい感触に背中を預け、水面を見上げる。不思議な空。

太陽の光は水の屈折によって複雑に砕かれ、揺らめく光の網となって底に沈んだ私を優しく包み込む。ゆらゆらと形を変え続ける水面の向こうで、影が歪んで動いている。まるで、あちら側こそが幻影で、この世界の青こそが真実であるかのように。

ここでは、重力さえも曖昧だ。体はふわふわと頼りなく浮き上がり、指先一つで世界を回転させることができる。胎内の記憶を呼び覚ますような、絶対的な安心感と孤独が同居する場所。

肺の中に閉じ込めた数リットルの地上が空っぽになるまでの、ほんの数十秒の永遠。

髪から滴る水を手で払いながら、私はもう一度、深く息を吸う。次の静寂へ逃げ込むために。

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