【深層】ドローン化する孫子の教え (後編) 〜『ニチレイ』から視る~ なぜ日本の大企業は狙われ続けるのか 〜
【後編】サイバー犯ら側の思う壺だ。〜「戦わずして勝つ」経済包囲網〜
1. なぜ、あえて「食品と物流」を狙うのか
前編では、安価なサイバー攻撃が日本のサプライチェーンを疲弊させる構造を紐解いた。後編では、その「標的の選定」に隠された、極めて大局的な意図を暴く。
なぜ、ハイテク半導体や自動車だけでなく、日々の「食」と「流通」がこれほど執拗に狙われるのか。
車は1ヶ月買えなくても誰も死なないが、食品と物流は、
「3日止まれば社会がパニックを起こす」からだ。
食のインフラを脅かすことは、国民の生命維持に直結する。
流通を人質に取ることで、企業は「背に腹は代えられない」と、他業界よりも高い確率で身代金を支払う。
攻撃者にとって、これほど「回収効率」の良い標的はない。
2. 胃袋を握られ、内側から腐り落ちるシナリオ
だが、これは単なる「金稼ぎ」の誘拐ビジネスではない。
その深層には、古典的な兵法書『孫子』が説く「戦わずして勝つ」ための、現代版・超限戦(あらゆる手段を動員した戦争)が潜んでいる。
1 下請けの駆逐と、代替勢力の浸透
セキュリティコストの負担に耐えかねた日本の食農・物流のプレイヤーが退場すれば、当然、食品自給率はさらに低下する。
そこに滑り込んでくるのは、国策で不自然なほど安価な「民主主義国の皮をかぶった海外製の食料とシステム」だ。
一見すると、ベトナムやイタリアといった友好国からのクリーンな輸入品に見える。しかしその実態は、米国が指摘していたとおり、現地法人や迂回ルートを巧みに経由し、出資元や製造の根幹を特定の巨大国家が握っている「実質的なすり替え品」にほかならない。
2 トロイの木馬の完成
サプライチェーンのどこかが、安さにつられてそのシステムや取引先を取り込んだ瞬間、大企業の防壁は内側から完全に筒抜けになる。
情報漏洩とさらなるサイバー攻撃のループが完成するからだ。
3 治安の自壊と、無法地帯化
度重なる物価高とインフラ麻痺は、国内の不景気を決定的なものにする。
中間層が没落し、生活苦に喘ぐ若者が増えれば、SNSを通じた「闇バイト」のような組織犯罪がさらに増える可能性も高い。
歪みはそれだけにとどまらない。
物価上昇に見合わない引き下げが続く年金により、生活破綻した高齢者による
「生きるための犯罪(万引き、住居侵入)」等も増加すると思われる。
結果、刑務所は「事実上の介護施設」と化し、その運営のために更なる血税が注ぎ込まれ、国家財政を圧迫する悪循環が完成してしまう。
いきなり「闇バイト」が出てきて面食らったかもしれないが、すでに報道で周知の通り、国境を越えた犯罪組織は、高収入を謳う求人で釣った若者を東南アジア等の拠点に監禁・脅迫し、詐欺やサイバー犯罪の手先として強要するシステム(トクリュウ等の犯罪インフラ)を確立しているが、いくら報道が流れても、不思議なことに壊滅する様子すら感じない。
これら「人間を使い捨てる仕組み」が国内に逆輸入された結果が、今の「闇バイト」の急増だ。
技術と資金を持つサイバー犯の裏稼業と、困窮した末端を暴力で縛り付ける支配システム、この両者がネットを通じて噛み合い、さらなる日本国内の治安崩壊と不安や疲弊を加速させていることは疑いようがない。
銃弾を一発も撃たずとも、日本の治安と社会の信頼関係(レジリエンス)は、内側から自壊していく。
現状は、サイバー犯ら側の思う壺にハマっている。
3. 結論:私たちは、すでに「最前線」にいる
一連のサイバー攻撃は、一時的なネットワーク障害でも、愉快犯的なハッカーの気まぐれでもない。
これは、日本の「国力」「経済」「社会秩序」をじわじわと削り取り、最終的に自滅へ追い込むための、超長期的な『日本弱体化計画』の、まだスタート地点に過ぎないのだ。
今、世界は目に見える軍事衝突(ホット・ウォー)の裏で、目に見えないインフラの奪い合い(サイバー冷戦)を行っている。
そして日本はその最前線に立たされている。
「国や大企業が守ってくれる」という幻想は、すでに崩れ去った。
なぜなら、私たちが生きる現代は、国家ですら単なる1プレイヤーに過ぎない、新たな「超限戦(あらゆる手段を動員した戦争)」の時代だからだ。
国や巨大企業は、この終わりのない代理戦争の「前線基地」であり、今回の事件はその前線が、我々の生活の胃袋(食品流通)にまで到達したことを意味している。
国費や企業の防壁を突破されたとき、最後に問われるのは、我々一人ひとりがシステムに依存せず「個としてどれだけ生き残る能力があるか」という、冷徹なサバイバル能力だけである。
繰り返すが、『ニチレイ』に類する、これら一連の事件は、これからも延々と続くと予想される、単なるスタート地点に過ぎないのだ。
(筆者追記 7月19日)
サイバー攻撃と組み合わされた複合攻撃は、日本を含む世界中で起こっています。
日本の「闇バイト」の代わりに、米国では、多くの米国人自身も原因が判らないまま分断が起きているのは周知の事実ですが、さらに、国教樹立の禁止(憲法修正第1条 / 国教樹立禁止条項に反するキリスト教ナショナリズム(国教を樹立しようとする動き)まで起きているのが現状です。
あくまでも推測ですが、トランプ氏の自己バイアスが日々変化しまくるのも、権威主義者らから何らかの支援を受けたトランプ支持者らが、日々影響を与え続けている結果だと思わざるをえないのです。
