夫婦ではあるけど
夫の誕生日の数日後、バースデー旅と称して遠出することにした。
私たち夫婦は数年前からそれぞれの誕生日に普段なかなか行けない場所へ出かけるようになった。決めたわけではないけれど、いつの間にかそんな習慣ができている。
今回はどこへ行きたいかを夫にインタビューし、それに合わせて私が旅の計画を立てることにした。目的地は夫が以前から行きたいと思っていたと言うショップが所在する滋賀県の信楽エリアに決まり、なんだか慌ただしくてなかなか計画ができなかったけれど、旅の前夜に大急ぎで調べまくって結構良い出来栄えのプランに仕上がった。
紅葉真っ只中の山道を車で走る。私はいつも通り助手席で、一応この旅の主役である夫が運転。私は運転免許を持っていない。幸い夫は運転が好きなようで、私たちの車旅はいつもこのフォーメーションだ。シェアカーに乗り込み、無機質な高速道路に飽きたかと思えば、今度は赤や黄に染まったぐねぐねの山道で車酔い寸前。
そんな道のりを経てMIHO MUSEUMという美術館に到着した。これはどちらかといえば私が来たかった場所で、このエリアを訪れるのならばとプランにねじ込んだ。展示ももちろん楽しんだけれど、それにも増して建物が素晴らしく、天井を見たり壁を見たり床を見たり窓の外の景色を見たりと忙しい。次は春にまた訪れたい。
そのあとは蕎麦屋で昼食、陶芸体験、そして夫の一番の目当てだったNOTA SHOPというお店を回った。どこに行っても人が優しいし、心地よい距離を保ってくれる。YouTubeの動画用に映像も撮影していたので、撮影許可を取るためにそれぞれの場所で店員さんに話しかける必要があったのだけれど、どこへ行っても本当に丁寧に対応していただき、向こうから「ありがとうございます」と言っていただく始末。いや、こっちがありがとうございますなのです。また好きな場所が増えた。
一通り遊び尽くして帰りの車の中。いきなり雨が降ってきて、薄暗くなって、窓ガラスにポツポツとくっつく水滴を眺めながらぼーっとした。
こうして夫の誕生日を一緒に祝うのは何回目だろう。気がつけば、遡ってじっくり計算しないと何度かわからないほどの数を祝ってきている。
チームプレイが何よりも苦手で単独行動を愛してきた私が、誰かと一緒に暮らしているということは今でも本当に不思議だ。と同時に、人として日常生活を送る中でこんなにも欠けている部分の多い自分が、ひとりのままでいたらどうなっていたのだろうとぞっとすることもある。
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