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MOZU─早贄のように、心に刺さる公安ドラマ?

2014年。
日本のテレビドラマに、妙に「湿った火薬の匂い」が漂った作品があった。

それが、WOWOWとTBS共同制作のドラマ
MOZU
である。

主演は 西島秀俊。
脇を固めるのは、
香川照之、
真木よう子。

だが、この作品の魅力は、
単なる「豪華俳優陣」ではない。

むしろ、
“日本のドラマらしくない空気”
にあった。



「説明しない」ことの恐ろしさ

『MOZU』は、非常に不親切なドラマだ。

伏線を丁寧に回収しない。
親切に説明しない。
視聴者に優しくない。

だが、それがいい。

爆弾事件。
公安。
警察内部。
謎の暗殺者。
国家レベルの陰謀。

普通なら、
「黒幕は誰だ!」
へ向かう。

しかし『MOZU』は、
もっと不気味な方向へ進む。

「人間は、どこまで壊れるのか」

を描き始めるのだ。



“MOZU”とは何か

タイトルの「MOZU」は、
鳥の「モズ(百舌)」を意味する。

モズ

この鳥には、
有名な習性がある。

それが――

「早贄(はやにえ)」

である。

モズは、
捕まえた虫や小動物を、
木の枝やトゲに突き刺して保存する。

まるで“見せしめ”のように。

これを「早贄(はやにえ)」という。


作中でも、
この「早贄」は象徴的に使われる。

つまり『MOZU』とは、

人を壊し、
心を突き刺し、
それを静かに晒していく物語

なのだ。



日本ドラマなのに、“海外ドラマの孤独”

この作品を観ると、
どこか
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HOMELAND
の空気を感じる。

だが、
決定的に違う点がある。

海外ドラマは、
「国家を守る英雄」
を描く。

しかし『MOZU』は違う。

誰も救われない。

正義も壊れる。
組織も腐る。
愛した人も戻らない。

だから、
観終わったあと、
妙な疲労感だけが残る。

でも、
その“重さ”こそ、
『MOZU』の魅力だった。



香川照之が怖すぎる

そして忘れてはいけないのが、
香川照之演じる大杉良太。

あの、
「うるさくて、暑苦しくて、でも人間臭い」
刑事。

本来なら場を和ませるキャラなのに、
『MOZU』の世界では、
彼ですら狂気の側に立って見える瞬間がある。

このドラマは、
“普通の人”を、
少しずつ壊していく。

だから怖い。



2010年代日本ドラマの「異物」

いま見返すと、
『MOZU』は、
2010年代テレビドラマの中でもかなり異質だ。

* 暗い
* 重い
* 地味
* 救いが少ない
* 説明不足
* なのに妙に引き込まれる

SNS時代以前、
まだ「考察文化」が今ほど一般化していなかった頃に、
この温度感をやったのは凄かった。

あれは、
“テレビドラマ”というより、
「長編映画を分割して毎週流していた」
に近い。



最後に

『MOZU』は、
万人受けする作品ではない。

けれど、

* 静かな狂気
* 国家と個人
* 壊れた正義
* 孤独な男たち

そんなテーマが好きな人には、
今でも刺さる。

そして、
「早贄」のように、

観た人の心に、
妙な棘だけを残していく。



“The darkest places in hell are reserved for those who maintain their neutrality in times of moral crisis.”

― Dante Alighieri

(地獄の最も暗い場所は、道徳的危機の時に中立を保った者のために

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Peter.Outside of Japan. ありがとうございます

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