【🎨展覧会レポ】中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館「遊び心の彫刻展」「中原悌二郎と中原賞の作家たち」
【#319、約3,700文字、写真約35枚】
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館(以下、彫刻美術館)に初めて行き「遊び心の彫刻展」「中原悌二郎と中原賞の作家たち」を鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
※ 企画展の会期はすでに終了しています。
▶︎ 結論
旭川旅行の際、アートが好きな人は旅先の候補にしてもいいかな、と思いました。それは主に、1)旭川唯一の重要文化財に指定された建物、2)中原悌二郎をはじめ、有名な彫刻、現代的な彫刻も楽しめるためです。ただし、アクセスが悪いことに加え、作品の写真は一律にSNS公開禁止となっているため、万人向きではないと思いました。
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★☆☆☆☆
展覧会名:①遊び心の彫刻展、②中原悌二郎と中原賞の作家たち
場所:中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館
会期:①令和7年7月5日(土曜日)~令和7年9月7日(日曜日)、②なし
休館日:月曜日(8月は無休)
開館時間:午前9時~午後5時
住所:北海道旭川市春光5条7丁目
アクセス:旭川駅からバス停「春光園前」へ約25分、そこから徒歩約1分
事前予約:不要
所要時間:約1時間
撮影:すべて可能(SNSへの投稿はすべて不可)
巡回:ー
URL:①こちら、②こちら
▶︎ アクセス

彫刻美術館は、旭川駅からバス停「春光園前」へ約25分、そこから徒歩約1分です。バスでの行き方は、Googleマップなどを頼るのがオススメです。


▶︎ 中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館とは

✔️ 中原悌二郎って誰?

長い美術館名の最初に付いている「中原悌二郎」を、私は存じ上げませんでした。
中原悌二郎は釧路市生まれで、現存する作品は12点しかありません。彼は、美術雑誌でロダン《考える人》の写真に偶然出会い、その力強さに強い憧れを抱きました。荻原守衛(ロダンの弟子)のアトリエも訪れ、絵描きから彫刻家に転向。栄養不足で肺を患い、旭川で療養するも、32歳(1921年)で亡くなりました。
作品には、モデルとなった人物の性格や内面性まで表わすような存在感があるため、中原悌二郎の作品は「生命の彫刻」と呼ばれたそうです。
一時、中原悌二郎の存在は忘れられましたが、平櫛田中や加藤顕清(ともに彫刻家)らによって、7つの作品が旭川市の図書館などに設置されました。また、神奈川県立近代美術館に務めていた匠秀夫(中原悌二郎と同じ札幌南高校出身)が『中原悌二郎・その生涯と芸術』を著したことで、全国に名前が知られました。
✔️ 建物に歴史あり

彫刻美術館の建物はもともと「旭川偕行社」でした。旧陸軍第7師団が旭川に設置された時、将校たちが親睦を深める場として、1902年に建設されました。「偕行社」とは、偕に、戦いに行こう!という意味です(ちょっと怖い😨)。1989年、旭川市で唯一の重要文化財に指定されました。


その後、何やかんやあって、1994年に中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館として開館。コレクション数は、335点(+野外作品72点)(2024年末)。

漫画『ゴールデンカムイ』にも彫刻美術館が登場しています。そのため、彫刻美術館には、聖地巡礼として訪れる人も多いようです。




彫刻美術館の前には、春光園があります。また、横にある井上靖記念館は、共通券(600円)で入場できます。




なお、AIたちに「漢字のみの美術館で、文字数が多い順のランキング」を尋ねたところ、彫刻美術館が1位でした!
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館(15字)
島根県立古代出雲歴史博物館(13字)
山口県立萩美術館浦上記念館(13字)
北海道立三岸好太郎美術館(12字)
茨城県天心記念五浦美術館(12字)
すごいというより、文字数が多すぎるのは、ネーミングセンスがないと言えるかもしれません…😅
◾️ 撮影は可能、SNS投稿は禁止

館内では、スナップ撮影は可能。しかし、SNS投稿は禁止でした😨
▶︎ 企画展(1階)

彫刻家たちの造形意欲が生み出した、ユーモアにあふれる表現、常識にとらわれない柔軟な発想、そして時に込められた皮肉や対象への愛情など(略)作家たちの「遊び心」が感じられる作品をご紹介いたします。(略)「彫刻は難しい」というイメージから離れ、作品のかたちを楽しみ、ユーモラスな表現に出会い、そして作家の思いを想像するなど、さまざまな楽しみ方でぜひご覧ください。
会場内には作品数は少ないものの、意外と粒揃いでした。中には、青木野枝の作品もありました。

所蔵作品の展示の後に「彫刻素材に触ってみようコーナー」があり、子どもも楽しめる構成になっていました。


「彫刻」と一言で言っても、ツルツルのブロンズだけではなく、木造などもあります。大きさ、重さなども含め、様々なバリエーションがあると、新しい気づきがありました。
このような取り組みは、神奈川県立近代美術館を思い出しました。私の子どものように「美術館では触れないから面白くない!」というニーズにはぴったりです。


▶︎ 常設展(2階)

中原悌二郎の作品12点のほか、悌二郎に大きな影響を与えたロダンや荻原守衛らの作品を展示しています。(略)〈中原悌二郎賞〉受賞者の作品など、近代彫刻のブロンズ作品から色々な素材による現代彫刻作品まで、多様な所蔵作品をご覧いただくことができます。
【彬子女王殿下のご視察】
— 中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館 (@Asa_Mus_Scu) June 5, 2025
5月30日(金)、彬子女王殿下に当館をご視察いただきました。
「若きカフカス人」をはじめとした中原悌二郎作品や、舟越保武の「原の城」、青木野枝の「原形質/2014」、小泉俊己の「水脈(図法-1)」など中原悌二郎賞受賞者の作品をご鑑賞いただきました。 pic.twitter.com/flMLjFGm8F
中原悌二郎賞の受賞作品は、現代的かつ抽象的。とても大きな作品もあって、面白い空間になっていました。中には動く作品もありました。
私は、青木野枝の巨大な作品(上記X掲載、4つ目の作品)が印象に残りました。青木野枝なのに、輪っかではない!しかも白い!素材は鉄に加えて、ウレタンと石膏!

ここでは「彫刻」と言っても、人間をかたどっただけではない、現代アートのような面白さがありました。この感覚は、初めて菊池寛実記念 智美術館に行った時の感動に少し似ていました。

彫刻美術館の所蔵作品として、中原悌二郎の12作品がズラッと展示されていました。ロダン的なタッチで、悲壮感を感じる胸像が多かったです。特に《乞食老人像》は印象的でした。そのほか、舟越保武、舟越桂、荻原守衛、ロダン、佐藤忠良など、定番的な彫刻も多く設置されていました。
特別にビビッときた作品はなかったですが、彫刻界隈に中原悌二郎あり!と知ることができて良かったです。

◾️ ステキな施設だけど。

館内の建築からは、手すりなど木造の温かさが伝わりました。歩くたびにギシギシと鳴ることも楽しいし、趣も感じました。真っ白ではない、微妙な乳白色な壁には優しさもありました。
特に、2階の展示室は、壁や天井が白いことで、彫刻作品が一際美しく見え、空間全体とマッチしていると思いました。

ただし彫刻美術館は、アクセスが良くないです。当時、来館者は私のみでした。それに加え、PRに対する考えが若干浅いと感じました。例えば、すべての作品がSNSにアップ禁止は違和感がありました(その注意書きは2階ではなく、1階の入り口の目立つ場所に置くべき)。
2022年4月からツイッター(現在のX)を開始し、投稿数は少ないものの、情報発信に努めています。しかし、来館者によるSNSへの作品公開も、思い切って解禁すべきです。
美術館は、SNSアップ禁止の理由を「著作権等の関係」と記載しています。しかし、中原悌二郎の作品は死後70年以上たっているため、著作権の保護期間を過ぎています。一律に禁止するのは怠慢、思考停止だと思いました。
中原悌二郎記念であれば、12点しかない中原悌二郎の作品は撮影可能にすべきです。また、所蔵作品数が335点と多くないため、著作権者の許可どりも少しずつなら可能ではないでしょうか。
作品のSNS公開をできるものから許可して情報拡散に努めた方が、客数の増加、旭川市への貢献になると思います。
私はすべての美術館が撮影可能にすべき!とは思いません。ただ、良い作品があるにもかかわらず、集客のための工夫が不足している状態は、誰にとっても不幸です。税金を使って美術館商売をする以上、効果を最大化することを拳拳服膺してほしいです。

▶︎ まとめ

中野美術館(奈良)でも見ました
いかがだったでしょうか?アートに興味が強い人は来てもいいかな、と思う美術館でした。歴史的な建物をリノベーションした館内と、それにマッチする質の高い彫刻を見られて楽しかったです。入館料も安いです。しかし、写真のSNS投稿禁止、アクセスの悪さから、旭川旅行に来た人はマストではないかな、と感じました。

▶︎ 今日の美術館飯

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