風まかせ文芸部:『違和感』
iさんの企画に参加させて頂きます。
心踊るお題をありがとうございます😊
雨の日の電車の中には、かすかに獣の匂いが漂う。
汗臭さとは少し違う、獣の匂い。
人間も動物の一種なのだ、と改めて思う。
駅でもないのに、電車が止まった。
停止信号…か…
吊り革に掴まる私の目の前の席、
座っているのは、40歳前後と思われるサラリーマン風の男性。
スマートフォンを出してもおらず、本を読むでもなく、目を閉じている。
居眠りしているわけではなさげなのは、
背筋が気持ち良く伸びてるからかしら。
電車は動き出し、しばらく進むと、また止まった。
今日は、妙に停止信号、多いわね。
『…前の列車にてお客様対応を、いたしました、10分ほど、遅れることをご了承下さい』
どうりで…ね。
何度も止まるわけだ。
冷房効いてても、じわりと来る蒸し暑さだもの、急な体調不良の方とか、かしら。
にしても…"お客様対応"って…💦
電車は旅客サービスだもの、乗せて貰ってること含めて、すべてが"お客様対応"じゃないのかしら。
具体的な表現はできないのか、
もちろんする必要もないけど、違和感感じちゃうわね、
もう少し、違う表現あるんじゃないのかしら。
10分遅れ…か、
雨降ってるし、降りたら走る…のは厳しいわね。
もう一本早いのに、無理して乗れば良かったかな。
駆け込み乗車はNGだもの、鳴り響く発車ベルを聞きながら見送ったのを少し後悔しつつ、視線を泳がせる。
出勤時間のピークは過ぎてるけれど、内心焦ってる人もいるんでしょうね。
私もその一人だけれど。
いきなりがくんと動いて、また止まった電車の揺れに煽られて、
バランス崩した私は、目の前の、くだんの男性の方に傾き、足を踏んでしまった。
「す、すみませんっ‼️」
彼は目を開けたものの、私の方は見ていない。
「…いえ、」
???
足を踏んでしまった感触。
傾いて空気が動いた時の匂い。
人型 AI ??
減りゆく人口の人手不足を補うため、
あるいは、危険な作業を担って貰うため、
人型 AI が、活躍の場を広げている、とニュースで見たばかりだ。
けど、こんな…電車で通勤…みたいなこともするわけ??
製造コストとの兼ね合いもあって、
需要と供給のバランスが、まだ難しい、とかって…
むしろ、継承する人がいなくなりつつある、
伝統的な技能や技術を学習させて、唯一無二のものを守る方にシフトするかも、って…
こんな普通の電車に、乗ってる…の??
通勤してるの??
まさか…ね。
気のせい…よね。
端正な歪みのない顔立ち。
人の顔って、こんなに左右対称だったかしら。
先程、目を開けてから、うつむき加減にしているけれど…なぜか、見られてるような気がする。
私を?
違う、車内全部を?
『…たいへんご迷惑をおかけしております、
先の列車より順次、名古屋駅到着となります』
くだんの男性が、立ち上がる気配を見せる。
まだ、到着じゃないよ、
手荷物ないのに、降車の準備、早すぎない?
そのスペースを空けるべく、私は少し身体をずらす。
身体どうしのわずかのすれ違い、やっぱり妙な違和感は否めない。
え…
なに?
あなた、なにをっ…??
私、無事に駅に到着できるのかしらっ…?
ドアじゃない方向へ、素早い動きを見せた彼の後ろ姿に、心が叫びが重なった。
※もちろん創作です。
人型 AI😁 なにするんでしょ??
よしなに…🤭
