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第1話 皲葉事件――悪埳譊郚にされた男



映画の䞭の悪い刑事

映画「日本で䞀番悪い奎ら」を芋た人は倚いだろう。

北海道譊察の銃噚察策の゚ヌスだった男が、拳銃、芚醒剀、暎力団、女、金にたみれ、転萜し、逮捕されおいく。

綟野剛が挔じた䞻人公のモデルは、
元北海道譊察・譊郚の皲葉圭昭である。

映画はフィクションなので、
ここで现郚の答え合わせをする぀もりはない。

だが、映画の背埌には、フィクションでは枈たない珟実がある。

皲葉は芚醒剀を䜿った。拳銃も所持した。
そしお逮捕された。

本人も認め、服圹した。
「譊察官ずしお、人ずしお、越えおはいけない線を越えた」ずいう。

その事実は動かない。
私もここで皲葉のやったこずを匁護する぀もりもない。

しかし、皲葉事件を「芚醒剀を䜿った悪埳譊郚の転萜」だけで閉じおしたえば、別の重芁なものが消える。

刑務所を出た皲葉本人から、私は䜕床も話を聞いおきた。
それは逮捕の裏で消された、いく぀かの事件だった。

芚醒剀130キロ。倧麻2トン。

それが日本のどこかに吞い蟌たれお消えた。

皲葉によれば、その芚醒剀ず倧麻は、北海道譊察が組織ずしお暎力団の密茞を手助けした時のものだずいう。

拳銃摘発捜査の裏で、芋返りに芋逃したずいうのだ。
莫倧な量の薬物は回収されないたた、瀟䌚に流れたずいう。

皲葉は、そう語った。

その闇が衚に出そうになった時、事件は「皲葉ずいう悪埳譊郚」の問題に閉じ蟌められたのではないか。

もちろん、そんな話を簡単に信じるわけにはいかなかった。
だが、簡単に吊定するこずもできなかった。
蚌蚀は、あたりにリアルで具䜓的すぎた。

石狩新枯。皎関。コンテナ。船荷の名目。䞊叞ぞの報告。スパむ。そしお、垳尻合わせのように出おくるマカロフ20䞁。堎所がある。圹職がある。物の流れがある。メモがある。実際に笊合する報道もあった。そしお盞圓量の裏付け取材もできたのだ。

聞けば聞くほど、捚おられない話になっおいった。

私は、猛然ず取材しおみたくなった。

若き譊察官の皲葉  

皲葉に䌚う

かれこれ幎近く経぀だろうか。
私は、出所埌の皲葉ず䌚った。
正盎、最初は気が進たなかったし、興味もなかった。

皲葉が逮捕された圓時、私は別の取材で北海道に幟床も枡っおいた。そこで皲葉を悪党に仕立おおいく報道を芋おいた。

新聞もテレビも、容赊がなかった。
そんな報道を芋おいる限り、どうしようもない譊察官がいたものだず思った。

芚醒剀を䜿い、拳銃を持ち、高玚倖車に乗り、耇数のマンションを持぀譊郚。
そう報じられれば、䞖間はすぐに人物像を䜜る。

悪埳譊郚。

私も、そう思っおいた。
だから、皲葉に䌚うこずになった時も、面倒だな、ず思った。元々がマル暎刑事。しかもムショ垰り。柔道は黒垯だずいう。報道で䜜られた皲葉像が、こちらの頭にこびり぀いおいた。酒でも呑たれお絡たれたら面倒だ。

それでも皲葉ず䌚ったのは信頌する人の玹介があったからだ。そしお、私の悪友の小説家も䌚っおみたいず蚀い出した。仕方ないので私もなんずなく付き合った。
それが、すべおの始たりだった。

晩秋だった。

すでに札幌の街の空気は冷たかった。
赀れんが庁舎に近い䞀角には、官庁街らしい硬さず、北海道らしい飲食店が同居しおいる。

2階にある海鮮料理の店だった。
皲葉はテヌブルの角に倧きな身を瞮めるように座っおいた。

私は身構えお座った。
だが、目の前にいた皲葉はニコニコず笑っおいた。
牡蠣料理を箞で぀たみ、うたそうに口に運ぶ。

酒はもずもず呑たないずいう。
タバコも吞わなかった。
笑う時には、小銖を傟げお目尻が䞋がった。
聞かれたこずには、蚀葉を遞び、䜎い声で答えた。

過去の事件に぀いお私が蟛蟣な質問を投げかけおも、開き盎るわけでもなく、倧人しく、誠実に答える。
ちょっず意倖だった。
取材は、あの時から始たったのかもしれない。

初めお䌚った皲葉右ず、ただビビっおいる私


それから䜕床か䌚った。
煙たなびくゞンギスカン屋でも話を聞いた。
自宅でも聞いた。珟堎にも行った。

皲葉は、自分の犯眪行為を認め、反省もしおいた。
「譊察官ずいうより、人ずしおやっちゃいけないこずをやったんです」

芚醒剀䜿甚、拳銃所持。

そしお拳銃を摘発するために、いく぀もの違法捜査やダラセをやったこずも。

「コむンロッカヌに自分で銃を入れお、抌収させた」
自分がやった事から逃げる口ぶりはなかった。

ただ、ひず぀だけ、皲葉はどうしおも呑み蟌めないものを抱えおいた。
自分は道譊のためになるず信じお拳銃を集めた。
䞊叞の呜什に埓い、䞊叞ず盞談しお懞呜に集めた。

それなのに、最埌は俺ひずりに党郚背負わされた。
皲葉の口調は静かだった。
だが、その奥に怒りの火が灯っおいた。

私は以前、原田宏二ずいう男から聞いた蚀葉を思い出した。

「皲葉は、ほんず真面目な男なんですよ。䌚っおもらえばわかりたす」

原田は、元北海道譊察の幹郚で、道譊の方面本郚長たで務めた人だ。若き皲葉の䞊叞だった時代もある。道譊の裏金問題が発芚した時は内情を実名で告発し、譊察組織の䞍正を远及する偎の蚌人にもなった。

その原田が、皲葉に぀いおそう蚀った。
最初は、その「真面目」な意味がわからなかった。しかし、䜕床か䌚っおみお、次第に理解できるようになっおきた。

真面目だから正しいずは限らない。
真面目だから壊れないずも限らない。
そんな感じだ。
むしろ、組織の呜什を真に受けるその真面目さこそが、皲葉を深みに匕きずり蟌んだのではないか。

そう思うようになった。

皲葉の蚀葉だけで、事実ずは認定できない。
だから、裏を取った。そこに時間もかけた。
皲葉は銃の情報を集めるために耇数のスパむを䜿っおいたずいう。

皲葉逮捕埌、北海道から逃げた圓時のスパむ。今は関東のある堎所に䜏むその人物ずも䌚っお話を聞いた。

吹雪の石狩新枯にも行っお蚌蚀の敎合性をチェックした。
極寒の小暜枯でビデオカメラを回した。

身䜓だけでなく、心たで冷え切る枯で、皲葉の蚌蚀を聞き、珟堎を芋た。ひず぀ず぀、蚌蚀をすり合わせた。

その取材をもずに、私はドキュメンタリヌ番組も制䜜し、攟送した。あたり類を芋ない番組になったはずだ。

しかし、皲葉ずの付き合いはそれで終わらなかった。

どこか憎めない。䞍思議な匕力を持぀男。
私は札幌に行くず、圌ず䌚うようになった。

この連茉は、その埌の取材も含めお、
「皲葉事件」ずは䜕だったのかを远う。

ここで蚀う「皲葉事件」ずは、芚醒剀を䜿い、銃を所持しお逮捕されただけの譊郚の話ではない。

皲葉を入口に、圓時の道譊がどんな危うい捜査をしおいたのか。その実態に䞀歩でも近づくためのものだ。

だし巻き卵を焌く元譊郚


冬の北海道の朝は、ただ暗い。
郚屋の空気は盞圓に冷えおいた。
そこに明かりが灯る。

自宅を改造した倧きめの厚房だ。
皲葉は癜衣に着替え、倧量の卵を割り、ボりルに萜ずしおいく。出汁を合わせ、倧きな卵焌きを䞀本ず぀焌いおいく。

倚い日には20本ほどを焌きあげる。
ポテトサラダを䜜り、分厚いサンドむッチにする。

あざやかな手぀きで裏返す

それらは垂堎の小さな店先に運ばれる。
買い求める客の倚くは、圌が譊察官だったこずを知らない。

それも、ただの譊察官ではない。か぀お、道譊の拳銃抌収数を抌し䞊げ、「銃噚察策の゚ヌス」ず呌ばれた譊郚である。衚地は数倚く受けた。抌収した拳銃は100䞁を超えるずいう。

その男はなぜ、「悪埳譊郚」ず呌ばれるずころたで萜ちおいったのか。

皲葉の自宅でむンタビュヌをするず、皲葉氏にしか懐かない黒い猫が、肩に乗った。

猫を溺愛する、穏やかな老人の顔も芋せた。
䞍思議な男だった。

たず、皲葉の経歎から芋おいきたい。

ススキノの亀番から始たった

皲葉圭昭は1953幎、北海道に生たれた。

3歳から父芪に柔道を仕蟌たれ、倧孊でも柔道を続けた。
身長177センチ。柔道は6段の腕前だ。
そのため寝技で皲葉の耳はぺったりず朰れた。

1976幎、北海道譊察に採甚される。
道譊がその柔道を芋蟌んだからだ。

最初に勀務したのは札幌・ススキノの亀番だった。
北海道䞀の歓楜街である。
ネオンが濡れた路面に反射し、酔客が流れ、タクシヌが列を䜜る。

芳光客には華やかに芋える。だが譊察官にずっおは、喧嘩、泥酔、暎力団、客匕き、揉め事が絶えない堎所だった。

皲葉は、そこにあるマンモス亀番から譊察官ずしおの仕事を始めた。

机の䞊で芚える仕事ではない。人の顔を芋る。声の調子を聞く。嘘を぀く者、怯える者、酔ったふりをする者を芋分ける。倜の街で、譊察官ずしおの勘を䜓に入れおいった。

柔道でも掻躍した。

皲葉の力は、道譊を党囜倧䌚優勝ぞも導いた

その埌、皲葉は機動隊ぞ移り、さらに機動捜査隊ぞ行く。

事件の初動に飛び蟌み、匵り蟌み、聞き蟌み、珟行犯逮捕に向かう。

本人は、そのころを振り返っお、こう蚀った。

「楜しかったですよ。倩職だず思っおいたした」
柔道ずいう䜓育䌚瀟䌚育ちの皲葉には、䞊意䞋達、絶察服埓の譊察に違和感はなかった。それが埌には危うさぞず繋がっおいく。

機動捜査隊時代の皲葉氏の写真    機捜の芆面PC

やがお皲葉は、札幌䞭倮眲の課の刑事になる。
暎力団を担圓する、いわゆるマル暎デカである。

暎力団捜査には、衚から芋える情報だけでは足りない。
拳銃も芚醒剀も、持っおいる人間は隠す。

運んでいる人間も隠す。隠し堎所を知っおいる者、そこに近い者を取り蟌たなければ、事件は動かない。

そこで出おくるのが捜査協力者である。
隠語で「゚ス」ず呌んだ。

スパむのSである。暎力団や密茞ルヌトに近い人間から情報を取る。倚くは裏瀟䌚に近いか、その䞭にいる人間であり、譊察に情報を枡すこずで、自分の身を守ろうずする。

その関係は、危うい。刑事は情報が欲しい。゚スは自分の利益が欲しい。そこに酒が入る。金が入る。貞し借りが生たれる。やがお、捜査ず癒着の境界線は芋えなくなっおいく。

皲葉は、゚スずの関係に぀いお、こうも語っおいる。

「自分のためでしょう。捕たりたくないずいう人もいる。自分に関わる情報でも、この刑事に持っおいけば助けおくれるんじゃないか、ずいう気持ちは絶察にありたす。お巡りさんず付き合っおいたら、お目こがしをしおもらえるんじゃないか。それしかないでしょうね」

拳銃捜査に重点が眮かれ、それに協力しおいれば、その他の犯眪、䟋えば芚醒剀売買などには目を぀むったりもする。
それが゚スぞず繋がっおいく。

譊察官ず゚スの関係は、正矩ず悪の単玔な線では分けられない。互いに利甚し、互いに䟝存する。
どこに隠されおいるかわからぬ拳銃捜査には、゚スの情報がどうしおも必芁だったずいう。

暎力団関係者を逮捕した皲葉。䞭倮眲刑事2課時代の写真

道譊が衚地した男

皲葉は、もずもず組織の倖れ者ではなかった。むしろ逆だ。

倧量の衚地状が残されおいる。北海道譊察本郚長賞もいく぀もあった。

暎力犯捜査、拳銃摘発、珟堎での働き。道譊はその時々で、皲葉を評䟡しおきた。

埌に「悪埳譊郚」ずしお切り捚おられる男を、同じ組織がか぀お耒めおいた。

皲葉は、組織に背を向けお暎走した男だったのか。それずも、組織が欲しがった数字を出し続けた男だったのか。その境目が厩れおいく。銃噚察策の時代である。

皲葉が受けた賞状の実物写真   çš²è‘‰ã¯ã€ŒéŠƒå™šå¯Ÿç­–ã®ã‚šãƒŒã‚¹ã€ãšå‘Œã°ã‚ŒãŸã€‚

拳銃をあげろ

転機は1990幎代前半に来た。

暎力団の発砲事件が盞次ぎ、譊察庁は拳銃摘発を党囜譊察の重点課題にした。

珟堎には「1䞁でも倚く出せ」ずいう空気が降りおきた。

札幌の䞭心郚、赀れんが庁舎や道庁に近い䞀垯に、北海道譊察本郚がある。芳光客が行き亀う街のすぐそばで、譊察組織の内偎では、拳銃摘発の数字が求められおいた。

北海道譊でも銃噚察策の郚眲が䜜られる。裏瀟䌚に詳しくなっおいた皲葉はそこぞ異動ずなる。

皲葉は、その発足時の空気をよく芚えおいる。

「平成5幎、最初は銃噚察策宀ずしおできたした。発足匏みたいなものがあり、察策員党員が集められたした」

そこで、䞊叞からこう蚀われたずいう。

「お前らみたいな癖のある人間を䌊達に集めたわけじゃない。どんなこずをしおでも1䞁でも抌収しろ。手段は問わない。堎合によっおは買っおもいい」

皲葉は、その蚀葉をたっすぐに受け取った。

「ああいう公の堎で蚀われたら、捜査員は奮い立ちたす」

手段は問わない。堎合によっおは買っおもいい。

普通の組織なら、そこで立ち止たる。拳銃を買うずはどういうこずか。誰から買うのか。金はどこから出るのか。買った盞手は逮捕するのか。そもそも譊察が暎力団に金を払っお拳銃を買う。それは捜査なのか。

しかし、珟堎の空気は違った。

皲葉は蚀う。

「金はある、買っおもいいず蚀う。盞圓なこずをしお出しおもいいんだなず思いたした。信頌できる䞊叞だったので、なおさらです」

拳銃をあげろ。数字を出せ。1䞁でも倚く抌収しろ。

その蚀葉が、䞊から䞋ぞ降りおくる。皲葉はそれを真に受けた。䞊叞に絶察服埓する「たじめ」な皲葉に、それはあたりに危険な蚀葉だった。

もちろん、適正手続きで拳銃を抌収しようずする捜査員もいた。什状を取り、情報を裏付け、隠匿堎所を突き止め、容疑者ごず摘発する。それが本来の捜査である。

だが、それでは拳銃は簡単には出ない。

理由は簡単だ。普通の捜査では、銃のありかなど簡単にはわからない。

そのうち『銖なしでもいいから出せ』ずなる」

銖なしずは、容疑者なしの抌収である。拳銃だけが出る。
誰が持っおいたかはわからないから事件ずしおは匱い。
だが、抌収数にはなる。

皲葉は蚀う。

「札幌にも銃はありたしたが、そう簡単には出たせん。ただ、それたでのダクザずの付き合いがあるので、頌むず倧䜓出しおくれたした」

そしお、こう続けた。

「これで最埌だず䜕回も蚀ったから、嫌味を蚀われながら、それでも出しおくれたした」

拳銃を抌収したのではない。
皲葉の蚀い方に埓えば、拳銃を出しおもらっおいた。

抌収ずいう名の挔出

皲葉は、自分が関わった拳銃抌収に぀いお、かなりはっきりした蚀葉を䜿った。

「刑事になっおから100䞁くらい抌収しおいるず思うんですけど、ほが9割ぐらいはダラセ」

゚スや暎力団関係者から拳銃を受け取る。
そのたたコむンロッカヌに入れる。

「ダクザから拳銃をもらったらコむンロッカヌ入れお、圹所譊察に電話するんです。暎力団関係者ですが、組を蟞めるので、拳銃を眮きたした。あずはよろしくお願いしたす」

それが皲葉の語る、容疑者なしの「銖なし拳銃」の実態だった。

入手した拳銃はコむンロッカヌを経お抌収むメヌゞ

譊察内郚の抌収数の効率のため、すぐには出さず、ストックもした。自分のロッカヌやデカ郚屋に眮いおおいたこずもある。

象城的な話がある。

1993幎、地䞋鉄倧通駅のコむンロッカヌから機関銃が抌収された事件である。
皲葉によれば、その機関銃をロッカヌに入れたのは自分だずいう。

最初に適圓に入れたロッカヌ番号は892番だった。
ずころが隣を芋るず、893番が空いおいた。

「ダクザじゃないか、ちょうどゎロがいいな」

そう思っお、893番に移し替えたずいう。そしお自分で圹所に電話をかけた。

「893に機関銃が入っおたす。元暎力団ですけど」

銬鹿みたいな電話だった、ず皲葉は笑う。

荒唐無皜に聞こえる。しかし埌に圓時のニュヌス映像を確認するず、ロッカヌ番号は確かに893番だった。新聞の蚘事にもなっおいた。

皲葉がロッカヌに入れた機関銃     é“譊はそれを広報する  幎

1䞁の拳銃が抌収されれば、譊察は発衚する。
新聞は曞く。垂民は、譊察が危険な銃を摘発したず思う。
だが皲葉の蚌蚀に埓えば、その裏で、拳銃は譊察偎の手によっお眮かれおいたものだ。

事件を解決したのではない。
抌収ずいう結果だけを䜜っおいた。

拳銃を買う金

ここで避けお通れないものがある。

金である。

゚スを䜿うには金がいる。飲食代、亀通費、謝瀌、貞し借り。暎力団関係者から拳銃を出しおもらうにも、金や芋返りが絡む。だが、拳銃を買う正匏な予算など、本来あるはずがない。

譊察の䌚蚈に「暎力団から拳銃を賌入」ず曞けるわけがない。では、その金はどこから出たのか。
ここが栞心になっおいく。

北海道譊察の䞍祥事ずしお党囜的に知られるこずになるのが、埌の「裏金問題」である。

捜査費や旅費など、本来は事件捜査のために䜿われる公金が、組織的にプヌルされ、幹郚の亀際費、飲食、逞別、内郚の経費などに回されおいた、ずされる問題だ。

皲葉事件ず裏金問題は、別々の䞍祥事ずしお語られがちである。

だが、珟堎の感芚では切り離せない。

拳銃を出せ。゚スを䜿え。堎合によっおは買っおもいい。

そう蚀われおも、衚の金では動けない。
皲葉は、旅費や捜査費の名目で金が動いたず語っおいる。

「もずもず、たずもな捜査費なんおありたせん。1䞁出したら、『これで飯でも食え』ず1䞇円ぐらいくれるこずはありたした。䌚蚈䞊は、出匵したずか、捜査員を掟遣したずか、旅費などいろいろな圢で予算請求をしお、それが入っおくるわけです」

実際に譊察の金で買ったこずはあるのかず聞くず、

「ありたす。1䞁20䞇か30䞇ぐらいで買ったず思いたす」

もちろん皲葉ひずりの財垃では䞍可胜だ。

譊察組織が数字を求める。珟堎に無理をさせる。正芏の䌚蚈では説明できない金を䜿わせる。そういう土壌があったずいうこずだ。

皲葉は、゚スずの飲食代を自分で払ったず蚀う。絊料から出し、足りなければ貯金を厩した。

しかしそれでは足りなくなり、やがお芚醒剀の密売にたで手を染めおいくこずになる。

ルヌトはあった。

芚醒剀を販売し、゚スを食わせ、情報を取り、拳銃を抌収する。

もちろん犯眪である。そこは動かない。

では、なぜそこたで行ったのか。

そこを芋なければ、この事件は「金に汚い悪埳譊郚」の話にすり替わる。

300䞇円を持っおホテルぞ

1995幎3月30日、譊察庁の國束孝次長官が䜕者かに狙撃される事件が起こった。譊察組織の頂点に向けられた銃撃は、内郚に倧きな衝撃を䞎えた。

同幎、譊察庁は党囜の譊察に銃噚察策課を蚭眮する。

皲葉もそこに所属する。

䜕が䜕でも抌収数を増やせ。

銃噚察策の珟堎は、さらに危ない領域ぞ螏み蟌んでいく。

1996幎、皲葉は暎力団員になりすたしお、東京・浅草のホテルに向かった。゚スず䞀緒である。

泳がせ捜査のために、拳銃を買うためだったずいう。

譊芖庁や千葉県譊の捜査員も加わり、呚蟺では匵り蟌みが行われおいた。

この時のこずを、皲葉はかなり具䜓的に語っおいる。

「浅草のホテルに行きたした。譊芖庁や千葉の捜査員が途䞭で匵り蟌みなどをしおいお、『向かったぞ』ずいう感じです」

郚屋に入る。皲葉ず゚スが座る。盞手も来る。

「拳銃を持っおきたか、みたいな話になる。こちらは金を芋せるために持っおいきたした」

たず金を芋せなければならない。皲葉は財垃をダクザから借りたずいう。

「500䞇円入る財垃をダクザから借りお、それに500䞇円を入れた。別に圹所から300䞇円が出おいたので、それも持っお行きたした」


ダクザに扮するために財垃を借りるむメヌゞ

ずころがその堎で、皲葉は譊察官であるこずを芋抜かれそうになる。

盞手が皲葉の耳を芋たのだ。

あの柔道で朰れた耳である。譊察官には柔道経隓者が倚い。盞手はそこに気づいた。

「お前、サツだろ」

盞手が抜いた拳銃が皲葉に向けられた。

皲葉は、その時の恐怖を隠さない。

「拳銃を抜かれお怖い思いをしたんですよ」

「ホント、小䟿ちびりそうになった」

結局、その堎ぱスの機転でなんずか切り抜けた。

拳銃は3䞁ほど買ったずいう。

「売った方は捕たりたせん。それきりです」

皲葉は、そう蚀った。

ここに、この捜査の矛盟がある。譊察は拳銃を買う。抌収数は増える。だが売った偎は捕たらない。暎力団偎には金が入る。垂民は、そんな内偎を知らない。

さらに、この捜査に出る前の䞊叞の蚀葉が象城的である。

普通なら、「気を぀けろ」ず蚀う堎面である。

盞手は拳銃を持っおいる。こちらは朜入する。呜がかかっおいる。

ずころが、皲葉によれば、䞊叞はこう蚀った。

「負けおもらえ。ディスカりントしおもらえ」

぀たり、買うならなるべく安くしおもらえ、ずいう意味である。

皲葉は、その蚀葉に驚いた。

「びっくりしたした。金を扱っおいる人、぀たり買っおくるならなるべく安く、ずいうこずです」

しかし同時に、それが圓時の空気だった。拳銃を出せ。数を䞊げろ。金はかかるが、なるべく安く買え。そんな感芚で、拳銃捜査は進んでいった。

1䞁でも倚く拳銃を抌収する。

その目暙は、正矩の顔をしおいた。垂民瀟䌚から銃をなくす。暎力団の歊噚を枛らす。そこだけを芋れば、間違いではない。

だが、皲葉の蚌蚀に埓えば、実際には譊察が拳銃を買い、拳銃を眮き、拳銃を芋぀けたこずにしおいた。

その先に、さらに倧きな取匕が埅っおいた。

拳銃200䞁。

その芋返りに、芚醒剀130キロを通す。そんな話である。

そんな話が、譊察の捜査の名で動き出そうずしおいた。

珟圚の皲葉   ãã®è€³ã¯ãŸã ç‰¹åŸŽçš„だ

 

いいなず思ったら応揎しよう