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🎹 【小5予選編第5話】グランドピアノ襲来!?「魔法の箱」と消えゆく諭吉


​バッハの洗礼を耐え抜き、ドビュッシーの「色彩」をなんとか掴みかけた頃。

予選本番を占うリハーサル代わりの「ピティナ・ステップ」で、娘はアドバイザーの先生方全員から「Great(グレイト)」という評価をいただきました。

​「よし、このままの勢いで予選までラストスパートだ!」と親子で気合を入れ直した、その時です。

​先生から、衝撃の一言が飛び出しました。

​**「お母さん、そろそろ……グランドピアノの購入を検討してください」**

​「…………は?」

​グランドピアノ? 

唖然とする私をよそに、先生は「今後の上達に不可欠であること」を力説されます。しかし、うちはマンション住まい。物理的にあの黒い巨体を迎え入れるスペースなんてありません。床の補強?防音工事?……考えただけで白目を剥きそうです。

​結局、今回は購入は断念。

その代わり、先生から「予選までは週末、必ずグランドピアノで練習すること」という厳命が下りました。

​そこで始まったのが、週末の**「グランドピアノ・レンタルスタジオ缶詰作戦」**です。

​スタジオの大きなピアノの前に座った娘。その瞳は一瞬で輝き始めました。

「うわぁ……弾きやすい! トリルが全然転ばない!」

「音がすごく響いて、包まれてるみたい。気持ちいい……!」

​そして、娘は無邪気にこう言ったのです。

「お母さん、これ、欲しい!!」

​……でしょうね! あなた、弾くたびにどんどん上手くなっているもん!

横で聴いている私にも、残酷なほどに「音の違い」がわかってしまいました。

家のアップライトピアノでは決して出せなかったドビュッシーの鮮やかな色が、あの巨大な箱からは魔法のように溢れ出してくるのです。

​娘が魔法にかかったように上達していくのは、親として最高に嬉しい。


「魔法の箱が奏でる音色の裏で、今日も諭吉が旅立っていく——」

しかし、私の視線は娘の指先ではなく、壁の「料金表」に釘付けでした。

​1時間、1500円。それが1日中となれば……。

練習を終えて会計をするたび、私の財布からは福沢諭吉(現在は渋沢栄一ですが、当時は諭吉!)たちが、ヒラヒラと軽やかに、そして無慈悲に旅立っていきます。

​「さようなら諭吉……娘の表現力になって、立派に戻ってくるのよ……」

​週末ごとに上達する娘。それに比例して軽くなっていく私の財布。

もはや、我が家のピティナ挑戦は、娘の努力と、私の「スタジオ代への執念」の共同作業となっていました。

​諭吉たちの尊い犠牲(?)を無駄にはできない。

ピアノ歴2年、小5の夏。

厳格なバッハおじさんと、奔放すぎるドビュッシーおじさん。

性格の全く違う二人の巨匠を両脇に抱え、


莫大な「レンタル料」という名の燃料を積み込んで、私たちはついに審判の時——予選本番へと向かいます。


「ここまで来た。それだけで、もう誇り。」

★親子で迷いながら進む

ピティナC級への道。

次回も、どうぞ見守ってください🎹 

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