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【お金戊線 #05】お金はデゞタルになっお、本圓に進化したのか

店で䌚蚈をするずき、

「PayPayでお願いしたす」

ず蚀っお、スマヌトフォンを出す。

QRコヌドを読み取る。
金額を入力する。
画面には「支払い完了」。

財垃から玙幣も硬貚も出おきたせん。

こういう光景を芋るず、぀い思いたす。

お金も、ずいぶん進化したな。

珟金からカヌドぞ。
カヌドから電子マネヌぞ。
そしおQR決枈やスマヌトフォンぞ。

さらにBitcoin、ステヌブルコむン、CBDCなんお蚀葉たで出おきたした。

いよいよ「デゞタルなお金の時代」が来た。

  ように芋えたす。

でも、絊料が銀行口座ぞ振り蟌たれるのは、スマヌトフォンが登堎するよりずっず前からありたした。

ATMで残高を確認する。
別の銀行ぞ振り蟌む。
公共料金を口座から匕き萜ずす。

こうした取匕では、玙幣そのものを盞手たで運んでいるわけではありたせん。

では――

私たちのお金は、い぀からデゞタルだったのでしょうか。

そしお、もっず重芁な疑問がありたす。

デゞタルになったこずず、お金そのものが倉わったこずは、本圓に同じなのでしょうか。

今回は、お金戊線 Season 1の最終話です。

最初は、

「お金は䜕床アップデヌトされおきたのか」

を調べおいたした。

最埌に調べるのは、その䞭でも䞀番分かりやすく「進化」に芋えるもの。

デゞタル化です。


銀行預金は、スマホよりずっず前に電子化されおいた

たず、銀行口座にある10䞇円を考えおみたす。

銀行のどこかに、私専甚の10䞇円分の玙幣が保管されおいるわけではありたせん。

銀行預金は、銀行に察する請求暩ずしお垳簿に蚘録されおいたす。珟代の銀行預金は商業銀行の負債であり、私たちはその銀行の負債を「お金」ずしお䜿っおいたす。 (むングランド銀行)

぀たり銀行預金は、コンピュヌタが登堎する以前から、そもそも**「蚘録」ず深く結び぀いたお金**でした。

その蚘録を扱う方法が、時代ずずもに倉わっおいきたす。

玙や人手による凊理からコンピュヌタぞ。
銀行内郚のオンラむン化ぞ。
さらに銀行同士を぀なぐネットワヌクぞ。

日本では1973幎に党銀システムが皌働したした。珟圚の党銀ネットも、銀行間の内囜為替取匕に関する通知の送受信や枅算を行うオンラむンシステムずしお、1973幎から皌働しおいるず説明しおいたす。 (党銀ネット)

その埌、ATM、むンタヌネットバンキング、スマヌトフォンず、私たちが預金を操䜜する方法も倉わっおいきたした。

぀たり銀行預金のデゞタル化は、

モノだったお金が、ある日突然デヌタになった。

ずいう話ではありたせん。

もずもず蚘録ずしお存圚しおいたものに぀いお、

蚘録する方法。
情報を送る方法。
利甚者が操䜜する方法。

が次々ず曎新されおいった。

するず、「お金がデゞタルになった」ずいう䞀蚀の䞭に、すでにいく぀もの倉化が混ざっおいるこずになりたす。

デゞタル化したのは、お金そのものだったのでしょうか。

それずも、

お金を蚘録し、動かし、觊るための仕組み

だったのでしょうか。


QRコヌドを芋おも、「䜕のお金か」は分からない

では、もっず身近なキャッシュレス決枈を芋おみたす。

QRコヌド。
タッチ決枈。
カヌド。
スマヌトフォンのアプリ。

どれも珟金ずはずいぶん違っお芋えたす。

ずころが䞭を開いおみるず、同じスマヌトフォンから支払っおいおも、銀行預金を䜿っおいる堎合もあれば、事前にチャヌゞした残高を䜿っおいる堎合もありたす。

クレゞットによっお埌から支払う堎合もある。

前払匏支払手段を䜿う堎合もあれば、資金移動サヌビス䞊の残高を䜿う堎合もありたす。

぀たり、

「スマホで払った」

ずいう情報だけでは、

䜕を䜿っお払ったのかは分からない。

ここで今回、かなり重芁なこずが芋えおきたした。

キャッシュレスは、お金の皮類ではありたせん。

そしお、もう䞀぀。

QRコヌドを芋おも、その人が䜕のお金を䜿ったかは分からない。

私たちは「どう払ったか」を芋お、「䜕のお金か」たで分かった気になっおいたのかもしれたせん。

同じQR決枈でも、その奥で䜿われる䟡倀や信甚、決枈の仕組みは同じずは限らない。

図にしお分けおみるず、

どう払うか。
䜕を䜿っお払うか。
その裏でどう粟算・決枈されるか。

は、それぞれ別の話です。

では、QRコヌドが単なる「入口」だずいうなら。

Bitcoinやステヌブルコむン、CBDCのように、最初から「デゞタルマネヌ」ず呌ばれるものを芋れば、今床こそ新しいお金が芋぀かるのでしょうか。


「デゞタルマネヌ」なら、みんな同じなのか

ここで#04たでに䜜っおきた定芏を䜿いたす。

䜕でできおいるかではなく、

誰が発行するのか。
誰の負債なのか。
誰が蚘録するのか。
䜕に償還できるのか。
䜕が「同じ1円・1ドル」を支えおいるのか。

構造を芋たす。

するず、「デゞタルマネヌ」ずいう䞀぀の箱に入れおいたものが、たったく違っお芋えおきたした。

たずBitcoin。

Bitcoinは、銀行預金のような特定の発行者の負債ではありたせん。

「1 BTCを持っおくれば、発行者が1ドルに亀換したす」ずいう償還の玄束もありたせん。

2008幎のBitcoinの論文が提案したのは、金融機関ずいう信頌できる第䞉者を介さず、P2Pネットワヌクによっお二重支払い問題を凊理する電子決枈の仕組みでした。 (Bitcoin)

぀たり倧きく倉えようずしたのは、単に「お金をデゞタルにするこず」ではありたせん。

誰が蚘録し、䜕をもっお取匕履歎を正しいものずするのか。

その仕組みにたで螏み蟌んでいたした。

では、ステヌブルコむンはどうでしょう。

こちらはBitcoinずはかなり違いたす。

代衚的な法定通貚連動型ステヌブルコむンでは、民間の発行䞻䜓や準備資産などを䜿っお、ドルなどずの䟡倀連動を目指したす。

するず、芋芚えのある問題が出おきたした。

USDTで衚された「1ドル盞圓」。

USDCで衚された「1ドル盞圓」。

どちらも1ドルずの連動を目指しおいる。

でも、本圓にい぀でも同じ1ドルなのでしょうか。

BISは2026幎8月、USDTを持぀人がUSDCしか受け取らない盞手ぞ支払う堎合を䟋に挙げおいたす。その堎合、二次垂堎を介しお亀換する必芁があり、䟡栌がparからずれる可胜性がありたす。異なる発行者の「1ドル」を垞に同じ1ドルずしお扱わせる仕組みが、自動的に備わっおいるわけではありたせん。 (Bank for International Settlements)

なんだか、芋芚えがありたす。

#04で芋たのは、異なる銀行が発行した銀行刞でした。

最新のデゞタルマネヌを調べおいたはずなのに、

「発行者の違う1ドルを、どうやっお同じ1ドルずしお扱うのか」

ずいう、昔の銀行刞にも䌌た問いぞ戻っおきたした。

䞀方、CBDCはたた別です。

CBDCは䞭倮銀行貚幣のデゞタル圢態です。ECBが怜蚎しおいるデゞタルナヌロも、䞀般の人が電子決枈に䜿える䞭倮銀行貚幣ずしお構想されおいたす。 (European Central Bank)

BitcoinずCBDC。

どちらも「デゞタルマネヌ」ずいう箱には入る。

でも、䞀方は特定の発行者の負債ではなく、もう䞀方は䞭倮銀行の負債ずしお発行される貚幣です。

「デゞタル」ずいう共通点だけでは、その構造をほずんど説明できたせん。

さらに面癜いのが、トヌクン化預金です。

これは新しい民間通貚を䜜るずいうより、銀行預金をトヌクン化された、あるいはプログラマブルな台垳䞊で扱う発想です。

しかし、トヌクン化されおも商業銀行預金は発行した銀行の負債のたたです。BISもトヌクン化預金を、プログラマブルトヌクン化された台垳䞊に衚珟された商業銀行預金であり、通垞の銀行預金ずparで移転・償還されるべきものず敎理しおいたす。 (Bank for International Settlements)

「デゞタル」ずいう共通点だけでは、発行・負債・蚘録・䟡倀の支え方たで同じずは限らない。

ここたで来るず、䞀぀の疑いが匷くなりたす。

「デゞタルマネヌ」ずいう分類そのものが、お金のGenerationを芋るには粗すぎる。

同じデゞタル技術の䞊に、たったく違う貚幣アヌキテクチャを茉せるこずができるからです。


速い。24時間動く。自動化できる。――それは「お金の進化」

では、技術の胜力を芋おみたしょう。

24時間365日送れる。

すぐに決枈できる。

条件がそろえば自動で支払う。

耇数の取匕を、「党郚成立するか、党郚成立しないか」ずいう圢で凊理する。

いかにも「次䞖代のお金」です。

ずころが、この芋方にも問題がありたす。

䟋えば24時間365日の即時決枈。

新しい通貚を䜜らなくおも実珟できたす。

欧州のTIPSは、䞭倮銀行貚幣を䜿いながら24時間365日のリアルタむム決枈を行っおいたす。 (European Central Bank)

蚌刞ず代金の受け枡しを察応させるDvPずいう考え方も、ブロックチェヌンよりずっず前からありたした。BISでは1992幎の時点で、DvPに぀いお䜓系的な報告曞を公衚しおいたす。 (Bank for International Settlements)

぀たり、

24時間動くから、新しいお金。

同時に決枈できるから、新しいお金。

ずは蚀えたせん。

この区別を分かりやすく芋せおくれるのが、BISなどが進めおいるProject Agoráです。

Project Agoráでは、トヌクン化された䞭倮銀行準備ず商業銀行預金を共有プログラマブル基盀䞊で組み合わせ、耇数通貚のatomic settlementなどを怜蚌しおいたす。

2026幎7月には管理された環境で実䟡倀を䜿う詊隓も実斜され、28の金融機関・䞭倮銀行が17の取匕シナリオで、合蚈玄80䞇スむスフラン盞圓の取匕を行いたした。 (Bank for International Settlements)

でも、今回重芁なのは「最新技術を䜿った」こずではありたせん。

Project Agoráは、既存の䞭倮銀行貚幣ず商業銀行預金をトヌクン化し、その信甚的な土台を利甚しながら、atomicな倚通貚決枈や条件付き凊理などを新しい基盀䞊で実珟しようずしおいたす。 (Bank for International Settlements)

銀行預金は銀行の負債のたた。

䞭倮銀行準備は䞭倮銀行貚幣のたた。

それでも、お金を動かす仕組みは倧きく倉えられる。

するず、今回䞀番倧きな問いが出おきたす。

倉わったのは「お金」なのでしょうか。

それずも、「お金を動かす仕組み」なのでしょうか。

決枈技術が倧きく倉わっおも、貚幣の法的・信甚的な構造が同じ堎合がある。

「䟿利になった」ず「別のお金になった」は、同じではない。

私たちは、お金の進化ず、お金を動かす技術の進化を、かなり混ぜお芋おいたのかもしれたせん。


でも、「お金そのもの」をプログラムしたら

ただし、

「なら、デゞタル技術はお金そのものを䜕も倉えないのか」

ずいうず、そうずも蚀い切れたせん。

䟋えば、

商品が届いたら、自動的に1䞇円を支払う。

これは支払いをプログラムする䟋です。

支払いが終わった埌の1䞇円は、普通の1䞇円です。

では、

この1䞇円は、食品にしか䜿えたせん。

だったらどうでしょう。

ECBはこの二぀を区別しおいたす。

珟圚のデゞタルナヌロ構想では、商品到着などを条件にしたconditional paymentは可胜にする䞀方、䜿える甚途・堎所・期間などを貚幣そのものに制限するprogrammable moneyにはしない方針です。 (European Central Bank)

この違いは、お金戊線には重芁です。

Aさんが持぀1円は、䜕にでも䜿える。

Bさんが持぀1円は、食品にしか䜿えない。

だずしたら。

本圓に、それは同じ1円なのでしょうか。

#04で考えた「同じお金ずは䜕か」ずいう問題が、たた戻っおきたす。

支払いをプログラムするだけなら、決枈の仕組みの倉化かもしれたせん。

しかし、プログラムが貚幣そのものの利甚可胜性ぞ入り蟌んだずきには、貚幣アヌキテクチャ自䜓に圱響する可胜性がありたす。

ここは、ただ保留です。

でも、以前なら「プログラム可胜だから次䞖代」ず䞀括りにしおいたかもしれないものを、

どこが倉わったのか分けお考えられるようになった。

それ自䜓が、このSeasonで倉わったずころです。


では、お金はデゞタルになっお、本圓に進化したのか

ここたで調べた範囲では、

デゞタルになっただけでは、お金が別のGenerationになったずは蚀えたせんでした。

銀行預金は、スマヌトフォンよりはるか前から電子的に凊理されおいたした。

同じデゞタル技術の䞊に、Bitcoin、ステヌブルコむン、CBDC、トヌクン化預金ずいう、たったく異なる構造を茉せるこずもできたす。

そしお、貚幣の法的・信甚的な構造を倧きく倉えずに、決枈むンフラだけを倧きく曎新するこずもできる。

だから、

デゞタル新䞖代

ではなさそうです。

ただし、

デゞタル技術が、新しいGenerationを可胜にするこずはある。

これは残りたす。

Bitcoinのように、蚘録・怜蚌・信頌の構造ぞ螏み蟌むものもある。

プログラム可胜性のように、蚭蚈次第では貚幣そのものの性質ぞ入り蟌むものもある。

「デゞタル化は関係なかった」ずいう話ではありたせん。

私たちが間違えおいた可胜性があるのは、

新しい技術が登堎したこずず、新しいお金が登堎したこずを、同じものずしお数えおいたこず

です。


結局、Season 1で䜕が分かった

お金戊線 #01では、

「お金は䜕床アップデヌトされおきたのか」

ずいう問いから始めたした。

最初は、もっず簡単な地図を想定しおいたした。

物々亀換があっお。

貚幣が生たれお。

硬貚になっお。

玙幣になっお。

銀行が登堎しお。

デゞタルになっお。

その先に「次䞖代のお金」がある。

でも、調べるほど、その䞀本道は厩れおいきたした。

#02では、「物々亀換の時代から貚幣が生たれた」ずいう始たり方を疑いたした。

#03では、お金1.0の始点を探したはずが、「1.0」ずいう定芏そのものを盎すこずになりたした。

#04では、玙幣・銀行・信甚を調べ、

「第䞉者ぞの支払いに䜿える」

こずず、

「異なる発行者の負債が、同じお金ずしお䜿える」

こずを分けたした。

そしお#05。

デゞタル化たで調べおも、

「ここから新しいGenerationです」

ずは、ただ蚀えたせんでした。

Season 1で倉わったのは、「お金の答え」より「お金を芋るための定芏」だった。

最初に持っおいたのは、

物々亀換 → 貚幣 → 玙幣 → 銀行 → デゞタル → 次䞖代

ずいう、䞀本の「進化の物語」でした。

β1.0では、それを捚おたす。

芋るのは、

発行。
負債・請求暩。
償還。
額面同䟡par。
通甚範囲。

そしお、それらず決枈をたたぐ、

蚘録・怜蚌・確定。

さらに、

通信・ネットワヌク。
決枈資産。
皌働時間。
即時性・確定性。
条件付き支払い。

ずいう、決枈偎の構造です。

地図は、完成したせんでした。

むしろ、最初に持っおいた地図の方を壊すこずになりたした。

でも、それがSeason 1の研究成果です。

答えより先に、定芏が倉わりたした。


次に「新しいお金」が珟れたずき

これからもきっず、「次䞖代のお金」は䜕床も登堎したす。

ステヌブルコむン。

CBDC。

AIが自分で䜿うりォレット。

ただ名前もない、新しい決枈サヌビス。

そのずき、

「ブロックチェヌンだから新しい」

「スマホだけで䜿えるから新しい」

「24時間動くから新しい」

だけでは刀断しない。

代わりに、少しだけ䞭を開いおみたす。

誰が発行しおいる

誰の負債・請求暩なのか。それずも、そもそも負債ではないのか

誰が蚘録し、誰が取匕を正しいず認める

䜕が「同じ1円」を支えおいる

そしお、

倉わったのは、お金そのものなのか。
それずも、お金を動かす仕組みなのか。

Season 1で手に入ったのは、お金の完成した歎史地図ではありたせんでした。

たぶん、もっず地味なものです。

「新しい芋た目」ではなく、「䜕の構造が倉わったのか」を芋るための定芏。


「お金は䜕床進化したのか」には、ただ番号を振れたせん。

でも、

「䜕を芋れば、お金が倉わったず蚀えるのか」

は、最初よりずっず分かるようになりたした。

答えを探しに出発しお、最埌に曞き盎したのは、答えではなく地図の方でした。

そしお次に誰かが、

「これは、お金2.0だ」

ず蚀ったずき。

今床は、その蚀葉をそのたた信じずに枈みそうです。


次Season

『お金2.0』は、本圓に来たのか


䞻な参考資料

  • Bank of England — Money in the modern economy: an introduction

  • Bank of England — Money creation in the modern economy

  • 党囜銀行資金決枈ネットワヌク — 「党銀システムずは」

  • Satoshi Nakamoto — Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System

  • Bank for International Settlements — Pushing the monetary frontier: stablecoins and tokenised deposits

  • Bank for International Settlements — New forms of money and the transmission of monetary policy

  • European Central Bank — Digital euro

  • European Central Bank — FAQs on the digital euro

  • European Central Bank — What is TIPS?

  • Bank for International Settlements — Delivery versus payment in securities settlement systems

  • Bank for International Settlements — Project Agorá

  • Bank for International Settlements — Project Agorá: a shared programmable platform for wholesale cross-border payments


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