【🎨展覧会レポ】ヤオコー川越美術館「三栖右嗣<今を生きる>画家は、画面の向こうに在る その神秘を追い求めた。」
【#318、約3,700文字、写真約60枚】
初めてヤオコー川越美術館へ行き「三栖右嗣<今を生きる>画家は、画面の向こうに在る その神秘を追い求めた。」を鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
▶︎ 結論
期待せず訪問しましたが、意外にもオススメしたい美術館でした!それは主に、1)伊東豊雄によるシンプルな建築✖️三栖右嗣による色鮮やかな作風がマッチしている、2)入館料が300円と安い、3)地域のコミュニティとして定着していたことによります。川越に来た際は、小江戸や氷川神社などに加えて、ヤオコー川越美術館も訪問してみてください😀
おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★☆☆☆☆
展覧会名:三栖右嗣「今を生きる」画家は、画面の向こうに在る その神秘を追い求めた。
場所:ヤオコー川越美術館 三栖右嗣記念館
会期:2025年9月30日(火)~2026年3月15日(日)
休館日:月曜日、年末年始
開館時間: 午前10時~午後5時
住所:埼玉県川越市氷川町109-1
アクセス:川越駅からバスで15分、バス停「氷川神社前」から徒歩約3分
入場料(一般):300円(入館料+飲物セット:500円)
事前予約:ー
所要時間:約1時間
撮影:すべて可能
巡回:ー
URL:こちら
▶︎ アクセス

ヤオコー川越美術館は、川越駅からバスで15分、バス停「氷川神社前」で下車。そこから徒歩約3分で到着します。私は、川越市立美術館に行った後、そこから歩いて訪問しました。


氷川神社の後ろに川が流れています。そのすぐ近くにヤオコー川越美術館があることをわかっていれば、迷わないと思います。氷川神社はたくさん人が来るものの、ヤオコー川越美術館は、一見さんだと絶対に気づかない場所にあります。



▶︎ ヤオコー川越美術館とは?

✔️ 設立のきっかけ
ヤオコー川越美術館は、2012年に開館。館長は、創業者の故・川野トモの長男であり、ヤオコーの取締役会長である川野幸夫。
美術館設立のきっかけは、絵画に興味もなかった倹約家の川野トモが、三栖右嗣のコスモスの絵(20号)を買ったこと。それ以降、親子とも、三栖右嗣のファンになり作品収集がスタート。ヤオコー創業120周年(2010年)の記念事業として、美術館の建設が決まりました。

ヤオコーの本社が川越であること、三栖右嗣のアトリエはヤオコー創業の地(埼玉県小川町)に近かったことから、美術館の立地は川越に決まったそうです。収蔵作品は、三栖右嗣の作品約150点のみ。それらを順次公開しています。
✔️ 伊東豊雄による建築

ヤオコー川越美術館の特徴の1つは、伊東豊雄による建築です。伊東豊雄は、ヤオコーの本社ビルの設計も担当しています(2018年)。なお、伊東豊雄が担当したのは「たまたまのご縁」としか開示されていないのが気になりました。

研究施設みたいな外観
私は、伊東豊雄の建築を訪れた経験はほぼないです。記憶にあるのは、多摩美術大学附属図書館くらい。確かに両者では、直線と曲線の使い方に共通するものを感じました。




ヤオコー川越美術館の外観はとてもシンプル。グレー色のコンクリートの直方体です。それが庭にある自然物(水や草木)の曲線と絶妙なバランスを保っています。一見すると安藤忠雄味もあるようにも感じました。


また、館内もシンプルでした。主に10m四方(100㎡)の部屋が4つで構成されています。これは、伊東豊雄が、実際に三栖先生の作品を見た上で設計したそうです。
それぞれの部屋はしっかり個性がありました。部屋によって、特徴的な凹凸のデザインがあることに加え、光の明暗による表情も違います。それらによって、作品の見える印象も戦略的に変えられていました。なお、その凹凸がロゴの由来だということは、帰る時に気づきました(笑。






▶︎ ヤオコーとは?

ヤオコーは、年商7,364億円(2025年3月期)の食品スーパーマーケット事業などを営む企業です(東京プライム:417A)。経常利益は325億円、経常利益率は4.6%です。その利益水準は、業界トップクラスだそうです(ウォルマートもほぼ同程度)。ROEは11.6%と日本企業の中では比較的高水準です。
1890年に埼玉県武州小川町に「八百幸商店」を創業。1958年に当時は斬新だったセルフサービス方式のスーパーマーケットに業態転換、それが軌道に乗り、36期連続で増収増益を続けています。企業名の由来は「八百屋」+「川野幸太郎」です。
私の住んできた地域に、ヤオコーはありませんでした。それもそのはず。グループ店舗数は239店舗(ヤオコー:195店舗)で、店舗数は埼玉が最も多いためです。なお、埼玉県や千葉県では、スーパーマーケットのシェアがトップだそうです。

ヤオコーの強みは、商品開発、産地開発・直輸入、用途・シーン別品揃え、生活提案などだそうです。地域に密着した地道な努力が奏功しているのでしょう。
ヤオコーは、2025年10月よりホールディングス体制へ移行し、ブルーゾーンホールディングスとなりました。持株会社の下には7社しかない、比較的シンプルな企業体です。ホールディングス体制に移行したことで、今後はM&Aも狙っているのでしょうか。

なお、総50ページながらも、統合報告書(日英)をつくっているのは少し意外でした。歴史や強みがシンプルに伝わる冊子だと思いました。コーポレートカラーのオレンジを基調としたつくりに統一感があるため見やすいです。継続的な成長性、事業効率の高さから、ヤオコーに投資する価値はあるかもしれません。
▶︎ 「三栖右嗣<今を生きる>画家は、画面の向こうに在る その神秘を追い求めた。」感想
✔️ 三栖右嗣とは?

三栖右嗣(1927〜2010)は、神奈川県厚木市生まれ。《老いる》で安井賞受賞(1976年)、その作品は東京国立近代美術館が所蔵しています(ヤオコー川越美術館も習作を所蔵)。当時「現代リアリズムの巨匠」と言われてたそうです。1982年に埼玉県比企郡玉川村(現・ときがわ町)に移住しました。

✔️ 展示室1

展示室は全部で2つのみ。




どれも写真のように美しい作品でした。コントラストや彩度を上げて加工したような作風は、実物とは違った艶やかさが特徴だと思いました。

収集作品第1号の《コスモス》を見た時、川野トモが、倹約家からディレッタントになった気持ちがわかりました。鮮やかな色使いが、心に夏から秋の訪れをパッと告げるような、ステキな絵画でした。



✔️ 展示室2

展示室2では、展示室1と対照的に、天井の中央が盛り上がっており、そこから柔らかい光が部屋全体を包んでいました。




私は、この展覧会の中で《秋日》が一番気に入りました。これは、鮮やかさを加工した写真にも見えました。また、三栖右嗣の作品をよく見ると、部分的に描写を省略しています。絵の対象、構図、色使い、マチエールに、三栖右嗣独特の温もりも感じました。


私が訪れた11月は、紅葉が真っ盛りのちょうど「秋日」。美術館を出ると、外の世界の色彩も、より一層美しく感じました。





来館者ノートには私と同じ《秋日》ファンがいました😁






✔️ カフェ

カフェに500号の大作が展示されていました。普段「これは⚫︎号やな…」と具体的な大きさを意識することはないですが、やはり20号の《コスモス》に比べると、500号の《爛漫》はインパクトがまったく違うと感じました。


カフェでは、足元にあいている空間から、水に反射した光のゆらゆらが見えるため、とても心が落ち着きます。その水辺では、さまざまな鳥が水浴びに利用しており、その光景を見て、さらに安らかな気持ちになりました。

サラッと絵画を鑑賞して、近所の人とお茶をして語り合うには、ちょうどいい規模感でした。入館料が安いのも良いです(さすがスーパー・ヤオコー)。
三栖右嗣の作風、コミュニティ、伊東豊雄による建築に調和を感じました。これは、直前に訪問した川越市立美術館では感じなかった点でした。
▶︎ まとめ

《秋日》
いかがだったでしょうか?スーパーチェーン・ヤオコーが運営する、シンプルながら印象に残る美術館でした。建築、作品、コミュニティの調和が取れており、とても居心地が良かったです。川越に観光に来た際は、是非、寄ってほしいスポットだと思いました。
▶︎ 今日の美術館飯


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