台東区根岸を中心に展開中!「根岸・子規のみち 俳句短冊プロジェクト」(随時更新)
根岸子規会(根岸の地図を読む会)は、2026年から「根岸・子規のみち 俳句短冊のある横丁プロジェクト」を開始しました。これは根岸を中心とした地域(台東区や荒川区)に正岡子規の俳句を掲示する活動です。
このプロジェクトは(公財)東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京の2026年度地域芸術文化活動活動応援助成に採択されました。地域有志や町会の協力を得て、施設や店舗、住宅の外壁などに提供していきます。
40句の俳句と、短冊の掲示場所をご紹介します!

子規を訪ねて多くの人々が歩いた根岸の道
まず、正岡子規と根岸のかかわりについて簡単にご紹介します。
明治25年1月、東京帝大国文科の学生だった子規は、本郷駒込から上野の山の北東にある根岸へ引っ越してきました。
近くには、寛永寺山主 輪王寺宮の休息所「御隠殿(ごいんでん)」の跡地があり、周辺の日暮里や三河島はまだ農村地帯。根岸は、都市と郊外、町と村の境界にあるエリアでした。
子規の最初の家は上根岸八十八番地。すぐ近くには生涯の庇護者となる陸羯南(くが・かつなん)が住んでいました。子規はこの年、大学を中退して故郷の松山から母と妹を呼び寄せます。そして羯南が経営する日本新聞社に入社。根岸の町で心機一転、新生活をスタートさせました。
2年後の明治27年には、最初の家から目と鼻の先の上根岸八十二番地に転居。今の子規庵のある場所です。
現在の鶯谷駅から子規庵に至るエリアはラブホテル街で、道がわかりにくいことで定評がありますが、明治の頃も根岸は路地が入りくんでいました。子規の家は鶯横丁(古くは狸横丁)と呼ばれる路地の一角にあり、旧加賀藩前田家の敷地内だったこともあって、初めて訪ねてくる人は迷ってしまうことも多かったそうです。
明治34年に発行された大槻文彦編著の地図「東京下谷根岸及近傍図』で、当時の根岸の道筋を確認することができます。

上根岸八十二番地の家は、子規の原稿執筆の場であり、仲間たちを集めて句会を催す場であり、雑誌『ホトトギス』の編集所でもありました。病のために家から動けない子規を訪ねて、漱石が、鷗外が、虚子が、碧梧桐が、短歌の伊藤左千夫が、洋画の浅井忠や中村不折が、のちに作家となる佐藤紅緑や物理学者となる寺田寅彦が、そのほかジャンルを超えた多くの人々が根岸へやってきました。明治35年9月に病没するまで、子規の後半生はここ根岸と共にありました。
「根岸・子規のみち」俳句短冊40句一覧
子規が残した膨大な俳句のなかには、根岸の地誌や情景を詠んだ句が多くあります。子規の目や感覚を通して、私たちは明治30年代の根岸に思いをはせることができます。
「根岸・子規のみち 俳句短冊のある横丁プロジェクト」は、これらの句を根岸の町のあちこちに掲示し、地域の文化資産としていきたいと思います。2026年度には第一弾として40句を掲示していきます。
短冊シートのデザインと制作は、地元・根岸二丁目のディスプレイ会社 株式会社空間堂さんにお願いしました。俳句の表記は松山市立子規記念博物館の俳句検索データベースに準拠させていただきました。

以下、短冊にした40句を五十音順に紹介します。根岸の町に掲示した俳句は、掲示場所を随時書き加えていきます。
■あ行で始まる俳句
青々と冬を根岸の一つ松 (明治27年)
青田に出でず御行の松を見て返る (明治30年)
掲示場所:台東区根岸3丁目12-48 「千手院」さんの掲示板
朝顏の戸に掛けて去る牛の乳 (明治30年)
掲示場所:台東区根岸2丁目21-15 間々田ビル1階
ディスプレイ会社「空間堂」さん
朝顔の這ひいでて咲きぬ塀の蔦 (明治27年)
掲示場所:台東区根岸3丁目12-15 「ヘアーサロン ミツル」さん
朝顔や我に寫生の心あり (明治35年)
掲示場所:台東区根岸2丁目14-18 お酒・おにぎり「ねぎし はつね」さん
朝寒や筑波を見んと立ち出る (明治27年)
掲示場所:台東区根岸4丁目1-4 「スール洋裁店」さん
板塀にそふて飛び行く蛍哉 (明治27年)
掲示場所:台東区根岸2丁目18-19 「台東根岸二郵便局」さん
板塀や梅の根岸の幾曲り (明治27年)
掲示場所:台東区根岸3丁目11-4 「円光寺」さんの掲示板
鶯や軽石さげて風呂戻り (明治27年)
掲示場所:台東区根岸2丁目14番地周辺 個人宅(銭湯「萩の湯」近く)
梅もたぬ根岸の家はなかりけり (明治26年)
掲示場所:台東区根岸3丁目8-3 「花ふじ」さん
■か行で始まる俳句
加賀様を大屋に持つて梅の花 (明治29年)
掲示場所:台東区根岸2丁目2-9 「ホテル ステラ」さん
汽車過ぐるあとを根岸の夜ぞ長き (明治29年)
掲示場所:台東区根岸3丁目8-6 「城北商事不動産部」さん
呉竹の奥に音あるあられ哉 (明治25年)
掲示場所:台東区根岸2丁目9-2 「オーブ喜多乃」さん
下駄洗ふ音無川や五月晴 (明治30年)
掲示場所:台東区根岸2丁目18-23 「カンフォート鶯谷」さん
この祭いつも卯の花くだしにて (明治35年)
掲示場所:台東区根岸1丁目7-11 「元三島神社」さんの掲示板
■さ行で始まる俳句
五月雨やけふも上野を見てくらす (明治25年)
掲示場所:台東区根岸1丁目9 「宮越ビル」さん(みずほ銀行ATMの壁面)
五月雨や上野の山も見あきたり (明治34年)
掲示場所:台東区根岸3丁目10-2 「ファミリーマート加藤根岸店」さん
十月の櫻咲くなり幼稚園 (明治27年)
掲示場所:台東区根岸3丁目9-7 「台東区立根岸幼稚園」さんの掲示板
新阪を下りて根岸の柳哉 (明治30年)
掲示場所:台東区根岸3丁目4-14 「要伝寺(要傳寺)」さん
↓要伝寺さんのウェブサイトで当プロジェクトをご紹介いただきました!
新田にたまさかあがる雲雀哉 (明治27年)
掲示場所:台東区根岸4丁目6-1 季節料理「さつき」さん
煎餅賣る根岸の家や福壽草 (明治33年)
掲示場所:台東区根岸3丁目13-1 「手児奈せんべい」さん
漱石が來て虚子が來て大三十日 (明治28年)
掲示場所:台東区根岸2丁目5-11 「子規庵」さん
■た行で始まる俳句
月の根岸闇の谷中や別れ道 (明治27年)
掲示場所:台東区根岸2丁目20-9 「防災用根岸職員住宅」さん
燕(つばくろ)や根岸の町の幾曲り (明治34年)
掲示場所:台東区根岸3丁目6-23-18 「鍵屋」さん
摘草や三寸程の天王寺 (明治26年)
掲示場所:台東区根岸2丁目21-12 「寺島ハイツ」さん
■な行で始まる俳句
菜の花の野末に低し天王寺(明治26年)
根岸にて梅なき宿と尋ね来よ (明治27年)
掲示場所:台東区根岸3丁目13番地周辺の個人宅
■は行で始まる俳句
葉鶏頭の苗養ふや絵師が家 (明治31年)
掲示場所:台東区根岸2丁目10-4 「台東区立書道博物館」さん
春の水音無川と申しけり (明治28年)
掲示場所:台東区根岸3丁目11番地周辺の個人宅
春の水根岸にそふてくねりけり (明治28年)
掲示場所:台東区根岸4丁目6-3 「海老屋 染工場」さん
百両の萬年青(おもと)引ぬくわらべ哉 (明治26年)
掲示場所:台東区根岸3丁目9-8 「台東区立根岸小学校」さん
冬枯の根岸を訪ふや繪師が家 (明治31年)
掲示場所:台東区根岸3丁目12番地周辺の個人宅
ふらりふらり根岸を出れば青田哉 (明治29年)
掲示場所:台東区根岸4丁目5-15 「間宮クリーニング店」さん
■ま行で始まる俳句
松一木根岸の秋の姿かな (明治27年)
掲示場所:台東区根岸3丁目13-6 「立忠製印所」さん
武蔵野の一隅かすむつく波哉 (明治26年)
掲示場所:台東区根岸2丁目1-2 絵画買取・販売の「シバヤマ」さん
名物や月の根岸の串團子 (明治31年)
掲示場所:荒川区東日暮里5丁目54-3 「羽二重団子 本店」さん
門前に児待つ母や山桜(明治28年)
掲示場所:台東区根岸3丁目9-8 「台東区立根岸小学校」さん
■や行で始まる俳句
柳散り菜屑流るゝ小川哉 (明治27年)
根岸3丁目に掲示しましたが、風雨の影響で2度も剥がれてしまったため、回収しました。再掲示場所を検討しています。
やゝ寒み文彦先生髯まだら (明治31年)
横町の又横町や梅の花 (明治28年)
掲示場所:台東区根岸3丁目12-49 「アルソアたくみ」さん
以上40句の短冊を、2026年7月から掲示していきます。鶯谷・根岸にお立ち寄りの機会がありましたら、ぜひ見つけてみてください。なお、個人宅に掲示している場合、お住まいの外観やお名前がわかるような撮影・投稿はご遠慮ください。
また、これらの俳句に詠まれた根岸のキーワードについては、今後noteで解説していく予定です。


社員さん自ら貼ってくださいました。

根岸や東日暮里地域を氏子とする元三島神社にも掲示させていただきました
