BIMは"あると便利"から"ないと通らない"へ ― モデリング代行の選び方、3つの基準
BIMは"あると便利"から"ないと通らない"へ ― モデリング代行の選び方、3つの基準
少し前まで、BIMは「やれたらいいね」の技術でした。でも最近、現場を回っていて空気が変わってきたのを感じます。BIM対応を求められる案件や場面が、確実に増えている。今日は、その流れと、じゃあモデリングをどこに任せるか、の選び方を、私なりに正直に書きます。
先に一つだけ。タイトルに「ないと通らない」と書きましたが、これは法律ですべての建築にBIMが必須になった、という意味ではありません。BIMで出せる前提の案件・場面が増えている、という肌感の話として読んでください。
「BIMで出せる前提」の案件が、確かに増えている
建築確認の世界でも、BIMを活用した制度が具体化しています。2026年4月には、BIMから出力した図書を使う「BIM図面審査」が始まりました。この段階では、審査対象はあくまでPDFの図書で、IFC(BIMの共通データ)は参考扱いです。そして2029年春には、IFCと属性情報そのものを審査に活用する「BIMデータ審査」へ進む計画です。今すぐすべての建築確認にBIMが必須、という意味ではありませんが、BIMで申請・データ連携できる環境は、着実に整ってきています。
土木分野ではさらに先行していて、国土交通省の直轄土木は2023年度から(小規模なもの等を除き)BIM/CIMが原則適用です。ここから先は私の見立てですが、この流れは地方公共団体や民間の発注にも、じわじわ影響していくと見ています。
海外に目を向けると、ベトナムでも義務化が段階的に進んでいます。2025年からは公共投資・国有資本・PPPなどの新規プロジェクトでクラスII以上が対象になり、その他資本の新規プロジェクトでも、2026年からクラスII以上についてBIMファイル提出の対象が広がるロードマップです。BIMで出せないと、大きな案件に入りづらくなる方向は共通しています。
まとめると、"あると便利"から、"求められる場面が増える"へ。——でも現場のリアルは、「社内に作れる人がいない」。ここが今日の本題です。
だから外注が現実解。でも"安いから"で選ぶと外す
外注の相談を受けるとき、いちばん誤解されやすいのが「外注=コスト削減」という前提です。
私たちが相談を受けてきた案件では、コスト以上にキャパシティ不足が理由になるケースが多くありました。繁忙期に案件が重なる、産休や採用難で人が足りない。そこを埋める"外部の生産ライン"として外注が要る、という話です。
だから選択肢は、社内で抱える・採用する・派遣を入れる・案件ごとに外注する・ラボ型で継続的に持つ、と幅があります。継続案件があって繁忙の波が大きいなら、案件単位の外注やラボ型が噛み合いやすい。会社の事情次第で、正解は一つじゃないです。
失敗は"腕"ではなく"基準の曖昧さ"から
外注でいちばん事故りやすいポイント。私たちの経験では、モデラーの腕ではなく、着手前の"基準の曖昧さ"です。
「いい感じにBIM化しておいて」で始めると、後からズレやすい。どこまで細かく作るのか、名前や属性のルールは何か、何をもって完成とするのか。ここが握れていないと、腕のいいモデラーが作っても「思ってたのと違う」になりがちです。逆に言えば、基準さえ着手前に合意できていれば、外注はかなり安定します。
代行先を選ぶ、3つの基準
基準1:LOD(どこまで作るか)を着手前に決める
LODは、ここでは便宜的に「モデルをどこまで作り込むか」という意味で使います(実務では基準や運用によって定義が変わる言葉です)。企画段階なら粗く、実施設計や施工なら細かく、と用途で変わります。「全部細かく」は一見安心ですが、使わない情報まで作ってコストと納期が膨らむ。だから、この案件は何に使うのか、から逆算してLODを先に決める。これを一緒に整理してくれる代行先は、信頼できます。
基準2:モデリング基準書(命名・属性のルール)で揃える
複数人・複数社で作ると、部材の名前やプロパティの入れ方がバラバラになりがちです。後工程で拾えない、集計できない、という事故は、ここから起きやすい。着手前に命名規則とプロパティ規則を決めて、基準書として共有する。地味ですが、ここを最初にやる会社かどうかで、仕上がりが変わります。
基準3:検収条件(何をもって"完了"か)を先に握る
「完成しました」「いや、ここが足りない」の押し問答は、検収条件を先に決めていないと起こりやすい。どのビューで、どの精度で、何がそろっていればOKとするか。着手前にこれを握っておくと、手戻りを減らしやすいです。見積もりの段階で検収条件まで詰めてくる代行先かどうかは、経験値を見極める一つのポイントです。

もうひとつの落とし穴:「純オフショアだけ」では回りにくい場面がある
コストだけ見ると、海外オフショアに全部投げたくなります。でも、特に日本独自の図面・テンプレートへの対応や、頻繁な仕様調整がある案件では、純オフショアだけでは回りにくい場面があります。
日本の図面の読み方や、指定されたCAD・テンプレートを回せる体制、細かいニュアンスのすり合わせ。ここは国内の設計事務所的な機能とセットのほうが安定します。私たちは日本とベトナムをつないでやっていますが、まさにここが肝で、"安い海外"だけでも"高い国内"だけでもなく、国内で受けて意思疎通し、実制作はベトナムの生産力で、というハイブリッドが現実解だと感じています。
まとめ:外注は"腕"でなく"基準"で選ぶ
BIMで出せることを求められる案件や場面は、今後さらに増えていくと私は見ています。そのとき、モデリングをどこに任せるかは、モデラーの腕比べではなく、LOD・基準書・検収条件という"基準"を着手前に一緒に握れる相手かどうか、で選ぶのがいちばん外しにくい。
私たちも、図面を送っていただければ、範囲とLODの整理からご一緒して、無料でお見積りを出しています。外注の進め方をまとめた資料もあるので、「うちの場合はどうなる?」があれば、BIM制作のページ(https://onetech.jp/service/bim-production )から気軽にどうぞ。
今日も、目の前の一枚の図面を、次につながるデータに変えていきましょう。
WHAT A WONDERFUL DAY TODAY!
(出典)
・国土交通省 建築BIM推進会議「BIMによる建築確認の将来像」ほか=2026年4月にBIM図面審査(PDF図書が審査対象・IFCは参考)開始、2029年春にIFC+属性情報を用いる「BIMデータ審査」へ進む計画
・国土交通省 直轄土木で2023年度から(小規模なもの等を除き)BIM/CIMを原則適用
・ベトナム:2025年から公共投資・国有資本・PPP等の新規案件でクラスII以上が対象。その他資本の新規案件は2026年からクラスII以上でBIMファイル提出が対象
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ここから先は、記事本編とは別の、いつものお知らせです。
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私たちは、日本とベトナムをつないで建設・住環境のDXをやっていて、その縁で、日本企業がベトナムに出るための共同出展企画をご案内しています。
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▶ はじめての方へ|なぜ「熱と余白」なのか(自己紹介)
https://note.com/nkawam/n/n8c00e8f6d2bd
▶ このテーマをまとめて読む|現場を、データに変える ― Scan to BIM・点群
https://note.com/nkawam/m/md0b7563fe8e6
▶ 私たちの実例と、共創パートナー募集|図面がない現場から、iPhoneで
https://note.com/nkawam/n/n52cd688f7cce
▶ ほぼ毎日更新|3分でわかる ベトナム建設ニュース(マガジン)
https://note.com/nkawam/m/ma83f297fd0d1
