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望月麗子シリーズ VS ホスト29

麗子は、ダンサーとして働き始めた。
ステージの上で、音楽に合わせて体を動かす。
視線が集まる。拍手が起きる。

「すごいじゃん、麗子!」

スタッフの声に、少しだけ誇らしそうに笑う。

一方その頃。

翔。

仕事の合間、つい店の外から様子を見に来てしまう。

ガラス越しに、ステージを見る。

(何やってんだ、俺)

自分にツッコミ。

たしかに二人で稼げば、貯金は早い。
将来の選択肢も増える。

でも。

胸の奥が落ち着かない。

麗子が笑っているのは嬉しい。
拍手をもらっているのも誇らしい。

それでも――

知らない男の視線が気になる。
近づく距離が気になる。
何かあったら、という想像が止まらない。

(これじゃ俺が持たねえ)

翔は気づく。

問題は「職業」そのものじゃない。

自分の不安の強さだ。

そこへ、ダンスを終えた麗子が出てくる。

「来てたの?」

少し笑う。

翔、正直に言う。

「うん。……偵察」

麗子、くすっと笑う。

「かわいいね」

でも、すぐに真面目な顔。

「不安なんでしょ?」

翔、うなずく。

「正直、かなり」

麗子は少し近づく。

「じゃあやめる?」

即答はしない。

翔は考える。

「……やめてほしい、って気持ちはある。でも、それであなたの可能性を奪うのは違う気もする」

ここ、大人。

麗子も言う。

「私もね、あなたの仕事を否定したいわけじゃないの」

二人は立ち止まる。

答えは“どっちが正しいか”じゃない。

「お互いが安心できる条件」を作れるかどうか。

例えば――
・ダンサーは続けるけど、深夜帯は避ける
・翔は偵察じゃなく、普通に応援で来る
・帰りは必ず一緒
・不安が出たら即共有

“監視”じゃなく“共有”。

翔は少し苦笑する。

「俺、過保護かもな」

麗子は首を振る。

「心配してくれる人がいるって、ありがたいよ」

翔、ふっと息を吐く。

「でも正直、俺が持たないなら、無理はしない」

それも強さ。

二人とも、極端に走らない。

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