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帰省しない選択ができた


結婚してからずっと、夫の実家には私も毎回一緒に帰省してきた。


大学入学で上京した夫は、頻繁には帰省していなかったらしく、私と結婚前の数年は一度も帰省していなかったと言う。

結婚後、両親が待ってくれている事を理解して毎年夫婦揃って帰省するようになった。


夫の両親は嫁の私を気遣ってくれるし、優しくて良い人たちだ。
もちろんお互いに気は遣うので、帰省は疲れる。でも嫌という訳ではない。

そもそも帰省といっても、正月ともう一回帰る程度なので年に1〜2度のことであり、一緒に行くのが当然と思っていた。


過去に私が軽度のうつ病を患っていた時も一緒に帰省した。

夫の実家には私のうつ病の事を話さなかったのは、私が知って欲しくなかったからだった。

その時期は人と会うのがとても辛かったのに、帰省しないという選択はできないと信じていた。


10年程前、私の両親の介護が始まった。
当初は両親の介護度も低く、両親ふたり暮らしだった事もあり、心配なく夫の実家へ帰省していた。

数年前に父が亡くなり、母はひとり暮らしになった。
正月は多くの介護サービスがお休みになる為、母の安全確保をしてからでなければ、夫の実家に帰省できない感覚になった。

それでも帰省しないという選択ができない私。
正月に向けての準備は、母の介護の臨時サービスの確保をする事も必要になり、神経を配る事が多くなった。


そんな中、数年前から少しずつ私の考えに変化が出てきた。

夫の実家なのだから、夫だけで帰省する事があっても良いよね、と思うようになったのだ。

もちろん当然の事だ。
私の帰省を誰にも強要されていなかったのに、自分がどんな状況でも帰省すべきと頑なに考えていたのだと気付いた。





今年の5月頃、暑くなる前にそろそろ帰省の準備をしますかと思っていた。

以前は夏休みに帰省していたけれど、夫の実家で私達が寝泊まりする部屋にエアコンが無い為、ここ数年は5〜6月の暑くなる前に行く様にしている。

すると夫が「今年は1人で帰省してくるよ」と言った。

今年に入って私の母の体調が安定せず、急遽駆けつけなければならない事が増えてきていた。

夫なりに私を気遣ってくれたのだろう。
もっと早くそうしてくれて良かったよ、とも思ったり。まぁそれは良い。

夫の申し出が素直にありがたいと思ったので、
「じゃあ私はお母さんの心配もあるから今回は家にいさせてもらうね」
と、すんなり言えた。

嫁だから行くべきだという頑固な考えだった私が、毎回一緒に帰省しなくても良いのだと、やっと自分に許可ができたのだった。

たまには息子だけの方が夫の両親もリラックスできるだろう。





夫が帰省した日の夜、近所の花火大会があった。今年は少し早い開催だった。
我が家からは、人の家の屋根の隙間に小さく顔を出す花火が少しだけ観られる。

ひとりで観ても大して面白くもなく、ビールを呑みながら窓越しにぼんやりと眺めていた。

たまにはひとりの夜もいいのかなと思ってみたり、お義父さんもお義母さんも変わりないかな、なんて少しの罪悪感が湧いてきたりしながら過ごした。

また自分を責めているみたいだ。
相変わらず自分に厳しいなと気付く。


こうすべきを手放して、心の変化を少しずつ受け入れていこう。





今日のはなうた
『HANABI』
Mr.Children



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