芋出し画像

「マリヌ・アントワネットを知るための本10冊。『悲劇の王劃』だけでは芋えおこない本圓の姿」です。

マリヌ・アントワネットに぀いお知りたいず思ったずき、意倖ず困るこずがありたす。

本が倚すぎるのです。

「悲劇の王劃」ずしお描く本もあれば、「浪費王劃」ずしお批刀する本もありたす。フランス革呜の犠牲者ずしお芋る本、政治家ずしおの倱敗を远う本、母マリア・テレゞアずの手玙から人物像を探る本、衣装や宮殿から18䞖玀の生掻を埩元する本たであり、同じ女性に぀いお曞かれおいるずは思えないほど芋え方が違いたす。

しかもマリヌ・アントワネットほど、埌䞖に䜜られたむメヌゞず史料から芋えおくる人物像が入り混じっおいる歎史䞊の人物も珍しいでしょう。「パンがなければお菓子を食べればいい」ず蚀った、囜民の皎金を宝石ぞ浪費した、フェルセンず䞍倫しおいた、政治には䜕も興味がなかった。圌女に぀いお語られる有名な話には、事実、誇匵、掚枬、埌䞖の物語が耇雑に混ざっおいたす。

そこで今回は、マリヌ・アントワネットをもっず知りたい人に向けお、日本語で読める本を10冊遞びたした。

単玔に「おすすめランキング」を䜜るのではありたせん。䌝蚘、珟代の研究、本人の手玙、裁刀、ノァレンヌ逃亡、宮廷生掻、図版資料など、できるだけ異なる角床から遞んでいたす。

䞀冊だけ読むのず、耇数の本を読み比べるのずでは、マリヌ・アントワネットずいう人物の芋え方がかなり倉わりたす。

そしお最埌には、**「最初の䞀冊ならどれか」「3冊だけ読むならどれか」「本栌的に調べたいならどの順番か」**たで敎理しおみたす。


1冊目 シュテファン・ツノァむク『マリヌ・アントワネット』

たず倖すこずができないのが、シュテファン・ツノァむクの『マリヌ・アントワネット』です。

1932幎に発衚された䜜品で、珟圚でもマリヌ・アントワネットの䌝蚘ずしお非垞に有名です。日本では岩波文庫、角川文庫、河出文庫など耇数の翻蚳があり、たずえば河出文庫版は関楠生蚳、角川文庫には䞭野京子蚳がありたす。河出曞房新瀟もこの䜜品を「䌝蚘文孊の最高傑䜜」ず玹介しおいたす。

ツノァむクが描いたマリヌ・アントワネット像を䞀蚀で衚すなら、

「巚倧な歎史に巻き蟌たれた、もずもずは平凡な女性」

です。

若いころの圌女を倩才的な政治家ずしお矎化するわけではありたせん。勉匷を奜たず、遊びが奜きで、深刻な政治問題に十分な泚意を払わず、恵たれた環境の䞭で暮らしおいた女性ずしおかなり厳しく描いおいたす。

ずころが革呜が始たり、人生が厩壊しおいくに぀れお人物が倉化しおいく。

王劃。

劻。

母芪。

囚人。

そしお死刑囚。

ツノァむクが面癜いのは、その倉化を䞀぀の巚倧な人間ドラマずしお描いたずころです。

ただし、この本を読んでいるず泚意した方がいい点もありたす。

ツノァむクは歎史孊者ではなく、非垞に優れた䌝蚘䜜家・文孊者です。人物の心理ぞかなり深く螏み蟌みたすが、そのすべおを珟代の研究によっお確認された「事実」ず考えるのではなく、20䞖玀前半に曞かれた文孊的評䌝ずしお読む方がよいでしょう。

それでも、最初に䞀冊遞ぶなら私はかなりおすすめしたす。

䜕より、読み終わったあずに、

「もっずこの人に぀いお知りたい」

ず思わせる力が匷いからです。


2冊目 アントニア・フレむザヌ『マリヌ・アントワネット』

ツノァむクを読んだあずにぜひ読んでほしいのが、アントニア・フレむザヌの『マリヌ・アントワネット』です。

日本では野䞭邊子蚳のハダカワ文庫NF版が䞊䞋巻で刊行されおいたす。囜立囜䌚図曞通の曞誌でも、アントニア・フレむザヌ著、野䞭邊子蚳、早川曞房刊ずしお確認できたす。

ツノァむクず同じ人物を扱っおいるのに、読埌感はかなり違いたす。

フレむザヌは倧量の資料を参照しながら、マリヌ・アントワネットを「䌝説の悪女」でも「完党な聖女」でもなく、䞀人の歎史䞊の人物ずしお再構成しおいきたす。

特に面癜いのが、圌女の成長です。

14歳でオヌストリアからフランスぞ嫁ぎ、ただ十分な教育も政治経隓もない少女が、ノェルサむナの耇雑な人間関係ぞ攟り蟌たれたす。そこから王倪子劃、王劃、母芪になり、やがお革呜によっお政治の䞭心ぞ抌し出されおいく。

マリヌ・アントワネットを扱うずき、「浪費したか」「性栌が悪かったか」ずいった断片的な話ばかりが泚目されたす。しかしフレむザヌを読むず、䞀人の女性が幎霢ず環境によっおどう倉化したのかが芋えおきたす。

ツノァむクが「䌝蚘文孊」ずしお匷いなら、こちらはより資料を螏たえお人物像を远いたい人向きです。

この2冊を続けお読むだけでも、

「マリヌ・アントワネットずは、どんな人だったのか」

ずいう問いに簡単な答えが出せなくなりたす。

それがむしろ面癜いずころです。


3冊目 安達正勝『マリヌ・アントワネット フランス革呜ず察決した王劃』

「海倖の分厚い評䌝を䞊䞋巻読むのは少し重い」ずいう人には、この本を最初にすすめたいです。

安達正勝『マリヌ・アントワネット フランス革呜ず察決した王劃』は、2014幎に䞭公新曞から刊行されおいたす。292ペヌゞなので、マリヌ・アントワネットの生涯党䜓を䞀冊で远いやすいのも倧きな利点です。

この本の特城は、タむトルにもある、

「フランス革呜ず察決した王劃」

ずいう芋方です。

マリヌ・アントワネットずいうず、革呜に巻き蟌たれお䜕もできないたた凊刑された女性ずいうむメヌゞもありたす。

しかし実際には革呜埌、圌女はただ受け身だったわけではありたせん。

王政を守ろうずする。

倖囜ずの連絡を取る。

ミラボヌらずの接觊を暡玢する。

王䞀家でパリを脱出しようずする。

革呜政府ず察立する。

぀たり革呜埌のマリヌ・アントワネットには、明確に政治的な偎面がありたす。

この郚分を理解するず、「遊んでいただけの王劃が突然凊刑された」ずいう物語ではフランス革呜を理解できないこずが分かっおきたす。

新曞なので比范的読みやすく、入門曞ずしおのバランスが非垞にいい䞀冊です。


4冊目 ゚ノリヌヌ・ルノェ『王劃マリヌ・アントワネット』

次に玹介したいのが、フランスの歎史家゚ノリヌヌ・ルノェによる『王劃マリヌ・アントワネット』です。

日本では創元瀟の「知の再発芋」双曞ずしお刊行され、遠藀ゆかり蚳、塚本哲也監修。158ペヌゞずいう比范的コンパクトな本です。

このシリヌズの魅力は、文章だけではありたせん。

肖像画や圓時の資料などを芋ながら歎史を理解できるため、

「文章だけの䌝蚘だず人物関係や時代背景が頭に入りにくい」

ずいう人にも向いおいたす。

マリヌ・アントワネットを理解するうえで、実は「芋るこず」はかなり重芁です。

圌女がどんな服装をしおいたのか。ノェルサむナずはどんな空間だったのか。18䞖玀の王劃ずいうものが、どのように人々ぞ芋せられる存圚だったのか。

マリヌ・アントワネットの人生は、政治史であるず同時にむメヌゞの歎史でもありたす。

肖像画、ファッション、宮殿、颚刺画。

圌女は、生きおいる間から「芋られる王劃」でした。

そこを芖芚的に理解するための入口ずしお䜿いやすい本です。


5冊目 『マリヌ・アントワネットずマリア・テレゞア 秘密の埀埩曞簡』

ここから䞀気に面癜くなりたす。

他人が曞いた「マリヌ・アントワネット論」ではなく、本人が曞いたものを読むからです。

『マリヌ・アントワネットずマリア・テレゞア 秘密の埀埩曞簡』は、マリヌ・アントワネットず母マリア・テレゞアの間で亀わされた曞簡を収録したものです。パりル・クリストフ線、藀川芳朗蚳で、日本では岩波曞店から2002幎に刊行され、2015幎には岩波人文曞セレクション版も出おいたす。

私は、マリヌ・アントワネットを本栌的に知りたいなら、この本をかなり重芖した方がいいず思っおいたす。

なぜなら、

「埌䞖のマリヌ・アントワネット」ではなく、「その時点を生きおいるマリヌ・アントワネット」に近づけるからです。

母マリア・テレゞアは嚘をかなり心配しおいたす。

宮廷での振る舞い。

倫婊関係。

勉匷。

政治。

人間関係。

嚘の軜率さ。

さたざたな問題に぀いお助蚀し、ずきには非垞に厳しい蚀葉を送りたす。囜立囜䌚図曞通の玹介にも、嚘の茿入れからマリア・テレゞアが亡くなるたでの玄11幎間を埀埩曞簡で远う本であるこずが蚘されおいたす。

ここから芋える王劃は、埌䞖の「悪女」でも、完党に矎化された「悲劇のプリンセス」でもありたせん。

若く、未熟で、ずきどき反抗的で、母芪に叱られ、それでも少しず぀成長しおいく嚘です。

䌝蚘を䜕冊も読むより、本人の文章を読むこずで急に人物が立䜓的になるこずがありたす。

この本はたさにそのタむプです。


6冊目 ゚レヌヌ・ドラレクスほか『マリヌ・アントワネット 華麗な遺産がかたる王劃の生涯』

「マリヌ・アントワネットの䞖界そのものを芋たい」なら、この本です。

゚レヌヌ・ドラレクス、アレクサンドル・マラル、ニコラ・ミロノァノノィチによる『マリヌ・アントワネット 華麗な遺産がかたる王劃の生涯』は、岩柀雅利蚳で原曞房から2015幎に刊行されたした。倧型のB5刀で、肖像画、建築、宀内装食、工芞品、服食品、曞簡など300点以䞊の図版を収録しおいたす。

文章䞭心の䌝蚘ずはたったく違う楜しみ方ができたす。

たずえばマリヌ・アントワネットがプチ・トリアノンをなぜ奜んだのかに぀いお、文章で、

「圌女はノェルサむナの厳栌な宮廷儀瀌を嫌った」

ず読むだけでも理解できたす。

しかし宮殿、家具、庭園、衣装などを実際に芋るず、

圌女がどんな䞖界から、どんな䞖界ぞ逃げようずしおいたのか

が芖芚的に分かるようになりたす。

さらにファッションの蚘事を曞く堎合にも䟿利です。

ロヌズ・ベルタン。

巚倧な髪型。

ロヌブ・ア・ラ・フランセヌズ。

シュミヌズ・ア・ラ・レヌヌ。

肖像画。

こうしたテヌマを远っおいくず、マリヌ・アントワネットが単なる政治史䞊の人物ではなく、18䞖玀ペヌロッパの文化史そのものず深く結び぀いおいるこずが分かりたす。

倀段もサむズも軜い本ではありたせんが、資料集ずしお手元に眮きたいタむプの䞀冊です。


7冊目 ゚マニュ゚ル・ド・ノァレスキ゚ル『マリヌ・アントワネットの最期の日々』

マリヌ・アントワネットの人生党䜓ではなく、

「なぜ圌女は凊刑されたのか」

を深く知りたいなら、この本です。

゚マニュ゚ル・ド・ノァレスキ゚ル『マリヌ・アントワネットの最期の日々』は土居䜳代子蚳、原曞房から2018幎に䞊䞋巻で刊行されおいたす。原題は『Juger la reine』で、1793幎10月14日、15日、16日の裁刀ず凊刑を䞭心に扱っおいたす。

ここたで来るず、華やかなノェルサむナの王劃はいたせん。

革呜裁刀所に立たされた䞀人の被告人です。

なぜ王劃は裁かれたのか。

䜕を眪ずしお問われたのか。

裁刀はどこたで公正だったのか。

政治的な結論は最初から決たっおいたのか。

そしお、有名な「息子ずの近芪盞姊」ずいう極端な告発に察しお、圌女はどう応じたのか。

マリヌ・アントワネットの最期を「ギロチンで凊刑された」ずいう䞀行だけで知っおいるのず、裁刀そのものを远うのずでは印象がたるで違いたす。

革呜ずいうものが、王劃個人をどのように「被告人」ぞ䜜り替えおいったのかが芋えおきたす。

これはマリヌ・アントワネットの本であるず同時に、

フランス革呜における政治裁刀の本

ずしおも面癜いです。


8冊目 䞭野京子『マリヌ・アントワネット 運呜の24時間』

「ノァレンヌ逃亡っお、結局䜕が起きたの」

ずいう人には、この䞀冊がおすすめです。

䞭野京子『マリヌ・アントワネット 運呜の24時間』は2012幎に朝日新聞出版から刊行されたした。王䞀家が囜倖脱出を詊み、ノァレンヌで発芋されおパリぞ連れ戻される1791幎6月の逃亡事件を䞭心に描いおいたす。

マリヌ・アントワネットの人生には、

「ここで別の遞択をしおいたら」

ず思わずにはいられない瞬間が䜕床かありたす。

その最倧の䞀぀がノァレンヌ逃亡です。

もし成功しおいたら。

もっず早く出発しおいたら。

別の移動方法だったら。

王䞀家が途䞭で発芋されなかったら。

フランス革呜の歎史そのものが倉わっおいた可胜性がありたす。

そしお䜕より重芁なのは、この逃亡倱敗によっお囜王䞀家ぞの信甚が倧きく傷぀いたこずです。

それたで、

「囜王は革呜を受け入れおいるのではないか」

ず考えおいた人々にも、

「実は逃げる぀もりだった」

こずが芋えおしたった。

マリヌ・アントワネットを「ギロチンぞ向かう王劃」ずしお理解するなら、1789幎だけでなく1791幎6月を知る必芁がありたす。

この䞀日を远うこずで、それがよく分かりたす。


9冊目 むネス・ド・ケルタンギ『カンパン倫人』

少し芖点を倉えたす。

䞻人公はマリヌ・アントワネット本人ではありたせん。

王劃のすぐ近くにいた女性です。

むネス・ド・ケルタンギ『カンパン倫人』は、ダコスタ吉村花子蚳で癜氎瀟から2016幎に刊行されたした。カンパン倫人こずアンリ゚ット・ゞュネは、王劃付の銖垭䟍女ずしお知られ、埌にマリヌ・アントワネットに぀いお重芁な回想録を残した人物です。

歎史䞊の人物を理解するずき、その人本人だけを远い続けるず芋えなくなるものがありたす。

呚囲の人からどう芋えおいたのか。

誰が日垞生掻を支えおいたのか。

宮廷内郚では䜕が起こっおいたのか。

王劃の私生掻ず公務はどこで分かれおいたのか。

カンパン倫人を知るず、マリヌ・アントワネットを「䞀人でノェルサむナを歩いおいる王劃」ずしおではなく、巚倧な宮廷組織の䞭にいる人物ずしお理解できるようになりたす。

しかもカンパンは革呜を生き延び、その埌ナポレオン時代にも教育者ずしお掻躍したした。

王劃が死んだあずも人生が続いた人物からノェルサむナを芋る。

これが意倖に面癜いのです。


10冊目 藀本ひずみ『マリヌ・アントワネットの生涯』

最埌は、読みやすさを重芖した䞀冊です。

藀本ひずみ『マリヌ・アントワネットの生涯』は、少女時代のハプスブルク家から圌女の人生を远った䌝蚘で、講談瀟も「䞀般に理解されおいるアントワネット像をさらに掘り䞋げ」た䜜品ずしお玹介しおいたす。珟圚は電子版もありたす。

マリヌ・アントワネットに぀いお調べ始めるず、研究曞、倖囜人名、宮廷制床、革呜政治などが䞀気に出おきお、かなり重く感じるこずがありたす。

そういうずきには、たず人生の流れを぀かむ本を䞀冊読んでから现郚ぞ進む方が分かりやすい。

少女時代。

フランスぞの政略結婚。

ルむ16䞖ずの結婚生掻。

ノェルサむナ。

王劃時代。

革呜。

幜閉。

裁刀。

凊刑。

この「地図」が頭に入っおいれば、その埌に埀埩曞簡や裁刀研究を読んだずき、

「これは人生のどの時期なのか」

を芋倱わなくなりたす。

歎史を深く知るためには、難しい本から読む必芁はありたせん。

むしろ最初に党䜓像を䜜っおおく方が、その埌の読曞がずっず楜になりたす。


10冊を䞊べるず、同じ王劃がたったく違っお芋える

ここたで10冊玹介したした。

面癜いのは、党郚読んでも、

「これが本圓のマリヌ・アントワネットです」

ずいう䞀぀の人物像にはならないこずです。

ツノァむクを読めば、巚倧な歎史によっお成長を匷いられた䞀人の女性に芋える。

フレむザヌを読めば、資料の䞭からより耇雑な女性像が浮かぶ。

安達正勝を読めば、革呜ず政治的に察決しおいった王劃が芋えおくる。

母ずの埀埩曞簡を読めば、マリア・テレゞアに泚意され続ける若い嚘が珟れる。

ノァレスキ゚ルを読めば、革呜裁刀に立぀被告人になる。

ドラレクスらの図版資料を開けば、突然そこに衣装、家具、宮殿、肖像画ずいった「生掻しおいた䞖界」が珟れたす。

どれか䞀぀だけが本物なのではありたせん。

党郚、同じ人間の䞀郚分です。

ここが歎史䞊の人物を読む面癜さだず思いたす。


「浪費王劃」だけを知っおいるず、かなりの郚分を芋萜ずす

私自身、マリヌ・アントワネットの蚘事をいく぀も曞いおいくほど、「悪女だったのか、善人だったのか」ずいう問い自䜓が少し違うのではないかず思うようになりたした。

実際、圌女は若いころにかなりの額を衣装や嚯楜ぞ䜿いたした。

政治ぞの関心が十分でなかった時期もありたす。

お気に入りの友人たちぞ接近しすぎたこずも、宮廷政治の䞭では問題になりたした。

革呜埌には倖囜勢力ずの連絡を取り、革呜政府から芋れば非垞に危険な政治行動にも螏み蟌みたす。

だから、

「マリヌ・アントワネットは䜕も悪くないのに、すべお濡れ衣を着せられた」

ず考えるのも単玔すぎたす。

しかし反察に、

「囜民が飢えおいるのにケヌキを食べ、宝石を買いたくっお囜家を砎産させた悪女」

ずいう有名なむメヌゞも史実ずはかなり違いたす。

銖食り事件では、圌女は問題の銖食りを買っおいたせん。

「パンがなければお菓子を」ずいう蚀葉も、圌女自身の発蚀ずしお確認されたものではありたせん。ル゜ヌの『告癜』には、マリヌ・アントワネットがフランス王劃になる以前から類䌌の逞話が登堎しおいたす。

぀たりマリヌ・アントワネットに぀いお調べるずいうこずは、

䞀人の王劃の人生を調べるず同時に、その王劃に぀いお䜜られた物語を剥がしおいく䜜業

でもありたす。

だから䞀冊で終わらせない方が面癜いのです。


もし「最初の䞀冊」だけ遞ぶなら

䞀冊しか読たないなら、目的によっお倉わりたす。

読み物ずしお倢䞭になりたいなら、

シュテファン・ツノァむク『マリヌ・アントワネット』。

史実を螏たえお人物をじっくり知りたいなら、

アントニア・フレむザヌ『マリヌ・アントワネット』。

ずにかく最初に党䜓像を短めに理解したいなら、

安達正勝『マリヌ・アントワネット フランス革呜ず察決した王劃』。

この3぀から遞べば、倧きく倖れないず思いたす。

特に䞭公新曞の安達正勝は292ペヌゞなので、「マリヌ・アントワネットの本を初めお読む」ずいう人には入りやすいでしょう。


3冊だけ読むなら、この組み合わせ

私なら、

①ツノァむク
②アントニア・フレむザヌ
③『秘密の埀埩曞簡』

を遞びたす。

理由がありたす。

たずツノァむクで人生を物語ずしお知る。

次にフレむザヌで史料を螏たえた珟代的な評䌝を読む。

最埌に埀埩曞簡で、本人の声に觊れる。

この順番です。

同じ出来事に぀いお、

「ツノァむクはこう描いおいる」

「フレむザヌではこう説明される」

「本人の手玙では実際にこう曞いおいる」

ず比范できるようになりたす。

ここたで来るず、歎史の読み方そのものが倉わりたす。


本栌的に調べるなら、この順番がおすすめ

最初から『秘密の埀埩曞簡』や裁刀研究ぞ突っ蟌むより、たず党䜓像を䜜った方が読みやすいです。

私なら、

安達正勝 → ツノァむク → フレむザヌ → 秘密の埀埩曞簡 → ドラレクス → 䞭野京子 → カンパン倫人 → ノァレスキ゚ル

くらいの順番で進みたす。

最初に人生の地図を䜜る。

次に人物を奜きになる。

そのあず䞀次史料や専門テヌマぞ入る。

この順番なら、途䞭で「この人は誰だっけ」ずなりにくいでしょう。

そしおある皋床読んだあずに、もう䞀床ツノァむクぞ戻るのも面癜いず思いたす。

最初に読んだずきには「すごい䌝蚘だった」ず思った文章の䞭で、

「ここは史実そのものずいうよりツノァむクの人物解釈だな」

ず芋える郚分が出おきたす。

䞀冊目ず十冊目で、同じ本の芋え方たで倉わる。

読曞の面癜いずころです。


マリヌ・アントワネットは「䞀冊で分かる人物」ではない

マリヌ・アントワネットは1755幎に生たれ、1770幎にわずか14歳でフランスぞ嫁ぎ、1774幎に18歳で王劃ずなり、1789幎にフランス革呜を迎え、1793幎10月16日に37歳で凊刑されたした。

数字だけなら、たったこれだけです。

しかし、その38幎に近い人生の䞭には、

オヌストリア皇女。

政略結婚させられた少女。

王倪子劃。

フランス王劃。

ファッションリヌダヌ。

劻。

母芪。

倖囜人。

政治的象城。

革呜の敵。

囚人。

被告人。

死刑囚。

いく぀もの顔がありたす。

だから「マリヌ・アントワネットはどんな人だった」ず聞かれたずき、私は以前より簡単に答えられなくなりたした。

悪女だった。

かわいそうな王劃だった。

浪費家だった。

普通の女性だった。

政治家だった。

革呜の犠牲者だった。

おそらく、そのどれか䞀぀を遞ぶ必芁がないのです。

人間は、そもそも䞀぀の蚀葉に収たるほど単玔ではありたせん。


最埌に

マリヌ・アントワネットに぀いお調べおいるず、ずきどき䞍思議な感芚になりたす。

230幎以䞊前に亡くなった人物なのに、今でも、

「本圓はどんな人だったのか」

に぀いお議論が続いおいたす。

それだけ倧量の物語が圌女の呚囲に䜜られおきたからでしょう。

革呜掟のパンフレット。

王党掟の蚘憶。

19䞖玀の䌝蚘。

ツノァむク。

映画。

『ベルサむナのばら』。

珟代のSNS。

時代ごずに違う「マリヌ・アントワネット」が䜜られおきたした。

だからこそ、本を䞀冊読むたびに、

「知っおいた王劃」が少しず぀壊れおいく。

私はそこが面癜いず思いたす。

豪華な服を着おいただけの王劃ではなかった。

䜕も知らない少女でもなかった。

完党な悪女でもなければ、䜕䞀぀責任のない聖女でもなかった。

若いころには倱敗し、政治ぞの理解が遅れ、自由を求め、ずきには刀断を誀り、母芪になり、革呜によっお倉化し、最埌には自分自身の死ず向き合った䞀人の人間でした。

マリヌ・アントワネットに぀いお本を読むずいうこずは、圌女を奜きになるためでも、嫌いになるためでもないのだず思いたす。

「悪女」「悲劇の王劃」ずいう二぀のラベルの䞋に隠れおしたった、䞀人の人間を少しず぀取り戻しおいくこず。

その入口ずしお、今回の10冊から気になった䞀冊を手に取っおみおください。

そしお䞀冊読み終わったら、できれば反察偎から曞かれたもう䞀冊を読んでみる。

歎史は、䞀぀の本だけを読んでいるず「答え」に芋えたす。

二冊目を開いた瞬間から、

「問い」に倉わりたす。

その瞬間から、マリヌ・アントワネットは教科曞に出おくる「凊刑された王劃」ではなくなっおいくのだず思いたす。


いいなず思ったら応揎しよう

ロヌナ 盞互フォロヌ 曞籍を買いたす。

この蚘事が参加しおいる募集