W杯2026 #09 95分間、ブラジルを倒せると思っていた夜。
職場の人が話しかけてきました。
「昨日の日本、見た?」
その人は、ふだんサッカーを見ません。スポーツ全般に、そこまで興味があるわけでもない。でも昨日は、話しかけてきた。
W杯って、こういうことが起きる。
試合前から、何かが違いました。
前回のW杯では、ドイツに、スペインに勝てるはずがないと大多数の人が思っていた。
でも今回は、「ブラジルに勝てるかもしれない」という期待感と緊張があった。その期待と緊張が、どこか心地よかった。
佐野海舟が先制点を決めた瞬間、声が出ました。
一人で見ていたのに。
その後しばらく、落ち着けなくて。「このまま行けるんじゃないか」という気持ちと、「いや、まだ長い」という気持ちが、ずっと交互に来ていました。
後半に追いつかれたとき、このまま崩れてしまうのかと危惧しました。
でも選手たちは変わらなかった。自分たちのサッカーを最後まで貫いていた。
95分、失点。
試合終了。
しばらく動けませんでした。(悔しいというより、呆然、という感じ)
負けました。
でも確かに、何かが動いた夜でした。
勝ったから感動したわけじゃない。負けたのに、なんでこんなに何かが残るんだろう、と思いながら、しばらくTVを眺めていました。
翌日、あの職場の人は言いました。
「あれ、すごかったね」
「あれ」と言って通じる。何がすごかったかを言語化するよりも前に、「すごかった」という感覚だけが残っている感じ。
サッカーを普段見ない人の心にまで、何かが届いた夜だったんだと思います。
Jリーグを見ていると、こういう夜は、なかなかないんです。
面白い試合はある。いい試合もある。でも、翌日に職場で話しかけてくる人が増えるような夜は、なかなか起きない。
何が違うんだろう、とずっと考えています。
代表だから、というのはある。W杯だから、というのもある。でもそれだけじゃない気がしていて。(答えはまだ出ていない、、、)
クラブの経営を勉強しながら、ひとつだけはっきりしていることがあります。
「勝つこと」とは別のところに、人の心が動く理由がある、ということ。
日本はブラジルに負けました。それでもあの夜を、翌日も引きずっている人が、確かにいた。
そういう夜を、Jリーグでも1日でも多く作りたい。
どうすれば作れるかは、まだわかっていないけれど。だから勉強を続けています。
