古代ニュース!
「インダス文明」は約4600年前~700年間くらい、インドとパキスタンにまたがるインダス川流域で栄えた古代文明で、世界四大文明の一つともされています。
インダス文明の特徴はまず、高度に整備された都市にあります。モヘンジョダロやハラッパーなどには、碁盤の目のような街路、焼いたレンガ造りの家、下水道、排水設備などがあり、その時代の文明としてはトップレベルの都市です。
この、トップレベルのインダス文明、実は、他の文明には絶対あるものがないのです。巨大な王宮や神殿、王墓といった、指導者や特権階級の存在を示す痕跡がない。そう、「権力の不在」です。権力がないので、誰かが誰かを管理するとか、それに伴う武器とか、そんな痕跡も見つかっていないのです。どういうこと? どうやって秩序を保ってたの? 集団とか国家とか宗教って概念がなかったの? え、え? などとつい思ってしまいます。
そんなインダス文明には、もう一つ変な特徴があります。なんと、インダス文字と呼ばれる象形文字は、現在も未解読なのです。長い年月、世界中の研究者が解読を試みているのに、全然ちんぷんかんぷんなのです。それってもしかして、インダス文字に意味とか規則性とかなくて、記録とかに使えなかったんじゃない? ってことかもしれません。意味があれば証拠になり、証拠は別の証拠と対立し、それは、過去にこんな事があった、こんなことされた、と争いを生んでしまう。そしてその争いから権力も生まれてしまう。そう、インダスの人々は、記録なんて証拠を残さず、言った言わないでケンカして、しだいに、「ま、いっか」となる。これが700年も続いた超平和文明の秘密なのかもしれない。
最新の研究で、インダス文明の衰退は干ばつなどの気候変動で凄く長い時間をかけて少しずつ衰退していった、という事が分かってきました。この、「少しずつ」とは、どういう事なのか? 普通、他の文明みたいに、侵略や気候変動があると、故郷を守ろうとギリギリまで耐え、もう無理ってなったら一気に民族ごと移動し、文明はたちまち衰退する。インダスの場合、権力者がいないから移動も分散的、時期も時間もバラバラ。結果、衰退はゆっくりと進んでいき、むしろ、分散したことによってインダスの民族たちは各地で子孫をたくさん残し、今のインド人に繋がる。そう、実は衰退したというより、逆に生き残ったのだ。
この、何から何までおもしろい文明。権力の不在、意味のない文字、のんびりとした時間感覚、全てが曖昧だけど、その曖昧さ、それこそが世界トップレベルの都市をつくった。そして、数千年ののち、その曖昧な国が再び世界トップレベルになりつつある。
(ミチモ)
2025.12.18 なにもない場所新聞 発刊
