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「クレープパフォーマンス」

夕べ見た、1000字の夢日記


 ゴーストタウンと化した薄暗い街の交差点を曲がった道路脇にワインレッドのRV車が停めてあり、そこに四~五人が並んでいた。

「よかった、まだいる」
小走りでやってきた男は終電に間にあったサラリーマンのように喜ぶ。


評判の屋台というのは、これのことか。オレは列の一番うしろに並んだ。その屋台は、車後方のハッチバックドアを跳ね上げた状態で荷物置きスペースの狭い空間でクレープを焼いていた。


油の染みついたコンロと、その上には灰色に艶光りしている分厚い鉄板が置いてあり、クレープ屋の顔は、つば、のある黒い帽子を目深に被っていてよくわからない。


本当に、こんな狭い場所で作業ができるものなのかと注視していると鉄板に生地を垂らし、焼きはじめた。地黒の大きな手で二本のヘラを巧みに操り、次から次に焼き上げる。その見事な手さばきに思わず見入ってしまった。

 
さらに、客を楽しませるためか焼いている途中のクレープをヘラですくって宙に放り上げ、そのまま、お手玉みたいに、くるくると回転させはじめた。


路上芸人のパフォーマンスさながらの技に客の視線は釘付け。


そのうちにクレープが空中で少しずつ、くっつきだし、いつしか、童話【ちびくろサンボ】の、虎のバターのごとく一つに繋がった。さらに、その輪っか状のものを回し続けながら徐々に角度を変え、水平方向まで位置をずらすと、えいっ、という掛け声とともに強い回転を加えて車外に放りなげた。


<ブ~~~~~ン>


クレープは扇風機を思わせる音をたて、くるくる回りながら、まるで偵察に来たUFOのようにゆっくりと客たちの間をすり抜け、Uターンして、また屋台の作業スペースに戻ってきた。


クレープ屋は、ごく当然の顔をしてヘラでキャッチすると今度は鉄板に置いて適当な大きさに切りはじめた。


あたり一面には甘くて香ばしい、なんともいえない匂いが漂う。


「わお~、すげえなあ、噂どおりだ」
「こりゃあ、美味そうだ、早く食いたいよ」
感嘆の声が止まない。


背後を振りかえると、いつのまにか大勢の客が並んでいる。その表情はというと笑い顔や、おどけ顔、泣き顔、舌を出したり、睨みつけている顔まである。


皆、楽しみながら列に並んでいる様子で、ある者はカードゲームをしているし、ある者は、よほど空腹なのかカレーライスを食べているし、さらに一番うしろでは傘を使い曲芸をしている二人組までいる。


それにしても、この人たちはどこから来たのだろう…


Photo by SeñorA

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