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10円玉は10円より価値が高い!?


高騰する銅相場

近年、銅の相場が高い水準で推移しています。
過去と比較すると、その高騰ぶりがよく分かります。

国内銅建値の月平均
2016年6月:534.0円/kg (10年前)
2023年6月:1,240.0円/kg(3年前)
2026年6月:2,273.5円/kg(現在)

3年間で2倍弱、10年間では4倍以上驚異的と言える上昇率です。

銅は、電線や電子機器、自動車、再生可能エネルギー設備など、さまざまな場所で使われています。
最近ではAI、データセンターの電力需要の増加や設備投資に関わる需要増が見込まれており、資源としての価値がどんどん高まっています。

反面、供給地は限定的で、それぞれの鉱山におけるトラブルの影響を受けやすく、不安定さを抱えています。
また、銅鉱山の稼働には多くの許認可やリソースが必要なため、すぐに鉱山を増やして増産するというわけにもいかない事情があります。

こうした需要の伸びや供給面の制約が意識されることも、現在の銅価格を押し上げる要因のひとつと考えられます。

10円玉の材料は、10円で買えるのか?

ここで、ふと、普段の仕事とは全く関係ない疑問が生まれました。

「10円玉は、昔から大きく姿を変えていないように見える」

「銅の価格は当時と比べて大きく上昇しているよな」

「銅屋が触った感覚では、材料だけで10円より高いような気がする」

ということで、調べてみました。

10円玉の成分

現在発行されている10円玉は青銅でできていて、組成は次のように公表されています。(日本銀行のHPより)

  • 銅:95%

  • 亜鉛:3〜4%

  • 錫:1〜2%

  • 重さ:4.5g

では、この4.5gの青銅に含まれる金属は、いくらになるのでしょうか。

6月の地金価格で計算してみる

今回は、2026年6月の月平均価格を使って計算してみました。

  • 銅:2,273.5円/kg

  • 亜鉛:633.6円/kg

  • 錫:10,300円/kg

10円玉は、亜鉛と錫の割合に幅があります。

そこで、公式に示されている範囲の両端で計算します。

想定組成10円玉1枚あたりの理論金属価値
(下限)
銅95%(約9.72円)
+亜鉛4%(約0.11円)
+錫1%(約0.46円)
=約10.30円

(上限)
銅95%(約9.72円)
+亜鉛3%(約0.09円)
+錫2%(約0.93円)
=約10.73円

なんと、公開されている地金価格をもとに単純計算すると、10円玉1枚に含まれる金属の理論価値は、すでに10円を少し上回る結果になりました。

もちろん、これは造幣局の実際の材料調達価格ではありません。

あくまで、公開されている地金価格を使った試算です。

それでも、普段何気なく使っている10円玉の中に、単純な試算とはいえ額面を超える金属が入っていると考えると、少し不思議な気分になります。

銅屋としては、悩ましい話です

銅の価格が上がることは、銅を扱う会社にとって喜ばしい話ではありません。

材料費は上がり、製品価格への反映在庫の持ち方など、考えることも増えます。

一方で、銅が社会に必要とされているからこそ価格が上がっているわけなので、そのような素材に関われていること自体を誇りに思っています。

10円玉という小さな硬貨を見ているだけで、銅の価値や、金属を使う社会の変化まで想像してしまう・・・銅屋の性でしょうかね。


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