近現代文学の日英翻訳(5)「朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、「あ」 と幽かな叫び声をおあげになった。」
(↑のつづきです)
太宰治の『斜陽』(The Setting Sun)の出だしです。
以下、訳文(サイデンステッカー訳)です。
Mother uttered a faint cry. She was eating soup in the dining-room.
「お母さまが、「あ」と幽(かす)かな叫び声をおあげになった。」は、Mother uttered a faint cry. となっています。
「かすかな叫び声」はa faint cryです。
「スウプを一さじ、すっと吸って」は、eating soup です。
英語では、soupはeatします。
soupには、かたちがないので、複数形になりません。
「あ」といった間投詞や、「すっと」といったオノマトペは、訳されていません。
というよりも、訳しようがないのです。訳すと、英語になりません。
食べることと叫ぶことの順序は逆になっており、「朝」も訳されていません。でも、
Mother was eating soup in the dining-room in the morning. She uttered a faint cry.
などと訳されていたら、かなり間抜けな感じがしますね。
私などが訳すと、ほぼ間違いなくこうなってしまいますが。
このあと、その続きについても、みてみます。
☆☆☆
☆☆☆
「ことさきく|成瀬由紀雄の日英文章・翻訳教室」では、このほかにも日本と日本人、英語・日本語・翻訳その他に関するコンテンツを数多くアップしてあります。総数は1000本を超えています。
いくつものマガジンを設定していますのでぜひチェックしてみてください。
