【シラチャ】近いから入っただけの店が、60年続く名店だった朝の話
シラチャの朝は、どこか静かで、でも確かに“生活の音”が流れている。

バイクのエンジン音、屋台の仕込み、通りを歩く人たちの足音。観光地の喧騒とは違う、少しだけ現実に近いタイの空気。
その日も、特に目的はなかった。
ただ「ホテルの近くで何か食べよう」くらいの、軽い気持ちで外に出ただけだった。

偶然見つけた“60年続く店”
歩いて2分ほど。
なんの変哲もない通りに、少しだけ人が集まっている店があった。
看板は控えめ、外観も飾り気なし。
だけど、厨房屋台から香ってくる美味そうな匂いに、足が止まる。
ここが
Kang Tong Heng
――シラチャで60年続くローカルの名店だった。
もちろん、その時はそんなこと知らない。
「近いし、ここでいいか」
それくらいの温度感で、ふらっと入った。

ローカル100%の空気感
店内は完全にローカル仕様。
観光客向けの整った雰囲気は一切ない。
・英語はほぼ通じない
・メニューもシンプル
・お客さんは地元の人ばかり
でも、不思議と居心地は悪くない。
むしろ、「あ、こういう店が一番当たりなんだよな」と直感的に思う。
看板は“焼き物”
この店の主役は明らかにこれだ。
・ムーデーン(แดง:赤焼き豚)
・ムーグローブ(カリカリ豚)
・ペッヤーン(ローストダック)
香港×タイ中華の王道スタイル。
ガラス越しに並ぶそれらは、見てるだけで食欲を刺激してくる。

ただ、この日は朝。
重すぎるのもな…と思って選んだのが、
バミー・キアオ・ムーデン(ワンタン麺)
一口目でわかる“完成されてない完成形”
運ばれてきた一杯は、見た目からして具だくさん。
・チャーシュー
・野菜
・そしてワンタンが3種類
まずはスープをひと口。
「……あっさり」
正直に言うと、ちょっと物足りないくらいの優しい味。
でも、ここで気づく。
「これ、完成してないな」
タイ式“味の仕上げ”

卓上に並ぶ調味料たち。
・ナンプラー
・唐辛子
・酢
・砂糖
少しずつ入れていく。
味が変わる。
もう一口。
「あ、これだ」
一気に輪郭が出る。
自分で完成させる前提のスープ。
これがタイの麺文化の面白さ。
ワンタンが地味にすごい
この店、地味にワンタンがいい。
・揚げワンタン → サクッ
・通常ワンタン → プリッ
・もう一種類 → 食感の変化が楽しい
一杯の中で食感のリズムがある。
これだけで、最後まで飽きない。

そして、あの“おばちゃん”
食べ終わって、ふと周りを見る。
店員らしき人がいない。
…と思ったら、後ろのテーブルで普通にご飯食べてるおばちゃん。
目が合う。
ニコッ。
「何か?」みたいな顔。
思わず
「チェックビンカップ」
と言うと、
「ハーシップバーツ(50バーツ)」
安い。
というか安すぎる。
偶然こそ、いちばん贅沢
調べて行ったわけでもない。
レビューを見たわけでもない。
ただ近かったから入った店。
でも、こういう店こそ記憶に残る。
・気取っていない
・でもちゃんと美味しい
・地元の人に愛されている
それが60年続く理由なんだと思う。

まとめ
シラチャでローカル飯を食べるなら、間違いなくここは一つの答え。
・朝から開いている(7:30〜)
・一皿50〜100バーツ前後
・味は自分で完成させるスタイル(タイスタイル)
観光ではなく、「生活に混ざる食事」がしたい人にはぴったり。
あの日の朝、
ただ“近いから”入った店が、
結果的に一番印象に残った。
そんなことがあるから、
やっぱり、旅は面白い。

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